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憤慨
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ふんがい
ふりがな文庫
“
憤慨
(
ふんがい
)” の例文
耕吉は酒でも飲むと、細君に向って継母への不平やら、継母へ頭のあがらぬらしい老父への
憤慨
(
ふんがい
)
やらを口汚なく
洩
(
も
)
らすことがあった。
贋物
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
親方はどうどうとした様子であった、かれは
例
(
れい
)
の美しいしらが頭をまっすぐに上げて、その顔には
憤慨
(
ふんがい
)
と
威圧
(
いあつ
)
の
表情
(
ひょうじょう
)
がうかべていた。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
今より六、七十年前、英国の思想家のあいだに
基督教
(
キリストきょう
)
の
柔弱
(
にゅうじゃく
)
に流るるを
憤慨
(
ふんがい
)
して、いわゆる
腕力的基督教
(
マスキュラークリスチャニーチー
)
を主張したものがあった。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
魯侯は女楽に
耽
(
ふけ
)
ってもはや
朝
(
ちょう
)
に出なくなった。
季桓子
(
きかんし
)
以下の大官連もこれに
倣
(
なら
)
い出す。子路は真先に
憤慨
(
ふんがい
)
して
衝突
(
しょうとつ
)
し、官を辞した。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
すると老浮浪者は、ごそごそする
髯面
(
ひげづら
)
を左右にふった。道夫はそれを見ると、さっきからこらえていた
憤慨
(
ふんがい
)
を一時に爆発させて
四次元漂流
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
うれしいような、
恥
(
は
)
ずかしいような、それでいて
憤慨
(
ふんがい
)
したいような、変にこんがらかった感情が、かれの胸の中に渦を巻いていたのである。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
わたしが軽騎兵への返事に、非常な
憤慨
(
ふんがい
)
の
一瞥
(
いちべつ
)
をくれたので、ジナイーダは手をたたくし、ルーシンは「でかした!」と
絶叫
(
ぜっきょう
)
する
騒
(
さわ
)
ぎだった。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
このひとは
未
(
ま
)
だ少女ではないか、それを汚れた眼鏡でみるなんて、と、ぼくは
憤慨
(
ふんがい
)
しながら、あなたの話を聞いていました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
憤慨
(
ふんがい
)
した権藤亥十郎の脱城はそれから間もない後に行われた。村重は、甚だしく怒って、その不忠を
罵
(
ののし
)
ったが、家中の多くは沈黙の中にいた。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私
(
わたし
)
は先年支那へ遊んだ時、
揚子江
(
やうすかう
)
を
溯
(
さかのぼ
)
る船の中で、或るノオルウエイ人と
一緒
(
いつしよ
)
になつた。彼れは、支那の女の社会的地位の低いのに
憤慨
(
ふんがい
)
してゐた。
日本の女
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
阪井の乱暴については
何人
(
なんぴと
)
も平素
憤慨
(
ふんがい
)
していることである。人々は口をそろえて阪井を退校に
処
(
しょ
)
すべき
旨
(
むね
)
を主張した。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
それに
引
(
ひ
)
きかへて
日光
(
につこう
)
にある
徳川氏
(
とくがはし
)
の
廟
(
びよう
)
があのとほり
立派
(
りつぱ
)
なのを
見
(
み
)
て、
蒲生君平
(
がまうくんぺい
)
などが
憤慨
(
ふんがい
)
して
尊王
(
そんのう
)
の
念
(
ねん
)
を
起
(
おこ
)
したので、まことにむりのないことであります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
「そんだつて
箆棒
(
べらぼう
)
、
若
(
わけ
)
え
衆等
(
しら
)
だつてさうだことばかりするものぢやねえ、
詰
(
つま
)
んねえ」
憤慨
(
ふんがい
)
してかういふものも
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「ハア、
折角
(
せつかく
)
の日曜も姉さんの
行
(
いら
)
つしやらぬ教会で、長谷川の寝言など聞くのは馬鹿らしいから、今朝篠田
様
(
さん
)
を訪問したのです、——非常に
憤慨
(
ふんがい
)
してでしたよ」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
美禰子さんはひどく
憤慨
(
ふんがい
)
して書生の無礼を叱ったが何の利目もない。いたずらが過ぎたのだ。二人の扮装が余りによく出来たので、書生にさえ見分けがつかぬのだ。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
といって、審査員が、そんなに顔をつぶされても、そのために辞職もしないで、平気な顔をして審査員の職にいるし、出品者も、それに
憤慨
(
ふんがい
)
して出品しなくなるわけでもない。
国民性の問題
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
源四郎はもちろん妻のしぶりに
同情
(
どうじょう
)
しているが、さりとてまま母の
冷淡
(
れいたん
)
に
憤慨
(
ふんがい
)
するでもない。
黙
(
だま
)
って酒を飲み、ものを食っている。雨はいよいよ降りが強くなってきたらしい。
告げ人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
社の方でも
山田
(
やまだ
)
の
平生
(
へいぜい
)
の
消息
(
せうそく
)
を
審
(
つまびらか
)
にせんと
云
(
い
)
ふ
具合
(
ぐあひ
)
で、
此
(
こ
)
の
隙
(
すき
)
が
金港堂
(
きんこうどう
)
の
計
(
はかりごと
)
を
用
(
もちゐ
)
る所で、
山田
(
やまだ
)
も
亦
(
また
)
硯友社
(
けんいうしや
)
と
疎
(
そ
)
であつた
為
(
ため
)
に
金港堂
(
きんこうどう
)
へ心が動いたのです、
当時
(
たうじ
)
は
実
(
じつ
)
に
憤慨
(
ふんがい
)
したけれど
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
こういって、
憤慨
(
ふんがい
)
した、
職人
(
しょくにん
)
ふうの
男
(
おとこ
)
もいました。すずめをかわいそうに
思
(
おも
)
ったのは、
二人
(
ふたり
)
の
少年
(
しょうねん
)
だけではありません。ここに
立
(
た
)
って
見
(
み
)
ているものが、みんな
心
(
こころ
)
にそう
思
(
おも
)
ったのです。
すずめ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
強盜
(
がうとう
)
と
間違
(
まちが
)
へられた
憤慨
(
ふんがい
)
紛
(
まぎ
)
れに、
二人
(
ふたり
)
はウン/\
汗
(
あせ
)
を
絞
(
しぼ
)
りながら、一
里
(
り
)
餘
(
よ
)
の
道
(
みち
)
を
境
(
さかい
)
の
停車場
(
ていしやば
)
に
出
(
い
)
で、
其夜
(
そのよ
)
の
汽車
(
きしや
)
に
乘
(
の
)
つて、
品川
(
しながは
)
まで
歸
(
かへ
)
つたが、
新宿
(
しんじゆく
)
の
乘替
(
のりかへ
)
で、
陸橋
(
ブリツチ
)
を
上下
(
じやうげ
)
した
時
(
とき
)
の
苦
(
くる
)
しさ。
探検実記 地中の秘密:05 深大寺の打石斧
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
頭に氷袋をつけたまま私は走って岩谷の店先に行って、それが依然として赤いのをみて非常に
憤慨
(
ふんがい
)
して帰って来た。とも角も、松平翁は一種の鬼才を持ったえら物であったのだろうと思われる。
新古細句銀座通
(新字新仮名)
/
岸田劉生
(著)
彼はそれを
憤慨
(
ふんがい
)
しているが、むしろ彼の真の怒りは
基督
(
キリスト
)
教に向っていた。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
などと、
憤慨
(
ふんがい
)
して帰って来ることもあったが、しかしそれは複雑した心の状態を簡単に一時の
理屈
(
りくつ
)
で解釈したもので、女の心にはもっとまじめなおもしろいところがあることがだんだんわかった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
あれ、またお
父
(
とう
)
さんが テン太郎の
夢
(
ゆめ
)
の話で
憤慨
(
ふんがい
)
してゐますよ
小熊秀雄全集-22:火星探険―漫画台本
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
と、クニ子らしい
憤慨
(
ふんがい
)
のしかたをした。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
Cの
母堂
(
ぼだう
)
まで
憤慨
(
ふんがい
)
した。
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
小山嬢は
額
(
ひたい
)
に青筋をたてて
憤慨
(
ふんがい
)
の
面持
(
おももち
)
で突然
闖入
(
ちんにゅう
)
したる背の高い美女を
睨
(
にら
)
みつけている。美貌の青年は、にやりと笑っている。
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
信雄の
無節操
(
むせっそう
)
を
弾劾
(
だんがい
)
し、出し抜かれて、窮地に立った徳川方の立場を——また天下への面目をどうするか——と、みな悲涙をたたえて
憤慨
(
ふんがい
)
した。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
浦和中学の三年生と二年生はいつも仲が悪かった、年少の悲しさは戦いのあるたびに二年が負けた、巌はいつもそれを
憤慨
(
ふんがい
)
したがやはりかなわなかった。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
折々青年にして時々の新聞を見て大いに
憤慨
(
ふんがい
)
し、その日の感情により自分の将来の職業を定めんとする者がある。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
ぼくは
甚
(
はなは
)
だ、
憤慨
(
ふんがい
)
したが、弱いのだから止むを得ません。ただ、半べそを
掻
(
か
)
きつつ、「ひどいわ。意地悪」と叫んでいる内田さんに、たいへん愛情を感じました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
恐れる代りに
憤慨
(
ふんがい
)
した。手品使いみたいな怪賊の
悪戯
(
いたずら
)
を
怒
(
いか
)
った。で、彼も亦、弟の二郎などと同じ様に、賊を探し出し引捕えることを心願する一人となった訳である。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「
怪
(
け
)
しからんな。名の為に
実
(
じつ
)
を顧みないに至つては
閥族
(
ばつぞく
)
の横暴も
極
(
きはま
)
れりだ。」と
憤慨
(
ふんがい
)
した。
饒舌
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
たとえ
誰
(
だれ
)
の手であろうと……よしんばどんな
可愛
(
かわい
)
らしい手であろうと、それでぴしりとやられたら、とても
我慢
(
がまん
)
はなるまい、
憤慨
(
ふんがい
)
せずにはいられまい! ところが、
一旦
(
いったん
)
恋する身になると
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
「しかし、それは時局がら憂うべき傾向だなんて
憤慨
(
ふんがい
)
した人もいたからね。」
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
石橋
(
いしばし
)
と
私
(
わたし
)
との
此
(
この
)
時の
憤慨
(
ふんがい
)
と
云
(
い
)
ふ者は
非常
(
ひじやう
)
であつた、
何故
(
なにゆゑ
)
に
山田
(
やまだ
)
が
鼎足
(
ていそく
)
の
盟
(
ちかひ
)
を
背
(
そむ
)
いたかと
云
(
い
)
ふに、
之
(
これ
)
より
先
(
さき
)
山田
(
やまだ
)
は
金港堂
(
きんこうどう
)
から
夏木立
(
なつこだち
)
と
題
(
だい
)
する
一冊
(
いつさつ
)
を出版しました、
是
(
これ
)
が
大喝采
(
だいくわつさい
)
で
歓迎
(
くわんげい
)
されたのです
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
老人
(
ぢいさん
)
は
憤慨
(
ふんがい
)
に
堪
(
た
)
へぬやうに
固
(
かた
)
めた
拳
(
こぶし
)
を
膝
(
ひざ
)
がしらへ
當
(
あ
)
てゝいつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「おじさんは、うそつきだね。」と、
弟
(
おとうと
)
は、
憤慨
(
ふんがい
)
しました。
緑色の時計
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
私は笹川への
憤慨
(
ふんがい
)
を土井に言わずにはいられなかった。
遁走
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
と、いかにも若者らしい感情を頬に燃やして主税は
憤慨
(
ふんがい
)
するのだった。——それはつい
昨日
(
きのう
)
の
晦日
(
みそか
)
に起った事なのである。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
公
(
こう
)
がかつて
吉田松陰
(
よしだしょういん
)
先生の
塾
(
じゅく
)
にいたとき、一夜、他の
塾生
(
じゅくせい
)
とともに
炉
(
ろ
)
を囲んで談話しているあいだに、公は時の
長州藩
(
ちょうしゅうはん
)
の家老が人を得ないことを
憤慨
(
ふんがい
)
した。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
なお本職を指して
米国
(
べいこく
)
市俄古
(
シカゴ
)
の
悪漢
(
ギャング
)
団長アル・カポーンに買収されたる同市警察署長某氏に比するものあるは
憤慨
(
ふんがい
)
を通り越して、そぞろ
噴飯
(
ふんぱん
)
を禁じ得ざるなり
省線電車の射撃手
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
お膳が運ばれた、チビ公は小さくなって
室
(
へや
)
の隅にすわった、かれは
今日
(
きょう
)
この席へこなければよかったと思った。いろいろな空想は失望や
憤慨
(
ふんがい
)
にともなって頭の中に往来した。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
刑事は、民間探偵のひとりぎめの処置を、しきりと
憤慨
(
ふんがい
)
しています。
怪人二十面相
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
口
(
くち
)
へ
當
(
あ
)
てゝ
左
(
さ
)
も
憤慨
(
ふんがい
)
に
堪
(
た
)
へぬものゝやうにいつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
すると、
末
(
すえ
)
の
弟
(
おとうと
)
が、
二人
(
ふたり
)
の
言葉
(
ことば
)
に
憤慨
(
ふんがい
)
をして
小ねこはなにを知ったか
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
犯行の動機は、カフェ・ゴールデン・バットで金のために女を奪われたことを極度に
憤慨
(
ふんがい
)
したためだった。
ゴールデン・バット事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
『もう、議論は飽いたな。
憤慨
(
ふんがい
)
もよそう。要するに、
為
(
や
)
るか為らないかだ』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だが、いくら
憤慨
(
ふんがい
)
して見たところで、水が引く訳ではなかった。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「日本人だったら、僕は
憤慨
(
ふんがい
)
するなあ。しかしS国というのは悪魔のようなことを平気でやる国ですね」
空襲警報
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
憤
常用漢字
中学
部首:⼼
15画
慨
常用漢字
中学
部首:⼼
13画
“憤慨”で始まる語句
憤慨居士