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気
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け
ふりがな文庫
“
気
(
け
)” の例文
旧字:
氣
孫七も
髭
(
ひげ
)
の伸びた
頬
(
ほお
)
には、ほとんど血の
気
(
け
)
が
通
(
かよ
)
っていない。おぎんも——おぎんは二人に
比
(
くら
)
べると、まだしもふだんと変らなかった。
おぎん
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
坊門ノ宰相清忠は、そうそう下山して行ったが、途中の
輿
(
こし
)
のうちでも、
瘧病
(
おこり
)
に
罹
(
かか
)
ったような
気
(
け
)
だるい熱ッぽさを持ちつづけて帰った。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
日の色は以前より薄かった。雲の切れ間から、落ちて来る光線は、下界の
湿
(
しめ
)
り
気
(
け
)
のために、半ば反射力を失った様に柔らかに見えた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
時
遷
(
うつ
)
るにつれて黄蝋の火は次第に
炭
(
すみ
)
の
気
(
け
)
におかされて暗うなり、
燭涙
(
しょくるい
)
ながくしたたりて、
床
(
ゆか
)
の上には
断
(
ちぎ
)
れたる
紗
(
うすぎぬ
)
、落ちたるはな
片
(
びら
)
あり。
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
萩
(
はぎ
)
、
桔梗
(
ききょう
)
、
女郎花
(
おみなえし
)
、りんどう、そういう夏と秋とに用意された草々には、まだ花は見られなかったが、その
気
(
け
)
はいは充分にあった。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
▼ もっと見る
そしてすべての過去に
嘔
(
は
)
き
気
(
け
)
のような不快を感じて箱ごと台所に持って行くとつやに命じて裏庭でその全部を焼き捨てさせてしまった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
どうして
気
(
け
)
どられたものか静かにこちらをふり向いてニッコリと笑いながら「見てはいかん」という風に手を左右に振られました。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
裸にされた血の
気
(
け
)
のない青白い肉体と、着物で包まれた赤赤した顔の対照である。それ等の顔には目が光って理知が閃いている。
レンブラントの国
(新字新仮名)
/
野上豊一郎
(著)
従来
(
これまで
)
に無い
難産
(
なんざん
)
で、産の
気
(
け
)
が附いてから
三日目
(
みつかめ
)
の
正午
(
まひる
)
、陰暦六月の暑い
日盛
(
ひざか
)
りに
甚
(
ひど
)
い
逆児
(
さかご
)
で生れたのが
晃
(
あきら
)
と云ふ
怖
(
おそろ
)
しい
重瞳
(
ぢゆうどう
)
の児であつた。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
右近は弁の尼なども姫君の遺骸のなくなっていたことは
気
(
け
)
どっているのであるから、隠してもしまいには薫の耳にはいることに違いない
源氏物語:54 蜻蛉
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
さびしい
家
(
いえ
)
のようすを
見
(
み
)
ると、
火
(
ひ
)
の
気
(
け
)
もない三
畳
(
じょう
)
の
間
(
ま
)
に、
子供
(
こども
)
は、
独
(
ひと
)
りでねているのでした。きよは、かわいそうになりました。
雪の降った日
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
怖
(
こわ
)
かっただけで、無事にすんだのである。その顔色が、だんだん血の
気
(
け
)
を帯びてくるにつれて、不安と
驚愕
(
きょうがく
)
が、人々の心から消えて行く。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
いま気がついて、ムカムカと
瀉
(
は
)
き
気
(
け
)
を催しても、彼の喰った栄螺は、もはや半ば以上消化され、胃壁を通じて濁った血となったのだった。
恐しき通夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
気
(
け
)
もなく、何のこともなくさばき去ったのを有難いと思った……ものの、そのあと、つまらないことで事を毀したのにこまった。
浅草風土記
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
酷
(
ひど
)
い地震でございましたね、と謂いますとね、けげんな顔をして、へい、と謂ったッきり、
気
(
け
)
もないことなんで、奇代で奇代で。
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「奴、
晩酌
(
ばんしゃく
)
をたのしむくせがありますから、酒の
気
(
け
)
の廻ったころを見計って襲うのも手でござりまするが、——もう少し
容子
(
ようす
)
を見まするか」
流行暗殺節
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
薄い毛を
銀杏返
(
いちょうがえ
)
しに結って、
半衿
(
はんえり
)
のかかった
双子
(
ふたこ
)
の上に軟かい羽織を引っかけて、体の骨張った、血の
気
(
け
)
の薄い三十七、八の大女であった。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
語ったような具合いに、自然で飾り
気
(
け
)
がなく、
寄席
(
よせ
)
へ行ってもそのとおりしゃべったらどうや? その方がよほど自然でおもしろいやないか?
猫八
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
平生顔の色など変える人ではないけれど、今日はさすがに包みかねて、顔に血の
気
(
け
)
が失せほとんど
白蝋
(
はくろう
)
のごとき色になった。
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
さびしいが
陽
(
ひ
)
はあたつてゐる。すべてが穏かな秋の
半
(
なか
)
ばの
明
(
あか
)
るさだ。
輝
(
かがや
)
きの無い
輝
(
かがや
)
き。物音の無い、人の
気
(
け
)
も無い庭、森閑とした庭、幽かな庭。
観相の秋
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「少々
糖尿
(
ダイアビチズ
)
の
気
(
け
)
がありましてね、医者から禁じられていますから、一切しません。禁じられなくても、もうこの年ではね」
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
八幡下の田圃を
突切
(
つっき
)
って、雑木林の西側を
這
(
は
)
う
径
(
こみち
)
に入った。立どまって
良
(
やや
)
久
(
ひさ
)
しく耳を
澄
(
す
)
ました。人らしいものゝ
気
(
け
)
もない。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
おだやかすぎる秋川というひとに、こんなはげしいところがあるとは、思ってもいなかったので、サト子は
気
(
け
)
おされて
あなたも私も
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
居酒屋や食べ物屋のごとく
食
(
く
)
い
気
(
け
)
で彼を釣ろうとするのもあるし、呉服屋や宝石屋のごとく
洒落気
(
しゃれけ
)
でとらえようとするのもあるし、理髪店、靴店
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
駕籠の中はヒッソリして、ほとんど血の通う人の
気
(
け
)
はあるまじき様子です。眠っていたならば覚めねばならぬ、覚めていたならば起きねばならぬ。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
私は、半ば
唖
(
あ
)
ッ
気
(
け
)
にとられながら、その釦を押した。何処かで、かすかに合図の
鈴
(
ベル
)
が鳴ったようだ——。どうも実に風変りなバー・オパールである。
白金神経の少女
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
「うむ、
鰹
(
かつを
)
の
気
(
け
)
がするので皆な外の者共ア
看視
(
まも
)
つて居る。俺等も行かんならんのやれど、誰も人が居らいで、今誰かに頼まうと思うて来たのやが。」
厄年
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
だが、職業柄、巡査丈けは、
流石
(
さすが
)
にぼんやりしている訳にも行かず、
嘔
(
は
)
き
気
(
け
)
を我慢しながら、兎も角も死体に近寄って、無惨な切口などを取調べた。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
今にも
笑
(
え
)
まんずる
気
(
け
)
はいの断えず口もとにさまよえるとは、いうべからざる
愛嬌
(
あいきょう
)
と
滑稽
(
こっけい
)
の
嗜味
(
しみ
)
をば著しく描き
出
(
いだ
)
しぬ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
死物狂いの
逆寄
(
さかよ
)
せなどをたくむような
気
(
け
)
ぶりはなかったかな。いや、奥方に行き逢うたばかりでは、それも判るまい。
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「それより私、光ちゃんに子供出来たいうこと初耳ですけど、なんぞそんな
気
(
け
)
エでもあったんですか」いいますと、「へえ? 初耳?——」いうて
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
病に疲れてものうく、
眠
(
ね
)
む
気
(
け
)
がさして、うっとりとして来るにつれて、その嫁入衣裳のキレは冷たい
真白
(
まっしろ
)
な雪に変る。すると
橇
(
そり
)
の鈴の音が聞えて来る。
少年・春
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
女は
素
(
そ
)
つ
気
(
け
)
ない調子で低くかう云ふと、
蒼褪
(
あをざ
)
めた顔に、かすかな小皺を
漾
(
たゞよは
)
せて冷やかに笑つた。そして「まあ御馳走の遅いこと。どうしたんだらう。」
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
重くわづらひたる人は、おのづから
髪髭
(
かみひげ
)
も乱れ、ものむづかしきけはひも添ふるわざなるを、痩せさらぼひたるしも、いよいよ白うあてなる
気
(
け
)
して、枕を
物語の絵画化についてなど
(新字旧仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
私は産の
気
(
け
)
が附いて
劇
(
はげ
)
しい陣痛の襲うて来る度に、その時の感情を偽らずに申せば、
例
(
いつ
)
も男が憎い気が致します。
産屋物語
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
その上、まぐろが熱し過ぎるというのは
野暮
(
やぼ
)
である。まぐろの
生
(
なま
)
っ
気
(
け
)
を好まない人は
余儀
(
よぎ
)
ないことであるが、前者のやり方の茶漬けに越したことはない。
鮪の茶漬け
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
金を出してもらいに来ながら、下らない
見栄
(
みえ
)
をすると自分でも思ったけれ共、どんな人間でも持って居る「しゃれ
気
(
け
)
」がそうさせないでは置かなかった。
栄蔵の死
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
夜の空気を揺るがせて余音の嫋々を伝うるとき寒灯の孤座に人知れず泣く男の女房に去られてと聞いてもその
迂
(
う
)
ッ
気
(
け
)
を嗤うよりは、貰い泣きするが情だ。
残されたる江戸
(新字新仮名)
/
柴田流星
(著)
此だけの語が言い
淀
(
よど
)
み、淀みして言われている間に、姥は、郎女の内に動く心もちの、
凡
(
およそ
)
は、
気
(
け
)
どったであろう。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
わたしは
彼
(
かれ
)
のまっすぐな、
飾
(
かざ
)
り
気
(
け
)
のない性質が好きだったし、かてて加えて、この久しぶりの面会が、わたしの胸に呼びさましてくれた
追憶
(
ついおく
)
のおかげで
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
時雨
(
しぐれ
)
そぼふる
午下
(
ひるすぎ
)
火の
気
(
け
)
乏しき西洋間の教授会議または
編輯
(
へんしゅう
)
会議も唯々わけなくつらきものの
中
(
うち
)
に数へられぬ。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
喜久井町の
自家
(
うち
)
に戻ると、もう彼れ是れ二時を過ぎていた。さて詰らなさそうに戻って見れば、家の中は今更に、水の
退
(
ひ
)
いた跡のようで、何の
気
(
け
)
もしない。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
今でもまだ
気
(
け
)
があるのかもしれない。おたくの小説なんか、よく読んでいますよ。——あら、もうお銚子は
空
(
から
)
か
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
お願いは、これまで君らの間に何事もなかったように、そんな
気
(
け
)
振りも見せないようにして貰いたいのだ。僕としてはせいぜい
彼女
(
あれ
)
に尽してやって、また愛を
女房ども
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
別府
(
べっぷ
)
さんの
口調
(
くちょう
)
が
熱
(
ねつ
)
してきて、そのほおが赤くなるにつれて、
星野仁一
(
ほしのじんいち
)
の顔からは、
血
(
ち
)
の
気
(
け
)
がひいていった。
選手
(
せんしゅ
)
たちは、みんな、頭を深くたれてしまった。
星野くんの二塁打
(新字新仮名)
/
吉田甲子太郎
(著)
私達は誰にも
気
(
け
)
どられずに路地を抜け出そうとする間ぎわ、向うからきょうはお竜ちゃんが一人きりでぶらっとくるのを認めて、大いそぎで物蔭へかくれた。
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
それを聞くと、この滑稽作家が持前の
悪戯
(
いたづら
)
つ
気
(
け
)
はむくむくと頭をもちあげかゝつた。作家は一膝のり出した。
茶話:06 大正十一(一九二二)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ハイドンの
悪戯
(
いたずら
)
っ
気
(
け
)
は、マリア・テレジアにお
仕置
(
しおき
)
されて以来、死ぬまで続いた。
諧謔好
(
かいぎゃくず
)
きで、陽気で、邪念のないハイドンは、子供好きで有名でもあった。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
彼はわざと身じろぎして、隠れているなどとは
気
(
け
)
にも見せないように、何やら大きな声でひとり言を言った。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
そうしてこれは
雑
(
まざ
)
り
気
(
け
)
のない、心からの本当の軽さらしい。「桔梗様を目付けに行きますので。そうして是非とも桔梗様を、お見付けしなければなりません」
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
“気”の解説
気(气、氣 CHEE )、また氣(き)とは、中国思想や道教や中医学(漢方医学)などの用語の一つ。一般的に気は不可視であり、流動的で運動し、作用をおこすとされている。しかし、気は凝固して可視的な物質となり、万物を構成する要素と定義する解釈もある。宇宙生成論や存在論でも論じられた。
(出典:Wikipedia)
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
“気”を含む語句
気遣
病気
気色
侠気
温気
気合
気質
気勢
雰囲気
蒸気
火気
呆気
気持
気狂
狂気
臭気
無邪気
湿気
食気
気難
...