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性
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しやう
ふりがな文庫
“
性
(
しやう
)” の例文
そしてまた、こゝにも、あらゆるまどはしの麦は芽を噴いてゐる。
性
(
しやう
)
こりもなく、情緒に誘はれるアダム……。神は無数に種子を
蒔
(
ま
)
いた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
長時間そこに立ち盡し、あれこれと氣を使ひ、最後に金を受け取る頃には、彼等は何となく
堪
(
こら
)
へ
性
(
しやう
)
をなくして了つてゐた。
続生活の探求
(旧字旧仮名)
/
島木健作
(著)
「
御米
(
およね
)
、
己
(
おれ
)
は
齒
(
は
)
の
性
(
しやう
)
が
餘程
(
よつぽど
)
惡
(
わる
)
いと
見
(
み
)
えるね。
斯
(
か
)
うやると
大抵
(
たいてい
)
動
(
うご
)
くぜ」と
下齒
(
したば
)
を
指
(
ゆび
)
で
動
(
うご
)
かして
見
(
み
)
せた。
御米
(
およね
)
は
笑
(
わら
)
ひながら
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
誰にでも
突掛
(
つゝか
)
かりたがる興世王も、大親分然たる小次郎の太ッ腹なところは
性
(
しやう
)
に合つたと見えて、
其儘
(
そのまゝ
)
遊んで居た。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
俺
(
おれ
)
のは憎いんでもないければ
可愛
(
かあい
)
いといふんでもない………たゞしツくり
性
(
しやう
)
が合はんといふだけのことなんだ。
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
▼ もっと見る
やがては、またヒステリ
性
(
しやう
)
に落ちるのだらうと思ふと、どうしても、早くかの女の面前から遠ざかりたくなる。
泡鳴五部作:05 憑き物
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
こんな近くにあるものを、あんなに遠くまで探しに行くなんて、私の考へはよほどごろつき
性
(
しやう
)
にちがひない。
計画
(新字旧仮名)
/
シャルル・ピエール・ボードレール
(著)
強
(
したゝ
)
か過ぎるほど強かな感じのする商人ですが、一人娘を喪つた悲歎は、
性
(
しやう
)
も他愛もなく身に沁みるのでせう。
銭形平次捕物控:103 巨盗還る
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ユウゴオの
描
(
か
)
いた絵の多いのに驚いた。ロマンチツクな物ばかりではあるが、
確
(
たしか
)
な写実が
根柢
(
こんてい
)
と成つて居る。故人の狂𤍠と沈毅と
凝
(
こ
)
り
性
(
しやう
)
とが
其
(
それ
)
等にも窺はれた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
門
(
かど
)
を
一足
(
ひとあし
)
出て、外の風にあたると、一町も千里もおんなじだと氣が輕くなつてしまふのにと、いふと、
出
(
で
)
おつくうがる
性
(
しやう
)
なのを知つてゐるものは手を叩いて笑つた。
あるとき
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
で、たゞ
匁
(
もんめ
)
で
連出
(
つれだ
)
す
算段
(
さんだん
)
。あゝ、
紳士
(
しんし
)
、
客人
(
きやくじん
)
には、あるまじき
不料簡
(
ふれうけん
)
を、うまれながらにして
喜多八
(
きたはち
)
の
性
(
しやう
)
をうけたしがなさに、
忝
(
かたじけね
)
えと、
安敵
(
やすがたき
)
のやうな
笑
(
ゑみ
)
を
漏
(
も
)
らした。
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
何か無風帯へでも入つて来たやうな
暢
(
のん
)
びりした故郷の気分が私の
性
(
しやう
)
に合はないのか、私は故郷へ来ると、いつでも神経が
苛
(
いら
)
つくやうな感じだが、今もいくらかその気味だつた。
町の踊り場
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
縁と申すものは不思議なものでございますね。夢にも考へてをりません船の上の、云はゞ命がけといふ仕事でございませう。それが、ぴつたりわたくしの
性
(
しやう
)
に合ひましたんです。
顔
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
「いや、完く
性
(
しやう
)
に合はないとみえて、未だにとんと眼くらの垣覗きさ。」
戯作三昧
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
困るねえ、
承
(
うけたま
)
はりますれば
何
(
なに
)
か
御邸
(
おやしき
)
から
御拝領物
(
ごはいりやうもの
)
の
儀
(
ぎ
)
に
就
(
つ
)
きまして
私共
(
わたくしども
)
までお
赤飯
(
せきはん
)
を
有難
(
ありがた
)
う
存
(
ぞん
)
じます
序
(
ついで
)
に
女房
(
にようばう
)
も
宜
(
よろ
)
しくてえんだよ。亭「え。妻「
本当
(
ほんたう
)
に子供ぢやアなし、
性
(
しやう
)
がないね、
確
(
しつか
)
りおしよ。 ...
八百屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
誰も相手にしない
萎
(
しな
)
びた男——この男のところへ、
性
(
しやう
)
の悪い女ではあるが、事件屋と一しよに
呶鳴
(
どな
)
り込んで来ると云ふやうな出来ごとがあつたので、少からず驚いて、アパートの人たちは珍しげに
日本三文オペラ
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
「……お嬢さんには……」と
称
(
よ
)
ばれた。他の言葉はお蝶には聞きとれなかつた。
性
(
しやう
)
は、とつくに悟られてゐて、
反
(
かへ
)
つて冷かされたのではないかしら(お嬢さん、だつて!)——お蝶はそんな気がした。
お蝶の訪れ
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
「異人の食べるお料理は、どうも
性
(
しやう
)
に合はないもんと見える。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
性
(
しやう
)
を変へむと、十五より。
晶子詩篇全集拾遺
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
柔和
(
にうわ
)
の
性
(
しやう
)
は
具
(
そな
)
ふれど
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
この
女
(
をんな
)
には
生
(
うま
)
れ
故郷
(
こきやう
)
の
水
(
みづ
)
が、
性
(
しやう
)
に
合
(
あ
)
はないのだらうと、
疑
(
うた
)
ぐれば
疑
(
うた
)
ぐられる
位
(
くらゐ
)
、
御米
(
およね
)
は
一時
(
いちじ
)
惱
(
なや
)
んだ
事
(
こと
)
もあつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
隅の方には古いながらも
前桐
(
まへぎり
)
の
箪笥
(
たんす
)
も一本置いてあツて、其の上に
鏡臺
(
きようだい
)
だの針箱だのが
載
(
の
)
せてある。何れも
性
(
しやう
)
の知れたものだが、手入が可いので
見榮
(
みはえ
)
がする。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
誰でもさうだらうが、私も体が弱るにつれて、それが悪臭なら無論、芳香であつても、すべてのにほひといふにほひには全く
堪
(
こら
)
へ
性
(
しやう
)
がなくなつてしまふのである。
赤蛙
(新字旧仮名)
/
島木健作
(著)
フトその扱帶に手を觸れた平次は、この柔かく細く、
性
(
しやう
)
の
損
(
いた
)
んだところもない扱帶で、健康な十八娘を、聲を立てさせずに殺せるものか、それを考へてゐた樣子です。
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
中には
些
(
ちと
)
性
(
しやう
)
が悪くて、骨董商の鼻毛を抜いて所謂掘出物をする気になつてゐる者もある。
骨董
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
見
(
み
)
さつせえ、いまに
太陽様
(
おてんとうさま
)
が
出
(
で
)
さつせえても、
濠端
(
ほりばた
)
かけて
城跡
(
しろあと
)
には、お
前様
(
めえさま
)
と
私等
(
わしら
)
が
他
(
ほか
)
には、
人間
(
にんげん
)
らしい
影
(
かげ
)
もねえだ。
偶々
(
たま/\
)
突立
(
つゝた
)
つて
歩行
(
ある
)
くものは、
性
(
しやう
)
の
善
(
よ
)
くねえ、
野良狐
(
のらぎつね
)
か、
山猫
(
やまねこ
)
だよ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ア
痛
(
いて
)
え、
何
(
なに
)
をするんだ。妻「
余
(
あんま
)
り
向脛
(
むかうずね
)
の毛が
多過
(
おほすぎ
)
るから三
本
(
ぼん
)
位
(
ぐらゐ
)
抜
(
ぬ
)
いたつて
宜
(
い
)
いや、痛いと思つたら
些
(
ちつ
)
たア
性
(
しやう
)
が
附
(
つ
)
くだらう。亭「ア
痛
(
いて
)
え。妻「痛いと思つたら、
女房
(
にようばう
)
も
宜
(
よろ
)
しくてえのを
思出
(
おもひだ
)
すだらう。 ...
八百屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「貴様は
性
(
しやう
)
も
懲
(
こ
)
りもない
奴
(
やつ
)
だな。」
貝殻
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「飛んでもない。——そんな話もないぢやありませんでしたが、二人はどうも
性
(
しやう
)
が合ひません」
銭形平次捕物控:032 路地の足跡
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
此
(
この
)
青年
(
せいねん
)
は、
至
(
いた
)
つて
凝
(
こ
)
り
性
(
しやう
)
の
神經質
(
しんけいしつ
)
で、
斯
(
か
)
うと
思
(
おも
)
ふと
何所
(
どこ
)
迄
(
まで
)
も
進
(
すゝ
)
んで
來
(
く
)
る
所
(
ところ
)
が、
書生
(
しよせい
)
時代
(
じだい
)
の
宗助
(
そうすけ
)
によく
似
(
に
)
てゐる
代
(
かは
)
りに、
不圖
(
ふと
)
氣
(
き
)
が
變
(
かは
)
ると、
昨日
(
きのふ
)
の
事
(
こと
)
は
丸
(
まる
)
で
忘
(
わす
)
れた
樣
(
やう
)
に
引
(
ひ
)
つ
繰
(
く
)
り
返
(
かへ
)
つて
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
この
堪
(
こら
)
へ
性
(
しやう
)
のなさもやはり病気が手伝つてゐた。無理をして余裕をつくり、いろいろ楽しい空想をして来たのにと思ふと、読むために持つて来た本を見てさへいまいましくてならない。
赤蛙
(新字旧仮名)
/
島木健作
(著)
頭
(
づ
)
に
山伏
(
やまぶし
)
の
兜巾
(
ときん
)
を
頂
(
いたゞ
)
いたやうなものぢや、と
性
(
しやう
)
の
知
(
し
)
れぬ
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
ふ。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
元来が
此
(
これ
)
は
是
(
こ
)
れ一個の魔君で、余り
性
(
しやう
)
の良い者では無かつた。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
「
何有
(
なあに
)
、僕は些と
此様
(
こんな
)
な箇所が
性
(
しやう
)
に
適
(
かな
)
つてゐるんでね。」
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
それには違ひないが、圓三郎は若い者をつかまへて、妙に意見がましいことを言ふから、お銀とは
性
(
しやう
)
が合はないやうです、——ケチな野郎と意見を言ふ
奴
(
やつ
)
は大嫌ひですつて。
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
近所の衆の暗示に富んだ言葉を手繰つて平次と八五郎は鳥越のお百の家といふのに行つて見ると、四十男の文七は、七日ぶツ通しに呑んで、
性
(
しやう
)
も他愛もなく醉ひつぶれてゐるのです。
銭形平次捕物控:115 二階の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「歸るよ、武家の揉め事は、矢張り俺の
性
(
しやう
)
に合はないらしい」
銭形平次捕物控:216 邪恋の償ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
性
常用漢字
小5
部首:⼼
8画
“性”を含む語句
女性
性質
素性
性急
性来
性根
本性
身性
性情
無性
根性
悪性
甲斐性
性懲
性得
人間性
性分
気性
仏性
天性
...