“絹摺”の読み方と例文
読み方割合
きぬず100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
吾人ごじんが日常秋雨あきさめの夜に聞く虫の木枯こがらしゆうべに聞く落葉おちばの声、または女の裾の絹摺きぬずれするひびき等によりて、時に触れ物に応じて唯何がなしに物の哀れを覚えしむる単調なるメロデーに過ぎず。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
慄然りつぜんと、障子へれて起ったような絹摺きぬずれが、戸を隔てた外にまでれた。
濞かみ浪人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
欄干に一枚かかった、朱葉もみじひるがえらず、目の前の屋根に敷いた、大欅おおけやきの落葉も、ハラリとも動かぬのに、向う峰の山颪やまおろしさっときこえる、カーンと、添水がかすかに鳴ると、スラリと、絹摺きぬずれの音がしました。
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)