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駕籠
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かご
ふりがな文庫
“
駕籠
(
かご
)” の例文
「早く! 早く! 早くしておくれ! 大急ぎだよ! 川を越したら
駕籠
(
かご
)
をを飛ばしてね、このあて名のところへすぐ行っておくれ」
右門捕物帖:32 朱彫りの花嫁
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
もし
駕籠
(
かご
)
かきの悪者に出逢ったら、
庚申塚
(
こうしんづか
)
の
藪
(
やぶ
)
かげに思うさま弄ばれた揚句、
生命
(
いのち
)
あらばまた
遠国
(
えんごく
)
へ売り飛ばされるにきまっている。
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
駕籠
(
かご
)
を呼ぶと御近所の人の目に立つし、濡れて歸しちや、万一
風邪
(
かぜ
)
でも引くと惡いし。と、うまく引止められるものだから、たうとう
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
甲斐は
駕籠
(
かご
)
ででかけた。空はうっとうしく曇ってきて、湿気のあるなまぬるい風が、ときどき、乾いた道の上に
埃
(
ほこり
)
を巻き立てていた。
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
修理
(
しゅり
)
は、越中守が引きとった
後
(
あと
)
で、すぐに水野
監物
(
けんもつ
)
に預けられた。これも中の口から、平川口へ、
青網
(
あおあみ
)
をかけた
駕籠
(
かご
)
で出たのである。
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
笠森
(
かさもり
)
のおせんだと、
誰
(
だれ
)
いうとなく
口
(
くち
)
から
耳
(
みみ
)
へ
伝
(
つた
)
わって
白壁町
(
しろかべちょう
)
まで
往
(
ゆ
)
くうちにゃァ、この
駕籠
(
かご
)
の
棟
(
むね
)
ッ
鼻
(
ぱな
)
にゃ、
人垣
(
ひとがき
)
が
出来
(
でき
)
やすぜ。のう
竹
(
たけ
)
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
出入ともに
駕籠
(
かご
)
の戸を開かず、家の者も見ることをえなかったが、翌朝出発の時に礼だと称して、こんな物を置いて去ったという。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
これによって見ても、まんなかのお
駕籠
(
かご
)
がお雪ちゃんで、前後のあんぽつに、健斎、道庵の両国手が乗込んでいることと想像ができる。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
取建四方の
道筋
(
みちすぢ
)
へは與力同心等晝夜出役して
往來
(
わうらい
)
の旅人
馬
(
うま
)
駕籠
(
かご
)
は
乘打
(
のりうち
)
を禁じ
頭巾
(
づきん
)
頬冠
(
ほゝかぶ
)
りをも制し嚴重に警固せり天一坊方にては此樣子を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「やや一大事! だれぞないか、
伊那丸
(
いなまる
)
の
駕籠
(
かご
)
をかためていた者は取ってかえせ、敵の手にうばわれては取りかえしがつかぬぞッ」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
江戸の兄をたよって江戸で暮し、東京で死んだ六十九年、彼女は三十三に私の父を抱いて、通し
駕籠
(
かご
)
で故郷を訪れたきり二度とゆかない。
旧聞日本橋:20 西川小りん
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
その返事を聞く手段であったと見えて、私は二晩、土間の上へ、
可恐
(
おそろし
)
い高い屋根裏に釣った、
駕籠
(
かご
)
の中へ入れて
釣
(
つる
)
されたんです。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そのうちにオランダ代理公使ブロックと、その書記官クラインケエスとを乗せた
駕籠
(
かご
)
は、正香や縫助の待ち受けている前へさしかかった。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「見事なお
鞍
(
くら
)
を拝見してありがたい。
駕籠
(
かご
)
のなかからはなはだご無礼ではあるが、まことにご苦労であったと厚くお礼を申しております」
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「どうじゃ、お梅、今日はだいぶ気あいがよさそうなが、それでも、あまり歩いてはよろしくない、
駕籠
(
かご
)
なと申しつけようか」
南北の東海道四谷怪談
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
土下座とか云って
地面
(
じべた
)
へ坐って、ピタリと頭を下げて、
肝腎
(
かんじん
)
の
駕籠
(
かご
)
が通る時にはどんな顔の人がいるのかまるで物色する事ができなかった。
文芸と道徳
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「のう、
母
(
かか
)
さん。もう今宵も迎える
駕籠
(
かご
)
が見えそうなもの……おお、あの
跫音
(
あしおと
)
は、ありゃお使かもしれませぬ。早く着更えておきましょう」
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
先をいくお絃の
駕籠
(
かご
)
が、つと
路傍
(
みちばた
)
に下ろされた。
前棒
(
さきぼう
)
の駕籠屋の
草鞋
(
わらじ
)
がゆるんだから、ちょっとここで締め直して行きたいというのである。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
大分
(
だいぶ
)
調子が
好
(
よ
)
いから友之助はちょい/\
行
(
ゆ
)
くと、帰りに
夜
(
よ
)
に
入
(
い
)
った時は、大儀だろう
駕籠
(
かご
)
に乗って帰るが
宜
(
よ
)
いと云って、駕籠へ乗せて帰す。
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
だから私に取っては、土曜日を待つのが何よりも楽しみであった。土曜の昼過ぎになると、いつも
蒲平
(
カマートー
)
と
太良
(
タラー
)
が
駕籠
(
かご
)
を持って迎えに来たものだ。
私の子供時分
(新字新仮名)
/
伊波普猷
(著)
ところがある朝、ハボンスがいつもの通り出かけようとしてると、その小さな宿屋へ、王様から迎ひの
駕籠
(
かご
)
が参りました。
シャボン玉
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
その日の夕方、日の
陰
(
かげ
)
る頃を見計って朝太郎の吉松殿は、
牡丹
(
ぼたん
)
に丸の
定紋
(
じょうもん
)
のついた、立派な
駕籠
(
かご
)
に乗せられて、城下の方へつれて行かれました。
三人の百姓
(新字新仮名)
/
秋田雨雀
(著)
長崎の奉行所に
廻勤
(
かいきん
)
に行くその
若党
(
わかとう
)
に雇われてお供をした所が、和尚が馬鹿に長い
衣
(
ころも
)
か装束か妙なものを着て居て、奉行所の門で
駕籠
(
かご
)
を出ると
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
万事がそれだで私も欲しくはなかったけれど、いい気持はしなかった。それで
初産
(
ういざん
)
の時、
駕籠
(
かご
)
で家へ帰ったきり行かずにしまったというわけせえ。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
五百らの乗った五
挺
(
ちょう
)
の
駕籠
(
かご
)
を矢島
優善
(
やすよし
)
が宰領して、若党二人を連れて、
石橋
(
いしばし
)
駅に掛かると、仙台藩の
哨兵線
(
しょうへいせん
)
に出合った。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
『
御大家
(
ごたいけ
)
のお孃樣……だか、奧樣だか、……
阿母
(
おつか
)
さん……だか知らないが、お
駕籠
(
かご
)
にでも召さないとお疲れになるんだね。』と、小池は
冷
(
ひやゝ
)
かに笑つた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
奉公人への指図はもちろん、旅客の応待から船頭、物売りのほかに、あらくれの
駕籠
(
かご
)
かきを相手の気苦労もあった。
蛍
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
頂上の
根本中堂
(
こんぽんちゅうどう
)
まではまだ十八町もあるというので、
駕籠
(
かご
)
をどうかと定雄は思ったが、千枝子は歩きたいと云った。
比叡
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
「そんなことをいう奴は、よろしく箱根山を
駕籠
(
かご
)
で越す時代へかえれだよ。蜂矢君、もし幽霊がでなかったら、君にはいいたいことがたくさんあるよ」
四次元漂流
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
佐渡奉行さまは、柄の長い大きい
駕籠
(
かご
)
で来られました。その駕籠を船で佐渡ヶ島へ持つてゆくのだと仰有いました。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
または質屋の
手代
(
てだい
)
、出入りの大工、
駕籠
(
かご
)
かきの九郎助にまで、とにかく名前を思い出し次第、知っている人全部に、吉野山の桜花の見事さを書き送り
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
○演技指導における俳優と演出者の関係は、ちょうど一つの
駕籠
(
かご
)
をかつぐ先棒と後棒の関係に似ている。先棒の姿は後棒に見えるが、先棒自身には見えない。
演技指導論草案
(新字新仮名)
/
伊丹万作
(著)
「
駕籠
(
かご
)
を抜けたが
麻雀
(
マージャン
)
お玉。
警察
(
さつ
)
のガチャガチャ置き土産。アラ行っちゃったア……っていうのはどうだい」
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
たとえ身分は
駕籠
(
かご
)
かきであれ、病魔を払った今回の大功、人間業と申すよりむしろ
神業
(
かみわざ
)
とでも申すべきか、戦場における一番鎗より遥かに秀でた立派な働き。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
九月二十四日の夕七つ半頃(午後五時)に二挺の
駕籠
(
かご
)
が東海道の大森を出て、江戸の方角にむかって来た。
経帷子の秘密
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
調度類
(
ちょうどるい
)
は
前以
(
まえもっ
)
て
先方
(
せんぽう
)
へ
送
(
おく
)
り
届
(
とど
)
けて
置
(
お
)
いて、
後
(
あと
)
から
駕籠
(
かご
)
にのせられて、
大
(
おお
)
きな
行列
(
ぎょうれつ
)
を
作
(
つく
)
って
乗
(
の
)
り
込
(
こ
)
んだまでの
話
(
はなし
)
で……
式
(
しき
)
はもちろん
夜分
(
やぶん
)
に
挙
(
あ
)
げたのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
公卿
(
くげ
)
が衣冠をつけて
牛車
(
ぎっしゃ
)
で
参内
(
さんだい
)
するというのは、京の俳趣を現して居るが、大名が鳥毛の槍をふらせて
駕籠
(
かご
)
で登城するというのは、江戸の俳趣を現して居るのです。
俳句上の京と江戸
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
梨地金蒔絵、
鋲打
(
びょううち
)
の女乗物。
駕籠
(
かご
)
の引戸開けて風を通しながらの高田殿は、又してもここで
呟
(
つぶや
)
かれた。
怪異黒姫おろし
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
白米三斗九升が一分、秩父絹二疋で二朱と四百文、
駕籠
(
かご
)
賃(飯田台から赤羽橋まで)七十四文、大
鮪
(
まぐろ
)
片身二百二十四文、
榧
(
かや
)
の油五合が二十四文、白砂糖半斤五十二文
酒渇記
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
周囲は
駕籠
(
かご
)
が通り人々は
煙草
(
たばこ
)
をふかし、茶をのみ乍ら
四方山
(
よもやま
)
の
咄
(
はな
)
しに
耽
(
ふけ
)
る普通の現実の世界である。
宝永噴火
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
やがて
大
(
おおい
)
なる
古菰
(
ふるごも
)
を拾ひきつ、これに肴を包みて上より
縄
(
なわ
)
をかけ。
件
(
くだん
)
の弓をさし入れて、
人間
(
ひと
)
の
駕籠
(
かご
)
など扛くやうに、二匹
前後
(
まえうしろ
)
にこれを
担
(
にな
)
ひ、金眸が洞へと急ぎけり。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
なんと
言
(
い
)
ふことだ。
天氣
(
てんき
)
は
上等
(
じやうとう
)
、
此
(
こ
)
のとほりの
青空
(
あをぞら
)
だ。かうして
自分
(
じぶん
)
は
荷車
(
にぐるま
)
にのせられ、その
上
(
うへ
)
にこれはまた
他
(
ほか
)
の
獸等
(
けものら
)
に
意地
(
いぢ
)
められないやうに、
用意周到
(
よういしうとう
)
なこの
駕籠
(
かご
)
。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
必死の覚悟を極め御同人御
駕籠
(
かご
)
へ近寄り、自己の建議押立て申すべしなど、一旦存立て候段、国家の御為を存じ成し仕り候旨申立つるなれども、公議を
憚
(
はばか
)
らず不敬の至り
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
出雲に行わるるところは大分これと
異
(
ちが
)
い爺と媼と姫を鎮守祠に詣らせんとて、
駕籠
(
かご
)
買いに出た跡に
天探女
(
あまのじゃく
)
来り、姫を欺き裏の畑へ連れ行きその衣服を剥ぎ姫を柿の木に縛り
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
二寸三寸の
手斧傷
(
ちょうなきず
)
に
臥
(
ね
)
て居られるか居られぬか、破傷風が
怖
(
おそ
)
ろしいか仕事のできぬが怖ろしいか、よしや片腕
奪
(
と
)
られたとて一切成就の暁までは
駕籠
(
かご
)
に乗っても行かではいぬ
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
飛行機に乗って太平洋を横断したり、或は文明を過去に逆行して、古風な
駕籠
(
かご
)
に乗って旅行したりするのは詩的であるが、普通の汽車に乗って平凡な旅行をするのは散文的だ。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
フェノロサと私とは村まで八マイルを歩き、ドクタアと一行の他の面々とは
駕籠
(
かご
)
によった。ドクタアはこの旅行の方法を大いに楽しんだ。時々この上もない絶景が目に入った。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
お宮さんの社務所のような大きな玄関、その横の天井には、芝居の殿様が乗ってくるような
駕籠
(
かご
)
がつってあった。君子は勝手口らしい入口の大きな戸を泣きながら身体で開けた。
抱茗荷の説
(新字新仮名)
/
山本禾太郎
(著)
そこへ
駕籠
(
かご
)
の垂れをはねて現われたブラックの幡随院長兵衛、眼色の変った大親分、ぬうと立って握手でもしそうな手付、台詞にかかると高座でお馴染の舌ったるい外人口調に
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
大文字屋の主人は既に棒鼻へ「するがや」の提灯をさげた
駕籠
(
かご
)
にどっかり納まっていた。
桜林
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
“駕籠”の解説
駕籠(かご)は、人を乗せて人力で運ぶ乗り物のこと。人が座る部分を一本の棒に吊し、複数人で棒を前後から担いで運ぶ。江戸時代まではよく使われたが、明治に入ると道路の整備に伴い急速に人力車に取って代わられていき、明治5年(1872年)までには交通・運送手段としての役割を終えてほぼ姿を消した。
(出典:Wikipedia)
駕
漢検準1級
部首:⾺
15画
籠
常用漢字
中学
部首:⽵
22画
“駕籠”で始まる語句
駕籠舁
駕籠屋
駕籠脇
駕籠訴
駕籠町
駕籠側
駕籠夫
駕籠舁共
駕籠賃
駕籠清