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斯
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こ
ふりがな文庫
“
斯
(
こ
)” の例文
然
(
しか
)
し
斯
(
こ
)
んな卑近な珍本は買っても買わなくてもいいが、どうかすると、河岸の箱にも、途方もない
稀覯
(
きこう
)
書が紛れ込んでいる事がある。
愛書癖
(新字新仮名)
/
辰野隆
(著)
蒐集狂の一スタンプ一切手一レッテルの存在価値がどの理由から一人の蕗子に劣るであらう! 然し
斯
(
こ
)
んな大まかな独断的な放言は
狼園
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
斯
(
こ
)
うなると、
唯一
(
ゆいつ
)
の頼みは先輩の三好さんだ。以来年賀状を一枚出したきりで具合が悪かったけれど、仕方がない。私は早速伺って
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
斯
(
こ
)
う聴くだけでも、その壮観は思いやられますが、千人も選び出すとなると、その悉くが三十二世揃った美女ばかりである筈もなく
奇談クラブ〔戦後版〕:10 暴君の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
斯
(
こ
)
うして書いた通信の枚数は沢山だが、それで少しも修正の必要なく、文体も立派で、時に
気焔万丈
(
きえんばんじょう
)
、
行文
(
こうぶん
)
の妙を極むるのであった。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
▼ もっと見る
黒いおじさんだって、女ひとりが
斯
(
こ
)
うして駆け込んで来た以上、いざ
縄
(
なわ
)
打
(
う
)
って代官所へなんて、野暮なことを云やあしないでしょう。
影:(一幕)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
斯
(
こ
)
う
云
(
い
)
うのは全く
此方
(
こっち
)
が悪い。人の勉強するのを面白くないとは
怪
(
け
)
しからぬ事だけれども、何分
興
(
きょう
)
がないから
窃
(
そっ
)
と両三人に相談して
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
斯
(
こ
)
の言葉はお志保の涙を誘ふ種となつた。あの父親とは——十三の春に是寺へ貰はれて来て、それぎり
最早
(
もう
)
一緒に住んだことがない。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
そして不思議なことには
斯
(
こ
)
ういう羽目になるにつれ、国太郎の大ふうは、ますます増長して、損得の
算盤
(
そろばん
)
からは遠ざかって行った。
とと屋禅譚
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
須利耶さまがお従弟さまに
仰
(
お
)
っしゃるには、お前もさような
慰
(
なぐさ
)
みの
殺生
(
せっしょう
)
を、もういい
加減
(
かげん
)
やめたらどうだと、
斯
(
こ
)
うでございました。
雁の童子
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
斯
(
こ
)
ういう本当の土着の農民もインテリ性を帯びた都会からの帰還入営者も、何等の不平なく国の為に殉じて行くその従順な姿を見ると
百姓弥之助の話:01 第一冊 植民地の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
斯
(
こ
)
うして約束すると、刀の
柄
(
つか
)
を
叩
(
たた
)
きながら云った信之助の声の方が、青年の話よりも強く鮮かに、もっと生々して耳に
蘇
(
よみがえ
)
って来た。
春いくたび
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
私
(
わし
)
のような者を頼みに思って、親一人子一人で僅かな畠を持って仕つけもしねえ内職をしたりして
斯
(
こ
)
うやって入らっしゃるだから
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それは、
斯
(
こ
)
う云う訳なので御座いますよ。貴女はまだ、その道理がお解けになる
年齢
(
としごろ
)
では御座いませんが、そう云う
疑念
(
うたがい
)
が貴方の
生長
(
そだち
)
を
絶景万国博覧会
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
私
(
わたくし
)
は
別
(
べつ
)
に
婦道
(
ふどう
)
が
何
(
ど
)
うの、
義理
(
ぎり
)
が
斯
(
こ
)
うのと
言
(
い
)
って、
六ヶ
(
むずか
)
しい
理窟
(
りくつ
)
から
割
(
わ
)
り
出
(
だ
)
して、
三浦
(
みうら
)
に
踏
(
ふ
)
みとどまった
訳
(
わけ
)
でも
何
(
なん
)
でもございませぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
しかも、
斯
(
こ
)
うした男の不幸を救う為に、スティヴンスンは何一つして遣れなかった。マターファは彼をあんなに信頼していたのに。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
然し是も
断
(
ことわ
)
らした。夫でも
別
(
べつ
)
に不都合はなく敷金は返せてゐる。——まだ其外にもあつたが、まあ
斯
(
こ
)
んな種類の例ばかりであつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
ただ
斯
(
こ
)
う口の中で云っただけでも私の心は踊り立つ。それほど私は
其
(
その
)
町を——見捨てられたような其町を限り無く好いているのであった。
温室の恋
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
イスラヱルの子供等が
斯
(
こ
)
の悲境に沈淪してありし時、神はモーセを遣はして彼等を囚禁より放ちて、カナンの陸に至らしめたり。
主のつとめ
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
私はウラスマル君の
斯
(
こ
)
んな行為が何んな目的から
為
(
な
)
されてゐるのかと云ふ疑問に対して深い興味を持たずにはゐられなくなつた。
アリア人の孤独
(新字旧仮名)
/
松永延造
(著)
斯
(
こ
)
う
詮
(
せん
)
じ
詰
(
つめ
)
て来ますと、どこに一つ二郎君を疑う理由も見出せないのです。如何でしょう、これでも二郎君が殺人犯人でしょうか
火縄銃
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「現に今日も、
斯
(
こ
)
うだ、僕が縁とは何ぞやとの問に何と答えたものだろうと聞くと、先生、この円と心得て」と畳の上に指先で
○
(
まる
)
を書き
恋を恋する人
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
夫は
直々
(
じき/\
)
其
両女
(
ふたり
)
にお
問成
(
といな
)
されば分ります、
斯
(
こ
)
う云う事に
成
(
なっ
)
て見ますと何気なく二人を
招
(
まねい
)
たのが天の助けでゞも有たのかと思います
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
斯
(
こ
)
ういう使い方は万葉にも少く、普通は、鳴きとよむ、
榜
(
こ
)
ぎとよむ、鳥が音とよむ等、或は「山吹の瀬の
響
(
とよ
)
むなべ」(巻九・一七〇〇)
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
炊事場の掃溜場から、
叺
(
かます
)
を吊した例の棒を肩に掛けて腰を上げると、籾、羽二重、村長を呟くかわりに、爺は
斯
(
こ
)
う怒った様に喚くのである。
荷
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
斯
(
こ
)
うした景岡の眼には、自然の草木はなんらの美をも齎らしませんでした。そして肉体の探窮美にのみ、胸を
摶
(
う
)
たれるのです。
足の裏
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
「——芸は身を助けるいうこと、あんた知らんのんか。
斯
(
こ
)
やって、ちゃんと三味を
教
(
おせ
)
とけば、この子が大きなって、いざと言うときに……」
わが町
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
斯
(
こ
)
んな話をして居る内に小林は絵を
描
(
か
)
き休めてモデルを帰した。其れから近所で
麺麭
(
パン
)
と
塩豚
(
ジヤンポン
)
とを買つて来て
午飯
(
ひるめし
)
を食ひ初めた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
不首尾
(
ふしゆび
)
と相なるべし當時此人に
憎
(
にく
)
まれては
勤役
(
きんやく
)
なり難しと思案し
斯
(
こ
)
は大岡越前守が願ひ取次も
御採用
(
おとりもち
)
ひなき樣に
言上
(
ごんじやう
)
するより
外
(
ほか
)
なしと思案を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
日あたり風あたりが
暴
(
あら
)
く、水も荒く、軽い土が耳の中鼻の中まで
舞
(
ま
)
い
込
(
こ
)
む余の住む武蔵野の百姓女なぞは中々、
斯
(
こ
)
う美しくはして居られぬ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
斯
(
こ
)
んなことをするのは一つは淋しい平凡な生活をまぎらすためでもあるが、どちらかと言えば友達からも毎日返事を貰いたかったからである。
恭三の父
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
もう
斯
(
こ
)
うなると前途が見え透く。もう
如何様
(
どんな
)
に
藻掻
(
もがい
)
たとて駄目だと思う。残念と思わぬではないが、思ったとて仕方がない。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
圃
(
はたけ
)
のものも黄ばんでしまった。なんだか
斯
(
こ
)
う、彼女の面影が目に見えて来る。そういえばこの道を去る秋、共に通ったことがあったのである。
面影:ハーン先生の一周忌に
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
斯
(
こ
)
ういう特質が斯くも十全に表現せられたのは、この作者が漆と布という彫刻の素材の精神をよく会得していたからである。
本邦肖像彫刻技法の推移
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
斯
(
こ
)
うして此等講中の人達は、十数日或は幾十日に亙る長い旅を続けて山を巡礼したので、目星しい山は皆登られていました。
登山談義
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
矢張り沢山の人が来るこの郵便局は自然
斯
(
こ
)
うなくてはならないのであろう。それにバラック建という事が局員の気を軽くするところもあろう。
丸の内
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
宗全は更に、自分如き匹夫が、
貴方
(
あなた
)
の所へ来て、
斯
(
こ
)
うして話しをすると云うことは、例のないことであるが、今日ではそれが出来るではないか。
応仁の乱
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
子
(
し
)
、
子賤
(
しせん
)
を
謂
(
い
)
う。君子なるかな、かくのごときの人。魯に君子者無くんば、
斯
(
こ
)
れ
焉
(
いずく
)
んぞ
斯
(
これ
)
を取らんと。——公冶長篇——
論語物語
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
斯
(
こ
)
の時に
方
(
あた
)
つて、天下岌岌、生民死を救うて
暇
(
いとま
)
あらず、士大夫乃ち流宕
此
(
かく
)
の如し。歎ずべけんや。或は無聊の故に出づるか。(渭南文集、巻三十)
放翁鑑賞:07 その七 ――放翁詩話三十章――
(新字旧仮名)
/
河上肇
(著)
又笑うでしょうけれども、七日ばかり何にも
塩
(
しお
)
ッ
気
(
け
)
のものは頂かないんですもの、
斯
(
こ
)
うやってお目に
懸
(
かか
)
りたいと思って、煙草も
断
(
た
)
って居たんですよ。
木精(三尺角拾遺)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
斯
(
こ
)
うしておいて其の翌日は、細田氏に三角形の原質的な記憶を呼び起さしめるために同じような時間に出向いて、あれから少しはなれた道路の上に
三角形の恐怖
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そのうちに私は誰もいない家に、それも初めてまぐれ込んできた不思議な家で、万一
斯
(
こ
)
うした事件にかかり合うような事があっては大変だと思った。
日蔭の街
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
ロミオ
此上
(
このうへ
)
も
無
(
な
)
い
歡樂
(
よろこび
)
が
予
(
わし
)
を
呼
(
よ
)
ぶのでなかったら、
斯
(
こ
)
う
早急
(
さっきふ
)
に
別
(
わか
)
るゝのは
悲
(
かな
)
しいことであらう。
恙
(
つゝが
)
なうござりませ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
斯
(
こ
)
の千載一遇の好機会に当り、同胞にして
若
(
も
)
し悠久の光栄を計らず、
徒
(
いたづ
)
らに一時の
旗鼓
(
きこ
)
の勝利と浮薄なる外人の称讃に幻惑するが如き挙に出でしめば
渋民村より
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
けれどまた彼が、自分から
斯
(
こ
)
うと極めるまでは、他からいくら強ひた処で無駄だと云ふ事もよく解つてゐた、結局
惑ひ
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
余初め
斯
(
こ
)
の編を訳定する、今を距る
殆
(
ほとん
)
ど三十年、学問未だ熟せず、見識未だ定まらず、
参攷書
(
さんこうしょ
)
無く、質問人に乏し。
杉田玄白
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
事によると是は羊を以て狼を誘うの
謀
(
はかりごと
)
で、
斯
(
こ
)
の様な弱武者の木村父子を
活餌
(
いきえ
)
にして隣の政宗を誘い、政宗が食いついたらば
此畜生
(
こんちくしょう
)
めと殺して終おうし
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そこで面白い事にはですね、あの
真面目
(
まじめ
)
そうなレムブラントやデュラアまでが、
斯
(
こ
)
ういう画を
描
(
か
)
いているんです。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それがやがて
還
(
かえ
)
り
路
(
みち
)
にまた声をかけて、生まれた
児
(
こ
)
の未来を
斯
(
こ
)
うきめて来ましたと告げるのはごく自然に聴える。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
偖
(
さて
)
、
斯
(
こ
)
うして家庭が貧困の
裡
(
うち
)
に
喘
(
あえ
)
いで居乍らも、金さえ這入れば私は酒と女に耽溺する事を忘れませんでした。
陳情書
(新字新仮名)
/
西尾正
(著)
斯
漢検準1級
部首:⽄
12画
“斯”を含む語句
斯様
僂麻質斯
斯々
如斯
螽斯
波斯
莫斯科
斯樣
斯道
窒扶斯
腸窒扶斯
瓦斯
瓦斯灯
斯般
瓦斯暖炉
俄羅斯
斯如
水素瓦斯
瓦斯燈
毒瓦斯
...