みん)” の例文
みん代もげんの後をけて、小説戯曲類は盛んに出て居ります。小説では西遊記さいゆうき金瓶梅きんぺいばいのたぐいは、どなたもよく御承知でございます。
言葉は通じなかつたが、五峯といふみんの儒生が乗つてゐて筆談を交すことができた。ところが、船中に特に異様な二名の人物がゐる。
鉄砲 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
十数年の長いあいだ、陶器すえものの技術をまなぼうため、みん景徳鎮けいとくちんに渡り、かの地にとどまるうち、異国の一女を妻として子まで生ました。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
茶の進化の三時期——とうそうみんの時代を表わす煎茶せんちゃ抹茶ひきちゃ淹茶だしちゃ——茶道の鼻祖陸羽——三代の茶に関する理想——後世のシナ人には
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)
宣徳せんとく九年(一四三四)という年に、みんの朝廷に輸送せられた琉球の貢物目録には、海巴五百五十万個という大きな数字が見える。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
みんの末の話である。中州ちゅうしゅう焦鼎しょうていという書生があって、友達といっしょにべん上流かわかみへ往ったが、そのうちに清明せいめいの季節となった。
虎媛 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
いわゆる和冦の異称たる胡蝶陣こちょうじんの名は、堂々たる大みんの朝廷をして困頓こんとんせしめ、沿海の人民をして、胆肝たんかんを寒からしめたり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
そうして国内を統一し、自分の発意でみんと朝鮮とを、敵国として戦った。天皇は、権力とは、まったく無関係におかれた。
此処は当時みんや朝鮮や南海との公然または秘密の交通貿易の要衝で大富有の地であった泉州堺の、町外れというのでは無いが物静かなところである。
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
穗「そんな読みようはない、みん樓英ろうえいあらわした医学綱目いがくこうもくという書物がある、そのうち蘆膾丸ろかいがんというのが宜しい」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
みん宣宗せんそうの宣徳年間には、宮中で促織こおろぎあわせの遊戯を盛んにやったので、毎年民間から献上さしたが、この促繊はもとは西の方の国にはいないものであった。
促織 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
あくるどしの正月碧蹄館へきていかんのたゝかいにみんの大軍を打ちやぶりまして味方が大勝利を得ましたことがござります。
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
見られよ、あの苦心になる絢爛けんらん柿右衛門かきえもん赤絵あかえに対し、みん代の下手げてな五彩は圧倒的捷利しょうりを示すではないか。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
それにしても私たちが聞きかじつてゐる明治以前の文明は、みんな、たうみんを通してきてゐるものだけに、私たちにはわからないから、ただ、ボヤツと驚いた。
日本橋あたり (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
みん万暦ばんれきはじめ閩中みんちゆう連江といふ所の人蛤をわりて玉をたれども不識みしらずこれをる、たまかまの中にあり跳躍をどりあがりしてさだまらず、火光くわくわうそらもゆ里人さとびと火事くわじならんとおどろき来りてこれを救ふ。
足利義政将軍は、色々結構な物をみんから輸入した。織物、陶器、書物——何一つとして珍しくないものはなかつたが、中に一番気に入つたのは一羽の鸚哥いんこであつた。
かん高祖こうそ丁公ていこうりくし、しん康煕こうき帝がみん末の遺臣いしん擯斥ひんせきし、日本にては織田信長おだのぶなが武田勝頼たけだかつより奸臣かんしん、すなわちその主人を織田に売らんとしたる小山田義国おやまだよしくにはいちゅう
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
どうして、こんなところへ、こんな作物が舞い込んだかと思われるほど、支那のげんみんあたりの名家へ持って行きたい軸物も、時おり現われて来ることに感心しました。
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
徂徠は林羅山はやしらざん出でて後幕府の指定した宋儒朱氏程氏の学説に疑を抱きこれを排斥して専らみんの復古学を主張し、その才学と豪邁ごうまいの気性とはく一世を風靡ふうびするに至った。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
この本は内容の大部分をみんの時代の「知嚢ちのう」からとったもので、政治、軍事その他世事百般の知謀術策の物語が集めてあるが、その第三巻「察智さっち」の巻が裁判物語である。
探偵小説の「謎」 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
主としてみん律、しん律などを基礎として立案したのであるが、伯はつとに泰西の法律に着目し、箕作麟祥みつくりりんしょう氏に命じてフランスの刑法法典を翻訳せしめ、これを編輯局に持参して
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
陶物すえものを出すかまはほかにもあるのだ。市外のパリアンにみん人の窯があるというので、翌日、行ってみたが、安南あたりのものらしいというだけで、かくべつな意見もなかった。
呂宋の壺 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
龔廷賢きょうていけんそうとする治法を施したのである。曼公、名はりつ杭州こうしゅう仁和県じんわけんの人で、曼公とはそのあざなである。みん万暦ばんれき二十四年のうまれであるから、長崎に来た時は五十八歳であった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
支那の僻陬へきすうの地の農民たちは、日清戦争があったことも、しんみんに取ってかわったことも知らずに、しかし、軍隊の略奪には恐ろしく警戒して生きている、──こういうことは
明治の戦争文学 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
斎藤政吉といって同業者の間では名の売れた人であったが、この人がみん製の白衣観音を持っておった。それは非常な逸品でもあるというので、斎藤氏が自慢に私に見せてくれた。
しろ。そうして死ぬまで探すがいい。君尾様、君尾様、君尾様とな! 水戸家の御曹司光圀様、みんの亡命大学者、朱舜水先生に守られていたでは、どんな野郎にだって歯は立つめえ
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
新井白石あらいはくせきは加州を「天下の書府なり」と云い、荻生徂徠おぎうそらいは「加越能かえつのう三州に窮民なし」と云った。またみんそう高泉こうせん文宣王ぶんせんおうの治世に比して「さらに数歩を進めたるもの」とさえ称した。
日本婦道記:梅咲きぬ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
むろん和様には遠く唐様からやうの分子がまさつてゐて、みんしん初あたりの某々の書に、いくらか似たのがないでもないが、それにしても小味な個性とはちがつて、茫漠とした気宇が横溢してゐる。
秋艸道人の書について (新字旧仮名) / 吉野秀雄(著)
これがヤギと等しく、ブタという畜生の名がみんの代既に日本にあった証拠で、義光は飯田忠彦の『野史』一六五に拠れば、大正十二年より三百九年前に当る慶長十九年正月六十九歳で死んだ。
ひと口に中国料理は世界一と言いますが、中国料理が進んでいたのはみん代であって、今日ではない。それはどうしてかと言うと、中国の食器は、明代の食器が一番、美的に優れているからです。
食器は料理のきもの (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
其の才略抜群でのち秀吉が天下経営の相談相手となり、秀吉から「日本の蓋でも勤まる」と言われたが、而も武勇抜群で、朝鮮のえきには碧蹄館へきていかんに於て、十万のみん軍を相手に、決戦した勇将である。
厳島合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
蔚山城うるさんじょうのかこみのとけたのは、正月三日で、宇喜多秀家うきたひでいえ蜂須賀阿波守はちすかあわのかみ毛利輝元もうりてるもとなど十大将たいしょうが、背後はいごからみんの大軍を破った。このとき入城にゅうじょうしてきた毛利輝元は、重臣じゅうしん宍戸備前守ししどびぜんのかみにむかって
三両清兵衛と名馬朝月 (新字新仮名) / 安藤盛(著)
中世紀の僧侶でもあり、名高い畫家でもあつた雪舟は出世修養期を周防すはう雲谷庵うんこくあんに、みんより歸朝後の活動期を豐後ぶんご(?)の天開樓に送つた後、石見に來てその最後の老熟期に達したといはれてゐる。
山陰土産 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
この無花果の字面はみん汪頴おうえいの『食物本草しょくもつほんぞう』に初めて出ている。
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
また朝鮮の戦地にはみんの大軍が応援に来たというのであるから、そのいくさの模様によっては更に加勢の人数を繰出さなければならない。
馬妖記 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「異国の……」と、万太郎は目をえさせて、「異国と申しても、種々さまざまみんのものか、高麗こまのものか、あるいは呂宋刀るそんものでござりますか」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
五兵衛の食膳へのせる梅干の壺はみんの高価な焼物だということであった。大きなツブの揃った何十年も経たかと思われる梅干がまだ六ツ残っていた。
けだこの時に当って、元の余孽よけつなお所在に存し、漠北ばくほくは論無く、西陲南裔せいすいなんえいまたことごとくはみんしたがわず、野火やか焼けども尽きず、春風吹いて亦生ぜんとするのいきおいあり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
仕事は甚しく臆病おくびょうである。人はこれを丁寧という辞に置きかえる。しかしかかる丁寧さが美を保障すると思ったら間違いである。あの支那のみんの染附を想い浮べる。
北九州の窯 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
みん万暦ばんれきはじめ閩中みんちゆう連江といふ所の人蛤をわりて玉をたれども不識みしらずこれをる、たまかまの中にあり跳躍をどりあがりしてさだまらず、火光くわくわうそらもゆ里人さとびと火事くわじならんとおどろき来りてこれを救ふ。
煮る団茶、かき回す粉茶、葉茶はぢゃはそれぞれ、とうそうみんの気分を明らかに示している。
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)
剪燈新話はみん瞿佑くゆうと云う学者の手になったもので、それぞれ特色のある二十一篇の怪奇談を集めてあるが、この説話集は文明年間に日本に舶来はくらいして、日本近古の怪談小説に影響し
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
忠「其の書物はあきらかのたかどのいえなにみんの樓英の著わした医学綱目という書物がある」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
鳩古堂は唐物商で、みん国と取引があり、書籍や紙、筆、墨、すずりなどを扱っていた。あるじは仁左衛といい、伊達家の御用もつとめていたし、甲斐とはまえから、親しいつきあいがあった。
もしみん顛覆てんぷくの源因について求めば、和冦もとよりその一なるを疑うべからず。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
とう律、みん律、しん律などを参酌して立案し、同年八、九月の頃に至ってその草案は出来上ったが、当時の参議副島種臣そえじまたねおみ氏はこれを閲読して、草案「賊盗律」中に謀反むほん、大逆のくだりあるを発見して
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
みんの遺臣朱舜水しゅしゅんすい、三筋に別れている峠道の、その一つをばたどっていた。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
とく州の兵器庫はみん代の末から久しくとざされていたが、順治の初年、役人らが戸を明けると、奥の壁の下に小さい人間を見いだした。
舜水しゅんすい先生のお好きなものであった。先生の故国、みん浙江せっこうのそれと風味が似ておるとか。先生いてもう十年、おしのびする話題ともなろう
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
タイカフサメは切支丹国禁の張本人になつてをり(シローテは決して家康のことを言はない)みんばかりでなくマニラ遠征を企てゝゐた——企てもしなかつたが