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力
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つと
ふりがな文庫
“
力
(
つと
)” の例文
当人は人一倍
困悶
(
こんもん
)
したが、
何様
(
どう
)
も病気には勝てぬことであるから、暫く学事を
抛擲
(
はうてき
)
して心身の保養に
力
(
つと
)
めるが宜いとの勧告に従つて
観画談
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
沮喪
(
そそう
)
せず、妥協せずに、自分自身に最善を尽した生活律を建て得る「自由」と「聡明」の精神を養わせる教育に
力
(
つと
)
めて欲しいと思う。
鏡心灯語 抄
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「
何事
(
なに
)
? ……
何
(
ど
)
うしたの? ……何うしたの?」と、気にして聞く。私は、
失敗
(
しくじ
)
った! と、穴にも入りたい心地を
力
(
つと
)
めて隠して
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
実を云うと、僕と田口と疎遠になればなるほど、母はあらゆる機会を求めて、ますます千代子と接触するように
力
(
つと
)
め出したのである。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
南洲等
力
(
つと
)
めて之を拒ぎ、事終に
熄
(
や
)
む。南洲人に
語
(
かた
)
つて曰ふ、七卿中他日
關白
(
くわんぱく
)
に任ぜらるゝ者は、必三條公ならんと、果して然りき。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
▼ もっと見る
大山神社ごときは、県知事すでにその独立を許可されしも、郡吏この二重負担の恐るべきを説きて、まさに合併せんと
力
(
つと
)
めおれり。
神社合祀に関する意見
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
例えば
式内
(
しきない
)
の古社がほとんとその名を喪失したように、
力
(
つと
)
めてこの統一の勢力に迎合したらしいが、これと同時に農民の保守趣味から
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
お
髯
(
ひげ
)
がないからお髯の
塵
(
ちり
)
を払うことは出来ないけれども、ご機嫌を伺うということはなかなか
力
(
つと
)
めたもので実に哀れなものです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
早稲田大学は学問の独立を本旨と為すを以てこれが自由討究を主とし常に独創の
研鑽
(
けんさん
)
に
力
(
つと
)
め以て世界の学問に
裨補
(
ひほ
)
せん事を期す
早稲田大学の教旨
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
彼は独り批評家として之を論ずるのみならず、記実家として劇の内外に関する事実を報道すること、甚だ
力
(
つと
)
めたりと言ふべし。
劇詩の前途如何
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
円月堂
(
ゑんげつだう
)
、見舞ひに
来
(
きた
)
る。泰然
自若
(
じじやく
)
たる如き顔をしてゐれども、多少は驚いたのに違ひなし。病を
力
(
つと
)
めて円月堂と
近鄰
(
きんりん
)
に住する諸君を見舞ふ。
大正十二年九月一日の大震に際して
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
力
(
つと
)
めて元気繕ひしに、中川様少し落ちつきたまへて、さては心安しいづれに後刻その手当せむなれど、先づそなたに問はで叶はぬ事のあり。
葛のうら葉
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
家元なる人もまたかくの如き後進を
扶
(
たす
)
けて行く事に
力
(
つと
)
めて、ゆめにもその進路を妨げるやうな事をしてはならぬ。(八月三日)
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
われらの意味する愛国主義は、郷土の美を永遠に保護し、国語の純化洗練に
力
(
つと
)
むる事を以て第一の義務なりと考うるのである。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
持つて居る。
力
(
つと
)
めて其れに新しい価値を見
出
(
いだ
)
さうとする。奇異を
以
(
もつ
)
て人を刺激する所があれば其れも新しい価値の一種でないか
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
その時代は人知の最も進まぬときである。ちょっと聞いて自分の心にはなはだ
嫌
(
いや
)
に思う説でも、一応は聞くだけの度量を
養
(
やしな
)
うことを
力
(
つと
)
めたい。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
文献の誠実なる研究を
力
(
つと
)
めないこと、また西人の学説を無批判に適用すること、などから来る欠陥の認められるものがあるように、余は考える。
日本上代史の研究に関する二、三の傾向について
(新字新仮名)
/
津田左右吉
(著)
章の家では桑に細君のあるのを聞いて、怒って燕児をせめたが、燕児が
力
(
つと
)
めてとりなしたので桑のねがいのようになった。
蓮香
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
夫人は驚いて
轎
(
かご
)
に乗ってゆき、
鑰
(
かぎ
)
を
啓
(
あ
)
けて亭に入った。小翠は
趨
(
はし
)
っていって迎えた。夫人は小翠の手を
捉
(
と
)
って涙を流し、
力
(
つと
)
めて前の
過
(
あやまち
)
を謝した。
小翠
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
そうして木の蓋と、鬱紺木綿を開くと、又も、どことなく緊張しかけて来た感情を押え付けようと
力
(
つと
)
めつつ、まず絵巻物の外側から見まわした。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「ナアンだこんなもの」という顔をする様に
力
(
つと
)
め、人に物を云うにも出来る丈け簡単に、形容詞や間投詞を省いて、ぶっきらぼうに云う様にした。
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
バーニアカヴァールは善し、再び
男子
(
なんし
)
を生まざればなり、カストロカーロは惡し、而してコーニオは愈〻あし、今も
力
(
つと
)
めてかゝる
伯等
(
きみたち
)
を 一一五—
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
我らはヨブが悪を
以
(
もっ
)
て悪に
酬
(
むく
)
いたと見たくはない。万一にもしかりとせば、我らはそれを学ばぬように
力
(
つと
)
めねばならぬ。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
我は
太
(
はなは
)
だ
力
(
つと
)
めたりといへども、こころよく笑ひゆく彼等に続くあたはずして、独のこされしことの殆夢のごとかりき。
松浦あがた
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
渚
(
なぎさ
)
に寄せて来る波までがこの月夜の静寂を破ってはならないと
力
(
つと
)
めるかの如く、かすかな、遠慮がちな、
囁
(
ささや
)
くような音を聞かせているばかりである。
母を恋うる記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
こは
事難
(
ことむづかし
)
うなりぬべし。
克
(
かな
)
はぬまでも多少は累を免れんと、貫一は手を
拱
(
こまぬ
)
きつつ
俯目
(
ふしめ
)
になりて、
力
(
つと
)
めて
関
(
かかは
)
らざらんやうに
持成
(
もてな
)
すを、満枝は
擦寄
(
すりよ
)
りて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
貧弱な体躯を有った者の・体格的優越者に対する偏見を
力
(
つと
)
めて排しようとはしながらも、私は何かしら
可笑
(
おか
)
しさがこみ上げて来るのを禁じ得なかった。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
貸していただこうと毎日
力
(
つと
)
めているのです。しかし博士は、一向、そういう気になって下さらない。博士、私は、そんなに信用出来ない人間でしょうか
火星兵団
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
遂
(
つひ
)
には
其處
(
そこ
)
に
恐怖
(
おそれ
)
が
加
(
くは
)
はれば
棒
(
ぼう
)
で
叩
(
たゝ
)
いたり
土塊
(
つちくれ
)
を
擲
(
はふ
)
つたり、
又
(
また
)
は
自分等
(
じぶんら
)
の
衣物
(
きもの
)
をとつてぱさり/\と
叩
(
たゝ
)
いたりして
其
(
その
)
火
(
ひ
)
を
消
(
け
)
すことに
力
(
つと
)
めるのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
然
(
しか
)
し
村民
(
そんみん
)
の
間
(
あひだ
)
にはかういふ
非常時
(
ひじようじ
)
に
對
(
たい
)
する
訓練
(
くんれん
)
がよく
行屆
(
ゆきとゞ
)
いてゐたと
見
(
み
)
え、
老幼男女
(
ろうようだんじよ
)
第一
(
だいいち
)
に
火災防止
(
かさいぼうし
)
に
力
(
つと
)
め、
時
(
とき
)
を
移
(
うつ
)
さず
人命救助
(
じんめいきゆうじよ
)
に
從事
(
じゆうじ
)
したのであつた。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
何がな与八の本心のよろこびを迎えようと
力
(
つと
)
めているくらいですから、お松の方から改めて、こんなことを言い出すのは、自分としても心持よくないし
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
歎
(
なげ
)
きに枝を添うるがいたわしさに包もうとは
力
(
つと
)
めたれど……何を
匿
(
かく
)
そう、
姫御前
(
ひめごぜ
)
は鏁帷子を着けなされたまま
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
言語以外の方面に於ても
普
(
あまね
)
く文献の蒐集攷究を
力
(
つと
)
められると同時に、国語学の上にも益々新資料を供給されることを自分は著者に熱望して止まないのである。
南嶋を思いて:――伊波文学士の『古琉球』に及ぶ――
(新字新仮名)
/
新村出
(著)
これも鍵なりに坐っていたが、晴れやかな話し手はいつも雪枝の組で、そらすまいとは
力
(
つと
)
めていたが、こっちの組はさながら
痺
(
しび
)
れた半身のように白けていた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
世人の持つ誤った独断的知識の粉砕に
力
(
つと
)
め、対話、問答を用いて知者と自称するソフィスト達を追求した。
辞典
(新字新仮名)
/
戸坂潤
(著)
この演段もしくは解義については和算家は、はなはだ
力
(
つと
)
めたものであった。刊本にもこれを記したものがあり、写本類の多くは問題の解義を記したものである。
文化史上より見たる日本の数学
(新字新仮名)
/
三上義夫
(著)
一瞬時なりともこの苦悩この煩悶を
解脱
(
のが
)
れようと
力
(
つと
)
め、
良
(
やや
)
暫
(
しば
)
らくの間というものは身動もせず
息気
(
いき
)
をも吐かず死人の如くに成っていたが、
倏忽
(
たちまち
)
勃然
(
むっく
)
と
跳起
(
はねお
)
きて
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
私は人と違って旅行するのが面倒、否むしろ嫌いで、機会は随分あったけれども
力
(
つと
)
めてそれを避けた。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
両方で知っている人の
噂
(
うわさ
)
をしたり、病院で見て来た話しをしたりする。
稀
(
まれ
)
には美術文学の話しもする。そしてなるたけ病人に多く物を言わせないように
力
(
つと
)
めている。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
さうして病後の體を
力
(
つと
)
めて力一杯働いて居た。春三郎はそれを見て今これだけ力める位なら何故せつぱ詰つた場合に獻身的に働いて呉れなかつたのかと恨めしく思つた。
続俳諧師:――文太郎の死――
(旧字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
「本當に、何んにもない。」と、私は、すゝり泣かうとするのを抑へつけようと
力
(
つと
)
めながら、考へた。そして私の苦しみの無力な證據たる數滴の涙を
急
(
いそ
)
いで拭きとつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
サンタは色蒼く、
瞳
(
ひとみ
)
常ならず
耀
(
かゞや
)
けるが、友の詞を聞きていふやう。われも熱に
罹
(
かゝ
)
れりと覺ゆ。されど日曜日には病を
力
(
つと
)
めて往くべし。友のためには命をさへ輕んずべし。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
他日を期して秀吉の怒りを和げることに
力
(
つと
)
めて、朝鮮遠征軍には従軍教師を送ることもできた。
イノチガケ:――ヨワン・シローテの殉教――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
天下後世にその名を
芳
(
ほう
)
にするも
臭
(
しゅう
)
にするも、心事の決断
如何
(
いかん
)
に
在
(
あ
)
り、
力
(
つと
)
めざるべからざるなり。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
私はふと砂糖の焦げるような臭を
嗅
(
か
)
いだ。砂糖が燃えたなと思った。我々は近所から駆けつけた人々と共に、
予
(
かね
)
て備えつけてあるバケツに水を汲んで嵐の中を消火に
力
(
つと
)
めた。
琥珀のパイプ
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
一方当主に直った良平は、真弓を妹のように愛撫して、その心持を
傷
(
きずつ
)
けないように
力
(
つと
)
め乍ら
百唇の譜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
僕はさういふ想像を抑制することを
力
(
つと
)
めてゐるのに、又してもその想像が起つてならない。
うづしほ
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
大いに
力
(
つと
)
めよや、吾人! 生きがいあれや吾人! これ吾人の面目でなくて何んであろう。
牧野富太郎自叙伝:01 第一部 牧野富太郎自叙伝
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
勝四郎は木位の前を退いて男女の名取に
挨拶
(
あいさつ
)
した。葛藤は
此
(
ここ
)
に全く解けた。これが明治三十六年勝久が五十七歳の時の事で、勝久は始終病を
力
(
つと
)
めてこの調停の衝に当ったのである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
これより後なお真の友義というものわれらが中に絶えずば交わりは
勉
(
つと
)
めずとも深かるべし、ただわが言うべきを言わしめたまえ、貴嬢のなすべきことは弁解を
力
(
つと
)
むることにはあらで
おとずれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
力
常用漢字
小1
部首:⼒
2画
“力”を含む語句
苦力
助力
角力
努力
速力
強力
勢力
合力
眼力
能力
力士
人力車
魅力
腕力
精力
効力
全速力
加特力
人力
威力
...