霙が、では降ったのね。今はいい星夜です。九時ごろバラさんが外からかえって来たとき、ふるような星ですよ、と云っていた。
獄中への手紙:06 一九三九年(昭和十四年) (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
二つ三つは切り拂ひましたが、霙の如く飛んで來る錢、錢、錢、薄暗い上に、手も足も鼻も、眼も打たれて、思はず持つた刀を取落すと
銭形平次捕物控:296 旅に病む女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
源氏物語:14 澪標 (新字新仮名) / 紫式部(著)
北越雪譜:03 北越雪譜初編 (新字旧仮名) / 鈴木牧之、山東京山(著)
赤格子九郎右衛門の娘 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
聖アレキセイ寺院の惨劇 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
早耳三次捕物聞書:01 霙橋辻斬夜話 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ノンシャラン道中記:02 合乗り乳母車 ――仏蘭西縦断の巻―― (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
グスコーブドリの伝記 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
突然——夕方が近いのに、そして冬の雪がまだ垂れさがっているのに、そして軒には霙のような雨がしたたりおちているのに——光りのみなぎりがわたしの家をみたした。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン―― (新字新仮名) / ヘンリー・デイビッド・ソロー(著)
道はもう闇の底に沈んだころ、途中からひそひそと霙が降りだした。外套の襟をたて、ときどき暗い雪空を振仰ぐと、街燈のまわりだけいつさんに落ちてくる花粉が見えた。
Pierre Philosophale (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
やがてあたりの空気も湿っぽくなってきて、前唐沢岳を越した頃にはばらばらっと霙が落ちてきた。そして霙は間もなく雪に変って、あたりの山さえぼっと霞んでしまった。
行く路はそれに随い海岸のように曲りうねっていて、霙の降っているその突端の岬に見える所が火燧崎だ。このあたりは古戦場だから多分ここから火を打ちかけたものだろう。
夜の靴:――木人夜穿靴去、石女暁冠帽帰(指月禅師) (新字新仮名) / 横光利一(著)
半七捕物帳:27 化け銀杏 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
第五月すなわち十二月に入ると霙が降り、寒風が吹き込み、仮舎では暮らせなくなった。大工手間も近郊から出てくるようになり、資材も出回りはじめた。兄弟、従兄弟は協力した。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア (旧字旧仮名) / シャーロット・ブロンテ(著)
案じたよりも釣れはよかつたが、十時頃から霙になつて来て、冷たい水が外套を通して下着に迄透つた。その代償か漁果はすばらしかつた。正午宿に引き上げて、ぬれしづくの着物を暖炉で乾した。
茶話:02 大正五(一九一六)年 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)