ぼつ)” の例文
ね、母様おつかさん、あのおやしきぼつちんママあをだの、むらさきだのまじつた、着物きものより、はなはうがうつくしいつて、さういふのね。だもの、先生せんせいなんざ。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
きみきらひだつたいぬ寢室しんしつにはれないでくから。いぬへばきみは、犬好いぬずきのぼつちやんの名前なまへぼく使つかつたね。
「三つの宝」序に代へて (旧字旧仮名) / 佐藤春夫(著)
「君はかねに不自由しないから不可いけない。生活にこまらないから、はたらく気にならないんだ。要するにぼつちやんだから、ひんい様なことばつかり云つてゐて、——」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
これはぼつちやん やあ、いらつしやい いま貴方あなたのお父さんと床屋とこやごつこをやつてゐましたわい
ぼつちやんがとしもことしは十歳とをか十一にはならう、都合つがうるいは此處こゝうちには一人ひとり子寳こだからうて、彼方あちら立派りつぱをとこといふものだから、行々ゆく/\かんがへるとおどくなは此處こゝおくさま
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
へえゝ……種々いろんものりますな、此間このあひだ山田やまださんのぼつちやんがつていらしつたのをわたしにぎつたら、玩具おもちやだとおつしやいましたが、成程なるほどさま/″\のものりますよ、此方こつち玩具おもちや……彼方あつち玩具おもちや
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「まあこんなに紙屑かみくずをお出しになって、ぼつちゃんはいけませんね。」
祖母 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ぼつちやん。何時に起きて来やはつたのです。』
帰つてから (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
ぼつちやん。わたしせしめです。
旅商人たびあきうどけば、蝙蝠傘かうもりがさ張替直はりかへなほしもとほる。洋裝やうさうしたぼつちやんのいて、麥藁帽むぎわらばう山腹さんぷくくさつてのぼると、しろ洋傘パラソル婦人ふじんつゞく。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ふさ帽子ぼうしおももちゆたかに洋服ようふくかる/″\と花々敷はな/″\しきを、ぼつちやんぼつちやんとて此子このこ追從ついしようするもをかし、おほくのなか龍華寺りうげじ信如しんによとて、千すぢとなづる黒髮くろかみいまいくとせのさかりにか
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ぼつちやんがアノうもながいダレまくあひだちやんとおひざへ手をせて見てらつしやるのは流石さすがうもおちがひなさるツてえましたら親方おやかたがさうひましたよ、それ当然あたりめえよおまへのやうな痴漢ばかとはちが
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
ぼつちやん、わしが研究室けんきうしつ案内あんないしてあげやう
『あつ、ぼつちやんが来やはつた。』
帰つてから (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
下駄げた足駄あしだぼつちやんに
しかし、御安心ごあんしんください。——ゆきなか跣足はだし歩行あることは、都會とくわいぼつちやんやぢやうさんが吃驚びつくりなさるやうな、つめたいものでないだけは取柄とりえです。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
いろ淺黒あさぐろ面長おもながで、ひんいといふではいか、おまへ親方おやかたかわりにおともまをすこともある、おがんだことるかとへば、だん格子戸かうしどすゞおとがするとぼつちやんが先立さきだちして
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ぼつちやん、こんな世迷言よまひごとまをしまして、今更いまさら貴下あなたに、おわびねがつて、またかゝりたいのうのとまをします、うした料簡れうけんではござりませんが
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
十三囘忌くわいき佛樣ほとけさまは、貴方あなた御母樣おつかさまでいらつしやいませう。ぼつちやん、ぜん御厄介ごやくかいになりました友造ともざうでござります、う、おおぼえはござりますまい。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なか/\、まだこれでもぼつちやんさへ御承知下ごしようちくだされば、くるま此處こゝ打棄うつちやつて、猿抱負さるおんぶおぶまをして、友造ともざうふんどしひもとほした天保錢てんぱうせんで、風車かざぐるまつておたせまをしたうござります。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)