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ちゃみせ
ふりがな文庫
“
茶店
(
ちゃみせ
)” の例文
永年
(
ながねん
)
の繁盛ゆえ、かいなき
茶店
(
ちゃみせ
)
ながらも利得は積んで山林
田畑
(
でんぱた
)
の幾町歩は内々できていそうに思わるれど、ここの
主人
(
あるじ
)
に一つの癖あり
置土産
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
小女
(
こむすめ
)
はその間を通って静かに
茶店
(
ちゃみせ
)
の方へ往った。山西は一
間
(
けん
)
ばかりの距離を置いてゆっくりと、そしてあたりに注意して歩いた。
水魔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
茶店
(
ちゃみせ
)
の裏手は
遠近
(
おちこち
)
の山また山の山続きで、その日の静かなる海面よりも、一層かえって高波を
蜿
(
うね
)
らしているようでありました。
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼
(
かれ
)
は、
青草
(
あおくさ
)
の
上
(
うえ
)
へ
腰
(
こし
)
をおろそうとしたが、そばに
小
(
ちい
)
さな
茶店
(
ちゃみせ
)
があるのに
気
(
き
)
づいたので、さっそく
入
(
はい
)
って
腰掛
(
こしか
)
けへ
休
(
やす
)
みました。
薬売りの少年
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
渡しを渡った
向岸
(
むこうぎし
)
の
茶店
(
ちゃみせ
)
の
傍
(
そば
)
にはこの頃毎日のように街の中心から私を
尋
(
たず
)
ねて来る途中、
画架
(
がか
)
を立てて
少時
(
しばらく
)
、
河岸
(
かし
)
の写生をしている画学生がいる。
桃のある風景
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
六部
(
ろくぶ
)
は「はてな。」と
首
(
くび
)
をかしげながら、そのまま
通
(
とお
)
りすぎていきますと、
村
(
むら
)
はずれに一けんの
茶店
(
ちゃみせ
)
がありました。
しっぺい太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
というとはねおきた一方の男は、
脱兎
(
だっと
)
のごとく
茶店
(
ちゃみせ
)
のそとへ飛びだして、なにか大声で向こうの
並木
(
なみき
)
へ手をふった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お
百姓
(
ひゃくしょう
)
さんはすぐさまとんでいって、大きなポケットへ、はいるだけぎゅうぎゅうにつめこみました。それから、
茶店
(
ちゃみせ
)
へいって、金をすっかりかぞえてみました。
うまい商売
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
森「訳が分らねえ……人が立っていけねえよ、己に話して聞かせねえ、待ちねえよ、
向
(
むこう
)
の都鳥と云う
茶店
(
ちゃみせ
)
へ
行
(
ゆ
)
きねえ……何を見やアがる、
狂気
(
きちげえ
)
でも
何
(
な
)
んでもねえ」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
足の悪いお新さんと鶴子を
茶店
(
ちゃみせ
)
に残して、余は
靴
(
くつ
)
のまゝ、二人の女は貸草履に
穿
(
は
)
き
更
(
か
)
えて上りはじめた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
陽気も急にあたゝかくなりました。小田原から電車で国府津に着きまして、そこの
茶店
(
ちゃみせ
)
で小田原
土産
(
みやげ
)
の梅干を買ひました。それは母から頼まれてゐたのでございます。
停車場の少女:――「近代異妖編」
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
正面に象の
小舎
(
こや
)
があり、左手に
茶店
(
ちゃみせ
)
があり、右手の岡の上にライオンや虎や豹のいる所がある。
動物園の一夜
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
村から町へいくとちゅう、道ばたに大きい松が一本あり、そのかげに
茶店
(
ちゃみせ
)
が一軒ありました。
和太郎さんと牛
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
私
(
わたくし
)
は墓地の手前にある
苗畠
(
なえばたけ
)
の左側からはいって、両方に
楓
(
かえで
)
を植え付けた広い道を奥の方へ進んで行った。するとその
端
(
はず
)
れに見える
茶店
(
ちゃみせ
)
の中から先生らしい人がふいと出て来た。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
国民学校の前に
茶店
(
ちゃみせ
)
風の家があって、その前に縁台を置き、二三人の特攻隊員が腰かけ、酒をのんでいた。二十歳前後の若者である。白い絹のマフラーが、変に
野暮
(
やぼ
)
ったく見えた。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
途中何と
云
(
い
)
う処か知らぬが、左側の
茶店
(
ちゃみせ
)
で、
一合
(
いちごう
)
十四文の酒を二合飲んで、大きな
筍
(
たけのこ
)
の煮たのを一皿と、飯を四、五杯
喰
(
くっ
)
て、
夫
(
そ
)
れからグン/″\歩いて、今の神戸
辺
(
あたり
)
は先だか
後
(
あと
)
だか
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
この人は今着きし汽車にて、ドレスデンより来にければ、
茶店
(
ちゃみせ
)
のさまの、かしことここと
殊
(
こと
)
なるに目を注ぎぬ。大理石の
円卓
(
まるづくえ
)
幾つかあるに、
白布
(
しらぬの
)
掛けたるは、
夕餉
(
ゆうげ
)
畢りし
迹
(
あと
)
をまだ片附けざるならむ。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
杖を
径
(
こみち
)
に
突立
(
つきた
)
て/\、
辿々
(
たどたど
)
しく
下闇
(
したやみ
)
を
蠢
(
うごめ
)
いて
下
(
お
)
りて、城の
方
(
かた
)
へ去るかと思へば、のろく
後退
(
あとじさり
)
をしながら、
茶店
(
ちゃみせ
)
に向つて、
吻
(
ほっ
)
と、
立直
(
たちなお
)
つて
一息
(
ひといき
)
吐
(
つ
)
く。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
少年
(
しょうねん
)
は、その
茶店
(
ちゃみせ
)
から
出
(
で
)
て、おかみさんに
教
(
おし
)
えられた
道
(
みち
)
の
方
(
ほう
)
へ、
荷
(
に
)
を
負
(
お
)
って、とぼとぼと
歩
(
あゆ
)
みをつづけたのです。
薬売りの少年
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
こういう一種の
恍惚感
(
こうこつかん
)
に
浸
(
ひた
)
って私はまた、
茶店
(
ちゃみせ
)
の美少年の前を手を振って通り、家の中二階へ戻る。私は自分が人と
変
(
かわ
)
っているのにときどきは死に
度
(
た
)
くなった。
桃のある風景
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
まっ黒になって
茶店
(
ちゃみせ
)
の入口になだれこみ、あッと
宮内
(
くない
)
があきれるうちに、
床几
(
しょうぎ
)
の上にすえておいた
地蔵菩薩
(
じぞうぼさつ
)
の
笈摺
(
おいずる
)
を、ひとりの男が
土足
(
どそく
)
でガラガラとけおとした。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
六部
(
ろくぶ
)
は
茶店
(
ちゃみせ
)
に
休
(
やす
)
んで、お
茶
(
ちゃ
)
を
飲
(
の
)
みながら、おばあさんを
相手
(
あいて
)
にいろいろの
話
(
はなし
)
をしたついでに
しっぺい太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
一軒の
茶店
(
ちゃみせ
)
のような家が眼の前にあった。そこは
路
(
みち
)
の幅も広くなっていた。一
間
(
けん
)
くらいの入口には
納涼台
(
すずみだい
)
でも置いたような黒い汚い
縁側
(
えんがわ
)
があって、十七八の小柄な女が
裁縫
(
さいほう
)
をしていた。
雑木林の中
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
遠江国
(
とおとうみのくに
)
日坂
(
にっさか
)
の
宿
(
しゅく
)
に近い
小夜
(
さよ
)
の
中山街道
(
なかやまかいどう
)
の
茶店
(
ちゃみせ
)
へ、ひとりの女が
飴
(
あめ
)
を買ひに来た。
小夜の中山夜啼石
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その
日
(
ひ
)
も、
海蔵
(
かいぞう
)
さんよりさきに三
人
(
にん
)
の
人力曳
(
じんりきひ
)
きが、
茶店
(
ちゃみせ
)
の
中
(
なか
)
に
憩
(
やす
)
んでいました。
牛をつないだ椿の木
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
公園の入口に、樹林を
背戸
(
せど
)
に、
蓮池
(
はすいけ
)
を庭に、柳、
藤
(
ふじ
)
、桜、
山吹
(
やまぶき
)
など、
飛々
(
とびとび
)
に名を呼ばれた
茶店
(
ちゃみせ
)
がある。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
おおぜいの
力
(
ちから
)
ですると、どんなことでもされるものです。
大
(
おお
)
きな
桜
(
さくら
)
の
木
(
き
)
は、じゃまにならぬところへうつされて、おばあさんの
茶店
(
ちゃみせ
)
は、やはりその
木
(
き
)
の
下
(
した
)
にたてられました。
青葉の下
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
菊村宮内
(
きくむらくない
)
は、きのうはからず
阿弥陀街道
(
あみだかいどう
)
の
茶店
(
ちゃみせ
)
で、この
女房
(
にょうぼう
)
がわるい
街道人足
(
かいどうにんそく
)
に
迫害
(
はくがい
)
されているのをみかけて助けたことから、ここへくるまでのみちみちに、その身の上を聞いたので
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
新吉はその前を通って、一またぎぐらいしか無いその橋を渡り終り、すこし右に折れ曲って右側の
茶店
(
ちゃみせ
)
の傍へ往った。
壮
(
わか
)
い女学生風の女が何か考えてでもいるように
前屈
(
まえかが
)
みになって歩いていた。
女の首
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
次
(
つぎ
)
の
日
(
ひ
)
、
大野
(
おおの
)
の
町
(
まち
)
へ
客
(
きゃく
)
を
送
(
おく
)
ってきた
海蔵
(
かいぞう
)
さんが、
村
(
むら
)
の
茶店
(
ちゃみせ
)
にはいっていきました。そこは、
村
(
むら
)
の
人力曳
(
じんりきひ
)
きたちが
一仕事
(
ひとしごと
)
して
来
(
く
)
ると、
次
(
つぎ
)
のお
客
(
きゃく
)
を
待
(
ま
)
ちながら、
憩
(
やす
)
んでいる
場所
(
ばしょ
)
になっていたのでした。
牛をつないだ椿の木
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
と
思
(
おも
)
いながら、
茶店
(
ちゃみせ
)
を出ました。
しっぺい太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
寂
(
さみ
)
しいにも、第一
此
(
こ
)
の家には、旅人の来て宿るものは一
人
(
にん
)
も無い、と
茶店
(
ちゃみせ
)
で聞いた——
泊
(
とまり
)
がさて無いばかりか、
眗
(
みまわ
)
して見ても、がらんとした
古家
(
ふるいえ
)
の中に、其の
婦
(
おんな
)
ばかり。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
はやく、お
客
(
きゃく
)
がくればいいのになあ、と
海蔵
(
かいぞう
)
さんは
眼
(
め
)
をほそめて
明
(
あか
)
るい
道
(
みち
)
の
方
(
ほう
)
を
見
(
み
)
ていました。しかしお
客
(
きゃく
)
よりさきに、
茶店
(
ちゃみせ
)
のおかみさんが、
焼
(
や
)
きたてのほかほかの
大餡巻
(
おおあんまき
)
をつくってあらわれました。
牛をつないだ椿の木
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
麓
(
ふもと
)
へ十四五
町
(
ちょう
)
隔
(
へだた
)
つた、崖の上にある、古い、薄暗い
茶店
(
ちゃみせ
)
に
憩
(
いこ
)
つた時、裏に
鬱金木綿
(
うこんもめん
)
を着けた
縞
(
しま
)
の
胴服
(
ちゃんちゃんこ
)
を、
肩衣
(
かたぎぬ
)
のやうに着た、
白髪
(
しらが
)
の
爺
(
じい
)
の、
霜
(
しも
)
げた耳に
輪数珠
(
わじゅず
)
を掛けたのが
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
さっきの
茶店
(
ちゃみせ
)
からここへ来るまで、売薬の外は
誰
(
だれ
)
にも
逢
(
あ
)
わなんだことは申上げるまでもない。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
不思議な
光景
(
ようす
)
は、美しき女が、針の
尖
(
さき
)
で怪しき魔を
操
(
あやつ
)
る、舞台に於ける、神秘なる場面にも見えた。
茶店
(
ちゃみせ
)
の娘と其の父は、感に堪へた観客の如く、
呼吸
(
いき
)
を殺して
固唾
(
かたず
)
を飲んだ。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
上端
(
あがりばな
)
に客を
迎顔
(
むかえがお
)
の
爺様
(
じいさま
)
の、トやつた
風采
(
ふうさい
)
は、
建場
(
たてば
)
らしくなく、
墓所
(
はかしょ
)
の
茶店
(
ちゃみせ
)
の
趣
(
おもむき
)
があつた。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
“茶店”の意味
《名詞》
(さてん, ちゃてん, ちゃみせ) 茶葉を売る店。
(さてん, ちゃてん, ちゃみせ) 軽食を提供して通行人を休ませる店。
(さてん) 喫茶店の略称。
(出典:Wiktionary)
茶
常用漢字
小2
部首:⾋
9画
店
常用漢字
小2
部首:⼴
8画
“茶店”で始まる語句
茶店娘