)” の例文
新字:
ほどならば何故なぜかれ蜀黍もろこしることをあへてしたのであつたらうか。かれれまでもはたけものつたのは一や二ではない。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
あさくも吹散ふきちりたり。かぜぎぬ。藪垣やぶがきなる藤豆ふぢまめの、さやも、まひるかげむらさきにして、たにめぐながれあり。たで露草つゆくさみだれす。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あれは前から槍ので突いた傷が二つ、——その間默つてゐる筈はないし、咽喉のどを突く時槍の穗を包んだ鬱金うこんの巾が出て來たから、自害に相違あるまい。
うしろの土手どて自然生しぜんばへおとゝ亥之いのをつて、びんにさしたるすゝきまね手振てぶりもあはれなるなり。
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かくのりたまひ竟へて、御合みあひまして、みこ淡道あはぢ狹別さわけの島一三を生みたまひき。次に伊豫いよ二名ふたなの島一四を生みたまひき。この島は身一つにしておも四つあり。面ごとに名あり。
ちゐて、やがてはなやかにあらはれぬ。
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
ぎんよりしろげて
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
おつぎのまだみじか身體からだむぎ出揃でそろつたしろからわづかかぶつた手拭てぬぐひかたとがあらはれてる。與吉よきちみちはたこもうへ大人おとなしくしてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
紅皿の一つは使ひかけですが、筆のが太くやはらかくて、とても、美しい假名文字かなもじなどを書ける品ではありません。
もやなかを、の三にんとほりすがつたときながいのとみじかいのと、野墓のばかちた塔婆たふばが二ほん根本ねもとにすがれた尾花をばなしろすがらせたまゝ、つちながら、こがらし餘波なごり
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ここを以ちてももつかさまた、天の下の人ども、みな輕の太子に背きて、穴御子みこ一五りぬ。ここに輕の太子畏みて、大前おほまえ小前をまへの宿禰一六大臣おほおみの家に逃れ入りて、つはものを備へ作りたまひき。
やり夕日ゆふひ宿やどれり
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
にしらみ
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
さらその何處どこにもかんじない微風びふう動搖どうえうして自分じぶんのみがおぢたやうにさわいでる。なにさわぐのかといぶかるやうにすこ俯目ふしめおろしてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
泥だらけになつて居る一尺五寸もあらうと思ふやりを振り廻して、八五郎は飛んで來たのです。
へやらぬまでむは、かぜをぎ尾花をばなのきひさしわたそれならで、あししろの、ちら/\と、あこがれまよゆめて、まくらかよ寢覺ねざめなり。よしそれとても風情ふぜいかな。
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
若帶日子わかたらしひこの天皇、近つ淡海あふみ志賀しがの高穴の宮にましまして、天の下治らしめしき。この天皇、穗積ほづみの臣等の祖、建忍山垂根たけおしやまたりねが女、名は弟財おとたから郎女いらつめに娶ひて、生みませる御子和訶奴氣わかぬけの王。
紅皿は半分以上げて、筆はかなり上等の細筆、ぢくは半分程のところから切つて捨ててありますが、の根の方が薄黒くて、元は墨に使つた筆を、洗つて紅筆べにふでにした樣子です。
とまおほうて、すゝきなびきつゝ、旅店りよてんしづかに、せみかない。
十和田の夏霧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
尾上をのへはるかに、がけなびいて、堤防どてのこり、稻束いなづかつて、くきみだみだれてそれ蕎麥そばよりもあかいのに、ゆめのやうにしろまぼろしにしてしかも、名殘なごりか、月影つきかげか、晃々きら/\つやはなつて、やまそでに、ふところ
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)