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畝
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うね
ふりがな文庫
“
畝
(
うね
)” の例文
勘次
(
かんじ
)
は
畦間
(
うねま
)
を
作
(
つく
)
りあげてそれから
自分
(
じぶん
)
も
忙
(
いそが
)
しく
大豆
(
だいづ
)
を
落
(
おと
)
し
初
(
はじ
)
めた。
勘次
(
かんじ
)
は
間懶
(
まだる
)
つこいおつぎの
手
(
て
)
もとを
見
(
み
)
て
其
(
そ
)
の
畝
(
うね
)
をひよつと
覗
(
のぞ
)
いた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
松原つづきの小松が極めてとび/\にそれらの砂丘に散らばり、所によつてはそれとも見えぬ痩麥が矢張り
畝
(
うね
)
をなして植ゑられてゐた。
樹木とその葉:27 春の二三日
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
中原は今しも百メートルばかり向ふの水面を浅く、
大鯨
(
おほくぢら
)
のやうに
浪
(
なみ
)
の
畝
(
うね
)
を立てて、まつしぐらに敵艦目がけて突進する魚雷を指さした。
怪艦ウルフ号
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
刈
(
かり
)
しほと麥は刈られぬ。刈麥の穗麥は伏せて、
畝竝
(
うねなみ
)
にさららと置きぬ。麥刈れば
戰
(
そよ
)
ぐさみどり、
畝
(
うね
)
の
間
(
ま
)
にすでに伸びつる
陸稻
(
をかぼ
)
ならしも。
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
という声が頻りと多かったが、武蔵は山畑の
畝
(
うね
)
を這って、その人々の手分けして駈けまわるさまを時々、山の方から振返って見ていた。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
兵さんは、あたりの野良に人かげのないのを見済まして、
畝
(
うね
)
の中に手を入れて芋を掘りだした。大きな芋が五ツ六ツころげでた。
あまり者
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
(ひい。)と
引
(
ひ
)
く
婦
(
をんな
)
の
聲
(
こゑ
)
。
鷺
(
さぎ
)
は
舞上
(
まひあが
)
りました。
翼
(
つばさ
)
の
風
(
かぜ
)
に、
卯
(
う
)
の
花
(
はな
)
のさら/\と
亂
(
みだ
)
るゝのが、
婦
(
をんな
)
が
手足
(
てあし
)
を
畝
(
うね
)
らして、
身
(
み
)
を
踠
(
もが
)
くに
宛然
(
さながら
)
である。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
だんだんと
畝
(
うね
)
りを作って続く樹の海の向うに、大洞、足柄、山伏の山々——その山伏山のむこう側に、今はない田万里の廃墟があるので。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
重い作切鍬よりも軽いハイカラなワーレンホーで無造作に
畝
(
うね
)
を作って、原肥無し季節御構いなしの
人蔘
(
にんじん
)
二十日大根
(
はつかだいこん
)
など
蒔
(
ま
)
くのを
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「まだ袋を開けちやいかんよ。ちやんと
畝
(
うね
)
を作つてからだよ。かういふ風に塊りのないやうに土をならしてからでないとね」
美談附近
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
こうすると雪面上に高い
畝
(
うね
)
が一本出来ることになる。この畝を東西に通じておくと、畝の南側斜面には太陽光線がほぼ直角に当るわけである。
農業物理学夜話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
今日はその左の野の中を行くのであるが、それが見る限り綺麗に長い
畝
(
うね
)
の線条を以て、豆や高粱の芽を二寸ほど載せてゐる。
満蒙遊記:附 満蒙の歌
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
人々が畑の
畝
(
うね
)
から起き上り、国道へ下りた。国道は再び人の波だった。然し、伊沢は動かなかった。彼の前にも巡査がきた。
白痴
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
この一種の明るみが田園村落をいっそう詩化している。大きく
畝
(
うね
)
をなして西より東へ走った、成東の
岡
(
おか
)
の繁りにはうす蒼く水気がかかっている。
紅黄録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
この仕事が早いとともに純真なものだったら! 雪がふかいときは人々は鉄の馬に
雪沓
(
ゆきぐつ
)
をはかせ、巨大な
犁
(
すき
)
で山から海沿いにかけて
畝
(
うね
)
をつくり
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
畝
(
うね
)
と畝との間に横になると、いっそ、このまゝ死んでしまいたい、と思いました。私は、残してきた妻や子供たちのことが、眼に浮んできました。
ガリバー旅行記
(新字新仮名)
/
ジョナサン・スウィフト
(著)
其下の縁に沿うて白山小桜の咲いている細い
畝
(
うね
)
を少し登ると好い平に出た。この広いそして
僅
(
わずか
)
に南東に傾いた原のような平が猫又山の頂上だった。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
今一本の新らしい砂の
畝
(
うね
)
を作り……青年呉一郎はやはり、こっちに背中を向けながら、老人の前に突立って、鍬を動かす手許を一心に見守っている。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
天鵞絨
(
びろうど
)
の峰はその前に
仮山
(
つきやま
)
のように
畝
(
うね
)
りあがっていた。そこは
窪地
(
くぼち
)
のようになって遠くの見はらしはなかったが、お花畑のように美しい場所であった。
山寺の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
夜の大空の野に
煌
(
きら
)
めく
畝
(
うね
)
をつける
星辰
(
せいしん
)
——眼に見えぬ野人の手に扱われる銀の
鋤
(
すき
)
——その平和を汝はもっている。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
黒ずんで見える峰々が、入りくみ、絡みあって、深々と
畝
(
うね
)
っている。其が見えたり隠れたりするのは、この夜更けになって、俄かに出て来た霞の
所為
(
せい
)
だ。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
土佐の
韮生
(
にろう
)
の山の中などでは、岩に自然の
溝
(
みぞ
)
が出来ているのを、昔山姥が麦を作っていた
畝
(
うね
)
の跡だといいました。(南路志。高知県
香美
(
かがみ
)
郡上韮生村
柳瀬
(
やないせ
)
)
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
お屋敷の屋根からとんでくる鳩が麦の
畝
(
うね
)
をホジくった。鳩は麦の種子を食う。金肥えの鰊粕を食う。鳩を追う。が、人がいなくなると、鳩はまたやって来る。
名勝地帯
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
私は穀物その他の植物の
畝
(
うね
)
が、地形図の等高線と全く同様に、丘をめぐって水平線に並んでいるのに気がついたが、これは雨が土壌を掘り出すのを防ぐ為で
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
一様に規則正しい
畝
(
うね
)
や囲いによって、たとえば玉菜の次に豌豆があり、そのうしろに
胡瓜
(
きゅうり
)
の蔓竹が一と
囲
(
かこ
)
い、という順序に総てが整然とした父の潔癖な性格と
幼年時代
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
その形状のごときも地図に書かれてあるのは変な具合になって居りますが、今私のいった通りにちょうど
八咫
(
やた
)
の鏡が
畝
(
うね
)
くって
蓮華
(
れんげ
)
の形のようになって居るです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
麦は
畝
(
うね
)
なしのばら蒔き、肥料を施さずしてよく出来たり。地味の豊饒思ふべし。春は野の花夥しく咲くと聞く。今はツユ
葵
(
あをい
)
、矢車、野しゆん菊、
野
(
の
)
人参
(
にんじん
)
の類のみ。
馬上三日の記:エルサレムよりナザレへ
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
そして、めいめいに、気が向けば、
畝
(
うね
)
のへりで、同郷出身の女、矢車草の花と、つい話が長くなる。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
突然、
恰
(
あだか
)
もこれから攻めよせて来る海の大動乱を知らせる先触れのよう、一きわ、きわだった大きな波が、二三
畝
(
うね
)
どこからともなく起って、入江の口へ押しよせました。
少年と海
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
また或る者は
鍬
(
くは
)
の刃を時々キラキラと太陽の光に照返へらせながら去年の
畝
(
うね
)
を
犂返
(
すきかへ
)
してゐた。
新らしき祖先
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
お定は、露を帶びた裏畑を頭に描き出した。ああ、あの紫色の茄子の
畝
(
うね
)
! 這ひ
蔓
(
はびこ
)
つた葉に地面を隱した瓜畑! 水の樣な曉の光に風も立たず、一夜さを鳴き細つた蟲の聲!
天鵞絨
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
ちょうど春のことで、彼は三日の間じゅう菜園
畝
(
うね
)
をおこしていた。三日目に幼児に洗礼を受けさせることになったが、それまでにグリゴリイはもう何か心に思案を決めていた。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
今日は卯平に会い、市有開墾地の農作組合で必要な肥料のことを聞くためにやって来たのである。ようやく頂上の道まで出ると、上の方の畑で卯平はしきりに
畝
(
うね
)
をおこしていた。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
良人
(
おっと
)
は吹き
荒
(
すさ
)
ぶ風を物ともしずに終日馬上に駆けめぐり、或は冬の乾ききった大気を息づまるほど満喫し、或るときは
徒歩
(
かち
)
で
畝
(
うね
)
や
畦
(
あぜ
)
を
渉
(
わた
)
り、樹の枝に髭を撫でられそうな森林の中を
犬舎
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
あいつはその畑をほとんど鋤いてしまって、あと小さい
畝
(
うね
)
一つ残しただけだ。兄弟たち、一つ手を貸しに来てくれ。あいつの始末をつけないと、
折角
(
せっかく
)
の
骨折
(
ほねおり
)
もだいなしになってしまう。
イワンの馬鹿
(新字新仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
畝
(
うね
)
もある。なかには
氷罅
(
クレヴァス
)
もある。ときどき、
雹
(
ひょう
)
のようなのがばらばらっと降ったり、粉塩を小滝のように浴びることがある。と、ふとそばの壁をみたとき、思わず私ははっと
呼吸
(
いき
)
をとめた。
人外魔境:01 有尾人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
非番に当るのでゆっくり朝食を済ませた玄一郎が、雨あがりの暖かい日のさす縁側に出て庭を見ていると、向うの物置の蔭にある菜園で、なつが、
鍬
(
くわ
)
を持ってしきりに
畝
(
うね
)
の土を柔らげていた。
山だち問答
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
人々はあるいは百人、あるいは五十人、
畝
(
うね
)
のごとくに並び坐しました。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
附合
(
つけあい
)
の中に「豆の葉も色づく鳥羽の
畝
(
うね
)
伝ひ 林紅」
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
相和
(
あひやはら
)
ぎて
樂
(
たのし
)
みて、自他の
別
(
べつ
)
無き
畝
(
うね
)
に
種子
(
たね
)
撒
(
ま
)
け
母
(旧字旧仮名)
/
アダ・ネグリ
(著)
畝
(
うね
)
の胸で 俺が摘むのは
饑餓の饗宴
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
うちならされし
畝
(
うね
)
にゐる
短歌集 日まはり
(旧字旧仮名)
/
三好達治
(著)
麦の
畝
(
うね
)
の風に
逆
(
さか
)
ふ
如
(
ごと
)
く。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
刈
(
かり
)
しほと麦は刈られぬ。刈麦の穂麦は伏せて、
畝竝
(
うねなみ
)
にさららと置きぬ。麦刈れば
戦
(
そよ
)
ぐさみどり、
畝
(
うね
)
の
間
(
ま
)
にすでに伸びつる
陸稲
(
をかぼ
)
ならしも。
白南風
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
道
(
みち
)
のゆく
手
(
て
)
には、
藁屋
(
わらや
)
が
小
(
ちひ
)
さく、ゆる/\
畝
(
うね
)
る
路
(
みち
)
に
顕
(
あら
)
はれた
背戸
(
せど
)
に、
牡丹
(
ぼたん
)
を
植
(
う
)
ゑたのが、あの
時
(
とき
)
の、
子爵夫人
(
ししやくふじん
)
のやうに
遥
(
はるか
)
に
覗
(
のぞ
)
いて
見
(
み
)
えた。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
然
(
しか
)
し
薄
(
うす
)
い
日
(
ひ
)
の
光
(
ひかり
)
は
畑
(
はたけ
)
の
畝
(
うね
)
が
形
(
かたち
)
づくつて
居
(
ゐ
)
る
長
(
なが
)
い
小山
(
こやま
)
の
頂點
(
ちやうてん
)
を
越
(
こ
)
えて
幾
(
いく
)
らも
其
(
そ
)
の
力
(
ちから
)
を
及
(
およ
)
ぼさなかつた。どの
畝
(
うね
)
でも
其
(
その
)
陰
(
かげ
)
は
依然
(
いぜん
)
として
白
(
しろ
)
かつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
そうこうしているうちにわたしの豆畠は——その
畝
(
うね
)
はつなぎ合わすとすでに七マイルも植わっている——草取りされるのを今か今かと待っていた。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
一枚の畑は、幅が四十間から五十間くらい、長さが二町から三町あって、縦にずっと
畝
(
うね
)
が通っているわけである。
コロラド通信
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
前は
畝
(
うね
)
から畝へ
花毛氈
(
はなもうせん
)
を敷いた紫雲英の上に、春もやゝ
暮近
(
くれちか
)
い五月の午後の日がゆたかに
匂
(
にお
)
うて居る。ソヨ/\と西から風が来る。見るかぎり
桃色
(
ももいろ
)
の
漣
(
さざなみ
)
が立つ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
三人は小さな山の
畝
(
うね
)
りを東の方へ越していた。背の高い女は、若い女の乳母であった。章はこうして山の中に、二人の女が暮しているのが不思議でたまらなかった。
狼の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
“畝”の意味
《名詞》
畑で作物を育てる場所として土を盛り上げた箇所。
(出典:Wiktionary)
“畝”の解説
畝(うね)とは、 畑で作物を作るために(何本も間隔を空けて)細長く直線状に土を盛り上げた所のこと。英語ではhillingまたはhillと呼ぶ。
(出典:Wikipedia)
畝
常用漢字
中学
部首:⽥
10画
“畝”を含む語句
大畝
田畝
一畝
南畝莠言
畝々
畝竝
畝溝
半畝
畝傍山
畝傍
畝歩
畝間
田畝道
南畝
大田南畝
隴畝
畝火
畝路
二畝
春畝
...