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こまか
ふりがな文庫
“
細
(
こまか
)” の例文
太吉は全く火の燃え付いたのを見て、又
傍
(
かたわら
)
の竹を取り上げて小刀で
孔
(
あな
)
を明け
初
(
はじ
)
めた。白い
細
(
こまか
)
な粉がばらばらと破れた膝の上に落ちる。
越後の冬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
時
(
とき
)
に
繰返
(
くりかへ
)
すやうだけれども、
十圓
(
じふゑん
)
に
對
(
たい
)
し
剩錢
(
つりせん
)
一錢
(
いつせん
)
なるが
故
(
ゆゑ
)
に、
九圓九十九錢
(
きうゑんきうじふきうせん
)
は
分
(
わか
)
つたが、また
何
(
なん
)
だつて、
員數
(
ゐんすう
)
を
細
(
こまか
)
く
刻
(
きざ
)
んだのであらう。
九九九会小記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
細
(
こまか
)
く切り離した長吉の死骸(?)いやいやまさかそんなものではありません。実は何万円とも知れぬ莫大なお札の束だったのです。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
細
(
こまか
)
く振りて云ひ「旦那え、こゝに堕ちて居るのを拾つて居らつしやるが、それはみんな虫つ喰でございます、木にあるのをお取んなさい」
いがみの権太:(明治二十九年一月、明治座)
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
北満
(
ほくまん
)
の厳寒の野に立つ
哨兵
(
しょうへい
)
と全く同じ服装をして
細
(
こまか
)
い物理の実験をしようというのだからなかなか思うように仕事は
捗
(
はか
)
どらない。
雪雑記
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
▼ もっと見る
何でも旦那方はそこいら中
細
(
こまか
)
に調べられて、あの雑木林の入口に散っていた沢山の紙切れなんども丁寧に拾って行かれた位いで御座居ます
花束の虫
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
彼らの精神作用について微妙な
細
(
こまか
)
い割り方をして、しかもその割った部分を明細に描写する
手際
(
てぎわ
)
がなければ時勢に釣り合わない。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
女はそれから先の事を
細
(
こまか
)
に想像して見ずにはいられなかった。多分男は冷やかに
微笑
(
ほほえ
)
んで、自分と握手をして、「
難有
(
ありがと
)
う」というだろう。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
彼はこの女らしく
細
(
こまか
)
いものに気のつく嫂から、三人も子供をもったことのある人の観察から、なるべく節子を避けさせたかった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
岸をつたひ流れにさかのぼりて進み、また我はわが歩みを
細
(
こまか
)
にしてそのこまかなる歩みにあはせ、これと相並びて行けり 七—九
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
熊野川の谷を遡る時も、瀞八町の渓に船を泛べる時も、
玉置山
(
たまきやま
)
に
大塔
(
おほたふ
)
の宮の遺跡を偲ぶ時も、柔かな
細
(
こまか
)
い雨が常に私の旅の衣を
沾
(
うるほ
)
して居た。
春雨にぬれた旅
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
しかし、純粋小説に関して、なお
細
(
こまか
)
い説明をつけようとすれば、ここにまた次の新しい技術の問題が現れて来なければならぬ。
純粋小説論
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
と云って今古本屋から買って来たのは、字の
細
(
こまか
)
い哲学の書物だから、ここでは折角の名論文も、一頁と読むのは苦痛である。
毛利先生
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
然し稀に旅人の手から古新聞を一枚貰つたとき、この仲間でする
細
(
こまか
)
な議論を聞く事が出来たなら、或る政治家は随分金を払つたかも知れません。
新浦島
(新字旧仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
雨は
水沫
(
しぶき
)
だけのように、空一面に、
細
(
こまか
)
く粉のように拡がった。風も、それに準じて、勢いを収めて、見る内に、山の頂きには青空が顔を出した。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
鎌田さんは、お太鼓医者じゃないから、
何
(
ど
)
うしても治らないことを力説する為めに専門書を持出した。その図が馬鹿に
細
(
こまか
)
くて目がチラチラする。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
荷物を背負ったままで、彼れは藁繩の片っ方の端を囲炉裡にくべ、もう一つの端を壁際にもって行ってその上に
細
(
こまか
)
く刻んだ馬糧の藁をふりかけた。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「私があの人に何を言うもんですか」お島は顔をしかめて
煩
(
うるさ
)
そうに
応答
(
うけごたえ
)
をしていたが、出る先へ立って、
細
(
こまか
)
い話をして聞かす気にもなれなかった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
毎度の文にて
細
(
こまか
)
に申上候へども、一通の
御披
(
おんひらか
)
せも
無之
(
これなき
)
やうに仰せられ候へば、何事も
御存無
(
ごぞんじな
)
きかと、誠に
御恨
(
おんうらめし
)
う
存上候
(
ぞんじあげさふらふ
)
。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
そこで鋼鉄の弾丸と一緒になって、
細
(
こまか
)
く細く、はげしい音に
呪
(
のろい
)
の声を叫びながら、砕かれました。そうして焼かれて、立派にセメントとなりました。
セメント樽の中の手紙
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
「お前はこれまで追分は愚か、鼻唄一つ唄えなかった筈だに、よくまあおいらの追分を、そうまで
細
(
こまか
)
く調べたものだ」
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
少しずつ
注
(
さ
)
して
行
(
いっ
)
てパセリを
細
(
こまか
)
く刻んで
入
(
いれ
)
て塩胡椒で味をつけて
好
(
い
)
い加減な固さになった時ブリキ皿へ盛って上を
夷
(
なら
)
してバターを少し載せてパン粉を
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「さうかねえ、それでよくわかったよ。さうして見ると、おまへなんかはまあ割合に早く染めて
貰
(
もら
)
ってよかったねえ、なかなか
細
(
こまか
)
く染まってゐるし。」
林の底
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
意
細
(
こまか
)
にして筆鋭し。今日わが文壇に批評の見るべきものなし。悪罵にあらずんば阿諛のみ。車夫馬丁の喧嘩に非ざれば宗匠の御世辞に類するもののみ。
偏奇館漫録
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
総
(
すべ
)
て
是等
(
これら
)
の
細
(
こまか
)
き事柄は
殆
(
ほとん
)
ど一目にて余の
眼
(
まなこ
)
に映じ
尽
(
つく
)
せり、今思うに此時の余の眼は
宛
(
あたか
)
も写真の
目鏡
(
めがね
)
の如くなりし
歟
(
か
)
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
夫婦の君は我上を
細
(
こまか
)
に問ひて、今より後も助にならんと契り、こゝに留らん間は日ごとに訪へかしとのたまひぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
首藤は熱心な勉強家で國文法に特殊の興味と理解を持つてゐた。彼が
細
(
こまか
)
く質問し始めると、先生は多くの場合無學さを曝露して答へることが出來なかつた。
猫又先生
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
蜻蛉の青い、西洋人のやうな眼玉は、鏡のやうに光つてゐて、何か
細
(
こまか
)
いものがキラキラと美しく映つてゐた。
四郎と口笛
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
半井
(
なからい
)
広明の呈した本は三十巻三十一冊で、
巻
(
けんの
)
二十五に上下がある。
細
(
こまか
)
に検するに期待に
負
(
そむ
)
かぬ善本であった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
細
(
こまか
)
いので……。
大分
(
だいぶ
)
あるぞ……。十、二十、三十……九十……と……四……五……六……。二十……七……。間違ひないね。帳面と引合せよう。あとにするか。
雅俗貧困譜
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
疑
(
うたが
)
ひがかゝると困るとか何とか言つて、女房と口を合せて、大分前に歸つたやうな事を言つてるが、そんな
細
(
こまか
)
い細工をするのは身に覺えのある奴に限つたことだ
銭形平次捕物控:151 お銀お玉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
サンシユユと
径
(
こみち
)
を隔てて向へるツタウルシの木の小さき
細
(
こまか
)
なる花、その枝に毛虫の繭ひとつ透きて見ゆ。
春の暗示
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
胆力双絶の主水之介もいささか呆れ返って、ひょいとそこの床の間に掛けてある軸を見ると、はしなくも目を射たものは次のごとくに書き流された
細
(
こまか
)
い文字です。
旗本退屈男:08 第八話 日光に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
あの頃が
懷
(
なつ
)
かしくて
耐
(
たま
)
らぬと言つた風に、お光は
膚理
(
きめ
)
の
細
(
こまか
)
い顏に筋肉を
躍
(
をど
)
らせつゝ、小池に寄り添うた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
膚
(
きめ
)
の
細
(
こまか
)
い、
黄
(
きいろ
)
い石や、黒い石の上を
辷
(
すべ
)
ると、思いなしか、沈んだ、冴えた声をして、ついと通る。この谷を一回、大きい徒渉をやる、つづいて二回の小徒渉をやる。
白峰山脈縦断記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
帆村がそれを開いたのを見ると、
細
(
こまか
)
い
罫線
(
けいせん
)
が沢山引いてあって、そこに細い数字が書き込んであった。
ゴールデン・バット事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
私が年をとって
細
(
こまか
)
い文字など見づらいので、校正なども頼みますと、長年
馴
(
な
)
れているものですから、手早く親切にやってくれます。それをいつも感謝しておりました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
天地は再び
旧
(
もと
)
の
寂寞
(
せきばく
)
に
復
(
かえ
)
ったかと思うと、灰のような
細
(
こまか
)
い雪が音もせずに降って来た。
斯
(
こ
)
ういう
前触
(
まえぶれ
)
の気配を以て降って来た雪は、一丈に達せざれば止まぬのである。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
思うお人に向っては、女は、怖ろしいほど
細
(
こまか
)
い心を配っております。けれど、義理の妹の恋を奪って、それで、私ひとりが
倖
(
しあわ
)
せになろうなどとは夢にも思やしませんの。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
又台所の世帯万端、
固
(
もと
)
より女子の知る可き事なれば、仮令い下女下男
数多
(
あまた
)
召使う身分にても、飯の炊きようは勿論、料理献立、
塩噌
(
えんそ
)
の始末に至るまでも、事
細
(
こまか
)
に心得置く可し。
新女大学
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
または
細
(
こまか
)
く裂かずに一枚の附木を使ったために、
身上
(
しんしょう
)
が持てぬと謂って帰された嫁の話なども、つまりはこの物が火吹竹と同じに、
銭
(
ぜに
)
を払わなければならぬ発明であるが故に
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
彼女の
林檎
(
りんご
)
のような頬、小鳥のような眼、陽に焼けた手、
枯草
(
ヘイ
)
の香りのするであろう頭髪、そこには紐育の女なぞに見られない線の
細
(
こまか
)
い愛らしさがあると、フリント君は思った。
夜汽車
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
仕上の入念さは、日本の手工の特色をよく語る。それはしばしば行き過ぎるまでに完成された仕事である。昔のものと今出来のものとを比べると今の方がずっと神経質で仕事が
細
(
こまか
)
い。
樺細工の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
此頃になると、感情のあらわし方も
細
(
こまか
)
く、
姿態
(
しな
)
も
濃
(
こま
)
やかになっていたものであろう。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
アレサいくら有っても
宜
(
よ
)
いのは金、殊に長旅のことなれば、邪魔でもあろうがそう云わずに持って行ってください、そこで私が
細
(
こまか
)
い金を
選
(
よ
)
って、
襦袢
(
じゅばん
)
の中へ縫い込んで置く積りだから
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「寝ていなさるが
枕頭
(
まくらもと
)
に嬢様呼んで何か
細
(
こまか
)
い声で話をしておいでるようで……」
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
その上で広い地区を
細
(
こまか
)
に、細に分割する。分、割と、一字一字力を入れて云つて、手の平で切る真似をしたです。さて細に分割した上で、望の百姓どもにそれを売る。売らなくても好い。
鱷
(新字旧仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
白く
肌理
(
きめ
)
の
細
(
こまか
)
い金五郎の皮膚にくらべて、友田の身体は、
鮫肌
(
さめはだ
)
で、どす黒い。そこへ、両腕から背中一面にかけて、
自来也
(
じらいや
)
の彫青をしているので、よごれたシャツでも着ているようである。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
いろ/\
細
(
こまか
)
い洋文字のこみいつたスタンプもやつてのけたが、この好景気が続けば私はやがて町に一戸の印章店を構へ、幾人かの
下職
(
したしよく
)
を使つて美しいショーウィンドの主人になれさうだつた。
老残
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
もし我が父の知ることもやと例の密室に至りてこの
由
(
よし
)
を述べけるに、そは
難渋
(
むつかし
)
きことにあらず、
軟耎
(
やわらか
)
にして
細
(
こまか
)
きものを蛇に近づけてその
躁
(
さわ
)
ぐを雄と知り、静かなるを雌と知るべしと教へければ
印度の古話
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
細
常用漢字
小2
部首:⽷
11画
“細”を含む語句
仔細
細君
詳細
繊細
細々
心細
細流
委細
細作
細部
細螺
目細
細語
細工
細面
巨細
細目
細胞
細腰
細竹
...