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詫
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わび
ふりがな文庫
“
詫
(
わび
)” の例文
足りなければ何回でもお
詫
(
わび
)
します。しかしあんなことのために全然愛想づかしをして、前々からの手紙まで取り返すというのは
酷
(
ひど
)
い。
ふみたば
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
ば
詫
(
わび
)
させ其夜の中に事を
濟
(
すま
)
せ叔母も名主方へぞ參りける是は傳吉が
留守中
(
るすちう
)
おはや憑司は
不義
(
ふぎ
)
なしお梅は昌次郎と
密通
(
みつつう
)
に及びて居たるを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
魂消
(
たまげ
)
た気の毒な顔をして、くどくど
詫
(
わび
)
をいいながら、そのまま、
跣足
(
はだし
)
で、雨の中を、びたびた、二町ばかりも道案内をしてくれた。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
火事息子といふ言葉もある位で何か騷ぎのある時驅けつけるのが、勘當された息子の
詫
(
わび
)
を入れる定石になつて居る時代のことです。
銭形平次捕物控:011 南蛮秘法箋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
文「姉さん、帰るんならどうせ
通道
(
とおりみち
)
だから送って上げよう、大きに
御厄介
(
ごやっかい
)
になりました、
明日
(
あした
)
来て奉公人や何かへ
詫
(
わび
)
をしましょう」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
秋雨
(
あきさめ
)
を
衝
(
つ
)
いて
箱根
(
はこね
)
の旧道を
下
(
くだ
)
る。
笈
(
おい
)
の
平
(
たいら
)
の茶店に休むと、
神崎与五郎
(
かんざきよごろう
)
が
博労
(
ばくろう
)
の
丑五郎
(
うしごろう
)
に
詫
(
わび
)
証文をかいた故蹟という立て札がみえる。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
彼は唯今日まで嫂に隠して置いたその
詫
(
わび
)
の心を書くだけに満足しようとした。短く、短くと、心掛けた手紙は夜の二時頃までも掛った。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「サア姫や。嘘を
吐
(
つ
)
いて済みませんでしたとお云い。これから決して嘘を
吐
(
つ
)
きませんとお云い。お母さんが
詫
(
わび
)
をして上げるから」
オシャベリ姫
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
かぐつちみどり
(著)
到頭
(
とうとう
)
仕舞
(
しまい
)
には洋書を読むことを
罷
(
や
)
めて仕舞うて攘夷論でも唱えたらば、ソレはお
詫
(
わび
)
が済むだろうが、マサカそんな事も出来ない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
吉公も口のなかでぶつぶつ
詫
(
わび
)
を云って、親方より一つくらい余計におじぎをした。錺職の徳治が二度めに、来たとき、むっとした口ぶりで
七日七夜
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
我は響きをききてその再び閉されしことを知りたり、我若し目をこれにむけたらんには、いかなる
詫
(
わび
)
も豈この咎にふさはしからんや 四—六
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
堪忍
(
かんにん
)
して堪忍してと繰返し繰返し、さながら目の前の何やらに向つて
詫
(
わび
)
るやうに言ふかと思へば、今
行
(
ゆき
)
まする、今行まする
うつせみ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「いやあ、一寸お
詫
(
わび
)
をしなけりゃならんですが、今までご覧に入れたのは、皆な火星の果実でもなんでもありません、この地上のものですよ」
火星の魔術師
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
おまへは
詫
(
わび
)
をしても忘れるから困り升。今度は忘れさせない様にせずばなるまい、おまへ自分の金をいくらか持つて居るか?
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
世話ついでに死後の
片付方
(
かたづけかた
)
も頼みたいという言葉もありました。奥さんに迷惑を掛けて済まんから
宜
(
よろ
)
しく
詫
(
わび
)
をしてくれという句もありました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
尤
(
もっと
)
も
表向
(
おもてむき
)
は手が切れた事になったんで、中に人もはいり、師匠の方も
詫
(
わび
)
が叶い、元通り稽古を始めましたから、食う道はつくようになりました。
あぢさゐ
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「ならば、そちが来ても仕方があるまい。それよりは、わしの申したことを御隠家殿に伝えて、
詫
(
わび
)
を入れた方がよかろう」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「お
前
(
まえ
)
さんにあやまらせようと
思
(
おも
)
って、こんなにおそく、わざわざひとりで
出
(
で
)
て
来
(
き
)
た
訳
(
わけ
)
じゃァさらさらない。
詫
(
わび
)
なんぞは
無用
(
むよう
)
にしておくんなさい」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
例の鋭い眼を
据
(
す
)
えて考え込み、
飯店
(
ファンテン
)
の亭主が出て来てしきりに
詫
(
わび
)
をいうのも聞き流して、真青な顔をして飯店を出た。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
「よかろう。俺がおまえに娘を一人生ませなかった
詫
(
わび
)
だと思えば何んでもない。仕儀によったらそれをやろう」
雛妓
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
妾
(
わたくし
)
がお呼び立ていたした罪は、幾重にもお
詫
(
わび
)
いたしますわ。でも、お互に理解しない者同士が、
何時
(
いつ
)
まで向い会っていても、全く無意味だとも思いますわ。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
それに、
生徒監
(
せいとかん
)
はとても
愛想
(
あいそ
)
よく
母親
(
ははおや
)
を
迎
(
むか
)
えて、さんざんお
詫
(
わび
)
をいったのだから、その上どう
仕様
(
しよう
)
があろう?
身体検査
(新字新仮名)
/
フョードル・ソログープ
(著)
聞ちゃ、しろと仰しゃッてももう出来ない……がそうすると、母親さんにお
詫
(
わび
)
を申さなければならないが……
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
京子にはお
詫
(
わび
)
のしようもないほど済まぬことだけれど、済まない済まないと思いながら、やっぱり、私はこうして、夜毎にお前の顔を見ないではいられぬのだ。
人でなしの恋
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
母親は物優しく「まあ二郎ちゃん、お前さんは何をしだい、何もしない兄さんを
打
(
ぶつ
)
なんて、お父さんがお帰りですと叱られたら
何
(
どう
)
なさいます。さあお
詫
(
わび
)
をなさい。」
迷い路
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
呆気
(
あっけ
)
にとられた女はどうしてお
詫
(
わび
)
してよいかに迷って、おずおずし乍ら彼の顔を見つめて居た。
初往診
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
然し、そんな事を言ひに来たではない、私の方にも
如何様
(
いかさま
)
手落があつたで、その
詫
(
わび
)
も言はうし、又昔も今も
此方
(
こちら
)
には心持に
異変
(
かはり
)
は無いのだから、それが第一に知らせたい。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「それから、その
詫
(
わび
)
の
印
(
しるし
)
にていんで、二百——ハヽヽッ、旦那兄貴はなんか言ってましたか」
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
学事をも捨てて出京して、先生にすっかりお打明申して、お
詫
(
わび
)
も申上げ、お情にも
縋
(
すが
)
って、万事円満に参るようにと、そういう目的で急に出て参ったとのことで御座います。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
エルリングが肩の上には、例の烏が止まって今己が出し抜けに来た
詫
(
わび
)
を云うのを、真面目な
顔附
(
かおつき
)
で聞いていたが、エルリングが座を
起
(
た
)
ったので、鳥は部屋の隅へ飛んで行った。
冬の王
(新字新仮名)
/
ハンス・ランド
(著)
では今日の所は、私からよくお客さまにお
詫
(
わび
)
を申しあげて置くから、これからよく気をつけなくちゃいけないよ。いいか。もう決して学校で禁じてあることをしてはならんぞ。
茨海小学校
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
父は人力車夫の
咽
(
のど
)
のあたり項のあたりを二三度こづいたが、それでも人力車夫は再び起き上つて父と争はうとした。そのとき乗つてゐた老翁が
頻
(
しき
)
りにそれを止め父に
詫
(
わび
)
をした。
念珠集
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
「そんな事をして好いのかい。どうせお
詫
(
わび
)
を入れて、
此方
(
こっち
)
から帰って行くことになるんだからね」姉は手ばしこく働くお島の様子を眺めながら、子供を
揺
(
ゆす
)
り揺り突立っていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
これもと
我
(
わが
)
なしたる
罪
(
つみ
)
なれば、人はしらずとも
余処目
(
よそめ
)
に見んはそらおそろしく、命をかけて
契
(
ちぎ
)
りたることばにもたがへりとおもふから、むすめごの
命
(
いのち
)
に
代
(
かは
)
りて神に御
罰
(
ばつ
)
を
詫
(
わび
)
候はん。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
村中の人よりも誰より彼よりも一番熱心に満の帰りを待ち
詫
(
わび
)
けるはこの娘なり。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
そんなことを繰り返しているうちに自分はかなり参って来た。郵便局で葉書を買って、家へ金の礼と友達へ無沙汰の
詫
(
わび
)
を書く。机の前ではどうしても書けなかったのが割合すらすら書けた。
泥濘
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
「
難有
(
ありがと
)
う御座います。それで僕も安心しました。イヤ
真
(
まこと
)
に失礼しました
匆卒
(
いきなり
)
貴様を
詰
(
とが
)
めまして……」と彼は人を
圧
(
おし
)
つけようとする最初の気勢とは
打
(
うっ
)
て変り、
如何
(
いか
)
にも力なげに
詫
(
わび
)
たのを見て
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
後の日に迢空は切角の赤の飯を食べそこねましたと、上方なまりで
詫
(
わび
)
て言われた。では、来年はうけとって下さいと私は言ったが、翌年の春に持って行ったかどうか、今はおぼえていない。
我が愛する詩人の伝記
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
婿の出仕祝と無沙汰の
詫
(
わび
)
とを兼ねたのであるが、ついでに保子が生んだ九条家若公のいたいけな姿を見、その容儀神妙なるを喜び、馳走を受け、前後を忘るるほどに沈酔して帰宅したとある。
東山時代における一縉紳の生活
(新字新仮名)
/
原勝郎
(著)
今ネ、
何処
(
どこ
)
からか電話で、——何でも警視庁とか云つてでしたの——
報
(
しら
)
して来たんです、
阿父
(
おとつさん
)
が
阿母
(
おつかさん
)
に話して
在
(
い
)
らしつてよ、是れで
漸
(
やうや
)
く松島さんへ、お
詫
(
わび
)
が出来るつて、ほんとに
左様
(
さう
)
だわねエ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
こう言っても、やっぱり丸い眼をして——舞台で見るのとはまるで違う、生彩のない無邪気な眼をむけて、だまって、
度外
(
どはず
)
れた時分にちょいと首を
傾
(
かし
)
げて挨拶とお
詫
(
わび
)
とをかねたこっくりをした。
松井須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
果して屈静源は
有司
(
ゆうし
)
に属して
追理
(
ついり
)
しようとしたから、王廷珸は大しくじりで、一目散に姿を
匿
(
かく
)
してしまって、人をたのんで
詫
(
わび
)
を入れ、別に偽物などを贈って、やっと
牢獄
(
ろうや
)
へ打込まれるのを
免
(
まぬか
)
れた。
骨董
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
これにつけて、
私
(
わたくし
)
は
一
(
ひと
)
つ
是非
(
ぜひ
)
あなたに
折入
(
おりい
)
ってお
詫
(
わ
)
びしなければならぬことがございます。
実
(
じつ
)
はこのお
詫
(
わび
)
をしたいばかりに、
今日
(
きょう
)
わざわざ
神様
(
かみさま
)
にお
依
(
たの
)
みして、つれて
来
(
き
)
て
戴
(
いただ
)
きましたような
次第
(
しだい
)
で……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「兵馬さえなくば、父に
詫
(
わび
)
して故郷へ帰ることも……」
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
醉心地
(
ゑひごこち
)
、
愛
(
め
)
でのまどひを、——あな
詫
(
わび
)
し
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
「申訳ありません。お
詫
(
わび
)
に上りました」
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
二人は、心からお
詫
(
わび
)
をしました。
シンデレラ
(新字新仮名)
/
水谷まさる
(著)
甲「いえ/\誠に恐入りました、
酔
(
よい
)
に乗じ
甚
(
はなは
)
だ詰らん事を申して、お気に障ったら幾重にもお
詫
(
わび
)
を致します、どうか御勘弁を願います」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
火事息子という言葉もあるくらいで何か騒ぎのあるとき駆けつけるのが、勘当された息子の
詫
(
わび
)
を入れる
定石
(
じょうせき
)
になっている時代のことです。
銭形平次捕物控:011 南蛮秘法箋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
上
(
あげ
)
何卒
(
なにとぞ
)
免
(
ゆる
)
してたべ
妾
(
わたし
)
は源次郎と
言
(
いふ
)
夫
(
をつと
)
のある身金子が入なら夫より必ずお前に
進
(
まゐら
)
せん何卒我家へ回してと
泣々
(
なく/\
)
詫
(
わび
)
るを一向聞ず彼の
雲助
(
くもすけ
)
は眼を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
詫
漢検準1級
部首:⾔
13画
“詫”を含む語句
御詫
詫入
詫言
詫証文
待詫
詫手紙
詫宣
詫状
詫間
詫事
詫住居
詫金
詫磨
詫異
詫火
詫書
詫入申
右詫金
詫住
詫付
...