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途
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みち
ふりがな文庫
“
途
(
みち
)” の例文
北村君の生涯の中の晩年の面影だとか、北村君の開こうとした
途
(
みち
)
だとか、そういう風のものに就ては私は已にいくらか発表してある。
北村透谷の短き一生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
李一は小さいガラスの瓶に二疋の人魚を入れて、いまは全く夜になった海岸の町を指して帰ってゆく
途
(
みち
)
で、瓶の中から
繊
(
ほそ
)
い声がして
不思議な魚
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
私にとっては血の出るようなその金を、これと言って使い
途
(
みち
)
のわからぬようなことに使って、今になってもまだそんなに借金がある。
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
是を果して知る
途
(
みち
)
がまったく無いかどうか。そういうことを自分は考えている。
勿論
(
もちろん
)
直接に是を書いて伝えようとしたものは少ない。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
変化
(
へんげ
)
の術ももとより知らぬ。
途
(
みち
)
で
妖怪
(
ようかい
)
に襲われれば、すぐに
掴
(
つか
)
まってしまう。弱いというよりも、まるで自己防衛の本能がないのだ。
悟浄歎異:―沙門悟浄の手記―
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
▼ もっと見る
私はもう、当って
砕
(
くだ
)
けるよりほかに
途
(
みち
)
がないと思った。何でもいい、ただ行って見よう。行ってどうかしよう。こう私は腹をきめた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
「
宅
(
うち
)
の狗か。」判事はだしぬけに
途
(
みち
)
の真中で鼻を
抓
(
つま
)
まれたやうな顔をした。「それぢや仕方がない、盗まれた肉代は幾らだつたね。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「先程申したのは戯れでござる、高麗村へおいでとあれば、どうせ吾々も帰り
途
(
みち
)
、一緒にまいって御隠家様へお取次いたすであろう」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いくら
考
(
かんが
)
えたってしかたがないことだ。
俺
(
おれ
)
たちは
働
(
はたら
)
くより
途
(
みち
)
がないのだ。」と、
乙
(
おつ
)
は
甲
(
こう
)
を
悟
(
さと
)
し、
自分
(
じぶん
)
を
勇気
(
ゆうき
)
づけるようにいいました。
一本の釣りざお
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そのほか小船はあるにはあるが、使い
途
(
みち
)
にならない。隣の村に人をやって訊いてみたが、もうみんな約束済であいてる船は一つもない。
村芝居
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
飛騨路というのは峰の小屋から路を右手にとり、二の池の岸を
繞
(
めぐ
)
って
磊々
(
らいらい
)
たる小石の中を下って行くので、
途
(
みち
)
というべき途はない。
木曽御嶽の両面
(新字新仮名)
/
吉江喬松
(著)
「そうだね、
玄妙観
(
げんみょうかん
)
へ往って
魏法師
(
ぎほうし
)
に頼むより他に
途
(
みち
)
がないね、魏法師は、
故
(
もと
)
の
開府王真人
(
かいふおうしんじん
)
の弟子で、
符籙
(
かじふだ
)
にかけては、天下第一じゃ」
牡丹灯籠 牡丹灯記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
心の許さぬ、望みのない思ひをいさぎよく
棄
(
す
)
てるに最も安全な
途
(
みち
)
は
寧
(
むし
)
ろ其の相手の欠陥に幻滅を起すことより他になかつたからである。
煤煙の匂ひ
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
宇津木兵馬は一緒に竜王村の方へ入る
途
(
みち
)
すがら話して行くと、この金公という折助がいかにもくだらない人間であることを知りました。
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
思い詰めれば何事も
途
(
みち
)
のふさがるものだが、一転機に立って
勘考方
(
かんがえかた
)
を変えてみれば、なんだつまらねえ、何もやきもきすることはない。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
いつ動きだすやら判りもせん船を待っとらねならん、宝ものにしておいた家の道具はみんな潮水に濡れて、使い
途
(
みち
)
も無くなった、見んか
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
幽明交通
(
ゆうめいこうつう
)
の
途
(
みち
)
が
杜絶
(
とだえ
)
ているせいか、
近頃
(
ちかごろ
)
の
人間
(
にんげん
)
はまるきり
駄目
(
だめ
)
じゃ……。
昔
(
むかし
)
の
人間
(
にんげん
)
にはそれ
位
(
くらい
)
のことがよく
判
(
わか
)
っていたものじゃが……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
葉書を出しに行く
途
(
みち
)
で
鮭
(
さけ
)
の切身をひと切れ買って、まちがえてその鮭のほうを郵便函へほうり込んでしまったこともありました。
初看板
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
何度も同じ小みちに出入した後、僕は
古樒
(
ふるしきみ
)
を
焚
(
た
)
いていた墓地掃除の女に
途
(
みち
)
を教わり、大きい先生のお墓の前へやっとK君をつれて行った。
年末の一日
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
風揉めの為に立ち枯れた木が時々骸骨のように白くされて
途
(
みち
)
に倒れているのもあるが、下生えの若木が無いので甚しく邪魔にもならない。
奥秩父の山旅日記
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
途
(
みち
)
すがら薫は浮舟を早く京へ迎えなかったことの後悔ばかりを覚えて、水の音の聞こえてくる間は心が騒いでしかたがなかった。
源氏物語:54 蜻蛉
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
戸田様に御奉公をしている兄にも頼んで、方々へ渡りがつけてあるから、近いうちには何とか
仕官
(
しかん
)
の
途
(
みち
)
も着こうかと思っている。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
19の黒い制服には
金釦
(
きんぼたん
)
が重要性をつけていた。すべてが
巴里
(
パリー
)
からドライヴして来た人に
相応
(
ふさわ
)
しい「長い
途
(
みち
)
に狐色になった
荒
(
ラフ
)
さ」
踊る地平線:09 Mrs.7 and Mr.23
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
僅かな
途
(
みち
)
のりであるが、私の乗った電車は、その渓から枝別れして、ポスキヤーヴォの谷底を、ベルニナさして向かうのである。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
そして我らキリストの
救
(
すくい
)
に浴して永遠の生命を信ずる者は、ヨブのこの
詰問
(
きつもん
)
に対しては永生の真理を以てこれに答うるを最上の
途
(
みち
)
とする。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
イエスは
途
(
みち
)
すがら、エルサレムにて御自身を待つ運命について明瞭に語り給うたのですが、弟子たちにはどうしても本気にそう思えない。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
俺にしろもうあの時はあの女を思ふさま淫逸な欲念と熾烈な死と官能の幻惑の中に引きずり廻すより外に
途
(
みち
)
が無いと思つたのだ。
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
再
(
ふたゝび
)
荊棘
(
けいきよく
)
の
条
(
えだ
)
を
取
(
とり
)
香花
(
かうくわ
)
神前
(
しんぜん
)
に
挿
(
さしはさみ
)
供
(
くうず
)
。次に
集
(
あつま
)
る
各童
(
わらべども
)
手に木刀を
執
(
とり
)
途
(
みち
)
に
隊閙
(
たいだうし
)
、
凡
(
すべて
)
有婚
(
こんれいして
)
无子
(
こなき
)
の
婦
(
をんな
)
木刀を
将
(
もつ
)
て
遍身
(
へんしん
)
打之
(
これをうち
)
口に
荷花蘭蜜
(
こばらみ
)
と
舎
(
とな
)
ふ。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
今の僕の心持では、そうする外に
途
(
みち
)
がないのだ。この恐ろしい疑いを抱いたまま、じっとしていることは、一日だって出来ない。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
私はその後、始終ナオミとダンスに行くようになりましたが、その
度毎
(
たびごと
)
に彼女の欠点が鼻につくので、帰り
途
(
みち
)
にはきっと厭な気持になる。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
どの
途
(
みち
)
迷信は人間にはつきものであって、これのない人はどこにもない。科学者には科学上の迷信があり、思想家には思想上の迷信がある。
千人針
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
帰朝歓迎会なんていうものくらい下らんものはありませんね。あの場ではみんなが心にもなくほめちぎっておいて、帰り
途
(
みち
)
にはみんな悪口を
華やかな罪過
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
「この間の小説はもう出来上ったか。」と唖々子はわたしに導かれて、電車通の
鰻屋
(
うなぎや
)
宮川へ行く
途
(
みち
)
すがらわたしに問いかけた。
十日の菊
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
活字に
附
(
ふ
)
せられたものは、未発表の部分の単なる標本として
之
(
これ
)
を取扱い、
他日
(
たじつ
)
全部公開の機会の到来を待つより外に
途
(
みち
)
がない。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
昨日飛行場からの帰り
途
(
みち
)
でジャネットに私がアーミー・ジョンソンの様に女流陸軍飛行家希望の事や、ママが賛成して呉れぬ事を話したの。
母と娘
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
かれは
途
(
みち
)
ゆく人を呼び止めて話した、
居酒屋
(
いざかや
)
へ行っては酒をのむ人にまで話した。次の日曜日、人々が会堂から出かける所を見ては話した。
糸くず
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
小さい時、いねは寺子屋の帰り
途
(
みち
)
などで、すぐその近くにある妾の家を出入りする父親の姿を見かけた。黒い羽織を着ていた。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
「そりゃ駄目だよ」と天願氏があわてて私の腕を
掴
(
つか
)
んだ。「僕の所に今晩は居てくれよ。どの
途
(
みち
)
ざわざわして何も出来やしないだろうから」
風宴
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
或る朝、私は例の気まぐれから峠まで登った帰り
途
(
みち
)
、その峠の上にある小さな部落の子供
等
(
ら
)
二人と道づれになって降りて来たことがあった。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
また
石器
(
せつき
)
の
形
(
かたち
)
も
大體
(
だいたい
)
は
前
(
まへ
)
の
時代
(
じだい
)
よりは
小形
(
こがた
)
のものが
多
(
おほ
)
く、しかも
石器
(
せつき
)
の
使
(
つか
)
ひ
途
(
みち
)
によつて
種々
(
しゆ/″\
)
異
(
こと
)
なつた
形
(
かたち
)
のものがわかれて
發達
(
はつたつ
)
して
來
(
き
)
ました。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
思へば戀てふ惡魔に骨髓深く
魅入
(
みい
)
られし身は、戀と共に浮世に斃れんか、
將
(
は
)
た戀と共に世を捨てんか、
擇
(
えら
)
ぶべき
途
(
みち
)
只〻此の二つありしのみ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
生きた兎が飛び出せば伏勢でもあるかと刀に手が掛かり、死んだ兎が
途
(
みち
)
にあれば敵の
謀計
(
はかりごと
)
でもあるかと腕がとりしばられる。
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
三藏は歸
途
(
みち
)
で、ふと尋中卒業の時の祝賀會の事を思ひ出した。さうして自分から進んでお弓をやらうと言ひ出した當時の心持が思ひ出された。
俳諧師
(旧字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
途
(
みち
)
に一騎の驕将を
懲
(
こ
)
らすといふ一段を五行或は四行の大字にものしぬるに
字行
(
じのかたち
)
もシドロモドロにて
且
(
かつ
)
墨の
続
(
つ
)
かぬ処ありて読み難しと云へば
其
(
そ
)
を
八犬伝談余
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
田甫道
(
たんぼみち
)
をちらちらする
提燈
(
ちょうちん
)
の数が多いのは大津法学士の婚礼があるからで、校長もその席に招かれた一人二人に
途
(
みち
)
で
逢
(
あ
)
った。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
米子の滝の
勝
(
しょう
)
を
語
(
かた
)
りて、ここへ来し
途
(
みち
)
なる須坂より遠からずと
教
(
おし
)
えらる。滝の話は、かねても聞きしことなれど、往て
観
(
み
)
んとおもう心切なり。
みちの記
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
この
途
(
みち
)
をとりました、師範として立直ることはできなかったが、——剣士としては、無神流の技を存分にふるい、存分に闘って倒れたのです。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
されど我等主題を遠く離れたれば、今目を
轉
(
めぐ
)
らして正路を見るべし、さらば時とともに
途
(
みち
)
を短うするをえむ 一二七—一二九
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
私の眼はきらきらしました。しだいに
帰
(
かえ
)
り
途
(
みち
)
の暑さが
想
(
おも
)
いやられるようになりました。私は兄さんを
促
(
うなが
)
してまた山を下りました。その時です。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
旧幕時代には
裕福
(
ゆうふく
)
だった上に、明治になってからも
貨殖
(
かしょく
)
の
途
(
みち
)
が巧みだったと見えて、今では華族中でも屈指の富豪だった。
黄鳥の嘆き:——二川家殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
“途”の意味
《名詞》
(ト、みち)道。道筋。
(出典:Wiktionary)
途
常用漢字
中学
部首:⾡
10画
“途”を含む語句
前途
帰途
途中
一途
途上
歸途
目途
冥途
中途
行途
途端
途絶
途次
長途
三途河
途切
半途
途断
途法
中途半端
...