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礫
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こいし
ふりがな文庫
“
礫
(
こいし
)” の例文
美
(
うつく
)
しい
瀬
(
せ
)
を
立
(
た
)
てて、
玉
(
たま
)
のやうな
礫
(
こいし
)
をおもしに、
獸
(
けもの
)
の
皮
(
かは
)
の
白
(
しろ
)
く
晒
(
さら
)
されたのが
浸
(
ひた
)
してある
山川
(
やまがは
)
に
沿
(
そ
)
うて
行
(
ゆ
)
くと、
山
(
やま
)
の
奧
(
おく
)
にまた
山
(
やま
)
があつた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
如何に愛し合って居る男女でも、
刹那
(
せつな
)
々々の気分の動きがその純情に不純の
礫
(
こいし
)
を混じえぬと、どうして云い切ることが出来ましょう。
阿難と呪術師の娘
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
礫
(
こいし
)
はばらばら、飛石のようにひょいひょいと
大跨
(
おおまた
)
で伝えそうにずっと見ごたえのあるのが、それでも人の手で並べたに
違
(
ちが
)
いはない。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
手頃の
礫
(
こいし
)
を拾い集めた彦兵衛は、露草を踏んで近づきながら石を抛って烏と犬とを一緒に追い、随全寺の石垣下へ検分に行った。
釘抜藤吉捕物覚書:02 梅雨に咲く花
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
一個々玉を
欺
(
あざむ
)
く
礫
(
こいし
)
の上を琴の相の手弾く様な音立てゝ、金糸と閃めく
日影
(
ひかげ
)
紊
(
みだ
)
して
駛
(
はし
)
り行く水の清さは、まさしく溶けて流るゝ水晶である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
小川は
礫
(
こいし
)
の上をちょろちょろと流れ、旅びとは街道に砂ほこりを立てて往来していたのに、ラザルスは死んでいたのであった。
世界怪談名作集:14 ラザルス
(新字新仮名)
/
レオニード・ニコラーエヴィチ・アンドレーエフ
(著)
夏の日は北国の空にもあふれ輝いて、白い
礫
(
こいし
)
の
河原
(
かわら
)
の間をまっさおに流れる川の中には、
赤裸
(
あかはだか
)
な少年の群れが赤々とした印象を目に与えた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
惣兵衞は土手
伝
(
づたい
)
に綾瀬の
方
(
かた
)
へ逃げて
往
(
ゆ
)
くと、ガヤ/″\
多勢
(
おおぜい
)
黒山のように人が立って居りまして、バラ/″\
礫
(
こいし
)
を
投
(
ほう
)
りました。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
山はこのあたりでは
嶮
(
けわ
)
しくて石だらけだったが、その山腹から
礫
(
こいし
)
がばらばらと離れて、樹の間をがらがらと音を立てて跳びながら落ちて来た。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
南岸
(
みなみぎし
)
は崖になつてゐるが、北の岸は低く河原になつて、
楊柳
(
やなぎ
)
が密生してゐる。水近い
礫
(
こいし
)
の間には
可憐
(
いたいけ
)
な
撫子
(
なでしこ
)
が処々に咲いた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
薄霜を帯びた枕木と
濡
(
ぬ
)
れたレールの連続が、やはり白い霜を
冠
(
かぶ
)
った
礫
(
こいし
)
の大群の上に重なり合っているばかりであった。
木魂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
礫
(
こいし
)
だらけの空地に口を開いて倒れているのは、意外にもたったいま別れて来たばかりの松屋鶴子だったのである。
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
鴨
(
かも
)
の河原には、
丸葉柳
(
まるはやなぎ
)
が芽ぐんでいた。その
礫
(
こいし
)
の間には、自然咲の
菫
(
すみれ
)
や、
蓮華
(
れんげ
)
が各自の小さい春を領していた。
藤十郎の恋
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
その声はまるで氷の上へばらばらと
礫
(
こいし
)
を投げたように、彼の寂しい真昼の夢を
突嗟
(
とっさ
)
の
間
(
あいだ
)
に打ち砕いてしまった。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
河原の
礫
(
こいし
)
は、みんなすきとおって、たしかに水晶や
黄玉
(
トパース
)
や、またくしゃくしゃの
皺曲
(
しゅうきょく
)
をあらわしたのや、また
稜
(
かど
)
から
霧
(
きり
)
のような青白い光を出す鋼玉やらでした。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
大きな
銀杏
(
いちょう
)
のこずえが、巨人の手を振るようになびき、吹きちぎられた葉が
礫
(
こいし
)
のようにけし飛んでいた。
柿の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
戸板から
滴
(
しずく
)
が落ちて、
日和
(
ひより
)
つづきで白く乾いている庭の
礫
(
こいし
)
の上へ
滴
(
したた
)
り、潰れた
苺
(
いちご
)
のような色を
作
(
な
)
した。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
透
(
す
)
き
徹
(
とお
)
って湖底の
礫
(
こいし
)
一つ、水草一本さえ数えられるかと疑われるばかり……スパセニアの死体が上がったのは、舟を出してから二時間余りの後だったというのです。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
空き地にはところ
斑
(
まだら
)
に雑草が生えていた。そこはかつて砂利置き場にでも使ったのか、いちめんに
礫
(
こいし
)
がちらばっていて、その合間あいまにかたまって草が伸びている。
しじみ河岸
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
高い、闇黒の新しい天井から、つゞけて、
礫
(
こいし
)
や砂がバラバラッバラバラッと落ちて来た。弾丸が唸り去ったあとで頸をすくめるように、そのたび彼等は、頸をすくめた。
土鼠と落盤
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
隣村の伊太郎と云う血気
盛
(
ざかり
)
の
壮佼
(
わかいしゅ
)
が、
某夜
(
あるよ
)
酒をひっかけて怪物の探検に来たが、その途中どこからともなく
礫
(
こいし
)
が飛んで来て、眉間に当って負傷したので蒼くなって逃げ帰った。
唖の妖女
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
或る日、一人の旅人は一首の
棄歌
(
すてうた
)
をしるし、紙に
礫
(
こいし
)
をのせ風にも立たぬようにして行った。
姫たちばな
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
礫
(
こいし
)
を投ぐるがごとき暴雨の眼も明けさせず面を打ち、一ツ残りし耳までもちぎらんばかりに猛風の
呼吸
(
いき
)
さえさせず吹きかくるに、思わず一足退きしが屈せず
奮
(
ふる
)
って立ち出でつ
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
或は又石で築いた防波堤を壊して、それをまるでたゞの
礫
(
こいし
)
のやうに、ころがしてしまふ。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
予神田錦町で鈴木万次郎氏の
舅
(
しゅうと
)
の家に下宿し、ややもすれば学校へ行かずに酒を飲み為す事なき余り、庭上に多き
癩蝦蟆
(
いぼがえる
)
に
礫
(
こいし
)
を飛ばして打ち殺すごとに、他の癩蝦蟆肩を
聳
(
そび
)
やかし
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
外には
烈風
(
はげしきかぜ
)
怒
(
いか
)
り
号
(
さけ
)
びて、樹を鳴し、
屋
(
いへ
)
を
撼
(
うごか
)
し、砂を
捲
(
ま
)
き、
礫
(
こいし
)
を飛して、曇れる空ならねど吹揚げらるる
埃
(
ほこり
)
に
蔽
(
おほは
)
れて、一天
晦
(
くら
)
く乱れ、
日色
(
につしよく
)
黄
(
き
)
に濁りて、
殊
(
こと
)
に
物可恐
(
ものおそろし
)
き夕暮の
気勢
(
けはひ
)
なり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
万吉郎は無意識に砂利場の
礫
(
こいし
)
を拾っては河の面に
擲
(
な
)
げ、また拾っては擲げしていた。
ヒルミ夫人の冷蔵鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
若者一個庭前にて何事をかなしつつあるを見る。
礫
(
こいし
)
多き
路
(
みち
)
に沿いたる井戸の
傍
(
かたわ
)
らに
少女
(
おとめ
)
あり。水枯れし小川の岸に幾株の老梅並び
樹
(
た
)
てり、
柿
(
かき
)
の実、星のごとくこの
梅樹
(
うめ
)
の
際
(
きわ
)
より現わる。
小春
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
小屋の入口には
縄筵
(
なわむしろ
)
がぶら下っている。それを排して内に入ると、六畳ぐらいの板の間があり、あとは土間になっていた。土間というより砂地に近く、
礫
(
こいし
)
や貝殻などが散らばっている。
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
火山の皮膚も、柔かい砂や、灰や、
礫
(
こいし
)
が、ざわついているため、水の流れた
痕
(
あと
)
も、雪の
辷
(
すべ
)
った筋道も、鮮やかな美しい線条や斑紋を織り成す、富士の八百九沢に見らるる大日沢であるとか
日本山岳景の特色
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
そこで常に砦のうちに
礫
(
こいし
)
を蓄えておき、賊が
襲
(
よ
)
せて来ると
礫
(
つぶて
)
を投げて防ぐ。——自慢ではないが、私の投げる礫は百発百中なので賊も近ごろは怖れをなし、あまり襲って来なくなりました。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
我等は又た時々頭上に響く其
礫
(
こいし
)
の音を甘受しながら漸く眠りに落ちようとする心から覚醒して仕事にとりかかるのである。その礫の音、人の往来を妨げる人垣、それらは我等に我慢が出来る。
発行所の庭木
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
礫
(
こいし
)
の多い
砂利
(
じやり
)
が軋つて私のゐるのを悟られぬやうに、私は
芝生
(
しばふ
)
の縁を歩いた。彼は私が通らなくてはならない處から一
碼
(
ヤード
)
か二
碼
(
ヤード
)
離れた花床の中に立つてゐた。確かにあの蛾が彼を惹きつけたのだ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
露にぬれた
礫
(
こいし
)
が次第に乾いてゆく、そして冷たい空気が静に流れた。
湖水と彼等
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
細い砂を踏んで、
礫
(
こいし
)
のあるところまで行くと、そこには
浪
(
なみ
)
が打寄せている。旅人の群も集って来ている。
艀
(
はしけ
)
に乗る男女の客は、いずれも船頭の背中を借りて、泡立ち砕ける波の中を越さねば成らぬ。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
急いで本社に駆け戻ると、まさに群衆が包囲して、
礫
(
こいし
)
の雨を降らせている真ッ最中であった。ケガをしても、つまらぬから、一応、印刷工場へ逃げこんだが、このあとの、勤務評定はユカイであった。
胡堂百話
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
爺やは云いながら、
礫
(
こいし
)
を拾って、ゴムに当てがった。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
礫
(
こいし
)
のやうにそれが地上に落ちるのを。
詩集夏花
(新字旧仮名)
/
伊東静雄
(著)
雨に濡れたる
礫
(
こいし
)
みち、色蒼白く。
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
ひとり見る
蛇籠
(
じやかご
)
の
礫
(
こいし
)
。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
轣轆と
礫
(
こいし
)
は噛む
新頌
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
礫
(
こいし
)
はばら/\、
飛石
(
とびいし
)
のやうにひよい/\と
大跨
(
おほまた
)
で
伝
(
つた
)
へさうにずつと
見
(
み
)
ごたへのあるのが、それでも
人
(
ひと
)
の
手
(
て
)
で
並
(
なら
)
べたに
違
(
ちが
)
ひはない。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
河原
(
かわら
)
の
礫
(
こいし
)
は、みんなすきとおって、たしかに
水晶
(
すいしょう
)
や
黄玉
(
トパーズ
)
や、またくしゃくしゃの
皺曲
(
しゅうきょく
)
をあらわしたのや、また
稜
(
かど
)
から
霧
(
きり
)
のような青白い光を出す
鋼玉
(
コランダム
)
やらでした。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
日に晒された幅広い道路の
礫
(
こいし
)
は足を焼く程暖く、蒸された土の温気が目も
眩
(
くら
)
む許り胸を
催嘔
(
むかつか
)
せた。
二筋の血
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
林を縫って流れている小川があり、水が清らかだったので、底の
礫
(
こいし
)
さえ透けて見えた。それを左門が跨いで越した時、水に映った自分の姿を見た。顔に精彩がなかった。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
虎之助は奈美と並んで、川原の冷たい
礫
(
こいし
)
の上に腰を下ろしながら、亡き父の事、達者ではいるがひどく子煩悩な母の事、孝心の
篤
(
あつ
)
い弟思いの兄の事などを、問われるままに語った。
内蔵允留守
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そしてまだ死に切らない
鱈
(
たら
)
の尾をつかんで、
礫
(
こいし
)
のように砂の上にほうり出す。浜に待ち構えている男たちは、目にもとまらない早わざで数を数えながら、魚を
畚
(
もっこ
)
の中にたたき込む。
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
数を
唱
(
とな
)
えだした。興に惹かれるまま唄のように節をつけて底の
礫
(
こいし
)
を読んでいるのだ。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そのまま隊長の視線はすがるように彼をとらえて離さなかった。心の底でたじろぐものがあって、彼は思わず足を引いた。長靴の裏に食い込んだ
礫
(
こいし
)
が堅い床木に
摺
(
す
)
れて
厭
(
いや
)
なおとを立てた。
日の果て
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
沼の上には
翡翠
(
かわせみ
)
が、時々水を
掠
(
かす
)
めながら、
礫
(
こいし
)
を打つように飛んで行った。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
“礫”の解説
礫(䃯、れき、つぶて、こいし)は、小さい石、小石である。「礫」には様々な定義があるが(#大きさによる分類参照)、本項では特に断りのない限り、砂、ゴマ粒よりも大きく、握り拳大程度までの大きさの石について述べる。
(出典:Wikipedia)
礫
漢検1級
部首:⽯
20画
“礫”を含む語句
砂礫
瓦礫
石礫
礫川
小礫
火山礫
飛礫
礫道
磧礫
沙礫
火山礫層
雪礫
人礫
紙礫
礫刑
石飛礫
紙飛礫
天狗礫
巨礫
礫岩
...