似合にあは)” の例文
うつくしきかほ似合にあはぬはこゝろ小學校通せうがくかうがよひに紫袱紗むらさきふくさつゐにせしころ年上としうへ生徒せいと喧嘩いさかひまけて無念むねんこぶしにぎときおなじやうになみだちて
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
我等にはなしもなく大事の娘を賣などとは長八貴樣にも似合にあは心底しんていなり先達さきだつて云し時は屋敷やしき奉公ほうこうつかはしたりとよくも人をあざむきしなど申に長八はひたひ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
大尉め、どこか近くの停留場に下りるんで、婦人をんな乗客のりてもあるのに態々わざ/\画家ゑかきの俺を見立てて譲つて呉れたんだな。若いのに似合にあは怜悧りこうな軍人だ、さういへばどこか見所がありさうな顔をしてるて。
ゆるし下されと幼年に似合にあはず思ひ入たる有樣ありさまに聞居る名主をはじ村中むらぢうの者は只管ひたすら感心かんしんするより外なく皆々口を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
十六日はかならずまちまするくだされとひしをもなにわすれて、いままでおもしもせざりし結城ゆふきともすけ不圖ふと出合であひて、あれとおどろきしかほつきのれい似合にあは狼狽あわてかたがをかしきとて
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
まへるとわたしんで仕舞ふであらう、ものはれると頭痛づつうがする、くちくとがまわる、れも/\わたしところてはやなれば、おまへ何卒どうぞかへつてとれい似合にあは愛想あいそづかし
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
改むるに金子二十兩有て着類きるゐは見えず是は賣代うりしろなせしやと女房を見れば貧家に似合にあはず下に絹物きぬものを着込居るゆゑぬがせて見れば男小袖こそでなり是はと役人共も思ひすぐさま手配をなしてしやう兵衞を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
串戯じようだんをおひでないおまへのやうなひとんなかそれはらないが、なんだからとつていやがるもいやがらないもことい、おまへ平常ふだん似合にあはなさけないことをおひだけれど
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いまねんのちたしとくるわがへりの若者わかものまをしき、大黒屋だいこくや美登利みどりとて生國せいこく紀州きしう言葉ことばのいさゝかなまれるも可愛かわゆく、だい一ははなれよき氣象きしやうよろこばぬひとなし、子供こども似合にあは銀貨ぎんくわれのおもきも道理だうり
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
きやうはお高祖頭巾こそづきん眉深まぶか風通ふうつう羽織はおりいつも似合にあはなりなるを、吉三きちざうあげおろして、おまへ何處どこきなすつたの、今日けふ明日あすいそがしくておまんまべるもあるまいとふたではないか
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
えて一トつき雲黒くもくらつきくらきゆふべ、らう居殘いのこりの調しらものありて、いゑかへりしはくれの八いつもうすくらき洋燈らんぷのもとに風車かざぐるま犬張子いぬはりことりちらして、まだ母親はゝおや似合にあは美尾みをふところおしくつろげ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おくさまはれい似合にあはしづみにしづんで、わたし貴君あなたてられはぬかとぞんじまして、れで此樣このやうさびしうおもひまするといづれば、またかと且那だんなさま無造作むぞうさわらつて、れがなにふたか、一人ひとりかんがへたか
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
といふゆめ逆夢さかゆめ馬車ばしやにでもかれはせぬかと大笑おほわらひすればうつくしきまゆひそめてになることおつしやるよ今日けふ日曜にちえう最早もう何処どこへもおあそばすなといま教育けういくうけた似合にあはしからぬことば真実しんじつ大事だいじおもへばなり此方こなたへだてなければ彼方あちら遠慮ゑんりよもなくくれたけのよのうきとこと二人ふたりなかには
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)