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罷
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まか
ふりがな文庫
“
罷
(
まか
)” の例文
「物申そうぞ! 物申そうぞ! 直参旗本早乙女主水之介、当所司代殿に火急の用向きあって
罷
(
まか
)
り越した。開門せいッ。開門せいッ」
旗本退屈男:04 第四話 京へ上った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
(予美と申すは地下の根底にありて、根の国、底の国とも申して、はなはだきたなく
悪
(
あ
)
しき国にて、死せる人の
罷
(
まか
)
り往くところなり)
通俗講義 霊魂不滅論
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
「
執刑
(
しっけい
)
は、佐々木入道道誉に申しつくる。なお道誉には、その儀、果たし次第、早々、鎌倉表へ身のみにて、
罷
(
まか
)
り
出
(
い
)
ずべきこと——」
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今晩
(
こんばん
)
の
泊
(
やど
)
に
連參
(
つれまゐ
)
れと申されければ幸藏はおせん與惣次に向ひ願の趣きお取上に
相成
(
あひなり
)
たれば今宵お
泊
(
とまり
)
の
御本陣迄
(
ごほんぢんまで
)
罷
(
まか
)
り出よと
云
(
い
)
ひ
置
(
おき
)
乘輿
(
のりもの
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
罷
(
まか
)
り間違えば自分も大工になるはずであったことなど思い出して
独
(
ひと
)
りでに笑いたくなるような気持にもなったりしたことでありました。
幕末維新懐古談:63 佐竹の原へ大仏を拵えたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
▼ もっと見る
もし尋ね出さずして帰り候わば、父の代りに処刑いたすべしと
仰
(
おお
)
せられ、伝兵衛諸国を遍歴せしに廻り合わざる趣にて
罷
(
まか
)
り帰り候。
興津弥五右衛門の遺書
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そのころは
罷
(
まか
)
り越し候もの売買をいたし、宗門をひろめ、その上、
干戈
(
かんか
)
をもって日本を横領する内々の所存にて参りし儀と存じ候。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「その溝で土左衛門になった日にゃ、八大八寒地獄でも、木戸を突きますよ。そんな臭い亡者は、地獄へ通すこと
罷
(
まか
)
りならぬとね」
銭形平次捕物控:242 腰抜け彌八
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
やむなく家康にお目にかかりに
罷
(
まか
)
り出でたことは出でたが、もとより家康は秀吉ではない、英雄ではあるけれども英雄の質が違う
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
この間などは「
其後
(
そのご
)
別に
恋着
(
れんちゃく
)
せる婦人も
無之
(
これなく
)
、いず
方
(
かた
)
より
艶書
(
えんしょ
)
も参らず、
先
(
ま
)
ず
先
(
ま
)
ず無事に消光
罷
(
まか
)
り在り
候
(
そろ
)
間、
乍憚
(
はばかりながら
)
御休心
可被下候
(
くださるべくそろ
)
」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
甲「出来んなら尚宜しい、さ出ろ、病身結構だ、広々した飛鳥山へ出て華々しく果合いをしなせえ、
最
(
も
)
う了簡
罷
(
まか
)
りならん、
篦棒
(
べらぼう
)
め」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
かねて双方の間に約束いたしおきたることは、もし当山に万一の事ありし時は、
速
(
すみや
)
かに私が
罷
(
まか
)
り出て、
精々
(
せいぜい
)
御助力いたすべく——
九条武子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
そのときは警察に
罷
(
まか
)
り出で、おおそれながら、実は松テキの野郎と長い竹竿を持ちまして、町内近郊をかくかく
斯様
(
かよう
)
でと。……
雷
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
踏む気だな、
可
(
い
)
いわ。踏むならば踏んで見ろ。おおそれながらと
罷
(
まか
)
り出て、
汝
(
きさま
)
の悪事を訴えて、首にしてやる覚悟しやあがれ。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
罷
(
まか
)
り間違ったらば、
其
(
そ
)
の喉笛にでも
啖
(
くら
)
い付いて
与
(
や
)
るまでのこと。勝負は時の運次第と、
彼女
(
かれ
)
は
咄嗟
(
とっさ
)
の
間
(
あいだ
)
に度胸を据えて
了
(
しま
)
った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「実は橋本閣下、私は今日は坊主になって
罷
(
まか
)
り出なければならないのですが、この
禿頭
(
はげあたま
)
に免じて、特別の
御用捨
(
ごようしゃ
)
を願います」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「待て!」とこの時頼正は、
凛然
(
りんぜん
)
として抑え付けた。「帰館する事
罷
(
まか
)
り成らぬ! 誰かある、湖中へ飛び入り灘兵衛の生死を見届けるよう!」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
両人共に二十三、四とも見ゆる若者にて、下田見物のため
罷
(
まか
)
り越したと申し候。
而
(
しこう
)
して彼らは二階の奥座敷を占め申し候。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
斯ういふ奴には
罷
(
まか
)
り間違へば江戸の仇を長崎で討たれるやうな目に遇ふから何でも寄らず触らずが無事で好いと、嬢様も
夫人
(
おくさま
)
も気味を悪るがつて
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
「わたくしでござります。御蔵前、門倉平馬、町人体の若者一人召し連れ、折り入って
御意
(
ぎょい
)
得たいと申し、ただ今、脇玄関まで
罷
(
まか
)
り出て居ります」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
面会不能で通った先生が、なんたる幸いぞ、逢おうという御通知、さっそく参上して裏木戸を無事に通過、庭先から奥の八畳の客室へ
罷
(
まか
)
り通った。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
往々考えが形而上的に走り、
罷
(
まか
)
り違えば誇大妄想狂となんら選む所のないような夢幻的の思索に陥って、いつの間にか科学の領域を逸する虞がある。
方則について
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「身どもらは、イシカリ税庫の建築を請負わしてもらいたいと思いまして、かくは、深夜もいとわず
罷
(
まか
)
りいでました」
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
全体私ども儀は尽忠報国の志士、依て今般御召に相応じ去る二月遙々上京仕り、皇命御尊載、夷侠攘斥の御英断承知仕り
度
(
た
)
き存志にて滞京
罷
(
まか
)
り
在
(
あ
)
り候。
新撰組
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
「このとおり
罷
(
まか
)
り出ました!」と彼は微笑して言った。たまらぬほど恥かしかったが、彼の出現がみんなにも恥かしい思いをさせているのが感じられた。
決闘
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
一、雲如生其後御地へ
罷
(
まか
)
り出候節小生を湯島の芝居と月旦致候由。此れは具
テ
レ
体
ヲ
而
モ
微なりといふ悪言なり。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
やがてそれも絶えると、僕は年齢の二十余りも違ふ大人の前に
罷
(
まか
)
り出た青年の、あの後悔を感ずるのであつた。
亡弟
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
わたしは
罷
(
まか
)
り間違えば一週間後には
縲絏
(
るいせつ
)
の辱めを受けているか最早やこの世にはいない人間である。話しつゝある間も心はしんとして首の座に直っていた。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
今既に事済んだ上は転じて福を天下に行うべし、
住
(
とど
)
まる事
罷
(
まか
)
りならずと言い終って忽然見えずなったとある。
十二支考:06 羊に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
好んで此を使おうようは無いが、主人の挨拶、相手の出方、
罷
(
まか
)
り間違ったら、おれはおれだ、の
料簡
(
りょうけん
)
がある。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
慶長十六年五月、惟新公からだしぬけに
御用召
(
ごようめし
)
があった。吉之丞が
玉里
(
たまざと
)
の隠居所へ
罷
(
まか
)
り出ると、惟新公は
呂宋の壺
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
殿下御秘蔵の
水差
(
みずさし
)
の
蓋
(
ふた
)
を取りまして急ぎ
聚楽
(
じゅらく
)
へ
罷
(
まか
)
り上り、関白殿の御覧に供えましたところ、その水差と申しますのは、もとは
堺
(
さかい
)
の
数寄者
(
すきもの
)
の物でござりましたが
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
私は
如何
(
どう
)
でもして国を飛出そうと思て居るから、
之
(
これ
)
を見て
大
(
おおい
)
に心を動かし、コリャ面白い、一文なしに国を出て、
罷
(
まか
)
り
違
(
ちが
)
えば
按摩
(
あんま
)
をしても
喰
(
く
)
うことは出来ると
思
(
おもっ
)
て
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「御経を
承
(
うけたま
)
わり申した嬉しさに、せめて
一語
(
ひとこと
)
なりとも御礼申そうとて、
罷
(
まか
)
り
出
(
いで
)
たのでござる。」
道祖問答
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
すっかりそれを運の好い
骨牌
(
カルタ
)
仲間に捲きあげられてしまうばかりか、時には、まだその上、おまけに自分の
煙管
(
パイプ
)
を、煙草入や
吸口
(
すいくち
)
ごと
奪
(
と
)
られることもあり、
罷
(
まか
)
り間違えば
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
憶良等
(
おくらら
)
は
今
(
いま
)
は
罷
(
まか
)
らむ
子
(
こ
)
哭
(
な
)
くらむその
彼
(
か
)
の
母
(
はは
)
も
吾
(
わ
)
を
待
(
ま
)
つらむぞ 〔巻三・三三七〕 山上憶良
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
これがちょっと聞くとなんでもないようであるけれども、
罷
(
まか
)
り間違えば直ぐ殺すという物騒な世の中である。その時には
彰義隊
(
しょうぎたい
)
などいう奴が上野におって皆殺す、脅迫して皆殺す。
明治文明史上に於ける福沢翁
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
「エヽ、
本日
(
けふ
)
罷
(
まか
)
り出でまする
様
(
やう
)
と、御父上から
態々
(
わざ/\
)
のお使に預りまして」と、牧師は梅子の前に腰打ち
屈
(
かが
)
めつ「
甚
(
はなは
)
だ遅刻致しまして御座りまするが、御在宅で
在
(
い
)
らせられまするか」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
いま発起に附きて(中略)無理に切利支丹に勧められ
罷
(
まか
)
り成り候は、聞召し届けられ、御助けなさる可く候事、上意の由に御座候(中略)勿論切利支丹宗の儀
相背
(
あいそむ
)
き難く存じ候者は
島原の乱
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
ある日筆者は地震研究所長石本博士からすぐ
来
(
きた
)
れと言う電報を受け取った。早速
罷
(
まか
)
り出ると、千載一遇の機会だからすぐ現地へ行って発光現象を徹底的に調査して貰いたいと言うご沙汰。
地震なまず
(新字新仮名)
/
武者金吉
(著)
「いくらお前が隠したって、捜そうと思えばわけはないよ。
罷
(
まか
)
り間違えば、警察の手を仮りることも出来るし、田舎を騒がして、突ッつきだすという方法もある。」そうも言って
脅
(
おどか
)
した。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
浪子は
手匣
(
てばこ
)
より母の写真取り
出
(
い
)
でて床にかけ、千鶴子が
持
(
も
)
て来し白菊のやや狂わんとするをその前に
手向
(
たむ
)
け、午後には茶など
点
(
い
)
れて、幾の昔語りに耳傾けしが、今は幾も看護婦も
罷
(
まか
)
りて
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
辰弥は生得馴るるに早く、
咄嗟
(
とっさ
)
の間に気の置かれぬお方様となれり。過分の茶代に度を失いたる亭主は、急ぎ
衣裳
(
いしょう
)
を改めて
御挨拶
(
ごあいさつ
)
に
罷
(
まか
)
り出でしが、書記官様と聞くよりなお一層敬い奉りぬ。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
最も
好
(
よ
)
い機会でもあるので、なまじいに
罷
(
まか
)
り出でたる次第でございます。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
うかれ男 やよ白萩、時が遅うなるわ、早やう
罷
(
まか
)
らうと申すにな。
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
麦の秋観世音寺を
罷
(
まか
)
で来て都府楼の跡は遠からなくに
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
食国
(
をすくに
)
の
遠
(
とほ
)
の
朝廷
(
みかど
)
に
汝等
(
いましら
)
し 斯く
罷
(
まか
)
りなば 平らけく 吾は遊ばむ
手抱
(
たうだ
)
きて 我は
御在
(
いま
)
さむ
天皇
(
すめら
)
朕
(
わ
)
が うづの
御手
(
みて
)
以
(
も
)
ち
掻撫
(
かきな
)
でぞ
労
(
ね
)
ぎたまふ うち撫でぞ 労ぎたまふ 還り来む日 相飲まむ
酒
(
き
)
ぞ この
豊御酒
(
とよみき
)
は
君臣相念
(新字旧仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
『俄に、御料を増すことは
罷
(
まか
)
りならぬ』
にらみ鯛
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
夕座
(
ゆふざ
)
まゐりの
在
(
あ
)
り
人
(
びと
)
は
罷
(
まか
)
りし
夜
(
よ
)
はを
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
「わたくしはこれにて
罷
(
まか
)
ります。」
野に臥す者
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
罷
常用漢字
中学
部首:⽹
15画
“罷”を含む語句
罷出
罷在
罷越
罷免
罷成
同盟罷工
罷違
吹罷
罷在候
同盟罷業
総同盟罷工
罷業
罷工
身罷
罷下
総罷業
罷通
罷道
罷職
罷登
...