トップ
>
山颪
>
やまおろし
ふりがな文庫
“
山颪
(
やまおろし
)” の例文
枕を削る
山颪
(
やまおろし
)
は、激しく
板戸
(
いたど
)
を
挫
(
ひし
)
ぐばかり、髪を
蓬
(
おどろ
)
に、
藍色
(
あいいろ
)
の
面
(
めん
)
が、
斧
(
おの
)
を取つて襲ふかともの
凄
(
すご
)
い。……心細さは
鼠
(
ねずみ
)
も鳴かぬ。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
台拍子、宮神楽、
双盤
(
そうばん
)
、駅路、
山颪
(
やまおろし
)
、浪音、そこへ噺の模様に従って適当にこれらの鳴物があしらわれていく。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
朽
(
く
)
ちかけた壁、古い
樅
(
もみ
)
の並木路のある、灰色のさゝやかな古風な
建物
(
たてもの
)
の中に——これらはすべて
山颪
(
やまおろし
)
に吹き
撓
(
たわ
)
められてゐた——固い植物の花しか咲かない
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
戸一重外
(
とひとへそと
)
には、
山颪
(
やまおろし
)
の絶えずおどろおどろと
吹廻
(
ふきめぐ
)
りて、早瀬の波の
高鳴
(
たかなり
)
は、真に放鬼の名をも
懐
(
おも
)
ふばかり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
しかし、そこまでを見とどけたのは、先駆の物見隊だけで、尊氏の本隊は、なお地蔵堂のあたりにとどまり、吹きすさぶ
風花
(
かざばな
)
まじりの
山颪
(
やまおろし
)
の下にその晩は夜営していた。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
秩父
(
ちゝぶ
)
の雪の
山颪
(
やまおろし
)
、身を切るばかりにして、
戸々
(
こゝ
)
に燃ゆる
夕食
(
ゆふげ
)
の
火影
(
ほかげ
)
のみぞ、慕はるゝ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
お島が
楽
(
たのし
)
みにして世話をしていた植木畠や
花圃
(
はなばた
)
の床に、霜が段々
滋
(
しげ
)
くなって、
吹曝
(
ふきさら
)
しの一軒家の軒や羽目板に、或時は寒い
山颪
(
やまおろし
)
が、
凄
(
すさま
)
じく木葉を吹きつける冬が町を見舞う頃になると
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
その第一世だった
明石
(
あかし
)
志賀之助
(
しがのすけ
)
は身のたけ六尺五寸、体量四十八貫、つづいて大関を張った
仁王
(
におう
)
仁太夫
(
にだゆう
)
は身のたけ七尺一寸、体量四十四貫、同じく大関だった
山颪
(
やまおろし
)
嶽右衛門
(
たけえもん
)
は体量四十一貫
右門捕物帖:12 毒色のくちびる
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
飯綱
(
いいづな
)
にも
黒姫
(
くろひめ
)
にも炭焼の煙がたつ。煙が
裾曳
(
すそび
)
くのは
山颪
(
やまおろし
)
であろう。
島守
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
そして山気は
山颪
(
やまおろし
)
の合方となッて意地わるく人の
肌
(
はだ
)
を噛んでいる。
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
上帆
(
ひらき
)
をあげよ、
山颪
(
やまおろし
)
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
山颪
(
やまおろし
)
極楽とんぼ
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
鋭
(
するど
)
き
山颪
(
やまおろし
)
が
颯
(
さ
)
と
来
(
く
)
ると、
舞下
(
まひさが
)
る
雲
(
くも
)
に
交
(
まじ
)
つて、
漂
(
たゞよ
)
ふ
如
(
ごと
)
く
菫
(
すみれ
)
の
薫
(
かほり
)
が
𤏋
(
ぱつ
)
としたが、
拭
(
ぬぐ
)
ひ
去
(
さ
)
つて、つゝと
消
(
き
)
えると、
電
(
いなづま
)
が
空
(
くう
)
を
切
(
き
)
つた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
こつ/\と石を載せた、
板葺屋根
(
いたぶきやね
)
も、松高き裏の峰も、今は、
渓河
(
たにがわ
)
の流れの音も
寂
(
しん
)
として、何も聞えず、時々
颯
(
さっ
)
と音を立てて、枕に響くのは
山颪
(
やまおろし
)
である。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
脚絆
(
きゃはん
)
を堅く、
草鞋
(
わらじ
)
を
引〆
(
ひきし
)
め、背中へ十文字に
引背負
(
ひっしょ
)
った、四季の
花染
(
はなぞめ
)
の
熨斗目
(
のしめ
)
の
紋着
(
もんつき
)
、
振袖
(
ふりそで
)
が
颯
(
さっ
)
と
山颪
(
やまおろし
)
に
縺
(
もつ
)
れる中に、女の
黒髪
(
くろかみ
)
がはらはらと
零
(
こぼ
)
れていた。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
夜
(
よる
)
の樹立の
森々
(
しんしん
)
としたのは、
山颪
(
やまおろし
)
に、皆……
散果
(
ちりは
)
てた柳の枝の
撓
(
しな
)
ふやうに見えて、鍵屋の
軒
(
のき
)
を吹くのである。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
館の電飾が流るるように、町並の飾竹が、桜のつくり枝とともに
颯
(
さっ
)
と鳴った。更けて
山颪
(
やまおろし
)
がしたのである。
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
青い火さきが、堅炭を
搦
(
から
)
んで、真赤に
烘
(
おこ
)
って、窓に
沁
(
し
)
み入る
山颪
(
やまおろし
)
はさっと
冴
(
さ
)
える。三階にこの火の勢いは、大地震のあとでは、ちと申すのも
憚
(
はばか
)
りあるばかりである。
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
『
奥様
(
おくさま
)
、』と
呼
(
よ
)
ぶのが、
山颪
(
やまおろし
)
の
風
(
かぜ
)
に
響
(
ひゞ
)
いて、
耳
(
みゝ
)
へカーンと
谺
(
こだま
)
を
返
(
かへ
)
してズヽンと
脳
(
なう
)
を
抉
(
えぐ
)
る。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
見
(
み
)
よ、
朝凪
(
あさなぎ
)
の
浦
(
うら
)
の
渚
(
なぎさ
)
、
潔
(
いさぎよ
)
き
素絹
(
そけん
)
を
敷
(
し
)
きて、
山姫
(
やまひめ
)
の
來
(
きた
)
り
描
(
ゑが
)
くを
待
(
ま
)
つ
處
(
ところ
)
——
枝
(
えだ
)
すきたる
柳
(
やなぎ
)
の
中
(
なか
)
より、
松
(
まつ
)
の
蔦
(
つた
)
の
梢
(
こずゑ
)
より、
染
(
そ
)
め
出
(
いだ
)
す
秀嶽
(
しうがく
)
の
第一峯
(
だいいつぽう
)
。
其
(
そ
)
の
山颪
(
やまおろし
)
里
(
さと
)
に
來
(
きた
)
れば、
色鳥
(
いろどり
)
群
(
む
)
れて
瀧
(
たき
)
を
渡
(
わた
)
る。
月令十二態
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
雪
(
ゆき
)
深
(
ふか
)
くふと
寂寞
(
せきばく
)
たる
時
(
とき
)
、
不思議
(
ふしぎ
)
なる
笛
(
ふえ
)
太鼓
(
たいこ
)
、
鼓
(
つゞみ
)
の
音
(
おと
)
あり、
山颪
(
やまおろし
)
にのつてトトンヒユーときこゆるかとすれば、
忽
(
たちま
)
ち
颯
(
さつ
)
と
遠
(
とほ
)
く
成
(
な
)
る。
天狗
(
てんぐ
)
のお
囃子
(
はやし
)
と
云
(
い
)
ふ。
能樂
(
のうがく
)
の
常
(
つね
)
に
盛
(
さかん
)
なる
國
(
くに
)
なればなるべし。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
……ザザッ、ごうと鳴って、川波、
山颪
(
やまおろし
)
とともに吹いて来ると、ぐるぐると廻る車輪のごとき濃く黒ずんだ雪の渦に、くるくると舞いながら、ふわふわと済まアして内へ帰った——夢ではない。
雪霊記事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
………ザヾツ、ぐわうと
鳴
(
な
)
つて、
川波
(
かはなみ
)
、
山颪
(
やまおろし
)
とともに
吹
(
ふ
)
いて
來
(
く
)
ると、ぐる/\と
𢌞
(
まは
)
る
車輪
(
しやりん
)
の
如
(
ごと
)
き
濃
(
こ
)
く
黒
(
くろ
)
ずんだ
雪
(
ゆき
)
の
渦
(
うづ
)
に、くる/\と
舞
(
ま
)
ひながら、ふは/\と
濟
(
す
)
まアして
内
(
うち
)
へ
歸
(
かへ
)
つた——
夢
(
ゆめ
)
ではない。
雪霊記事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
時々どっと
山颪
(
やまおろし
)
に誘われて、
物凄
(
ものすご
)
いような
多人数
(
たにんず
)
の
笑声
(
わらいごえ
)
がするね。
縁結び
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
欄干に一枚かかった、
朱葉
(
もみじ
)
も
翻
(
ひるがえ
)
らず、目の前の屋根に敷いた、
大欅
(
おおけやき
)
の落葉も、ハラリとも動かぬのに、向う峰の
山颪
(
やまおろし
)
が
颯
(
さっ
)
ときこえる、カーンと、添水が
幽
(
かすか
)
に鳴ると、スラリと、
絹摺
(
きぬず
)
れの音がしました。
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
恐毛
(
おぞげ
)
を
震
(
ふる
)
って
立竦
(
たちすく
)
むと涼しさが身に染みて、気が付くと
山颪
(
やまおろし
)
よ。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
悚毛
(
おぞけ
)
を
震
(
ふる
)
つて
立窘
(
たちすく
)
むと
涼
(
すゞ
)
しさが
身
(
み
)
に
染
(
し
)
みて
気
(
き
)
が
着
(
つ
)
くと
山颪
(
やまおろし
)
よ。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
山
常用漢字
小1
部首:⼭
3画
颪
漢検1級
部首:⾵
12画
“山”で始まる語句
山
山家
山路
山羊
山茶花
山間
山中
山谷
山毛欅
山車