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ぼつ
ね、
母様、あのお
邸の
坊ちんの
青だの、
紫だの
交つた、
着物より、
花の
方がうつくしいつて、さういふのね。だもの、
先生なんざ。
君の
嫌だつた
犬は
寢室には
入れないで
置くから。
犬と
言へば
君は、
犬好きの
坊ちやんの
名前に
僕の
名を
使つたね。
「君は
金に不自由しないから
不可ない。生活に
困らないから、
働らく気にならないんだ。要するに
坊ちやんだから、
品の
好い様なこと
許かり云つてゐて、——」
これは
坊ちやん やあ、いらつしやい いま
貴方のお父さんと
床屋ごつこをやつてゐましたわい
坊ちやんが
歳もことしは
十歳か十一には
成う、
都合の
惡るいは
此處の
家には
一人も
子寳が
無うて、
彼方に
立派の
男の
子といふ
物だから、
行々を
考へるとお
氣の
毒なは
此處の
奧さま
へえゝ……
種々な
物が
有りますな、
此間ね
山田さんの
坊ちやんが
持つていらしつたのを
私が
握つたら、
玩具だと
仰しやいましたが、
成程さま/″\の
物が
有りますよ、
此方も
玩具……
彼方も
玩具
「まあこんなに
紙屑をお出しになって、
坊ちゃんはいけませんね。」
『
坊ちやん。何時に起きて来やはつたのです。』
坊ちやん。
私が
好い
見せしめです。
旅商人も
行けば、
蝙蝠傘張替直しも
通る。
洋裝した
坊ちやんの
手を
曳いて、
麥藁帽が
山腹の
草を
縫つて
上ると、
白い
洋傘の
婦人が
續く。
ふさ
付き
帽子面もちゆたかに
洋服かる/″\と
花々敷を、
坊ちやん
坊ちやんとて
此子の
追從するもをかし、
多くの
中に
龍華寺の
信如とて、千
筋となづる
黒髮も
今いく
歳のさかりにか
坊ちやんがアノ
何うも
長いダレ
幕の
間ちやんとお
膝へ手を
載せて見て
居らつしやるのは
流石は
何うもお
違ひなさるツてえましたら
親方がさう
云ひましたよ、
夫ア
当然よお
前のやうな
痴漢とは
違ふ
坊ちやん、わしが
研究室を
案内してあげやう
しかし、
御安心下さい。——
雪の
中を
跣足で
歩行く
事は、
都會の
坊ちやんや
孃さんが
吃驚なさるやうな、
冷いものでないだけは
取柄です。
色の
淺黒い
面長で、
品が
好いといふでは
無いか、お
前は
親方の
代りにお
供を
申すこともある、
拜んだ
事が
有るかと
問へば、
見た
段か
格子戸に
鈴の
音がすると
坊ちやんが
先立で
驅け
出して
來る
坊ちやん、こんな
世迷言を
申しまして、
今更貴下に、お
詫を
願つて、
又お
目に
懸りたいの
何うのと
申します、
然うした
料簡ではござりませんが
十三
囘忌の
其の
佛樣は、
貴方の
御母樣でいらつしやいませう。
坊ちやん、
前に
御厄介になりました
友造でござります、
最う、お
覺えはござりますまい。
なか/\、まだこれでも
坊ちやんさへ
御承知下されば、
車を
此處へ
打棄つて、
猿抱負に
負ひ
申して、
友造が
褌の
紐へ
通した
天保錢で、
風車を
買つてお
持たせ
申したうござります。