トップ
>
沙汰
>
さた
ふりがな文庫
“
沙汰
(
さた
)” の例文
忽
(
たちま
)
ち、
縣下
(
けんか
)
豐岡川
(
とよをかがは
)
の
治水工事
(
ちすゐこうじ
)
、
第一期
(
だいいつき
)
六百萬圓
(
ろつぴやくまんゑん
)
也
(
なり
)
、と
胸
(
むね
)
を
反
(
そ
)
らしたから、
一
(
ひと
)
すくみに
成
(
な
)
つて、
内々
(
ない/\
)
期待
(
きたい
)
した
狐狸
(
きつねたぬき
)
どころの
沙汰
(
さた
)
でない。
城崎を憶ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
抱
(
いだ
)
いていたかも知れず
一概
(
いちがい
)
に利太郎であるとは断定し難いまた必ずしも
痴情
(
ちじょう
)
の
沙汰
(
さた
)
ではなかったかも知れない金銭上の問題にしても
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
諺
(
ことわざ
)
に「地獄の
沙汰
(
さた
)
も金次第」というも、運命の沙汰はこの限りにあらず。ゆえに、王公貴人も運命に対しては大いに迷うところあり。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
しかしその実、彼はいま笑うどころの
沙汰
(
さた
)
でなかったのである。心臓はずきんずきんと打って、呼吸が
喉
(
のど
)
につまりそうなのであった。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
嘉吉
(
かきつ
)
の土一揆、民衆の強要による一国平均の
沙汰
(
さた
)
は、彼の三十九歳の時のことで、民衆の運動は彼の熟知していたところであるが
埋もれた日本:――キリシタン渡来文化前後における日本の思想的情況――
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
▼ もっと見る
立派な紳士でさえ「
沙汰
(
さた
)
のかぎりだ」という言葉で
眉根
(
まゆね
)
をひそめただけで、彼女に対する一切を取片附けてしまったのが多かった。
芳川鎌子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
中には
薄々
(
うすうす
)
感づいて沼南の
口占
(
くちうら
)
を引いて見たものもあったが、その日になっても何とも
沙汰
(
さた
)
がないので、一日社務に服して家へ帰ると
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
更に人格の深処に根ざした、我々が一生の一大事である。純を尊び雑を
卑
(
いやし
)
むのは、
好悪
(
かうを
)
の
如何
(
いかん
)
を超越した
批判
(
ひはん
)
の
沙汰
(
さた
)
に移らねばならぬ。
雑筆
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その求めごころの切なく
募
(
つの
)
るときには、たゞ痛痒い人恋しいぐらいの
沙汰
(
さた
)
ではなく、息も詰まるほど寒いものに締め絞られるのでした。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
しかるにもかかわらず、小野太左衛門はその説に感歎して、これを主人の
伊達政宗
(
だてまさむね
)
に
言上
(
ごんじょう
)
し、後日に
清悦
(
せいえつ
)
御目見
(
おめみ
)
えの
沙汰
(
さた
)
があった。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「本来は、驚かすつもりもなく、驚くべき何事もないのですが、少しもわたしを知らない人は、狂気の
沙汰
(
さた
)
と思うかも知れません」
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「その怪しい奴が女じゃとは、ますます不思議な
沙汰
(
さた
)
、さては、女中どもの中に、一八郎と
同腹
(
どうふく
)
のやつが住み込んでいるのではないか」
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
沙汰
(
さた
)
という文字は、
沙
(
すな
)
に石まじり見えざるを、水にて洗えば、石の大小も皆知れて、土は流れ
候
(
そうろう
)
。見え来らざれば洗うべきようもなし。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
美留女姫は二度
吃驚
(
びっくり
)
。もう銀杏の葉の字を読むどころの
沙汰
(
さた
)
ではない。慌てて逃げ出して、
後
(
あと
)
から来た白髪小僧の袖に縋って——
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
さもさもこれは色恋などといった
沙汰
(
さた
)
ではない、何かもっと意味深長なことなのですよと言わんばかりの顔をする連中もある。
犬を連れた奥さん
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
依怙
(
えこ
)
のご
沙汰
(
さた
)
はごかんべんくだせえましと、何が何してどう依怙の沙汰だか、どうせ死ぬからにはもっと詳しくけえて直訴すりゃいいんだ。
右門捕物帖:27 献上博多人形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
その可愛さがだんだん
太々
(
ふとぶと
)
しくなり、しまいには食い殺してしまいたい気持ちになるのも酒の
沙汰
(
さた
)
だけとは云えないのだ……。
河沙魚
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
しきりに起こる排外の
沙汰
(
さた
)
。しかも今度の
旭
(
あさひ
)
茶屋での件は諸外国との
親睦
(
しんぼく
)
を約した大坂西本願寺会見の日から見て、実に二日目の出来事だ。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
事件全体が、どうも正気の
沙汰
(
さた
)
ではない。殊に玉村二郎にとって、この一ヶ月の出来事は、凡て凡て、一夜の悪夢としか考えられなかった。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「
今更
(
いまさら
)
あらためて、こんなことを
訊
(
き
)
くのも
野暮
(
やぼ
)
の
沙汰
(
さた
)
だが、おこのさんといいなさるのは、
確
(
たしか
)
にお
前
(
まえ
)
さんの
御内儀
(
ごないぎ
)
だろうのう」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
徳政とやら申すいまわしい
沙汰
(
さた
)
も義政公御治世に十三度まで行われて、倉方も
地下
(
じげ
)
方も
悉
(
ことごと
)
く絶え果てるばかりでございます。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
なぜといふに亀の背に歌かくといふ事既に不思議にして本気の
沙汰
(
さた
)
と思はれぬに、しかもその歌の書き主が乳母である事いよいよ不思議なり。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
しかも向うからもちかけても来なかった娘を、突然妻に選ぼうとは、まったく
賭事
(
かけごと
)
みたいな
沙汰
(
さた
)
らしく見えるのであった。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
お竹にはまだ何の
沙汰
(
さた
)
もないが、いずれ町内預けになるだろうと、彼女は生きている空もないように恐れおののいていた。
半七捕物帳:02 石灯籠
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
よし
吾々
(
われわれ
)
を宇宙の本位と見ないまでも、現在の吾々以外に頭を出して、世界のぐるりを見回さない時の内輪の
沙汰
(
さた
)
である。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
丁度西町奉行堀が遠藤の所に来てゐたので、堀自分はすぐに
沙汰
(
さた
)
を受け、それから東町奉行所に往つて、跡部に出馬の命を伝へることになつた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
吐
(
つか
)
せ給ひながら是は内々なり必ず
沙汰
(
さた
)
す
可
(
べか
)
らずと
仰
(
おほせ
)
られたるが
斯
(
かく
)
吉宗公が
溜息
(
ためいき
)
を
吐
(
つか
)
せ給ふは
抑々
(
そも/\
)
天一坊の身の上を
思
(
おぼ
)
し
召
(
めし
)
ての事なり世の親の子を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
ダカラ世間の人も私の政治診断書を見て、
是
(
こ
)
れは本当の開業医で療治が出来るだろう、病家を求めるだろうと推察するのは大間違いの
沙汰
(
さた
)
です。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
佛を引取るのは追つての
沙汰
(
さた
)
を待つやうにとのお言葉で、親類の者が三四人顏を寄せ乍らも、今まで待つて居りました。
銭形平次捕物控:199 蹄の跡
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「泣いて困った。それに病気して……。君は
酷
(
ひど
)
いじゃないか。僕が悪いにしても、出たきり何の
沙汰
(
さた
)
もしないなんて。」
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
斯う云う、何とはなし重苦るしい手持ぶ
沙汰
(
さた
)
、間の悪い沈黙を破ったのは、一番きかなかった額の大きな子であった。
農村
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
町内の人は皆んな近くの国民学校に収容されてね、
沙汰
(
さた
)
のあるまでは当分勝手に自宅へ戻ってはならんというわけさ。
メフィスト
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
医者は
窒扶斯
(
チブス
)
か、肺炎でも起さなければよいがと、貸間の老婆にも注意して行ったが、
幸
(
さいわい
)
にしてそれほどの事もなく、三日目には入院の
沙汰
(
さた
)
も止み
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
自分の感覚でさえが自分の経験したことを信じないような場合に、他人に信じてもらおうなどと期待するのは、ほんとに正気の
沙汰
(
さた
)
とは言えないと思う。
黒猫
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
口惜しい一方で、もしこんなことが
公
(
おおやけ
)
の
沙汰
(
さた
)
にでもなろうものなら、どんなお
咎
(
とが
)
めを
蒙
(
こうむ
)
るかも判らないと思った。
山寺の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
したがって、
自己
(
おのれ
)
の生活に対して、何の
懺悔
(
さんげ
)
も、反省もなしに、ただいたずらに世を
呪
(
のろ
)
い、人を
怨
(
うら
)
むことは、全く
沙汰
(
さた
)
の限りといわざるを得ないのです。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
左大臣良経に訴えたりして
揉
(
も
)
めたが、
漸
(
ようや
)
く内大臣の
沙汰
(
さた
)
によって情勢一転し、定家・
家隆
(
いえたか
)
・
隆房
(
たかふさ
)
らが追加された。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
それもこれもつまりおとよさんのために、省作も深田にいなかったのだから、おとよさんが親に
棄
(
す
)
てられてもと覚悟したのは決して浮気な
沙汰
(
さた
)
ではない。
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
「(前略)昔はだいぶ評判の事であったが、このごろは全くその
沙汰
(
さた
)
がない、根拠の無き話かと思えば、「土佐今昔物語」という書に、
沼澄
(
ぬまずみ
)
(
鹿持雅澄
(
かもちまさずみ
)
翁
(
おう
)
)
怪異考
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
今日
跋渉
(
ばっしょう
)
、明日よりも漁猟にかかり、活路相開き、右人員ことごとく土着させたく存じ候間——ご
仁恤
(
じんじゅつ
)
のご
沙汰
(
さた
)
なされたく伏して仰ぎ望み奉り候、
昧死
(
まいし
)
謹言
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
みながこううわさしあった、だが一向なんの
沙汰
(
さた
)
もなかった。それはこうであった。阪井は校長室によばれた。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
金が出来たのに、付け上って、華族の娘をでも
貰
(
もら
)
いたい
肚
(
はら
)
らしいが、俺の娘を貰いに来るなんて狂人の
沙汰
(
さた
)
だ!
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
何故
(
なぜ
)
己等
(
おれたち
)
の
縄張
(
なはば
)
りの
家
(
うち
)
を
貰
(
もら
)
つて歩く、
其処
(
そこ
)
は
己
(
おれ
)
の
方
(
はう
)
で
沙汰
(
さた
)
をしなければ、
貰
(
もら
)
ふところでない、といふから、
私
(
わたくし
)
は
新入
(
しんまい
)
の
乞食
(
こじき
)
で
何
(
な
)
んにも
存
(
ぞん
)
じませぬ、と
云
(
い
)
ふのを
大仏餅。袴着の祝。新まへの盲目乞食
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それだから私は実に心配で、
心火
(
ちんちん
)
なら可いけれど、なかなか心火どころの
洒落
(
しやれ
)
た
沙汰
(
さた
)
ぢやありはしません。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「それどころの
沙汰
(
さた
)
じゃねえさ、軍医は投げちまって寄りつきもしねえ、ほかにも患者は大勢あるってえのに、おらあ島田初年兵からはなれることができねえ」
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
門
(
かど
)
なる人はこの店の前まで来たりける足音の聞えしばかりそれよりはふつと絶えて、音も
沙汰
(
さた
)
もなし。
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
果
(
はた
)
して外国人に
干渉
(
かんしょう
)
の意あらんにはこの
機会
(
きかい
)
こそ
逸
(
いっ
)
すべからざるはずなるに、
然
(
しか
)
るに当時外人の
挙動
(
きょどう
)
を見れば、別に
異
(
こと
)
なりたる
様子
(
ようす
)
もなく、長州
騒動
(
そうどう
)
の
沙汰
(
さた
)
のごとき
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
しかしそれを善い事にして、
咥
(
くわ
)
え
楊枝
(
ようじ
)
で暮さんとする夫ありとせば、言語道断
沙汰
(
さた
)
の限りである。
夫婦共稼ぎと女子の学問
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
私は秉公持平説を口にする寺内、後藤二氏が憲政会ばかりを政権争奪者として悪罵し、政友会を専ら誠意に富んだ政党であるかの如く
曲庇
(
きょくひ
)
した
偏頗
(
へんぱ
)
の
沙汰
(
さた
)
を
陋
(
ろう
)
とします。
選挙に対する婦人の希望
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
たださえ食物が足りなくて戦争だのいろいろ
騒動
(
そうどう
)
が起ってるのに更にそれを半分に縮減しようというのはどんなほかに立派な理くつがあっても正気の
沙汰
(
さた
)
と思われない。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
沙
常用漢字
中学
部首:⽔
7画
汰
常用漢字
中学
部首:⽔
7画
“沙汰”で始まる語句
沙汰止
沙汰書
沙汰人
沙汰罷
沙汰触