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裁縫
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しごと
ふりがな文庫
“
裁縫
(
しごと
)” の例文
その時分四十位の
中柄
(
ちゅうがら
)
の男で勢いの好い、職人はだで、
平日
(
しじゅう
)
どてらを着ていた。おかみさんが、弟子のそばで
裁縫
(
しごと
)
をしていたものだ。
旧聞日本橋:22 大門通り界隈一束(続旧聞日本橋・その一)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
清三は夕暮れ近くまで、母親の
裁縫
(
しごと
)
するかたわらの暗い窓の下で、
熊谷
(
くまがや
)
にいる同窓の友に手紙を書いたり、新聞を読んだりしていた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
御米が茶の間で、たった一人
裁縫
(
しごと
)
をしていると、時々
御爺
(
おじい
)
さんと云う声がした。それはこの本多の御婆さんが夫を呼ぶ声であった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
就
(
つい
)
ては
彼
(
あ
)
の菊を手前の女房に
遣
(
や
)
ろうと思うが、気に入りませんかえ、随分器量も
好
(
よ
)
く、
心立
(
こゝろだて
)
も至極宜しく、髪も結い、
裁縫
(
しごと
)
も
能
(
よ
)
くするよ
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
さあ段々絵を見ると其
理解
(
わけ
)
が聴きたくなつて、母が
裁縫
(
しごと
)
なんかして居ると、
其処
(
そこ
)
へ行つては聞きましたが、面倒くさがつてナカ/\教へない。
いろ扱ひ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
炉の
隅
(
すみ
)
に転げて居る
白鳥
(
はくちょう
)
徳利
(
どくり
)
の寐姿
忌〻
(
いまいま
)
しそうに
睨
(
ね
)
めたる
眼
(
め
)
をジロリと注ぎ、
裁縫
(
しごと
)
に急がしき手を
止
(
とめ
)
さして無理な
吩附
(
いいつけ
)
、跡引き上戸の言葉は針
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
お利代は一生懸命
裁縫
(
しごと
)
に励んでゐる。時には智恵子から習つた讃美歌を、小声で小供らに歌つて聞かしてる事もある。村では好からぬ噂を立てた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
お母さんは何処にいるんだ? と聞くと、下谷にいて、
他家
(
よそ
)
の間を借りて、
裁縫
(
しごと
)
をしているんです、と言う。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
……それ源ちゃんは
斯様
(
こんな
)
だし、今も彼の
裁縫
(
しごと
)
しながら
色々
(
いろん
)
なことを思うと悲しくなって泣きたく
成
(
なっ
)
て来たから、口のうちで唱歌を歌ってまぎらしたところなの。
二少女
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
四日程
逗留
(
とうりゅう
)
して、
台所
(
だいどこ
)
をしたり、
裁縫
(
しごと
)
を
手伝
(
てつだ
)
ったり、折から不元気で居た妻を一方ならず助けて往った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
で、私はね、町の女子供を寄せて手習いや、
裁縫
(
しごと
)
を教えたり、夜もおそくまで、賃仕事をしましてね。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
お兼 今の
間
(
ま
)
に少し
裁縫
(
しごと
)
をしよう。(炉のはたに近く縫いさしの着物を持ちきたり針を動かす)
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
お
裁縫
(
しごと
)
やお洗濯にも相当自信がありますし、お望みなら、部屋の中に、いつも花ぐらいは絶やさないようにして置きますわ。……それから、あたしは咳によく利く薬草の
煎
(
せん
)
じ方も知っているんです!
キャラコさん:04 女の手
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
裁縫
(
しごと
)
をするそばの火鉢で、
丹念
(
たんねん
)
に煮物をする。
女中訓
(新字新仮名)
/
羽仁もと子
(著)
「それではお
裁縫
(
しごと
)
?」
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「
本當
(
ほんたう
)
に
好
(
い
)
い
御天氣
(
おてんき
)
だわね」と
半
(
なか
)
ば
獨
(
ひと
)
り
言
(
ごと
)
の
樣
(
やう
)
に
云
(
い
)
ひながら、
障子
(
しやうじ
)
を
開
(
あ
)
けた
儘
(
まゝ
)
又
(
また
)
裁縫
(
しごと
)
を
始
(
はじ
)
めた。すると
宗助
(
そうすけ
)
は
肱
(
ひぢ
)
で
挾
(
はさ
)
んだ
頭
(
あたま
)
を
少
(
すこ
)
し
擡
(
もた
)
げて
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
あんたはお
家
(
うち
)
で
柔和
(
おとな
)
しやかに
裁縫
(
しごと
)
をなすっていらっしゃるは、どうも恐入りますねえ、ド、どうも富五郎どうも頂きました
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
剪刀
(
はさみ
)
を袖の下へ
秘
(
かく
)
して来て、
四辺
(
あたり
)
を
眗
(
みまわ
)
して、ずぶりと入れると、昔取った千代紙なり、めっきり
裁縫
(
しごと
)
は上達なり、見事な手際でチョキチョキチョキ。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
薄暗く
火屋
(
ほや
)
の曇つた、紙笠の破れた三分心の吊洋燈の下で、物思はし氣に悄然と坐つて
裁縫
(
しごと
)
をしてゐたお利代は、『あ、お歸りで御座いますか。』と忙しく出迎へる。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
嬉いのうと悦んで其儘
戸外
(
おもて
)
へ駈け出し、珍らしう暖い天気に浮かれて小竿持ち、空に飛び交ふ
赤蜻蜓
(
あかとんぼ
)
を
撲
(
はた
)
いて取らうと何処の町まで行つたやら、嗚呼考へ込めば
裁縫
(
しごと
)
も厭気になつて来る
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
姉は話しながら
裁縫
(
しごと
)
の針を止めぬのである。前に
鴨脚
(
いちょう
)
の大きい
裁物板
(
たちものいた
)
が据えられて、
彩絹
(
きぬ
)
の
裁片
(
たちきれ
)
や糸や
鋏
(
はさみ
)
やが順序なく
四面
(
あたり
)
に乱れている。女物の美しい色に、
洋燈
(
ランプ
)
の光が明かに照り渡った。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
裁縫
(
しごと
)
をさせますと、日が一日
襦袢
(
じゅばん
)
の
袖
(
そで
)
をひねくっていましてね、お
惣菜
(
そうざい
)
の大根をゆでなさいと申しますと、あなた、大根を
俎板
(
まないた
)
に載せまして、
庖丁
(
ほうちょう
)
を持ったきりぼんやりしておるのでございますよ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
裁縫
(
しごと
)
をしていた婆さんは、針の手をやめて、大きな
眼鏡
(
めがね
)
の上から
睨
(
にら
)
むように敬太郎を見たが、ただ一口、
占
(
うら
)
ないですかと聞いた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
富「毎度面倒な事を頼んで、大分
裁縫
(
しごと
)
が
巧
(
うま
)
いと云うので、大きに
妻
(
さい
)
も悦んでいる、
就
(
つい
)
ては忙しい中を
態々
(
わざ/\
)
呼んだのは他の事じゃアないが、此の
払物
(
はらいもの
)
の事だ」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ガタビシする入口の戸を開けると、其処から
見透
(
すとほ
)
しの台所の
炉辺
(
ろばた
)
に、薄暗く
火屋
(
ほや
)
の曇つた、紙笠の破れた三分心の
吊洋燈
(
つりらんぷ
)
の
下
(
もと
)
で、物思はし気に
悄然
(
しよんぼり
)
と坐つて
裁縫
(
しごと
)
をしてゐたお利代は
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
でも、そうやって検死されるのを、死ねば……あの、空から、お振袖を着て見ているから可いわ。私お
裁縫
(
しごと
)
が少し出来ます、
貴方
(
あなた
)
にも、ちゃんと
衣服
(
きもの
)
を着せますよ、お
袴
(
はかま
)
もはかせましょうね。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
嬉しいのうと
悦
(
よろこ
)
んでそのまま
戸外
(
おもて
)
へ駈け
出
(
いだ
)
し、珍らしゅう暖かい天気に浮かれて
小竿
(
こざお
)
持ち、空に飛び交う
赤蜻蜓
(
あかとんぼ
)
を
撲
(
はた
)
いて取ろうとどこの町まで行ったやら、ああ考え込めば
裁縫
(
しごと
)
も厭気になって来る
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
細君は
裁縫
(
しごと
)
が一番好きであった。
夜
(
よる
)
眼が
冴
(
さ
)
えて
寐
(
ね
)
られない時などは、一時でも二時でも構わずに、細い針の目を
洋燈
(
ランプ
)
の下に運ばせていた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
富「中々
寝度
(
ねた
)
くない、一服頂戴、お母様はお寺参り、また和尚さんと長話し、和尚様はべら/\有難そうにいいますね、だが
貴方
(
あんた
)
がお
裁縫
(
しごと
)
姿の
柔和
(
おとな
)
しやかなるは実に恐れ入りますねえ」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「本当に好い御天気だわね」と
半
(
なか
)
ば
独
(
ひと
)
り
言
(
ごと
)
のように云いながら、障子を開けたまままた
裁縫
(
しごと
)
を始めた。すると宗助は肱で挟んだ頭を少し
擡
(
もた
)
げて
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
縁側から
突飛
(
つきとば
)
したり…こんなに
疵
(
きず
)
が有るよ、あのね
裁縫
(
しごと
)
が出来ないに出来る振をして、お父さんが帰ると広げて出来る振をして居るの、お父さんが出て
行
(
ゆ
)
くと、
突然
(
いきなり
)
片付けて
豌豆
(
えんどうまめ
)
が好きで
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
敬太郎
(
けいたろう
)
はこう観察して、そっと
餡転餅屋
(
あんころもちや
)
に似た差掛の奥を
覗
(
のぞ
)
いて見ると、
小作
(
こづく
)
りな婆さんがたった一人
裁縫
(
しごと
)
をしていた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
富「茶屋町の
裁縫
(
しごと
)
をいたす縫というものは何かえ、
彼
(
あれ
)
は亭主でも有るのか」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
私の知っている母は、常に大きな
眼鏡
(
めがね
)
をかけて
裁縫
(
しごと
)
をしていた。その眼鏡は鉄縁の古風なもので、
球
(
たま
)
の大きさが
直径
(
さしわたし
)
二寸以上もあったように思われる。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
母は寺参りに往ってお隅が一人奥で
裁縫
(
しごと
)
をしている。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
裁縫
(
しごと
)
の手を
休
(
や
)
めて、火熨に
逡巡
(
ためら
)
っていた糸子は、
入子菱
(
いりこびし
)
に
縢
(
かが
)
った指抜を
抽
(
ぬ
)
いて、
鵇色
(
ときいろ
)
に
銀
(
しろかね
)
の雨を刺す
針差
(
はりさし
)
を裏に、
如鱗木
(
じょりんもく
)
の塗美くしき
蓋
(
ふた
)
をはたと落した。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
喜いちゃんは、誰が詫まるものか、泥棒と云ったまま、
裁縫
(
しごと
)
をしている御母さんの
傍
(
そば
)
へ来て泣き出した。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
小女
(
こをんな
)
を
一人
(
ひとり
)
使
(
つか
)
つて、
朝
(
あさ
)
から
晩迄
(
ばんまで
)
ことりと
音
(
おと
)
もしない
樣
(
やう
)
に
靜
(
しづ
)
かな
生計
(
くらし
)
を
立
(
た
)
てゝゐた。
御米
(
およね
)
が
茶
(
ちや
)
の
間
(
ま
)
で、たつた
一人
(
ひとり
)
裁縫
(
しごと
)
をしてゐると、
時々
(
とき/″\
)
御爺
(
おぢい
)
さんと
云
(
い
)
ふ
聲
(
こゑ
)
がした。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
相變
(
あひかは
)
らず
精
(
せい
)
が
出
(
で
)
ますね」と
云
(
い
)
つたなり、
長火鉢
(
ながひばち
)
の
前
(
まへ
)
へ
胡坐
(
あぐら
)
をかいた。
嫂
(
あによめ
)
は
裁縫
(
しごと
)
を
隅
(
すみ
)
の
方
(
はう
)
へ
押
(
お
)
し
遺
(
や
)
つて
置
(
お
)
いて、
小六
(
ころく
)
の
向
(
むかふ
)
へ
來
(
き
)
て、
一寸
(
ちよつと
)
鐵瓶
(
てつびん
)
を
卸
(
おろ
)
して
炭
(
すみ
)
を
繼
(
つ
)
ぎ
始
(
はじ
)
めた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「字が書けなくっても、
裁縫
(
しごと
)
が出来なくっても、やっぱり姉のような亭主孝行な女の方が己は好きだ」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そうして
先刻
(
さっき
)
裁縫
(
しごと
)
をしていた時に散らばした
糸屑
(
いとくず
)
を拾って、その中から
紺
(
こん
)
と赤の絹糸のかなり長いのを
択
(
よ
)
り出して、敬太郎の見ている前で、それを
綺麗
(
きれい
)
に
縒
(
よ
)
り始めた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「そうして
裁縫
(
しごと
)
を勉強すると、今に御嫁に行くときに
金剛石
(
ダイヤモンド
)
の
指環
(
ゆびわ
)
を買ってやる」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
相生さんが先へ立って、この狭い往来を通ると、
裁縫
(
しごと
)
をしたり、子供を寝かしたりしている
神
(
かみ
)
さん達が、みんな
叮嚀
(
ていねい
)
に
挨拶
(
あいさつ
)
をする。しかし中には気がつかずに何か話しているのも見える。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
三十分ばかりして
格子
(
こうし
)
ががらりと
開
(
あ
)
いたので、御米はまた
裁縫
(
しごと
)
の手をやめて、縁伝いに玄関へ出て見ると、帰ったと思う宗助の代りに、高等学校の制帽を
被
(
かぶ
)
った、弟の
小六
(
ころく
)
が
這入
(
はい
)
って来た。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“裁縫”の意味
《名詞》
裁 縫(さいほう)
布地を裁って衣服などに縫い上げること。
(出典:Wiktionary)
“裁縫”の解説
裁縫(さいほう)は、布などを裁ち(裁断)、縫う(縫合)こと。手芸のうち針と糸などを使って布を縫い衣服などを制作する行為(広義の家事)。縫いもの、針仕事ともいう。マジックペンの使用や布を縛ることも裁縫の一部として知られている。
作業者は、針子、お針子、江戸時代には針妙(しんみょう)と呼ばれた。
(出典:Wikipedia)
裁
常用漢字
小6
部首:⾐
12画
縫
常用漢字
中学
部首:⽷
16画
“裁縫”で始まる語句
裁縫師
裁縫室
裁縫屋
裁縫物
裁縫料
裁縫係
裁縫器
裁縫機械