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零落
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れいらく
ふりがな文庫
“
零落
(
れいらく
)” の例文
王成
(
おうせい
)
は
平原
(
へいげん
)
の
世家
(
きゅうか
)
の生れであったが、いたって
懶
(
なま
)
け者であったから、日に日に
零落
(
れいらく
)
して家は僅か数間のあばら屋をあますのみとなり
王成
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
けれども相当の地位を
有
(
も
)
つてゐる人の
不実
(
ふじつ
)
と、
零落
(
れいらく
)
の極に達した人の親切とは、結果に於て
大
(
たい
)
した差違はないと今更ながら思はれた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
◯ヨブの
曩
(
さき
)
の地位を
以
(
もっ
)
てしては、彼はむしろ友の多きに苦しんだであろう。しかしこれらの友は皆彼の
零落
(
れいらく
)
と共に彼を離れたであろう。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
安子穴
(
やすこあな
)
というのがあった。
白狗
(
はくぐ
)
と
白馬
(
はくば
)
との天正時代の伝説がある。
後
(
のち
)
、お
安
(
やす
)
という女人が
零落
(
れいらく
)
してここに玉のような童子を育てた。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
百年も以前に行なわれていたものならば、古来の風習だろうと即断する人がないとは言えぬが、私には一つの
零落
(
れいらく
)
の姿としか思われない。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
言ひ聽せてやり度えのは、井筒屋の主人の方だよ。本家が
零落
(
れいらく
)
したから附き合はねえといふのも不人情だが、そんなに
焦
(
こが
)
れて居る娘の許婚を
銭形平次捕物控:217 歎きの幽沢
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
名前は
瑠璃子
(
るりこ
)
というのだが、中国筋の
零落
(
れいらく
)
士族の娘で、当時十八歳、咲きそめた紅梅の様に、匂やかにも美しい乙女であった。
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
……はて、
堂上人
(
どうじょうびと
)
のくせに、父王昇が
巷
(
ちまた
)
で
零落
(
れいらく
)
していた時代の姿を知っているのはいぶかしいと……拙者もじっと彼の
面体
(
めんてい
)
を見てやりました
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かの女の生れは東京近在の
零落
(
れいらく
)
した旧家という話で、かの女はその身元を生涯明かさなかったが、かの女は気品と共に意外に頭が高かった。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
ミウケの金はちゃんと貰ってしまったから、とっくに飲みほしてしまったけれども、後をネダルほど
零落
(
れいらく
)
はしないよ。
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
名も歴史もない甲州アルプスに、対面して、
零落
(
れいらく
)
の壮大、そのものが、この万年の墳墓を中心にして今虚空を
奔
(
はし
)
る。
白峰山脈縦断記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
以前の比較的ノンキな東京生活を知って居る娘などが
逗留
(
とうりゅう
)
に来て見ては、
零落
(
れいらく
)
と思ったのであろ、台所の
隅
(
すみ
)
で茶碗を洗いかけてしく/\泣いたものだ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
御尋ねなさる
成程
(
なるほど
)
今此樣に
零落
(
れいらく
)
して一文貰をする身なれば
不審
(
ふしん
)
に思ひなさるも
御道理
(
ごもつとも
)
なれど此金子の出來しと云譯を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
併し、モナコに於て、
零落
(
れいらく
)
したフランス貴族の
復辟
(
ふくへき
)
の夢も破れてしまったのです。イスタンブールで恋人はその身を
果敢
(
はか
)
なんで、死んでしまったのです。
バルザックの寝巻姿
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
かういふ
風
(
ふう
)
の
家屋被害
(
かおくひがい
)
と、
放射
(
ほうしや
)
された
噴出物
(
ふんしゆつぶつ
)
によつて
破壞
(
はかい
)
せられたサンピール
市街
(
しがい
)
の
零落
(
れいらく
)
とは
著
(
いちじる
)
しい
對象
(
たいしよう
)
である。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
お豊は自分の身こそ一家の不幸のために遊芸の師匠に
零落
(
れいらく
)
したけれど、わが子までもそんな
賤
(
いや
)
しいものにしては先祖の
位牌
(
いはい
)
に対して
申訳
(
もうしわけ
)
がないと述べる。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
私
(
わたくし
)
が
負傷
(
けが
)
を
致
(
いた
)
しますとお
父
(
とつ
)
さん
痛
(
いた
)
うないかと
云
(
い
)
つて
労
(
いたは
)
つて
呉
(
く
)
れます、
私
(
わたくし
)
の
心得違
(
こゝろえちが
)
ひから
斯様
(
かやう
)
に
零落
(
れいらく
)
を
致
(
いた
)
し、
目
(
め
)
まで
潰
(
つぶ
)
れまして、ソノ
何
(
な
)
んにも知らぬ
頑是
(
ぐわんぜ
)
のない
忰
(
せがれ
)
に
大仏餅。袴着の祝。新まへの盲目乞食
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
殊に、その浪々の道すぢを自分に言訳するために、後日の
零落
(
れいらく
)
に備へての足ならし、身鍛へだなぞと、感傷的に思ひ込んでゐることに於てをや、と云ふべきであらう。
大凶の籤
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
さあ、いつの頃に手に入れたものか判りません。実はこんなものが手前方に伝わっていることも存じませんでしたが、御覧の通りに
零落
(
れいらく
)
して、それからそれへと家財を
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その人もその一人でその後
零落
(
れいらく
)
して妻君を持ったという始末。至って正直な人であるという。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
旧領地佐賀野の
零落
(
れいらく
)
した酒づくりの娘で、礼儀作法も心得、品もよく、その顔だちも
瓜実
(
うりざね
)
型の淋しいところはあったが、
先
(
ま
)
ず何処と言って難のない美人といえる小娘であった。
面
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
今
(
いま
)
の
零落
(
れいらく
)
を
高見
(
たかみ
)
に
見下
(
みくだ
)
して
全體
(
ぜんたい
)
意氣地
(
いくぢ
)
が
無
(
な
)
さすぎると
言
(
い
)
ひしとか
酷
(
こく
)
と
思
(
おも
)
ふは
心
(
こゝろ
)
がらなり
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
才は
拙
(
つたな
)
くして
零落
(
れいらく
)
せり、
槐葉
(
くわいえふ
)
前蹤
(
ぜんしよう
)
を
期
(
き
)
し難く、病重うして
栖遅
(
せいち
)
す、
柳枝
(
りうし
)
左の
臂
(
ひぢ
)
に
生
(
お
)
ふ
可
(
べ
)
し
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
零落
(
れいらく
)
し果てた青年が、冬空に、
浴衣
(
ゆかた
)
を引ッ張って、親、兄弟の家に、そっと裏口から、合力を受けようと忍び寄って、
中部
(
なか
)
の歓語にはいりかねていたその折、
合壁
(
がっぺき
)
から、泥棒よばわりを
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
私は
湖西
(
こせい
)
に住んでいる者でございます、もとは
奉化
(
ほうか
)
の者で、父は
州判
(
しゅうはん
)
でございましたが、その父も、母も亡くなって、家が
零落
(
れいらく
)
しましたが、他に世話になる、兄弟も親類もないものですから
牡丹灯籠 牡丹灯記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「農は国の基い、百姓は国の宝というくらいだ、この堤防工事については多少のむりがあり、わしも考える点がないわけではない。
零落
(
れいらく
)
した農家などには、賠償という法もとるつもりである」
半之助祝言
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
零落
(
れいらく
)
せし人故に特に関寺小町を取り合せたるなり。頭巾とはおちぶれし人の頭巾着てをるをいふなり。「うたふ頭巾かな」といふ続きにて頭巾着た人が謡ふとなること俳句において通例の句法なり。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
この頃には
零落
(
れいらく
)
してピザに移住していたのだと
云
(
い
)
われています。
ガリレオ・ガリレイ
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
どんなに
零落
(
れいらく
)
して死んでもそのほうが意味がありますからなア
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
と私はこの
零落
(
れいらく
)
した旧友を
請
(
しょう
)
ぜずにはいられなかった。
朝起の人達
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
紅梅や
女
(
をなご
)
あるじの
零落
(
れいらく
)
にともなふ鳥の籠かけにけり
恋衣
(新字旧仮名)
/
山川登美子
、
増田雅子
、
与謝野晶子
(著)
第十五章の二回戦開始において、エリパズはまずヨブを罪人として責め、次に罪悪の結果として必ず恐怖、煩悶、
零落
(
れいらく
)
の臨むべきを説いた。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
この下女はもと
由緒
(
ゆいしょ
)
のあるものだったそうだが、
瓦解
(
がかい
)
のときに
零落
(
れいらく
)
して、つい
奉公
(
ほうこう
)
までするようになったのだと聞いている。だから
婆
(
ばあ
)
さんである。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
主人は地方の
零落
(
れいらく
)
した旧家の三男で、学途には
就
(
つ
)
いたものの、学費の
半
(
なかば
)
以上は自分で都合しなければならなかった。
東海道五十三次
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
零落
(
れいらく
)
した旧主に高利の金を貸し、その
抵当
(
かた
)
に、旧主の家族を追い出して、旧主の家にそちが住んでみい、世間はそちを、
愈〻
(
いよいよ
)
、悪鬼か
蛇蝎
(
だかつ
)
のようにいうぞ
鍋島甲斐守
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お
豊
(
とよ
)
は自分の身こそ一家の不幸の
為
(
た
)
めに
遊芸
(
いうげい
)
の
師匠
(
ししやう
)
に
零落
(
れいらく
)
したけれど、わが子までもそんな
賤
(
いや
)
しいものにしては先祖の
位牌
(
ゐはい
)
に対して
申訳
(
まをしわけ
)
がないと述べる。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
偖
(
さて
)
又
(
また
)
文右衞門の女房は
勝手
(
かつて
)
にて
番茶
(
ばんちや
)
を入れ
朶菓子
(
だぐわし
)
などを
取揃
(
とりそろ
)
へて
持出
(
もちいで
)
たるに長八は大橋が
義氣
(
ぎき
)
の強きを彌々感じ心中に
成程
(
なるほど
)
斯
(
かく
)
まで
零落
(
れいらく
)
なしても武士の道を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
如何に貧乏な書生生活でも、東京で二十円の借家から六畳
二室
(
ふたま
)
の
田舎
(
いなか
)
のあばら家への引越しは、
人目
(
ひとめ
)
には可なりの
零落
(
れいらく
)
であった。奉公人にはよい
見切時
(
みきりどき
)
である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
ことに
林相
(
りんそう
)
の
零落
(
れいらく
)
が目に立つようになると、
雨乞
(
あまごい
)
の
鉦太鼓
(
かねたいこ
)
が一段と耳に響く土地柄でもあった。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
こっちは
零落
(
れいらく
)
はしていても、町での
古顔
(
ふるがお
)
だし、先方はみすぼらしい、労働者みたいな男だから、そうなると、もう
喧嘩
(
けんか
)
にならないんだ。……おれは、どうもそいつでないかと思うのだ
疑惑
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
もし
昨日
(
きのふ
)
まで
繁昌
(
はんじよう
)
したサンピールの
舊市街
(
きゆうしがい
)
零落
(
れいらく
)
した
跡
(
あと
)
を
噴出物流動
(
ふんしゆつぶつりゆうどう
)
の
方向
(
ほうこう
)
から
眺
(
なが
)
むれば、
殘
(
のこ
)
つた
壁
(
かべ
)
が
枯木林
(
かれきばやし
)
のように
見
(
み
)
え、それに
直角
(
ちよつかく
)
の
方向
(
ほうこう
)
から
見
(
み
)
ると
壁
(
かべ
)
の
正面整列
(
しようめんせいれつ
)
が
見
(
み
)
られたといふ。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
元
私
(
わたくし
)
はお梅も知って居ますが、奉公人の十四五人も使った身の上で、
此奴
(
こいつ
)
は今は婆アですが若い
中
(
うち
)
に了簡違いをして、此奴が来たからと云う訳でも有りませんが
此様
(
こんな
)
に
零落
(
れいらく
)
して、斯う云う処へ
引込
(
ひっこ
)
み
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
おほらかに
零落
(
れいらく
)
の戸を
瞰下
(
みおろ
)
して
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
悪人が
零落
(
れいらく
)
の第一歩を踏む時は、その家の中より何となく光が消えて、家が暗くなるように感ぜられるものである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
勝家は亡び、滝川一益も
零落
(
れいらく
)
してしまった今では、その
閲歴
(
えつれき
)
から、もののいえる人間は、かれ一人となっている。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
仰せらるゝ者かな
往古
(
むかし
)
は昔し今は今なり一旦貴殿に
惠
(
めぐ
)
みし金子を如何に某し
斯
(
かく
)
零落
(
れいらく
)
して一錢二錢の
袖乞
(
そでごひ
)
をなせばとて今更受取り申べき
謂
(
いはれ
)
なし貴殿が昔の恩を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「なぜって。——
可哀想
(
かわいそう
)
に、そんなに
零落
(
れいらく
)
したかなあ。——君道也先生、どんな、
服装
(
なり
)
をしていた」
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
遥々
(
はるばる
)
と是を一処に寄せ集めた、人間意力の
逞
(
たく
)
ましさには感動するが、是を大昔の世の常と見、今ある離れ小島の竹玉ツシ玉、貝や木の実を珠に貫くわざを、
零落
(
れいらく
)
退歩の姿
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
突然人間の
零落
(
れいらく
)
、老衰、病死なぞいう
特種
(
とくしゅ
)
の悲惨を附加えて見ずにはいられなかった。
夏の町
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
これが
唯一
(
ゆいいつ
)
の、娘も共に
零落
(
れいらく
)
させた父の
詫
(
わ
)
びの表明でもあり、心やりの言葉でもあった。小初は父の気持ちを察しないではないが、「何ぼ何でもあんまり負け
惜
(
お
)
しみ過ぎる」と悲しく
疎
(
うと
)
まれた。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
“零落”の意味
《名詞》
零落(れいらく)
葉が枯れて落ちること。
落ちぶれること。廃れること。
(出典:Wiktionary)
“零落”の解説
『零落』(れいらく)は、浅野いにおによる日本の漫画作品。『ビッグコミックスペリオール』(小学館)にて、2017年7号から同年16号まで連載されたnatalie170310。
(出典:Wikipedia)
零
常用漢字
中学
部首:⾬
13画
落
常用漢字
小3
部首:⾋
12画
“零落”で始まる語句
零落仕
零落果
零落者
零落末裔