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終
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しまひ
ふりがな文庫
“
終
(
しまひ
)” の例文
終
(
しまひ
)
には、あの蓮華寺のお志保のことまでも思ひやつた。活々とした情の為に燃え乍ら、丑松は蓮太郎の
旅舎
(
やどや
)
を指して急いだのである。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
私達は
終
(
しまひ
)
にはある恐怖に襲はれたやうにして急いでそこから出て来た。私達の顔は蒼白くあたりに際立つて見えてゐたに相違なかつた。
あさぢ沼
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
湯村はゾラの小説を取つて表紙を
啓
(
あ
)
けたり、広告を見たり、妙に落着かない様子を見せて居た。辰馬は
終
(
しまひ
)
の灰殻を火鉢の縁へ強く叩いて
茗荷畠
(新字旧仮名)
/
真山青果
(著)
猿田彦
(
さるだひこ
)
が通り、美くしく化粧したお稚児が通り、馬に乗つた
禰宜
(
ねぎ
)
が通り、
神馬
(
しんめ
)
が通り、宮司の馬車が通り、勅使が通り、行列は
終
(
しまひ
)
になつたが
住吉祭
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
『
始
(
はじめ
)
から
終
(
しまひ
)
まで
間違
(
まちが
)
つてる』と
斷乎
(
きつぱり
)
芋蟲
(
いもむし
)
が
云
(
い
)
ひました。それから
双方
(
さうはう
)
とも
口
(
くち
)
を
噤
(
つぐ
)
んで
了
(
しま
)
つたので、
暫
(
しばら
)
くの
間
(
あひだ
)
又
(
また
)
森
(
しん
)
としました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
▼ もっと見る
こんな
風
(
ふう
)
に
話
(
はなし
)
をしてゐたら、お
終
(
しまひ
)
には
喧嘩
(
けんくわ
)
になつてしまひませう。ところが
喧嘩
(
けんくわ
)
にならない
前
(
まへ
)
に、一
匹
(
ぴき
)
の
蛙
(
かへる
)
が
水
(
みづ
)
の
中
(
なか
)
からぴよんと
跳
(
と
)
び
出
(
だ
)
して
來
(
き
)
ました。
お母さん達
(旧字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
………それから
終
(
しまひ
)
に、綺麗な
衣服
(
きもの
)
を着た兄貴のお嫁さんが、何だか僕のお嫁さんのやうに思はれて来ましてねえ。
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
終
(
しまひ
)
には
猫又
(
ねこまた
)
が
化
(
ば
)
けた、
妾
(
めかけ
)
のやうに、
日
(
ひ
)
の
目
(
め
)
を
厭
(
いと
)
うて、
夜
(
よる
)
も
晝
(
ひる
)
も、
戸障子
(
としやうじ
)
雨戸
(
あまど
)
を
閉
(
し
)
めた
上
(
うへ
)
を、二
重
(
ぢう
)
三
重
(
ぢう
)
に
屏風
(
びやうぶ
)
で
圍
(
かこ
)
うて、
一室
(
ひとま
)
どころに
閉籠
(
とぢこも
)
つた
切
(
きり
)
、と
言
(
い
)
ひます……
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「どれ、どれ。成程
読
(
よ
)
み
難
(
にく
)
い文字だな。」と和尚は幾度となく頭を
傾
(
かし
)
げて居るが、ついぞ解つた
例
(
ためし
)
はなかつた。で、
終
(
しまひ
)
にはいつもこんな事を言つて笑つたものだ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
殖
(
ふ
)
えたのぢやアありアしない、
当然
(
あたりまへ
)
な話だよ。亭「
其様
(
そんな
)
に
色
(
いろ
)
んな事を
云
(
い
)
つちやア
側
(
そば
)
から忘れちまあア。妻「お
赤飯
(
せきはん
)
を
有難
(
ありがた
)
う
存
(
ぞん
)
じますつて、一
番
(
ばん
)
終
(
しまひ
)
に
女房
(
にようばう
)
も
宜
(
よろ
)
しくと
云
(
い
)
ふんだよ。 ...
八百屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
今日は日比谷の散歩やら、芝居の立見やら、
滿
(
つま
)
らなく日を暮して、お
終
(
しまひ
)
に床屋へ
入込
(
はいりこ
)
んで今まで油を賣つてゐたのであるが、氣がついて見ると、腹はもう
噛
(
かみ
)
つくやうに
減
(
へ
)
つてゐる。
絶望
(旧字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
二人とも跣足で庭へ飛び降りて築山の椿の
後
(
うしろ
)
で
箒合戰
(
はうきがつせん
)
をした事などは度々です。何でもふざけてふざけて、ふざけ拔いて、草臥れるまではいつも止めないのですね。お時はいつでも
終
(
しまひ
)
に
反古
(旧字旧仮名)
/
小山内薫
(著)
……それが代がはりのたんびに、田なら田賣つて税にしてたんでは、
終
(
しまひ
)
には身代が無いやうになるがな。……身代なんて
不正
(
わる
)
いもんやさかい、無いやうにしてやろちうんなら、こら別やけんど。
太政官
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
吃
(
どもり
)
の真似をすると
終
(
しまひ
)
には吃になつて了ふ。気違の真似をすると終には気違になつて了ふ。俺もこんな妄想を
拵
(
こしら
)
へてゐるうちに、或は本統に被害妄想狂になつて了ふかもしれない。全く愚なことだ。
公判
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
「早く取れ、もうお
終
(
しまひ
)
だ、あんまり風の吹かぬ前に。」
厄年
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
異
(
かは
)
つた土地で知るものは無し、
強
(
し
)
ひて
是方
(
こちら
)
から言ふ必要もなし、といつたやうな訳で、
終
(
しまひ
)
には慣れて、少年の丑松は一番早く昔を忘れた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
徳田秋声氏の『兵営へ』は、もつと何か書かうとしたことが、十分に書かれずにお
終
(
しまひ
)
になつたやうな気がした。
或新年の小説評
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
牝牛
(
めうし
)
と
小鳥
(
ことり
)
は、
一生
(
いつしやう
)
けんめいに
習
(
なら
)
ひましたが、それでも
覺
(
おぼ
)
えられないのでお
終
(
しまひ
)
にはいやになつてしまひました。
お母さん達
(旧字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
仕方
(
しかた
)
なく
片方
(
かたはう
)
の
肘
(
ひぢ
)
は
戸
(
と
)
に
凭
(
もた
)
れ、
片方
(
かたはう
)
の
腕
(
うで
)
は
頭
(
あたま
)
の
下
(
した
)
へ
敷
(
し
)
いて
横
(
よこ
)
になりましたが、それでも
尚
(
な
)
ほ
寸々
(
ずん/″\
)
伸
(
の
)
びて
行
(
い
)
つて、一
番
(
ばん
)
終
(
しまひ
)
には、
愛
(
あい
)
ちやんは
片腕
(
かたうで
)
を
窓
(
まど
)
の
外
(
そと
)
に
突出
(
つきだ
)
し
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
……
終
(
しまひ
)
にや山も川も人間の顔もゴチヤ交ぜになつて、胸の中が
宛然
(
まるで
)
、火事と洪水と一緒になツた様だ。……僕は一晩泣いたよ、枕にして居た帆綱の束に噛りついて泣いたよ。
漂泊
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
でね、一
番
(
ばん
)
終
(
しまひ
)
に
私
(
わたし
)
も
宜
(
よろ
)
しくとさう
云
(
い
)
つてお
呉
(
く
)
れよ。亭「
己
(
おれ
)
が
行
(
い
)
くのに
私
(
わたし
)
も
宜
(
よろ
)
しくてえのは
可笑
(
をか
)
しいぢやないか。妻「ナニお
前
(
まへ
)
が自分の事を
云
(
い
)
ふのぢやない、
女房
(
にようばう
)
も
宜
(
よろ
)
しくといふのだよ。 ...
八百屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
たうとう
終
(
しまひ
)
に分らないものだから、家の方が水で危いからとか何とか言つて、逃げ出して行つてしまつたのよ。ほんとにあんなお醫者つて始めて見たわ。でも、姐さんは直ぐよくなつたの。
梅龍の話
(旧字旧仮名)
/
小山内薫
(著)
終
(
しまひ
)
には銀さんも私も逃げてばかり居たものですから、
金米糖
(
こんぺいたう
)
を褒美に呉れるから叩けとか、按摩賃を五厘づゝ遣るから頼むとか言ひました。
幼き日:(ある婦人に与ふる手紙)
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
……
終
(
しまひ
)
にや山も川も人間の顏もゴチャ交ぜになつて、胸の中が
宛然
(
さながら
)
、火事と洪水と一緒になッた樣だ。……………僕は一晩泣いたよ、枕にして居た帆綱の束に噛りついて泣いたよ。
漂泊
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
暫
(
しばら
)
くして
愛
(
あい
)
ちやんは
遠
(
とほ
)
くの
方
(
はう
)
で、パタ/\
小
(
ちひ
)
さな
跫音
(
あしおと
)
のするのを
聞
(
き
)
きつけ一
心
(
しん
)
に
其方
(
そのはう
)
を
見戌
(
みまも
)
つて
居
(
ゐ
)
ました、
鼠
(
ねずみ
)
が
機嫌
(
きげん
)
を
直
(
なほ
)
して、
戻
(
もど
)
つて
來
(
き
)
て、
彼
(
あ
)
の
話
(
はなし
)
を
終
(
しまひ
)
までして
呉
(
く
)
れゝば
可
(
い
)
いがと
思
(
おも
)
ひながら。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
その大睾丸を蜂に食はれて、家に帰るまで泣き続けて居たといふ事と、今一つ、よく大睾丸を
材料
(
たね
)
にして、いろ/\
渾名
(
あざな
)
を付けたり、悪口を言つたり
為
(
す
)
るものだから、
終
(
しまひ
)
にはそれを言ひ始めると
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
終
(
しまひ
)
には、自分で自分を疑つて、あるひは聞いたと思つたのが夢ででもあつたか、と其音の
実
(
ほんと
)
か
虚
(
うそ
)
かすらも判断が着かなくなる。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
終
(
しまひ
)
には世話するものまで泣いて了ふ。見るに見兼ねて、何時でも私がそこへ出なければ成らないやうなことに成ります。
幼き日:(ある婦人に与ふる手紙)
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
お栄がやさしく
慰撫
(
なぐさ
)
めた位では聞入れなかつた。
終
(
しまひ
)
にはお栄は堅く袖に
取縋
(
とりすが
)
らうとする文ちやんの手を払つて、あちこちの部屋の内を逃げて歩いた。
出発
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
何がなしにその草雙紙が欲しく成つて、何度も/\其前を往つたり來たりして、
終
(
しまひ
)
に混雜に紛れて一册
懷中
(
ふところ
)
に入れた少年がある——斯の少年が、自分だ。
幼き日:(ある婦人に与ふる手紙)
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
斯う
内儀
(
かみ
)
さんは話した後で、長く居る療養の客の中には松林の間に眺めの
好
(
い
)
い
借屋
(
しやくや
)
を
見立
(
みたて
)
て、海に近く住んで見る人なぞもあるが、いづれも
終
(
しまひ
)
には寂しがつて
灯火
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
私は未だ
曾
(
かつ
)
て経験したことのない
戦慄
(
みぶるひ
)
を覚えた。
終
(
しまひ
)
に息苦しく成つて来た。まるで私の
周囲
(
まはり
)
は氷の世界のやうだつた……お幸さんなどを連れなくて
真実
(
ほんと
)
に好かつた。
突貫
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
二階では話がはずんで、まだこれから根岸の伯母さんの方へ廻り外にもう一軒礼に寄らなければならないところが有るのにと、
終
(
しまひ
)
にはお節が心配し始めたほどで有つた。
出発
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「
斯様
(
こん
)
な暑い日によくそれでも出掛けて行つたなあ。」と言つて、叔父さんは半ば
独語
(
ひとりごと
)
のやうに、「お墓参りには叔父さんもしばらく行かないナ……」
終
(
しまひ
)
に叔父さんは溜息を
吐
(
つ
)
いた。
出発
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
その娘が線路番人に腕力で
捩
(
ね
)
ぢ伏せられて——
終
(
しまひ
)
には娘の方から番人と夫婦に成りたいといふことを親の
許
(
もと
)
へ言ひ込んで来て、到頭土地にも
居
(
を
)
られずに主人の家を飛出したといふ話を書いた。
突貫
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
終
常用漢字
小3
部首:⽷
11画
“終”を含む語句
始終
終夜
終日
臨終
終局
最終
終焉
終始
終了
始中終
終末
終宵
終幕
命終
末始終
終生
初中終
終身
終極
一部始終
...