一條ひとすぢ)” の例文
新字:一条
たうげのぼつて、案内あんないわかれた。前途ぜんとたゞ一條ひとすぢみねたにも、しろ宇宙うちうほそふ、それさへまたりしきるゆきに、る/\、あし一歩ひとあしうづもれく。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
涯もない曠野、海に起伏おきふす波に似て、見ゆる限りの青草の中に、幅二尺許りの、唯一條ひとすぢの細道が眞直に走つてゐる。
散文詩 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
梁柱うつばりはいふもさらなり、籘の一條ひとすぢだにうるしの如く光らざるものなし。の中央に、長さ二三尺、幅これに半ばしたる甎爐せんろあり。かしぐも煖むるも、皆こゝに火焚きてなすなるべし。
「山火事やつたら、炎はああしたふうに一條ひとすぢにやのぼりやせん。もつと横へ横へと這ふやうに、舐めるみてえなぐあひでひろがるもんだ。——ありや、やつぱし雨乞ひの火ぢや。」
生活の探求 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
おつぎは釣瓶つるべ竹竿たけざをきたからうちつけるゆきためたて一條ひとすぢしろせんゑがきつゝあるのをた。ちら/\とくらますやうなゆきなか樹木じゆもく悉皆みんな純白じゆんぱくはしらたてて、釣瓶つるべふちしろまるゑがいてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
やがてまちちかい、すゞはしが、河原かはら晃々きら/\しろい、みづあをい、對岸むかうぎしくらい、川幅かははゞよこつて、艷々つや/\一條ひとすぢかゝる。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
崖に沿ひて一條ひとすぢ細徑ほそみちあり。迂𢌞して初の街道に通ず。われは高萱たかがやを分け小草をぐさを踏みて行きしに、月は高き石垣の上を照して、三人みたりの色蒼ざめたるかうべの、鐵格の背後うしろより、我をうかゞふを見たり。
門外おもてみちは、弓形ゆみなり一條ひとすぢ、ほの/″\としろく、比企ひきやつやまから由井ゆゐはま磯際いそぎはまで、なゝめかさゝぎはしわたしたやうなり
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
こゝに希有けうことがあつた。宿やどにかへりがけに、きやくせたくるまると、二臺三臺にだいさんだい俥夫くるまやそろつて鐵棒かなぼう一條ひとすぢづゝげて、片手かたてかぢすのであつた。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
まねいて手繰たぐられるやうに絲卷いとまきからいといたが、はゞも、たけも、さつ一條ひとすぢ伸擴のびひろがつて、かた一捲ひとまきどうからんで
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一條ひとすぢでもかぜもつれてますのを、したさき吸寄すひよせますと……かわいたくちすゞしつて、くちびるれたんですから。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
まねいて手繰たぐられたやうに絲卷いとまきからいといたが、はゞたけさつ一條ひとすぢ伸擴のびひろがつて、かた一捲ひとまきどうからんで。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
女房にようばうは、飛脚ひきやくめつゝおどろ發奮はずみに、しろうでけた胞胎えな一條ひとすぢながしたのであつた。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一度いちどは、たとへば、敦賀灣つるがわんでありました——にかいた雨龍あまりようのぐる/\といて、一條ひとすぢ、ゆつたりとしたれたやうなかたちのものが、りしきり、吹煽ふきあふつて空中くうちう薄黒うすぐろれつつくります。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
仙人せんにんが、あのひろそでなかから、眞紅まつかな、粘々ねば/\した、つやのある、へびうろこのやうな編方あみかたした、一條ひとすぢひもしていとほどにも、うごきませんほど、手足てあし大木たいぼく確乎しつかりいはへて、綿わたまるけたたま
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ふたむかうへはづすと、みづあふれるまで、手桶てをけなかをぬめらせた、うなぎ一條ひとすぢたゞ一條ひとすぢであつた、のろ/\とうねつて、とがつたあたまうあげて、女房にようばう蒼白あおじろかほを、じつた。——とふのである。
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)