他国たこく)” の例文
旧字:他國
すみなれたはやしや、やまや、かわや、野原のはら見捨みすて、らぬ他国たこくることは、これらの小鳥ことりにとっても、冒険ぼうけんにちがいなかったからです。
ふるさと (新字新仮名) / 小川未明(著)
先年凡僧ぼんそうこゝに住職し此石を見ておそ出奔しゆつほんせしによく他国たこくにありて病死せしとぞ。おもふに此淵にれいありて天然てんねんしめすなるべし。
はあ、そりゃけえ、一ツきゅう他国たこくにはねえ灸ですから、目印めじるしといえば、そんなもンぐらいでございます
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もっと今時いまどきそんな紋着を着る者はない、他国たこくには勿論もちろんないですね。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
荷物にもつ背中せなかって、薬売くすりうりの少年しょうねんは、今日きょうらぬ他国たこくみちあるいていました。きたまちから行商群ぎょうしょうぐん一人ひとりであったのです。
薬売りの少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
先年凡僧ぼんそうこゝに住職し此石を見ておそ出奔しゆつほんせしによく他国たこくにありて病死せしとぞ。おもふに此淵にれいありて天然てんねんしめすなるべし。
いもうとは、うちてから、そのおとこひとれられて、らぬ他国たこくたびしてあるきました。そのあいだに、おとこはまた苦心くしんして、良薬りょうやくさがしました。
木と鳥になった姉妹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
此外▲有明ありあけうら岩手いはでうら勢波せばわたし井栗ゐくりもりこしの松原いづれも古哥あれども、他国たこくにもおなじ名所あればたしかに越後ともさだめがたし。
おまえは、なにをそんなにかんがえているの? しかし、おまえはこんなにとお他国たこくにくるまでには、さだめしいろいろなところをてきたろうね。
お姫さまと乞食の女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
此外▲有明ありあけうら岩手いはでうら勢波せばわたし井栗ゐくりもりこしの松原いづれも古哥あれども、他国たこくにもおなじ名所あればたしかに越後ともさだめがたし。
なにかわったことがないか? こうらない他国たこくふねがたくさんあつまっているのだから、まちがいがこってはならないというのでありました。
カラカラ鳴る海 (新字新仮名) / 小川未明(著)
縮は越後の名産めいさんにしてあまねく世の知る処なれど、他国たこくの人は越後一国の産物さんぶつとおもふめれど、さにあらず、我住わがすむ魚沼郡うをぬまこほりぐんにかぎれる産物さんぶつ也。他所たしよいづるもあれどわづかにして、其しな魚沼には比しがたし。
他国たこくからきたひとたいしては、なんとなくすこしのあいだははばかるような、それでいてはやしたしくなって、はなしてみたいような気持きもちがしたのであります。
青いボタン (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、このやまのふもとにまれて、この野原のはらと、はやしとしかほかのところはらないすずめは、せめて他国たこくとりうたくことを幸福こうふくおもっていたのです。
春になる前夜 (新字新仮名) / 小川未明(著)
とお故郷こきょうはなれて、他国たこくにいるときでも、いつもやさしいおかあさんのまぼろしえがいて、おかあさんのそばにいるときのように、なつかしくおもったのでした。
お母さまは太陽 (新字新仮名) / 小川未明(著)
若者わかものは、どんなに、うれしくおもったかしれない。じつは、ここへくるまでに、他国たこくまちせたことがあった。
般若の面 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、いつまでも、とお他国たこくで、らすというにはなれません。かれらは、ふるさとがこいしくなりました。
砂漠の町とサフラン酒 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それほど、他国たこくひとのだれか、らないとおくにからきたひとだという、一しゅあこがごころをそそったのでした。
青いボタン (新字新仮名) / 小川未明(著)
ゆうちゃんといっしょに、あおいしは、くらながい、トンネルを汽車きしゃとおって、らない他国たこくへきたのでした。そして、らないまちそらしたで、じっと太陽たいよう見上みあげました。
青い石とメダル (新字新仮名) / 小川未明(著)
松蔵まつぞうは、うたうたいとなりました。かつて、おじいさんがそうであったように、脊中せなかに、ちいさな薬箱くすりばこって、バイオリンをきながら、らぬ他国たこくたびしてあるいたのです。
海のかなた (新字新仮名) / 小川未明(著)
他国たこくてらから、おおきなぼんしょうをこのまちでひきうけたのは、それからのちのことでありました。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
すると、つぎには、紫色むらさきいろ水平線すいへいせんのもりがるうみえました。どこか他国たこくみなとから、たくさんの貨物かもつをつんできたのであろうか、汽笛きてきをならして、はいってきたふねがあります。
心は大空を泳ぐ (新字新仮名) / 小川未明(著)
「これを土産みやげっていこう。」と、旅人たびびとは、いずれも、びんか、さらか、ちゃわんをってゆくのでありました。そして、このみせ陶器とうきは、ふねせられて他国たこくへもゆきました。
殿さまの茶わん (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、きたかえたびも、無事ぶじではありませんでした。一ぺんにもひとしい、たよりないふねは、ある、またかぜのためにながされて、らぬ他国たこくきしけられたのでした。
南方物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
むかし、あるくに有名ゆうめい陶器師とうきしがありました。代々だいだい陶器とうきいて、そのうちしなといえば、とお他国たこくにまでひびいていたのであります。代々だいだい主人しゅじんは、やまからつち吟味ぎんみいたしました。
殿さまの茶わん (新字新仮名) / 小川未明(著)
疫病えきびょうにきく、毒下どくくだしの薬袋くすりぶくろにはくろねこのき、下熱剤げねつざい薬袋くすりぶくろにはからすのきました。むらひとは、つくったくすりをおぶって、それから、やまえて他国たこくりにてゆきました。
おばあさんと黒ねこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
なつからあきにかけて、このけわしい山道やまみちあるいて、やまして、他国たこくへゆく旅人たびびとがあったからですが、もうあきもふけたので、この数日間すうじつかんというものまったくひとかげなかったのであります。
深山の秋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ああ、じきにはなくころともなるだろう。そうすると、他国たこくほうから、らないようなうつくしいとりんできて、はやしもりなかうたをうたうであろう。それをくのがたのしいことだ。
春になる前夜 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ちょうど、そのころ、他国たこくからかえった、親類しんるいのおじさんがありました。
風はささやく (新字新仮名) / 小川未明(著)
「なんで、こんないいところをてて、他国たこくへなどゆけるものか。」
山へ帰りゆく父 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そこには、ほんとうに他国たこくのいろいろな人々ひとびとまりわせました。そして、めいめいに諸国しょこくてきたこと、またいたことのおもしろいはなしや、不思議ふしぎはなしなどをかたって、かしました。
お姫さまと乞食の女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おまえさんは、他国たこくかけるがあるか。」ときました。
幸福の鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)