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凝視
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みつめ
ふりがな文庫
“
凝視
(
みつめ
)” の例文
机の端に置き忘れて行った新しい角帽を
凝視
(
みつめ
)
ながらその時の気持を思い出そう思い出そうと努力したが、この時に限って不思議な程
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
まして得三高田等は、驚き恐れつ怪しみて、一人立ち、二人立ち、次第に床の前へ進み、
熟
(
じっ
)
と人形を
凝視
(
みつめ
)
つつ
三人
(
みたり
)
は
少時
(
しばらく
)
茫然たり。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「…………」私は
凝乎
(
じっ
)
と亭主の面を
凝視
(
みつめ
)
た。「僕も今それを考えているところなのだよ。昨日もあすこで逢ってしまったが……」
逗子物語
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
病
(
や
)
んでゐる
胸
(
むね
)
には、どんな
些細
(
ささい
)
な
慄
(
ふる
)
えも
傳
(
つた
)
はり
響
(
ひゞ
)
く。そして
死
(
し
)
を
凝視
(
みつめ
)
れば
凝視
(
みつめ
)
る
程
(
ほど
)
、
何
(
なん
)
といふすべてが
私
(
わたし
)
に
慕
(
した
)
はしく
懷
(
なつか
)
しまれる
事
(
こと
)
であらう。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
「お梅さんどうかしたのですか」と
驚惶
(
あわただ
)
しく
訊
(
たず
)
ねた。梅子は
猶
(
なお
)
も
頭
(
かしら
)
を垂れたまま運ばす針を
凝視
(
みつめ
)
て黙っている。この時次の
室
(
ま
)
で
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
この時我見しに、ベアトリーチェは左に向ひて目を日にとめたり、鷲だにもかくばかりこれを
凝視
(
みつめ
)
しことあらじ 四六—四八
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
彼はそっと起き上って
蝋燭
(
ろうそく
)
をつけた。真直ぐに立上っていく焔を
凝視
(
みつめ
)
ているうちに、彼の眼の前に、大きな部屋が現れた。
橋
(新字新仮名)
/
池谷信三郎
(著)
何を云ッても取合わぬゆえ、お勢も仕方なく口を
箝
(
つぐ
)
んで、
少
(
しばら
)
く物思わし気に
洋燈
(
ランプ
)
を
凝視
(
みつめ
)
ていたが、それでもまだ気に懸ると見えて、「慈母さん」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
良久
(
しばらく
)
して
覘
(
のぞ
)
いて
見
(
み
)
ると
魚
(
うを
)
の
歩兵
(
ほへい
)
の
姿
(
すがた
)
はなくて、モ
一人
(
ひとり
)
の
方
(
はう
)
が
戸
(
と
)
の
側
(
そば
)
に
地面
(
ぢべた
)
の
上
(
うへ
)
に
坐
(
すわ
)
つて、
茫然
(
ぼんやり
)
空
(
そら
)
を
凝視
(
みつめ
)
てゐました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
眼球をだんだんとよく
凝視
(
みつめ
)
てゐると、これはほんものの眼球ではなく、ラムネの玉ではありませんか、見物人が呆れてぽかんとしてゐると、老人の手品師は
小熊秀雄全集-14:童話集
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
何故と云へば、わしは睫毛の間からも、彼女が虹色にきらめきながら、太陽を
凝視
(
みつめ
)
てゐる時に見えるやうな、紫の半陰影に囲まれてゐるのを見たからであつた。
クラリモンド
(新字旧仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
何処が悪いのか知らなかつたが、いつも疲れきつた、
懶
(
ものう
)
うささうな様子をして、寝床の上で
脇息
(
けふそく
)
に
凭
(
もた
)
れ、苦りきつた恐しい顔をして、ぢつと一方を
凝視
(
みつめ
)
て居た。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
母ちやんと御返事なさいますとネ、——ジツと
凝視
(
みつめ
)
て
在
(
い
)
らしつた奥様のお目から玉の様な涙が泉の様に——
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
依然と試合の二人へ瞳を放たず
凝視
(
みつめ
)
ていたが、我を忘れたかのように、思わずアッと
褥
(
しとね
)
から膝を辷らせた。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
視力の鈍った左の眼一つで、遠近さえ判然とせぬ病室の天井を、ジッと
凝視
(
みつめ
)
ていると、その中に、ぽっかりと、心持ち頬をこわばらした「おんな」の顔が写った。
夢鬼
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
真名古はと見ると、これも憑かれたように爛々と眼を光らせながう、瞬きもせずにその方を
凝視
(
みつめ
)
ている。
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
やがて、そのうちの黄と紫が動き出した。自分は両眼の視神経を疲れるまで緊張して、この動くものを
瞬
(
またた
)
きもせず
凝視
(
みつめ
)
ていた。
靄
(
もや
)
は眼の底からたちまち晴れ渡った。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
『マア!』と言つて、智恵子は
暗
(
やみ
)
ながら
颯
(
さつ
)
と顔を染めた。今まで男に
凝視
(
みつめ
)
られてゐたと思つたので。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
何の火急の用かと不審気な宮の面を
凝視
(
みつめ
)
ながら低く語る頼政の声は、宮の心に強くひびいた。
現代語訳 平家物語:04 第四巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
その地図の下に立ってみすぼらしい
身装
(
みなり
)
の青年が、その地図の上の距離を計ったり、
凝
(
じ
)
っと
凝視
(
みつめ
)
ていたりして、淋しい表情で帰って行くのを、私は
幾度
(
いくど
)
見かけたか知れなかった。
郷愁
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
皆は皆熱心にトムちやんの顔を
凝視
(
みつめ
)
て立ち停りました。後の方にゐた
丈
(
せ
)
の小さい子供は、トムちやんの顔がよく見えないので、
他人
(
ひと
)
の袖の下から顔を出したりなどしてゐました。
女王
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
その時、突然に振り向いた彼は、私の眼が彼の顏をじつと
凝視
(
みつめ
)
てゐるのに氣がついた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
梅
(
うめ
)
の
精
(
せい
)
は
思
(
おも
)
いの
外
(
ほか
)
わるびれた
様子
(
ようす
)
もなく、
私
(
わたくし
)
の
顔
(
かお
)
をしげしげ
凝視
(
みつめ
)
て
佇
(
た
)
って
居
(
お
)
ります。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
女は私を認めましたが、最初は
疑
(
うたぐ
)
ってでもいるように、只
凝視
(
みつめ
)
て黙っていました。
さまよう町のさまよう家のさまよう人々
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
智慧
(
ちえ
)
の深そうな目の御色も時によると
朦朧
(
どんより
)
潤みを
帯
(
も
)
って、疲れ沈んで、物を
凝視
(
みつめ
)
る力も無いという風に変ることが有ました。私は又た旦那様の
顎
(
あご
)
から美しく白く並んだ御歯が
脱出
(
はずれ
)
るのを見かけました。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
云ってから、そっと母の眼を
凝視
(
みつめ
)
て
豹
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
なおも
凝視
(
みつめ
)
る。
釘抜藤吉捕物覚書:06 巷説蒲鉾供養
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
と写真を直視しているのにも堪えやらぬように、顔を
背
(
そむ
)
けながら突っ立っていた亭主が、震え声を出して私の口許を
凝視
(
みつめ
)
ていた。
逗子物語
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
照子は眼中に涙を
湛
(
たた
)
えて、
屹
(
きっ
)
と
婦人
(
おんな
)
を
凝視
(
みつめ
)
ながら、「それでは。」となお謂わんとすれば、夫人
密
(
ひそか
)
にその
袂
(
たもと
)
を控え、
眼注
(
めくばせ
)
して
停
(
と
)
めらる。振切って
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
雄弁になって来る彼女の表情をジイット
凝視
(
みつめ
)
ているうちに、彼女の眼付きの中に一種異様な美しい光が、次第次第に輝き現われて来るのを発見した。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
僕はおりおり足を止めて地を
凝視
(
みつめ
)
ていると、
蒼白
(
あおじろ
)
い
少女
(
むすめ
)
の顔がありありと眼先に現われて来る、どうしてもその顔色がこの世のものでないことを示している。
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
乃
(
そこ
)
で
女王樣
(
ぢよわうさま
)
は
眼鏡
(
めがね
)
をかけ、
氣味
(
きみ
)
の
惡
(
わる
)
い
程
(
ほど
)
帽子屋
(
ばうしや
)
を
凝視
(
みつめ
)
られました、
帽子屋
(
ばうしや
)
は
眞
(
ま
)
ッ
蒼
(
さを
)
になつて
顫
(
ふる
)
へてゐました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
生活のためにはどんな事でもする覚悟でいたのだが、自分が食うために豚を屠るのは……その
藻掻
(
もが
)
き苦しむ酷な有様を自分の手によって
醸
(
かも
)
し、それをまのあたり
凝視
(
みつめ
)
るのは……。
首を失った蜻蛉
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
彼の注意がその人たちの方に集注し、彼に氣付かれないで
凝視
(
みつめ
)
ることが出來ると分ると、私の眼は、我知らず、彼の顏の方に惹かれた。私は眼を伏せたまゝゐることは出來なかつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
ダンテはヨハネが肉體を有するや否やを見んとて特にこれを
凝視
(
みつめ
)
たり
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
漆黒の、
炯々
(
けいけい
)
と射るような眼でコン吉を
凝視
(
みつめ
)
ながら
ノンシャラン道中記:05 タラノ音頭 ――コルシカ島の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
今まで男に
凝視
(
みつめ
)
られてゐたと思つたので。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
その婦人に
縋
(
すが
)
りついて涙を一杯留めた眼で
凝乎
(
じっ
)
と老爺の方を
凝視
(
みつめ
)
ているのはまだやっと十二、三の青白い頬をした世にも美しい少年の姿であった。
逗子物語
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
両方の眼を
拳固
(
げんこ
)
で力一パイこすりまわした。寝台の足の先の処をジイッと
凝視
(
みつめ
)
たまま、石像のように固くなった。
一足お先に
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
のですが、
其
(
それ
)
が、
黒目勝
(
くろめがち
)
な
雙
(
さう
)
の
瞳
(
ひとみ
)
をぱつちりと
開
(
あ
)
けて
居
(
ゐ
)
る……
此
(
こ
)
の
目
(
め
)
に、
此處
(
こゝ
)
で
殺
(
ころ
)
されるのだらう、と
餘
(
あま
)
りの
事
(
こと
)
に
然
(
さ
)
う
思
(
おも
)
ひましたから、
此方
(
こつち
)
も
熟
(
じつ
)
と
凝視
(
みつめ
)
ました。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「なるほどこいつは
益々
(
ますます
)
解りにくいぞ」と松木は
呟
(
つぶ
)
やいて岡本の顔を穴のあくほど
凝視
(
みつめ
)
ている。
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
女王樣
(
ぢよわうさま
)
は
滿面
(
まんめん
)
朱
(
しゆ
)
をそゝいだやうに
眞赤
(
まつか
)
になつてお
怒
(
いか
)
りになりました、
暫時
(
しばし
)
の
間
(
あひだ
)
野獸
(
やじう
)
の
如
(
ごと
)
く
愛
(
あい
)
ちやんを
凝視
(
みつめ
)
てお
在
(
ゐ
)
でになりましたが、
軈
(
やが
)
て、『
頭
(
あたま
)
を
刎
(
は
)
ね
飛
(
と
)
ばすぞ!
刎
(
は
)
ね——』と
叫
(
さけ
)
ばれました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
が、立ち上つたまゝ彼は再び私を
凝視
(
みつめ
)
た。彼は頭を振つた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
と云つて、ヂッと僕を
凝視
(
みつめ
)
るのです。
雲は天才である
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
ただ眼をまん丸に見開いて鼻っ先に
被
(
かぶ
)
さっている袋の
粗
(
あら
)
い目を
凝視
(
みつめ
)
ながら、両方のお乳を痛いほどギュッと掴んでいたわ……夢じゃないかしらと思って……。
支那米の袋
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
まだその場を動こうともしないで私を
凝視
(
みつめ
)
ている家内の顔が、みるみる何ともいえぬ凄まじい形相に変ってきて、その腰から半身以下が真っ紅に染まりながら
蒲団
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
手を取って、顔を上げさせ、
右手
(
めて
)
の指環を
凝視
(
みつめ
)
ながら、するりと抜いて、胸に垂れたるお鶴の指へ。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と云つて、ジツと僕を
凝視
(
みつめ
)
るのです。
雲は天才である
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
昂作は掌に乗っかった五十銭玉を
凝視
(
みつめ
)
ながら、繰り返し繰り返しその言葉の意味を考えようとした。
童貞
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
……心を
籠
(
こ
)
めて、じっと
凝視
(
みつめ
)
るのを、毎日のように、およそ七日十日に及ぶと、思入ったその雛、その人形は、
莞爾
(
にっこり
)
と笑うというのを聞いた。——時候は覚えていない。
夫人利生記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
凝
常用漢字
中学
部首:⼎
16画
視
常用漢字
小6
部首:⾒
11画
“凝”で始まる語句
凝
凝然
凝乎
凝結
凝固
凝議
凝脂
凝集
凝塊
凝滞