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いづこ
ふりがな文庫
“
何処
(
いづこ
)” の例文
旧字:
何處
唯その人を命として、
己
(
おのれ
)
も有らず、家も有らず、
何処
(
いづこ
)
の
野末
(
のずゑ
)
にも
相従
(
あひしたが
)
はんと誓へるかの娘の、
竟
(
つひ
)
に利の為に志を移さざるを得べきか。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
余
(
よ
)
は何者か、
余
(
われ
)
に近く
歩
(
あゆ
)
み寄る
跫音
(
あしおと
)
、続いて何事か囁く声を聞き侯ふが、
少時
(
しばらく
)
にして再び歩み
出
(
いだ
)
せば、……あゝ
何処
(
いづこ
)
にて捕へられしや。
夜あるき
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
そこぞと思ふ天井も、一面に黒み渡りて、
年経
(
としふ
)
る血の痕の
何処
(
いづこ
)
か弁じがたし、
更科
(
さらしな
)
の月四角でもなかりけり、名所多くは失望の種となる。
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
明日より
何方
(
いづかた
)
へ行かむとするぞ。汝が魂、
何処
(
いづこ
)
にか在る。今までの生涯は夢なりしか。
現
(
うつゝ
)
なりしか。まこと人の心に神も仏も無きものか。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「男やある、
何処
(
いづこ
)
にか住む」など、口々に問ふに、をかしき事、添へごとなどすれば、「歌は歌ふや、舞ひなどするか」と問ひもはてぬに
濫僧考補遺
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
▼ もっと見る
この両著書に於て二大家相
邇近
(
じきん
)
したりとは前に述べたる所なるが、
偖
(
さ
)
て両著書の相邇近したる中心点は
何処
(
いづこ
)
に存するや。
「伽羅枕」及び「新葉末集」
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
母子が全く奉公人を使ひをらざりしことは確実なり。家屋には第四層の外、
何処
(
いづこ
)
にも家財を備へあらざりしものゝ如し。
病院横町の殺人犯
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
眼
(
まなこ
)
閉づれば速く近く、
何処
(
いづこ
)
なるらん
琴
(
こと
)
の音聴こゆ
頭
(
かしら
)
揚ぐれば氷の上に 冷えたる
躯
(
からだ
)
、一ツ坐せり
両手
(
もろて
)
振
(
ふる
)
つて歌
唄
(
うた
)
へば
山彦
(
こだま
)
の末見ゆ、高きみそら
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
よろしう御座んす
慥
(
たし
)
かに受合ひました、むづかしくはお給金の前借にしてなり願ひましよ、見る目と
家内
(
うち
)
とは違ひて
何処
(
いづこ
)
にも金銭の
埒
(
らち
)
は明きにくけれど
大つごもり
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
が、此の部屋を離れて、いな母を離れて、彼女は一人何処へ行くところがあらう。たゞ一人、縋り付く
由縁
(
よすが
)
とした母を離れて
何処
(
いづこ
)
へ行くところがあらう。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
何処
(
いづこ
)
にか去れる、
杜鵑
(
とけん
)
の行衛は問ふことを止めよ、天涯高く飛び去りて絶対的の物即ち
理想
(
アイデアル
)
にまで達したる也。
唯心的、凡神的傾向に就て(承前)
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
「
抑々
(
そもそも
)
当流ノ元祖戸田清玄ハ宿願コレ有ルニヨツテ、加賀国白山権現ニ一七日ノ間、毎夜
参籠
(
さんろう
)
致ス所、
何処
(
いづこ
)
トモナク一人ノ老人来リ御伝授有ルハ
夫
(
そ
)
レコノ流ナリ」
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ブラ/\と
面白
(
おもしろ
)
き空想を
伴
(
つれ
)
にして
堤
(
どて
)
を
北頭
(
きたがしら
)
に
膝栗毛
(
ひざくりげ
)
を
歩
(
あゆ
)
ませながら、
見送
(
みおく
)
り
果
(
はて
)
てドヤ/\と帰る人々が
大尉
(
たいゐ
)
の
年
(
とし
)
は
幾
(
いく
)
つならんの、
何処
(
いづこ
)
の
出生
(
しゆつしやう
)
ならんの、
或
(
あるひ
)
は
短艇
(
ボート
)
の
事
(
こと
)
隅田の春
(新字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
一葉は「うき世にすてものゝ一身を
何処
(
いづこ
)
の流れにか投げ込むべき、学あり力あり金力ある人によりておもしろくをかしくさわやかにいさましく世のあら波をこぎ渡らん」
婦人と文学
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
笑声
嗚咽
(
をえつ
)
共に
唇頭
(
しんとう
)
に溢れんとして、
殆
(
ほとんど
)
処の
何処
(
いづこ
)
たる、時の
何時
(
なんどき
)
たるを忘却したりき。
開化の殺人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
老いたる男 (いぶかしげに
四下
(
あたり
)
を見廻はす貌)ここは
何処
(
いづこ
)
ぢや、何処ぢや。
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
此の
故
(
ゆゑ
)
に労働者は結局雇主が自由に決定せる工場内規に服するの外なく、
若
(
も
)
し労働者が其の工場内規の
如何
(
いかん
)
、又は衛生的危険防止等の設備の有無を問ふ時は、
何処
(
いづこ
)
に於ても絶望不満に堪へざるのみ。
煤煙の匂ひ
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
来
(
こ
)
し方も
行方
(
ゆくへ
)
も知らぬ沖に
出
(
い
)
でてあはれ
何処
(
いづこ
)
に君を恋ふらん
源氏物語:22 玉鬘
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
うつそ身を魂のはなるる時やいつ離れて行くを
何処
(
いづこ
)
とか知る
礼厳法師歌集
(新字旧仮名)
/
与謝野礼厳
(著)
まつたきひかりの日にわが
往
(
ゆ
)
きてうたはむは
何処
(
いづこ
)
の野べ。
詩集夏花
(新字旧仮名)
/
伊東静雄
(著)
然
(
さ
)
なりと答ふれば、
何処
(
いづこ
)
にて求め給ひしやと云ふ。
鼠頭魚釣り
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
とゆき、かくゆき、さまよへる
此処
(
ここ
)
は
何処
(
いづこ
)
ぞ
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
何処
(
いづこ
)
より見ゆるともなく
出
(
いで
)
て
来
(
こ
)
し
思
(
おもひ
)
の
女
(
をみな
)
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
総て
何処
(
いづこ
)
にか罪過なくんばあらず。
罪過論
(新字旧仮名)
/
石橋忍月
(著)
顫
(
ふる
)
へては
何処
(
いづこ
)
へか
咽
(
むせ
)
び入り
ピアノ
(新字旧仮名)
/
三富朽葉
(著)
さあれ
何処
(
いづこ
)
へこの河を
都喜姫
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
今は
何処
(
いづこ
)
に
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
遊覧せんとありしには似で、貴婦人の目を
挙
(
あぐ
)
れども
何処
(
いづこ
)
を眺むるにもあらず、
俯
(
うつむ
)
き勝に物思はしき
風情
(
ふぜい
)
なるを、静緒は怪くも
気遣
(
きづかはし
)
くて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
何処
(
いづこ
)
を見ても若葉の緑は洪水のやうに漲り溢れて日の光に照される緑の色の強さは閉めた座敷の障子にまで反映するほどである。
花より雨に
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
何処
(
いづこ
)
へ蠢めき去らむとするぞ。やよ鬼三郎。
何処
(
いづこ
)
へ行くぞと。大声にて叫ぶ声、われとわが耳に入りて夢醒むれば、
何時
(
いつ
)
の間にかまどろみけむ。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
胸にたゝまるもや/\の雲の、しばし晴るゝはこれぞとばかり、飲むほどに酔ふほどに、人の本性はいよいよ暗くなりて、つのりゆく
我意
(
がい
)
の
何処
(
いづこ
)
にか
容
(
い
)
れらるべき
琴の音
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
今しも書生の門前を
噂
(
うはさ
)
して過ぎしは、此の
女
(
ひと
)
の上にやあらん、
紫
(
むらさき
)
の
単衣
(
ひとへ
)
に赤味帯びたる髪
房々
(
ふさ/\
)
と垂らしたる十五六とも見ゆるは、
妹
(
いもと
)
ならん、
去
(
さ
)
れど
何処
(
いづこ
)
ともなく
品格
(
しな
)
いたく
下
(
くだ
)
りて
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
寤
(
さ
)
めざるもの誰ぞ、悟らざるもの誰ぞ。
損喪
(
そんさう
)
せざるもの
竟
(
つひ
)
に
何処
(
いづこ
)
にか求めむ。
富嶽の詩神を思ふ
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
予は幾度か周密なる思慮に思慮を重ねたるの後、
漸
(
やうや
)
くにして満村を殺害す可き適当なる場所と手段とを選定したり。その
何処
(
いづこ
)
にして何なりしかは、敢て詳細なる叙述を試みるの要なかる可し。
開化の殺人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
他の時なればうるさき
混雑
(
こんざつ
)
やと人を
厭
(
いと
)
ふ
気
(
き
)
も
発
(
おこ
)
るべきに、
只
(
ただ
)
嬉
(
うれ
)
しくて
堪
(
こら
)
へられず、車を
下
(
お
)
りて人の
推
(
お
)
すまゝに押されて、
言問団子
(
ことゝひだんご
)
の前までは
行
(
ゆ
)
きしが、
待合
(
まちあは
)
す社員友人の
何処
(
いづこ
)
にあるや知られず
隅田の春
(新字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
ああ地は広けれども、
何処
(
いづこ
)
ぞや
晶子詩篇全集拾遺
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
何処
(
いづこ
)
に消えしと気付ける時
詩集夏花
(新字旧仮名)
/
伊東静雄
(著)
そこ
此処
(
こゝ
)
に二三
軒
(
けん
)
今戸焼
(
いまどやき
)
を売る店にわづかな特徴を見るばかり、
何処
(
いづこ
)
の
場末
(
ばすゑ
)
にもよくあるやうな低い
人家
(
じんか
)
つゞきの
横町
(
よこちやう
)
である。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
その
歩々
(
ほほ
)
に
委
(
おと
)
せし血は
苧環
(
をだまき
)
の糸を曳きたるやうに長く
連
(
つらな
)
りて、畳より縁に、縁より庭に、庭より外に
何処
(
いづこ
)
まで、彼は
重傷
(
いたで
)
を負ひて行くならん。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
さて其の後、二人とも
何処
(
いづこ
)
にか行きけむ。声も無く、足音もきこえず。
半刻
(
はんとき
)
あまりの間、寺内、森閑として物音一つせず。谷々に啼く山鶯の声のみ
長閑
(
のどか
)
なり。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
碧空
(
へきくう
)
澄める所には白雲高く飛んで
何処
(
いづこ
)
に行くを知らず、
金風
(
きんぷう
)
そよと渡る庭の
面
(
おも
)
には、葉末の露もろくも散りて空しく
地
(
つち
)
に玉砕す、秋のあはれは
雁
(
かり
)
鳴きわたる月前の半夜ばかりかは
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
我れ拾ひあげて人にせんと招くもなければ、我れから願ひて人に成らん望みもなく、はじめは浮世に父母ある人うらやましく、我れも一人は母ありけり、今は
何処
(
いづこ
)
に如何なることをしてと
琴の音
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
先に拿翁の
蹂躪
(
じうりん
)
に遭ひ、今後更に慮るところあり。昔日暴風雨を
凌
(
しの
)
ぎ、疾雷閃電の猛威を以て、中原を
席捲
(
せきけん
)
し去りたる夢は今
何処
(
いづこ
)
にかある。平和の君、平和の君、切に
此邦
(
このくに
)
を憐れまれん事を願ふ。
想断々(2)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
乃
(
すなは
)
ち人をして才人巨源を
何処
(
いづこ
)
かの
逆旅
(
げきりよ
)
に刺殺せしめたりと言ふ。
按
(
あん
)
ずるに自殺に
怯
(
けふ
)
なるものは、他殺にも怯なりと言ふべからず。巨源のこの理を
辨
(
わきま
)
へず、
妄
(
みだ
)
りに今人を罵つて
畢
(
つひ
)
に刀下の
怨鬼
(
えんき
)
となる。
八宝飯
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その親鳥の飛び去れるは
何処
(
いづこ
)
ぞ。
晶子詩篇全集拾遺
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
梯子段には敷物なければ、恰も氷を
踏砕
(
ふみくだ
)
くが如き物音、
人気
(
ひとけ
)
なき
家中
(
かちゆう
)
に響き、
何処
(
いづこ
)
より湧き
出
(
いづ
)
るとも知れぬ冷き湿気、死人の髪の如くに、余が襟元を撫で申候。
夜あるき
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
向
(
むか
)
うの
岸
(
きし
)
に
往
(
ゆ
)
かんとし
給
(
たま
)
ひしに、ある
学者
(
がくしや
)
来
(
きた
)
りて
云
(
い
)
ひけるは
師
(
し
)
よ。
何処
(
いづこ
)
へ
行
(
ゆ
)
き
給
(
たま
)
ふとも
我
(
わ
)
れ
従
(
したが
)
はん。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
あはれかかる
夜
(
よ
)
よ、歌よむ友のたれかれ
集
(
つど
)
ひて、静かに
浮世
(
うきよ
)
の
外
(
ほか
)
の物がたりなど言ひ交はしつるはと、
俄
(
には
)
かにそのわたり恋しう涙ぐまるゝに、友に別れし雁
唯一
(
ただひと
)
つ、空に声して
何処
(
いづこ
)
にかゆく。
あきあはせ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
何処
(
いづこ
)
より
来給
(
きたま
)
ふや、知り
難
(
がた
)
し
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
今日
(
こんにち
)
築地
(
つきぢ
)
の
河岸
(
かし
)
を散歩しても私ははつきりと其の船宿の
何処
(
いづこ
)
にあつたかを確めることが出来ない。わづか二十年
前
(
ぜん
)
なる我が少年時代の記憶の跡すら既にかくの如くである。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
何
常用漢字
小2
部首:⼈
7画
処
常用漢字
小6
部首:⼏
5画
“何処”で始まる語句
何処迄
何処其処
何処へ行く
何処宛
何処村
何処々々
何処亓処
何処だいば