トップ
>
見遣
>
みや
ふりがな文庫
“
見遣
(
みや
)” の例文
新聞を
拾読
(
ひろいよみ
)
していたお政は眼鏡越しに娘を
見遣
(
みや
)
ッて、「欠びをして
徒然
(
つくねん
)
としていることは
無
(
ない
)
やアね。本でも出して来てお
復習
(
さらい
)
なさい」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
答はこれだけの極めて簡短なものであったが、その笑みを含んだ
口吻
(
くちぶり
)
にも、弟子を
見遣
(
みや
)
った眼の色にも、一種の慈愛が籠っていた。
二階から
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そして苦り切って顔を伏せると、
惑
(
まど
)
うように暫くチラチラと「トントン」の屍骸を
見遣
(
みや
)
っていたが、やがて思い切ったように顔を上げると
三狂人
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
こういう気転と、使うに物柔らかなことが、つい側へおく人間には程よいので、いつか十数年も使い馴れたが、
見遣
(
みや
)
りながら
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
怨
(
うら
)
めし氣に
見遣
(
みや
)
り之は先にも申し上し通り私
爭
(
いかで
)
か人を
殺
(
ころ
)
しうべき又た先妻梅儀を
離縁
(
りえん
)
致せしは昌次郎と
不義
(
ふぎ
)
顯
(
あらは
)
れし故
離縁状
(
りえんじやう
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
中隊長は、近づき来る約一個中隊ばかりの
黒影
(
こくえい
)
を
見遣
(
みや
)
りながら、決心したらしく、「
伏射
(
ふせうち
)
の構え」を命じて、自分も指揮刀を握り
直
(
なお
)
して伏した。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
然
(
しか
)
らば
北歐羅巴
(
きたようろつぱ
)
の
方面
(
はうめん
)
はどうかと
見遣
(
みや
)
るに、
此
(
この
)
方面
(
はうめん
)
に
就
(
つい
)
ては
私
(
わたし
)
は
餘
(
あま
)
り
多
(
おほ
)
く
知
(
し
)
らぬが、
要
(
えう
)
するに
幼稚
(
えうち
)
極
(
きは
)
まるものであつて、
規模
(
きぼ
)
が
極
(
きは
)
めて
小
(
ちい
)
さいやうである。
妖怪研究
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
鼠かと思ったそうで、
斜
(
ななめ
)
に棚の上を
見遣
(
みや
)
ったが、鍋も重箱もかたりとも云わず、古新聞がまたがさりともせぬ。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
嚊煙草を取出す事すら打忘れて牢の入口を鋭く
見遣
(
みや
)
れり、牢番は目科の様子に気を留ずして言葉を続け
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
かく言ひつつ
益
(
ますます
)
急に
撈
(
かきさが
)
せり。貫一は帽を
冠
(
かぶ
)
りたるまま火燵に
片肱掛
(
かたひぢか
)
けて、
斜
(
ななめ
)
に彼の顔を
見遣
(
みや
)
りつつ
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
ほツほツと
片頬
(
かたほ
)
に寄する伯母の清らけき笑の波に、篠田は幽玄の気、胸に
溢
(
あふ
)
れつ、振り返つて
一室
(
ひとま
)
に
煤
(
すゝ
)
げたる仏壇を
見遣
(
みや
)
れば、
金箔
(
きんぱく
)
剥
(
は
)
げたる黒き
位牌
(
ゐはい
)
の林の如き前に
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
やっと彼方に五六十軒
固
(
かたま
)
った小さな町の頭が見え出した。暗い暗い空にとろとろと真白な
烟
(
けむり
)
の、上っているのは湯屋である。私は立止って、きっとその方を
見遣
(
みや
)
った。……
北の冬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
忽然
(
こつぜん
)
川岸づたいに
駈
(
か
)
け来る一人の女がハタとわが足許に
躓
(
つまず
)
いて倒れる。
抱
(
いだ
)
き起しながら
見遣
(
みや
)
れば金銀の
繍取
(
ぬいとり
)
ある
裲襠
(
うちかけ
)
を着
横兵庫
(
よこひょうご
)
に結った黒髪をば
鼈甲
(
べっこう
)
の
櫛笄
(
くしこうがい
)
に
飾尽
(
かざりつく
)
した
傾城
(
けいせい
)
である。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
刀の
𣠽
(
つか
)
に手を掛けて立ち上った三人の客を前に控えて、四畳半の
端
(
はし
)
近く坐していた抽斎は、客から目を放さずに、障子の開いた口を
斜
(
ななめ
)
に
見遣
(
みや
)
った。そして妻五百の異様な姿に驚いた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
お絹は屑箱の中からまだ
覗
(
のぞ
)
いているアンディーヴの早春の色を
見遣
(
みや
)
りながら
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
やがて主人が去り娘が去っても、息子は後始末をする筒井に、そこにいよといい、ふたたび白湯をいれさせた。息子はよくするように
眩
(
まぶ
)
しげに筒井を
見遣
(
みや
)
って、尋ねずにいられぬふうにいった。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
此方に背中を向けているナポレオンの方を
忌々
(
いまいま
)
しそうに
見遣
(
みや
)
った。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
彼は橋の上に立ち停ったまま、頭の上の北斗星を
見遣
(
みや
)
った。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
処女
(
むすめ
)
の
眼
(
め
)
のやうに遥かを
見遣
(
みや
)
つてはならない
在りし日の歌:亡き児文也の霊に捧ぐ
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
助九郎が指さす所を
見遣
(
みや
)
ると——なるほど伊織と丑之助が、すこし間をへだてて、わき目もふらずに、土を掘っている。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
向直った顔が、斜めに白い、その
豌豆
(
えんどう
)
の花に面した時、眉を開いて、
熟
(
じっ
)
と
視
(
み
)
た。が、瞳を返して、
右手
(
めて
)
に高い
肱掛窓
(
ひじかけまど
)
の、障子の閉ったままなのを
屹
(
きっ
)
と
見遣
(
みや
)
った。
妖術
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
貫一は猛獣などを撃ちたるやうに、彼の身動も
得為
(
えせ
)
ず
弱々
(
よわよわ
)
と
僵
(
たふ
)
れたるを、なほ憎さげに
見遣
(
みや
)
りつつ
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
今迄下を向いて、眤と
一所
(
ひとところ
)
を
見詰
(
みつめ
)
ていた捕れた男は真青に血の気の失せた顔を上げて、ドシンと大地に下した鉞の方を
見遣
(
みや
)
った。が
直様
(
すぐさま
)
また下を向いて自分の膝のあたりを見詰めていた。
捕われ人
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
見遣
(
みや
)
られ只今
承
(
うけた
)
まはる通り九助が裾に血の付て居るの鼻紙入が落てありしのとばかりでは甚はだ
分明
(
ぶんみやう
)
ならず然ば
篤
(
とく
)
と
思慮
(
しりよ
)
いたし事故明白に申立よと有りしにぞ九郎兵衞は
神妙
(
しんめう
)
らしく
徐々
(
そろ/\
)
首
(
かうべ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
イソ/\として燃え上がる火影に
凛然
(
りんぜん
)
たる
姪
(
をひ
)
の
面
(
かほ
)
ながめて「
何時
(
いつ
)
も丈夫で結構だの、余り
身体
(
からだ
)
使ひ過ぎて病気でも起りはせぬかと、私ヤ其ればかりが心配での」と言ひつゝ
見遣
(
みや
)
る伯母の
面
(
おもて
)
は
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
はじめ判事らが出廷せしとき、白糸は
徐
(
しず
)
かに
面
(
おもて
)
を
挙
(
あ
)
げて渠らを
見遣
(
みや
)
りつつ、
臆
(
おく
)
せる
気色
(
けしき
)
もあらざりしが、最後に顕われたりし検事代理を見るやいなや、渠は色
蒼白
(
あおざ
)
めて
戦
(
おのの
)
きぬ。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
井上の
奥様
(
おくさん
)
と呼ばれたる四十
許
(
ばか
)
りの婦人、少しケンある眼に打ち
見遣
(
みや
)
りつ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
その
驟
(
にはか
)
なると近きとに驚きて、
三人
(
みたり
)
は始めて音する
方
(
かた
)
を
見遣
(
みや
)
りつ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
と云い、また、その
扮装
(
いでたち
)
を
見遣
(
みや
)
って
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と聞こゆるは
寝惚
(
ねぼ
)
れたる女の声なり。白糸は出刃を隠して、きっとそなたを
見遣
(
みや
)
りぬ。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
じろと、小六は
見遣
(
みや
)
りながら
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
折
(
をり
)
からのたそがれに、
瀬
(
せ
)
は
白
(
しろ
)
し、
氣
(
き
)
を
籠
(
こ
)
めて、くる/\くる、カカカと
音
(
ね
)
を
調
(
しら
)
ぶる、
瀧
(
たき
)
の
下
(
した
)
なる
河鹿
(
かじか
)
の
聲
(
こゑ
)
に、
歩
(
あゆみ
)
を
留
(
と
)
めると、
其處
(
そこ
)
の
釣人
(
つりて
)
を、じろりと
見遣
(
みや
)
つて、
空
(
むな
)
しい
渠
(
かれ
)
の
腰
(
こし
)
つきと
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
月影が射したから、
伏拝
(
ふしおが
)
んで、心を
籠
(
こ
)
めて、
透
(
す
)
かし透かし見たけれども、
眗
(
みまわ
)
したけれども、
見遣
(
みや
)
ったけれども、ものの
薫
(
かおり
)
に形あって
仄
(
ほのか
)
に
幻
(
まぼろし
)
かと見ゆるばかり、雲も雪も紫も
偏
(
ひとえ
)
に夜の色に
紛
(
まぎ
)
るるのみ。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
口
(
くち
)
を
結
(
むす
)
んで
前途
(
ゆくて
)
を
見遣
(
みや
)
つた、
眉
(
まゆ
)
が
顰
(
ひそ
)
んで、
婦
(
をんな
)
は
洋傘
(
かうもり
)
を
持直
(
もちなほ
)
す。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
卓上を
見遣
(
みや
)
った謙譲な目に、何となく
威
(
い
)
が見える。
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「御冗談もんだよ」と白糸は
流眄
(
ながしめ
)
に
見遣
(
みや
)
りぬ。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と事も無げに
謂
(
い
)
う顔を警部は
見遣
(
みや
)
りて
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
眼鏡
越
(
ごし
)
に学生は
渠
(
かれ
)
を
悪
(
にく
)
さげに
見遣
(
みや
)
りて
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
見
常用漢字
小1
部首:⾒
7画
遣
常用漢字
中学
部首:⾡
13画
“見”で始まる語句
見
見惚
見物
見出
見下
見上
見送
見透
見做
見当