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冒
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をか
ふりがな文庫
“
冒
(
をか
)” の例文
それは病氣の問題だ。彼の病はもう左肺を
冒
(
をか
)
して居ると云ふことを彼は自覺して居つた。病氣で死ぬ位なら、いつそ××の爲に死なう。
計画
(旧字旧仮名)
/
平出修
(著)
激しい苦惱を、自分の胸一つに疊んだ、いぢらしくも
健氣
(
けなげ
)
な姿——嫁のお信には、さう言つた
冒
(
をか
)
し難い美しさがあつたのです。
銭形平次捕物控:202 隠し念仏
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
或は多少の危険さへ
冒
(
をか
)
せば、談林風の
鬼窟裡
(
きくつり
)
に
堕在
(
だざい
)
してゐた芭蕉の天才を
開眼
(
かいげん
)
したものは、海彼岸の文学であるとも云はれるかも知れない。
芭蕉雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
過しけるが或時喜内は
不※
(
ふと
)
風邪
(
ふうじや
)
に
冒
(
をか
)
されて
臥
(
ふし
)
たるに追々熱氣強く十日餘りも床に着ければ其間若黨二人一夜代り/\に次の間へ
打臥
(
うちふし
)
夜中の藥を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
醫者
(
いしや
)
は
少
(
すこ
)
し
呼吸器
(
こきふき
)
を
冒
(
をか
)
されてゐる
樣
(
やう
)
だからと
云
(
い
)
つて、
切
(
せつ
)
に
轉地
(
てんち
)
を
勸
(
すゝ
)
めた。
安井
(
やすゐ
)
は
心
(
こゝろ
)
ならず
押入
(
おしいれ
)
の
中
(
なか
)
の
柳行李
(
やなぎがうり
)
に
麻繩
(
あさなは
)
を
掛
(
か
)
けた。
御米
(
およね
)
は
手提鞄
(
てさげかばん
)
に
錠
(
ぢやう
)
を
卸
(
おろ
)
した。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
心を
焦
(
いら
)
だゝせるものや、
唆
(
そゝ
)
るものゝ、めまぐるしい曠野であつて、眞の生命の知識を探さうと危險を
冒
(
をか
)
して
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
これらが交互に、熱病に
冒
(
をか
)
された時のやうにとりとめもなく、脳の中を行つたり来たりしたわけである。
日本三文オペラ
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
警備隊
(
けいびたい
)
から、
驚破
(
すは
)
と
駈
(
かけ
)
つけた
兵員達
(
へいゐんたち
)
は、
外套
(
ぐわいたう
)
も
被
(
き
)
なかつたのが
多
(
おほ
)
いさうである。
危險
(
きけん
)
を
冒
(
をか
)
して、あの
暴風雨
(
ばうふうう
)
の
中
(
なか
)
を、
電柱
(
でんちう
)
を
攀
(
よ
)
ぢて、
消
(
け
)
しとめたのであると
聞
(
き
)
いた。
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
いかなれば齋藤瀧口、
今更
(
いまさら
)
武骨者の銘打つたる
鐵卷
(
くろがね
)
をよそにし、負ふにやさしき横笛の名に
笑
(
ゑ
)
める。いかなれば時頼、常にもあらで夜を
冒
(
をか
)
して中宮の
御所
(
ごしよ
)
には忍べる。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
この
身代
(
しんだい
)
を譲られたりとて、
他姓
(
たせい
)
を
冒
(
をか
)
して
得謂
(
えい
)
はれぬ屈辱を忍ばんは、彼の
屑
(
いさぎよ
)
しと為ざるところなれども、美き宮を妻に為るを得ば、この身代も屈辱も何か有らんと
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
危險
(
きけん
)
を
冒
(
をか
)
して
火
(
ひ
)
を
消
(
け
)
し
止
(
と
)
めたといひ、
十一歳
(
じゆういつさい
)
になる
糸井重幸
(
いとゐしげゆき
)
といふ
島津小學校
(
しまづしようがつこう
)
四年生
(
よねんせい
)
は、
祖母
(
そぼ
)
妹
(
いもうと
)
と
共
(
とも
)
に
下敷
(
したじき
)
になりながら、
二人
(
ふたり
)
には
退
(
の
)
き
口
(
くち
)
をあてがつて、
自分
(
じぶん
)
だけは
取
(
と
)
つて
返
(
かへ
)
し
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
天満橋筋長柄町東入四軒屋敷に住す。数世にして喜内と云ふものあり。其弟を助左衛門、其子を政之丞成余と云ふ。成余の子を平八郎敬高と云ふ。敬高の弟志摩出でて宮脇氏を
冒
(
をか
)
す。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
相互
(
さうご
)
に
其
(
そ
)
の
權能
(
けんのう
)
を
越
(
こ
)
えて
他
(
た
)
の
領域
(
りやうゐき
)
を
冒
(
をか
)
す
時
(
とき
)
其處
(
そこ
)
には
必
(
かなら
)
ず
葛藤
(
かつとう
)
が
伴
(
ともな
)
はれる
筈
(
はず
)
でなければ
成
(
な
)
らぬ。
若者
(
わかもの
)
は
相
(
あひ
)
聚
(
あつ
)
まれば
皆
(
みな
)
不平
(
ふへい
)
の
情
(
じやう
)
を
語
(
かた
)
り
合
(
あ
)
うて、
勝手
(
かつて
)
に
勘次
(
かんじ
)
を
邪魔
(
じやま
)
なこそつぱい
者
(
もの
)
にして
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
かれは
烈
(
はげ
)
しき熱に
冒
(
をか
)
されて、病の床に
横
(
よこた
)
はりつつ
詩
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
秋霧
(
あきぎり
)
に
冒
(
をか
)
され給うて——
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
其困難を
冒
(
をか
)
して新しい議案が持ち出され、又其議案が過半の多数に
因
(
よ
)
つて通過されたとすると、現に非常な変化が英国民の頭の
中
(
うち
)
に起りつつある証拠になる。
点頭録
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
うら若き
女子
(
をなご
)
の身にて夜を
冒
(
をか
)
して來つるをば、
蓮葉
(
はすは
)
のものと
卑下
(
さげす
)
み給はん事もあらば如何にすべき。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
バアトンは最初から取次業者を眼中に置かず、危険を
冒
(
をか
)
して自分で刊行しようと企てたのである。知名の文学者なり又文学団体の
協賛
(
けふさん
)
を希望したけれども、誰れ
一人
(
ひとり
)
応じなかつた。
リチャード・バートン訳「一千一夜物語」に就いて
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
もう既に
冒
(
をか
)
されてゐる多くの少女たちは、たゞ死ぬ爲めに家へ歸るのであつた。あるものは、學校で息を引きとり、病氣の性質が猶豫を許さなかつたので、靜かに
手速
(
てばや
)
く
葬
(
はうむ
)
られた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
袖
(
そで
)
を
捲
(
ま
)
いて
面
(
おもて
)
を
拂
(
はら
)
へば、
遙
(
はるか
)
に
其
(
そ
)
の
雲
(
くも
)
の
中
(
なか
)
に、
韓湘
(
かんしやう
)
あり。
唯一人
(
たゞいちにん
)
、
雪
(
ゆき
)
を
冒
(
をか
)
して
何處
(
いづこ
)
よりともなく、やがて
馬前
(
ばぜん
)
に
來
(
きた
)
る。
其
(
そ
)
の
蓑
(
みの
)
紛々
(
ふん/\
)
として
桃花
(
たうくわ
)
を
點
(
てん
)
じ、
微笑
(
びせう
)
して
一揖
(
いちいふ
)
す。
叔公
(
をぢさん
)
其
(
そ
)
の
後
(
のち
)
はと。
花間文字
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
妾山内氏の生んだ女子には婿養子が出來て、南部家に仕へた。内山善吉と云ふ二百石取がそれである。栗山の名は人に故主の非を思はせるからと云つて、利章がわざと外戚の
苗字
(
めうじ
)
を
冒
(
をか
)
させた。
栗山大膳
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
それが
實生活
(
じつせいくわつ
)
の
嚴
(
おごそ
)
かな
部分
(
ぶぶん
)
を
冒
(
をか
)
す
樣
(
やう
)
になつたのは、
全
(
まつた
)
く
珍
(
めづ
)
らしいと
云
(
い
)
はなければならなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
其處
(
そこ
)
で、
暑中休暇
(
しよちうきうか
)
の
學生
(
がくせい
)
たちは、むしろ
飛騨越
(
ひだごえ
)
で
松本
(
まつもと
)
へ
嶮
(
けん
)
を
冒
(
をか
)
したり、
白山
(
はくさん
)
を
裏
(
うら
)
づたひに、
夜叉
(
やしや
)
ヶ
池
(
いけ
)
の
奧
(
おく
)
を
美濃路
(
みのぢ
)
へ
渡
(
わた
)
つたり、
中
(
なか
)
には
佐々成政
(
さつさなりまさ
)
のさら/\
越
(
ごえ
)
を
尋
(
たづ
)
ねた
偉
(
えら
)
いのさへある。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
三人は風雨を
冒
(
をか
)
して、間道を東北の方向に進んだ。風雨はやう/\
午頃
(
ひるごろ
)
に
息
(
や
)
んだが、肌まで
濡
(
ぬ
)
れ
通
(
とほ
)
つて、寒さは身に
染
(
し
)
みる。
辛
(
から
)
うじて
大和川
(
やまとがは
)
の支流幾つかを渡つて、
夜
(
よ
)
に入つて
高安郡
(
たかやすごほり
)
恩地村
(
おんちむら
)
に着いた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「
然
(
しか
)
し
御心配
(
ごしんぱい
)
になる
事
(
こと
)
はありません。
斯
(
か
)
う
云
(
い
)
ふ
場合
(
ばあひ
)
に、もし
惡
(
わる
)
い
結果
(
けつくわ
)
が
起
(
おこ
)
るとすると、
屹度
(
きつと
)
心臟
(
しんざう
)
か
腦
(
なう
)
を
冒
(
をか
)
すものですが、
今
(
いま
)
拜見
(
はいけん
)
した
所
(
ところ
)
では
双方共
(
さうはうとも
)
異状
(
いじやう
)
は
認
(
みと
)
められませんから」と
説明
(
せつめい
)
して
呉
(
く
)
れた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
冒
常用漢字
中学
部首:⼌
9画
“冒”を含む語句
冒頭
冒涜
冒険
感冒
冒涜的
冒険譚
冒涜者
冒険者
流行感冒
冒險
鼻感冒
冒頓
大冒険
一番冒涜
貪冒
相冒
痛痒相冒
世界感冒
沈湎冒色
敢為冒険
...