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ひら
ふりがな文庫
“
拓
(
ひら
)” の例文
まだディケンズ流の手法によって書いていた『失踪者』とはちがい、この『判決』は新しくカフカ独自の方法を
拓
(
ひら
)
く作品となった。
年譜:世界文学大系58 カフカ
(新字新仮名)
/
原田義人
(著)
近頃になっては、昭和五年に世界各国は金禁止に伴って関税障壁を競い出した。鼈長の
拓
(
ひら
)
きかけた鼈甲製品の販路もほとんど閉された。
娘
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
この絶好な機会へ、家康の意が向いたやさきへ、愚かにも、その虎視へ道を
拓
(
ひら
)
いて与えた者こそ、相州小田原の北条新九郎
氏直
(
うじなお
)
だった。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
半年か一年家政婦をたのんだ気もちで気らくに暮してみたら何か
拓
(
ひら
)
ける道がないかとまでいったが、彼はまるで恐怖しているようだし
妻の座
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
谷といっても水はないし、崖を切
拓
(
ひら
)
いて五百坪ばかりの台地を造り、荒壁の貯蔵庫が三棟、ほかに番士たちの住む丸太小屋が三棟ある。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
或いは首きりをしなければ運命を
拓
(
ひら
)
くことができない、どんづまりの生活に落ちこんでいるか、その何れかの人間たちであった。
霧の蕃社
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
このことは、日本の国典研究に大きな影響を与へ、難解とされてゐた国学書、
就中
(
なかんづく
)
国文学書の一般的研究に、一筋の道を
拓
(
ひら
)
いたのである。
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
彼等ハ、先ヅ荒土ヲ
拓
(
ひら
)
イテ種ヲ
蒔
(
ま
)
キタリ。熟土ヲ耕ストハ事変リ、前人未開ノ地ニ、原始ノ鍬ヲ用フルノ困難ハ知ル人ゾ知ラン。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そして科学の仕上仕事は前者の人によっても出来るであろうが、本統に新しい科学の分野を
拓
(
ひら
)
く人は後者の型ではなかろうか。
簪を挿した蛇
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
ね、昔は吉野の花見と云うと、今のように道が
拓
(
ひら
)
けていなかったから、
宇陀
(
うだ
)
郡の方を廻って来たりして、この辺を通る人が多かったんだよ。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
樺林
(
かばばやし
)
を
拓
(
ひら
)
いて、また一軒、熊笹と
玉蜀黍
(
とうもろこし
)
の
稈
(
から
)
で
葺
(
ふ
)
いた
小舎
(
こや
)
がある。あたりには
樺
(
かば
)
を
伐
(
き
)
ったり焼いたりして、
黍
(
きび
)
など作ってある。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
このあたりは徳川幕府の調練場となり、維新後は
桑茶
(
くわちゃ
)
栽付所
(
うえつけじょ
)
となり、更に
拓
(
ひら
)
かれて町となった。昔は薬園であったので、町名を元園町という。
思い出草
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
『らんぷや
御難
(
ごなん
)
』は「
拓
(
ひら
)
けゆく電気」に書いたもの。これは
卑近
(
ひきん
)
な生活の中に、科学を織りこんだもので、これまた一つの型だと思っている。
『地球盗難』の作者の言葉
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
自分の仕えている主人と現在の職業のほかに、自分の境地を
拓
(
ひら
)
いてゆくべき欲求も苦悶もなさすぎるようにさえ感ぜられた。
蒼白い月
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
幾多の人びとは独歩の
拓
(
ひら
)
いた「武蔵野」の道を歩いて行つたであらう。が、僕の覚えてゐるのは吉江
孤雁
(
こがん
)
氏一人だけである。
文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この
祠
(
ほこら
)
を
頂
(
いたゞ
)
く、
鬱樹
(
うつじゆ
)
の
梢
(
こずゑ
)
さがりに、
瀧窟
(
たきむろ
)
に
似
(
に
)
た
径
(
こみち
)
が
通
(
とほ
)
つて、
断崖
(
きりぎし
)
の
中腹
(
ちうふく
)
に
石溜
(
いしだま
)
りの
巌
(
いはほ
)
僅
(
わづか
)
に
拓
(
ひら
)
け、
直
(
たゞ
)
ちに、
鉄
(
くろがね
)
の
階子
(
はしご
)
が
架
(
かゝ
)
る
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
事によると人が
拓
(
ひら
)
きに入った以前には、それより古い地名は一つもなく、多くの標前地名はかえって土着より後の仕事で
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
が、ともかく一族の中では、どのくらい幸運な部に属する自分か分らないと思って、彼は一生懸命に自分のほんとの道を
拓
(
ひら
)
くべき努力をつづけた。
日は輝けり
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
会津
(
あいづ
)
藩士がつくったヨイチ郡
黒川
(
くろかわ
)
村、山田村、
伊達
(
だて
)
藩士が
拓
(
ひら
)
いたウス郡モンベツ村、イシカリ郡トウベツ村その他等々。
望郷:――北海道初行脚――
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
そして持前の根強い力で一人ぼつちの寂しい道を
鑿
(
き
)
り
拓
(
ひら
)
いて
往
(
ゆ
)
かうとはしたが、女の身にとつて掛替のない愛人の死は
譬
(
たと
)
へがたない重荷であつた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
それはいかに荒れた色彩に乏しいものにしても私が血と涙とをもって
拓
(
ひら
)
きし大切な道である。私をどこか私に適した世界に導いてくれるであろう。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
よき仕事を
為
(
な
)
そうというのではなくして、それへの正しき準備をなすのである。あるいは結果を求めるのではなくして、結果への道を
拓
(
ひら
)
くのである。
語られざる哲学
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
前途をきり
拓
(
ひら
)
こうと腐心している阿賀妻らの態度と、それを不甲斐なく見るもののあるのも是非ないことであろう。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
時々に過ぎる雲の
翳
(
かげ
)
りもなく、晴れきった空だ。高原を
拓
(
ひら
)
いて、間引いた
疎
(
まば
)
らな
木原
(
こはら
)
の上には、もう沢山の羽虫が出て、のぼったり
降
(
さが
)
ったりして居る。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
あるいは書中いへるものよりも一歩を進め二歩を
拓
(
ひら
)
きて向上に路を示すを得ば余の目的は達したりといふべし。
『文学論』序
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
それかと言って、
仏蘭西
(
フランス
)
側に新たな花園が
拓
(
ひら
)
かれたでもありません。国境一つで全然地質が違うと見えます。
踊る地平線:10 長靴の春
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
彼はいかにして
砂地
(
すなじ
)
を田園に化せしか、いかにして沼地の水を
排
(
はら
)
いしか、いかにして
磽地
(
いしじ
)
を
拓
(
ひら
)
いて果園を作りしか、これ植林に劣らぬ面白き
物語
(
ものがたり
)
であります。
デンマルク国の話:信仰と樹木とをもって国を救いし話
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
従来僧侶に従属した状態になっていたものがこの際神職独立の運命が
拓
(
ひら
)
けて来たのですから、全く有難い。
幕末維新懐古談:31 神仏混淆廃止改革されたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
それらの人は別に
恐
(
おそろ
)
しいとは思わない。広く解し深く解し、鋭意それによって新しい境地を
拓
(
ひら
)
いてゆく人には、なんだか恐しいような尊敬の念が起るのである。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
併しヨーギは十二の少年ながら、一層元気に、草を刈り灌木を伐り倒して、父親の鍬先を
拓
(
ひら
)
いて行った。
土竜
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
一気に
繁昌
(
はんじょう
)
に
赴
(
おもむ
)
いたが、もとより
普
(
あま
)
ねく病難貧苦を救うて現安後楽の願ひを
成就
(
じょうじゅ
)
せんとの
宗旨
(
しゅうし
)
であれば、やがて
江州
(
ごうしゅう
)
伊吹山
(
いぶきやま
)
に五十町四方の地を
拓
(
ひら
)
いて薬草園となし
ハビアン説法
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
この笠松はその昔「
葦
(
あし
)
の
洲
(
す
)
」と
称
(
とな
)
えた
蘆荻
(
ろてき
)
の三角洲で、氾濫する大洪水の
度
(
たび
)
ごとにひたった。この
狐狸
(
こり
)
の
巣窟
(
そうくつ
)
を
発
(
あば
)
いて初めて
拓
(
ひら
)
いたのが
三
(
み
)
ツ
家
(
や
)
の漂流民だと伝えている。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
お鷹匠ばかりでなく、三宅侯の邸内にはあの画技に
勁烈
(
けいれつ
)
な意気と共に軽妙な写生の一面を
拓
(
ひら
)
き、現実に早くから目を醒ましていた蘭学者の渡辺崋山が住んでいたのである。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
あの人の行くべき道は今僅ながら
拓
(
ひら
)
けて来た。私と云ふものが傍に居るから、友人も同志もあの人に離れて居るけれど、独りになつてしまへば、誤解もとけ、嘲笑もきえる。
計画
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
山肌に
拓
(
ひら
)
かれたわずかの田畑は、
自儘
(
じまま
)
に
馬蹄
(
ばてい
)
に掘りかえされるし、働き手の男は、山人足に狩り出される。その上、何やかやの名目で取り立てられる年貢、高税の数かず——。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
西北
諸蛮
(
しょばん
)
概して地を奪い
疆域
(
きょういき
)
を
拓
(
ひら
)
くを以て勢とす。威力日に強く、また航海の術に長ず。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
十二曲の
交響曲詩
(
シンフォニック・ポエム
)
を書いて、楽壇に大きな時代を
画
(
かく
)
し、近代音楽の
黎明
(
れいめい
)
の鐘を高らかに
撞
(
つ
)
き出したフランツ・リスト、——一面においてピアニストとして前人未踏の境地を
拓
(
ひら
)
き
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
このごろ自分の郷里が外人のおほく集つてくる避暑地として
拓
(
ひら
)
かれだしてゐるのを知ると、こんな事をして妻子をかかへながらうろうろしてゐるよりはと、自分の家に戻つてきて
ふるさとびと
(旧字旧仮名)
/
堀辰雄
(著)
もし長くその椅子に坐していたら必ず新生面を
拓
(
ひら
)
く種々の
胸算
(
むなざん
)
があったろうと思う。
正倉院
(
しょうそういん
)
の門戸を解放して民間篤志家の拝観を許されるようになったのもまた鴎外の尽力であった。
鴎外博士の追憶
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
肉のとり方がとても巧く、如何にも木というものを意識しているところがあって、新しい面を
拓
(
ひら
)
いている。そういう意味であの像はなかなかいいと思う。天平の乾漆は概して皆よい。
回想録
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
そんな頑丈な身體をしてるし、辛抱強いのに、机の前で
萎
(
いぢ
)
けてるのは詰まらないぢやないか。
先日
(
こなひだ
)
山から見た島を借りて桃を栽ゑても、後ろの
禿山
(
はげやま
)
を
拓
(
ひら
)
いても何か出來さうぢやないか。
入江のほとり
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
その上の二千尺もあろうという坊主山で
塞
(
ふさ
)
がれ、後ろの杉や松の生えた山裾の下の谷間は田や畠になっていて、それを越えて見わたされる限りの山々は、すっかり林檎畠に
拓
(
ひら
)
かれていた。
贋物
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
その竹藪は
薙
(
な
)
ぎ倒され、逃げて行く人の勢で、
径
(
みち
)
が自然と
拓
(
ひら
)
かれていた。見上げる樹木もおおかた中空で
削
(
そ
)
ぎとられており、川に添った、この
由緒
(
ゆいしょ
)
ある名園も、今は傷だらけの姿であった。
夏の花
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
保存食肉は単に食肉を保存するために発明されたのだろうか? いや、諸君の内なるすべての新大陸と新世界とのためのコロンブスとなり、貿易のではなく思想の新しい航路を
拓
(
ひら
)
きたまえ。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
広々
(
ひろびろ
)
とした
畑
(
はたけ
)
が、
水
(
みず
)
の
雫
(
しずく
)
の
中
(
なか
)
に
宿
(
やど
)
っていました。しかも、
無限
(
むげん
)
に、
深
(
ふか
)
く、
深
(
ふか
)
く、
遠
(
とお
)
く、
遠
(
とお
)
く、その
雫
(
しずく
)
の
中
(
なか
)
に
拓
(
ひら
)
けていたのです。その
畑
(
はたけ
)
には、
真
(
ま
)
っ
黄色
(
きいろ
)
な、かぼちゃの
花
(
はな
)
がいくつも
咲
(
さ
)
いていた。
老工夫と電灯:――大人の童話――
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ロイドは、自発的に勤労を申出た二百人の土人を指揮して、未明から、ヴァエア
山巓
(
さんてん
)
への道を
斫
(
き
)
り
拓
(
ひら
)
いていた。其の山頂こそ、スティヴンスンが、生前、埋骨の地と指定して置いた所だった。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
その子供の
殖
(
ふ
)
える数は統計がないから
委
(
くわ
)
しい事は分りませんが、余程沢山なものだろうと思われる。ネパール国内は日本の山家の土地が
拓
(
ひら
)
けて居るように、どこへ行っても田畑が拓かれてある。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
自分の頭にたかツた
蠅
(
はひ
)
は、自分で逐ふさ。
躓
(
つまづ
)
いたツて、倒れたツて、人は何でも自分の力で、自分の行く道を
拓
(
ひら
)
いて行ツた方が、一番安心だ。それがまた
生存
(
せいぞん
)
の意義にも適してゐるといふもんだ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
なぜこれらの富を守り栄えしめることによって、沖縄の運命を切り
拓
(
ひら
)
こうとしないのでしょうか。貧しい一面よりも富める一面をよくよく理解することが、真に沖縄を救う道ではないでしょうか。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
多くの門弟を引きつれて来て
峻嶮
(
しゅんけん
)
を平らげ、山道を
拓
(
ひら
)
き、各国に信徒を募ったり、講中を組織したりして、この山のために心血をささげた覚明、普寛、一心、一山なぞの行者らの
気魄
(
きはく
)
と努力とには
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
拓
常用漢字
中学
部首:⼿
8画
“拓”を含む語句
開拓
切拓
拓本
拓殖
拓落失路
拓榴
拓皐
拓落
一鍬拓
拓跋魏
蝦夷開拓論
道拓
拓拔氏
開拓使官園動植品類簿
開拓当時
開拓精神
開拓者