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髪
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がみ
ふりがな文庫
“
髪
(
がみ
)” の例文
旧字:
髮
そそけ
髪
(
がみ
)
の頭をあげて、母は幾日か夢に描きつづけた一男の顔を、じっと眺めた。涙が
一滴
(
ひとしずく
)
、やつれた頬を
伝
(
つた
)
って、枕の
布
(
きれ
)
を
濡
(
ぬら
)
した。
秋空晴れて
(新字新仮名)
/
吉田甲子太郎
(著)
ぼくは別れて、後ろの席から、あなたの、お下げ
髪
(
がみ
)
と、内田さんの赤いベレエ
帽
(
ぼう
)
が、時々、動くのを見ていたことだけ
憶
(
おぼ
)
えています。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
眼鏡
(
めがね
)
をかけているのが、
有田
(
ありた
)
くんのお
母
(
かあ
)
さん、
背
(
せ
)
の
低
(
ひく
)
いちぢれ
髪
(
がみ
)
のが、
東
(
あずま
)
くんのお
母
(
かあ
)
さん、ふとっているのは、
小原
(
おばら
)
くんのお
母
(
かあ
)
さんさ。
生きぬく力
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
其処
(
そこ
)
へ
婿君
(
むこぎみ
)
が、
紋着
(
もんつき
)
、
袴
(
はかま
)
ながら、
憔悴
(
せうすゐ
)
した
其
(
そ
)
の
寝不足
(
ねぶそく
)
の
目
(
め
)
が
血走
(
ちばし
)
り、ばう/\
髪
(
がみ
)
で
窶
(
やつ
)
れたのが、
弔扎
(
てうれい
)
をうけに
見
(
み
)
えたのである。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
夏の
炎天
(
えんてん
)
ではないからよいようなものの
跣足
(
すあし
)
に
被
(
かぶ
)
り
髪
(
がみ
)
——まるで赤く無い
金太郎
(
きんたろう
)
といったような
風体
(
ふうてい
)
で、
急足
(
いそぎあし
)
で
遣
(
や
)
って来た。
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
畫題
(
ぐわだい
)
は『
自然
(
しぜん
)
の
心
(
こゝろ
)
』と謂ツて、ちらし
髪
(
がみ
)
の
素裸
(
すつぱだか
)
の
若
(
わか
)
い
婦
(
をんな
)
が、
新緑
(
しんりよく
)
の
雑木林
(
ざふきばやし
)
に
圍
(
かこ
)
はれた
泉
(
いづみ
)
の
傍
(
かたはら
)
に立ツて、自分の
影
(
かげ
)
の
水面
(
すゐめん
)
に映ツてゐるのを
瞶
(
みまも
)
ツてゐるところだ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
とたがいにいましめあって、ふたたび道をいそぎだすと、あなたの草むらから、
月毛
(
つきげ
)
の
野馬
(
のうま
)
にのったさげ
髪
(
がみ
)
の美少女が、ゆらりと
気高
(
けだか
)
いすがたをあらわした。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
子供ごころに
甚
(
いた
)
くその身の上に同情したのだろう、ひとつ違いの二人は、ふり分け
髪
(
がみ
)
の
筒井筒
(
つついづつ
)
といった仲で、ちいさな
夫婦
(
めおと
)
よと、長屋じゅうの冗談の的だったのだが……。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
切
(
き
)
り
髪
(
がみ
)
にした
女隠居
(
おんないんきょ
)
が一人、
嫁入
(
よめい
)
り
前
(
まえ
)
の娘が一人、そのまた娘の弟が一人、——あとは女中のいるばかりである。Nさんはこの
家
(
うち
)
へ行った時、何か妙に気の
滅入
(
めい
)
るのを感じた。
春の夜
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
……わたしは
二
(
に
)
、
三遍
(
さんべん
)
そこをのぞきに行ったが、油じみた
上
(
うわ
)
っ
張
(
ぱ
)
りを着て、
頬
(
ほお
)
のこけた顔をした、もじゃもじゃ
髪
(
がみ
)
の
痩
(
や
)
せた男の子が十人ほど、四角な
印刷台木
(
いんさつだいぎ
)
を
締
(
し
)
めつける木の
梃子
(
てこ
)
へ
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
近頃
(
ちかごろ
)
はやり
物
(
もの
)
のひとつになった
黄縞格子
(
きじまごうし
)
の
薄物
(
うすもの
)
に、
菊菱
(
きくびし
)
の
模様
(
もよう
)
のある
緋呉羅
(
ひごら
)
の
帯
(
おび
)
を
締
(
し
)
めて、
首
(
くび
)
から
胸
(
むね
)
へ、
紅絹
(
べにぎぬ
)
の
守袋
(
まもりぶくろ
)
の
紐
(
ひも
)
をのぞかせたおせんは、
洗
(
あら
)
い
髪
(
がみ
)
に
結
(
ゆ
)
いあげた
島田髷
(
しまだまげ
)
も
清々
(
すがすが
)
しく
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
話し声が近く聞こえると思うと、お菊の声も確かに聞きとれて、ふたりが
背戸
(
せど
)
からはいってくるようすがわかった。まもなくまっ黒な
洗
(
あら
)
い
髪
(
がみ
)
を振りかぶった若い顔が女房の後について来た。
落穂
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
少しは力の
恢復
(
かいふく
)
して来たお銀が、
捲
(
ま
)
き
髪
(
がみ
)
姿で裏から入って来たとき、笹村の顔色がまだ嶮しかった。笹村はその時、台所へ出て七輪の火を起して、昼のお
菜
(
かず
)
を煮ていたが、甥も側に働いていた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
もつれ
髪
(
がみ
)
、
髷
(
わげ
)
にゆふべく
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
わけて柳のさばき
髪
(
がみ
)
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
姉
(
あね
)
や、
弟
(
おとうと
)
は、
村
(
むら
)
のはずれまで
送
(
おく
)
ってゆきました。そして、
娘
(
むすめ
)
は、うしろ
髪
(
がみ
)
を
引
(
ひ
)
かれるように
振
(
ふ
)
りかえり、
振
(
ふ
)
りかえりいってしまったのであります。
二番めの娘
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
と軽い返事で、身軽にちょこちょこと茶の間から出た
婦
(
おんな
)
は、
下膨
(
しもぶく
)
れの色白で、真中から
鬢
(
びん
)
を分けた濃い毛の
束
(
たば
)
ね
髪
(
がみ
)
、
些
(
ち
)
と
煤
(
すす
)
びたが、人形だちの古風な顔。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
飾
(
かざ
)
りのない
束
(
たば
)
ね
髪
(
がみ
)
に、白い
上衣
(
うわぎ
)
を着たあなたが
項垂
(
うなだ
)
れたまま、映画をまるで見ていないようなのも悲しかった。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
「さア——来た以上、仕方がない。不本意ながら、お
宅
(
たく
)
を血だらけに致すよりほか、まず、
途
(
みち
)
はござるまい。
斬合
(
きりあ
)
いには、
散
(
ざん
)
バラ
髪
(
がみ
)
が一番
邪魔
(
じゃま
)
でござる。手拭いを一本——」
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
蜀朝廷は実にいつも遠きに孔明の後ろ
髪
(
がみ
)
を引くものであった。ここにおいて孔明は
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
みだれ
髪
(
がみ
)
、
肉
(
しし
)
おきたるみ
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
彼
(
かれ
)
は、なんとなく
後
(
うし
)
ろ
髪
(
がみ
)
を
引
(
ひ
)
かれるような
気持
(
きも
)
ちがしましたが、おそるおそる
前
(
まえ
)
に
向
(
む
)
かって、
歩
(
ある
)
き
出
(
だ
)
しました。
おおかみと人
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
歯を染めた、
面長
(
おもなが
)
の、
目鼻立
(
めはなだち
)
はっきりとした、
眉
(
まゆ
)
は
落
(
おと
)
さぬ、
束
(
たば
)
ね
髪
(
がみ
)
の
中年増
(
ちゅうどしま
)
、喜蔵の女房で、お
品
(
しな
)
という。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それに、髪も
埃
(
ほこり
)
のままの
束
(
つか
)
ね
髪
(
がみ
)
で、木綿筒袖の、見得も
風
(
ふり
)
もないのを
裾短
(
すそみじか
)
に着、腕には重たげな手籠をかけ、口達者な長屋女房の
揶揄
(
からかい
)
半分な
囀
(
さえず
)
りのなかに、物売りの腰を低めているのだった。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
見ると、黒襟の半纏をズッこけそうに引ッかけて、やけの
洗
(
あら
)
い
髪
(
がみ
)
、足の指にはチョッピリ
鳳仙花
(
ほうせんか
)
の
紅
(
べに
)
をさしていようという、チャキチャキの下町ッ児、
大変者
(
たいへんもの
)
の風格だから、園絵は思わず用心をして
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
常に
其
(
それ
)
を、
束
(
たば
)
ね
髪
(
がみ
)
にしてカツシと
銀
(
しろがね
)
の
簪
(
かんざし
)
一本、濃く
且
(
か
)
つ
艶
(
つやや
)
かに
堆
(
うずたか
)
い
鬢
(
びん
)
の中から、
差覗
(
さしのぞ
)
く鼻の高さ、
頬
(
ほお
)
の肉しまつて色は雪のやうなのが、
眉
(
まゆ
)
を払つて、
年紀
(
とし
)
の頃も定かならず
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
(わたくしなどに
後
(
うし
)
ろ
髪
(
がみ
)
を引かれ遊ばすな)
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何が、いま産れるちゅう
臨月腹
(
りんげつばら
)
で、なあ、
流
(
ながれ
)
に浸りそうに
捌
(
さば
)
き
髪
(
がみ
)
で這うて渡った。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
誰か趣向をしたんだね、……もっとも、
昨夜
(
ゆうべ
)
の会は、最初から百物語に、白装束や
打散
(
ぶっち
)
らし
髪
(
がみ
)
で人を
怯
(
おど
)
かすのは大人気無い、
素
(
す
)
にしよう。——それで、
電燈
(
でんき
)
だって消さないつもりでいたんだから。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“髪”の意味
《名詞》
(かみ)かみ、頭部を覆う体毛。
(出典:Wiktionary)
“髪(
頭髪
)”の解説
頭髪(とうはつ)は、ヒトの頭部に生える毛である。毛髪(もうはつ)、髪の毛(かみのけ)、また単に髪(かみ)ともいう。
(出典:Wikipedia)
髪
常用漢字
中学
部首:⾽
14画
“髪”を含む語句
頭髪
結髪
白髪
垂髪
黒髪
毛髪
束髪
髪毛
鬢髪
髪結
下髪
理髪店
御髪
散髪
理髪師
理髪床
剃髪
髪結床
額髪
前髪
...