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煙管
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きせる
ふりがな文庫
“
煙管
(
きせる
)” の例文
見込み「
明
(
あ
)
けつ
放
(
ぱな
)
してだれも居ねえのか、この開帳で人の出るのに」とかます
烟草入
(
たばこいれ
)
と
真鍮
(
しんちゅう
)
の
煙管
(
きせる
)
を出し「何だ火もねえや」といひ
いがみの権太:(明治二十九年一月、明治座)
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
金六が懐から出して見せたのはその頃では申分のない
贅沢
(
ぜいたく
)
とされた、黒
羅紗
(
ラシャ
)
の懐ろ煙草入、
銀延
(
ぎんのべ
)
の細い
煙管
(
きせる
)
まで添えてあったのです。
銭形平次捕物控:123 矢取娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
金の
吸口
(
くち
)
で、
烏金
(
しゃくどう
)
で張った
煙管
(
きせる
)
で、ちょっと歯を染めなさったように見えます。
懐紙
(
かいし
)
をな、
眉
(
まゆ
)
にあてて
私
(
てまい
)
を、おも長に御覧なすって
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
煙管
(
きせる
)
を二、三度、火鉢の縁に
敲
(
たた
)
きつけると、
疎
(
うと
)
ましそうに女の姿を見やって、スパスパと莨を
喫
(
す
)
った。するうちお国は目を覚ました。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
南は新しい
長裾
(
ざんさい
)
を濡らしては困ると思った。南は鞭の代りに持っている
羅宇
(
らう
)
の長い
煙管
(
きせる
)
を驢に加えた。其処は
晋陽
(
しんよう
)
の郊外であった。
竇氏
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
▼ もっと見る
むしろ、冷然として、
煙管
(
きせる
)
を
啣
(
くわ
)
えたり、鼻毛をぬいたりしながら、
莫迦
(
ばか
)
にしたような眼で、舞台の上に周旋する鼠の役者を眺めている。
仙人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
分家も出来ないでふけた兄貴二人が、板の間の火の気のない炉ばたで、ときどき
煙管
(
きせる
)
で炉縁をはたきながら額をつき合わしている。
ズラかった信吉
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
彼は手に持つ
煙管
(
きせる
)
の火の消えるのも知らずに、熊の胆の押売りをする娘の白い顔をじっと眺めていたが、やがて突然に声をかけた。
鼠
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
羅宇屋は
煙管
(
きせる
)
をくわえて感心したようにながめていたが「鳥でもつばめぐらい感心な鳥はまずないね」と前置きしてこんな話を始めた。
花物語
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
と急がわしく
硯
(
すずり
)
を引き寄せ、手早く
認
(
したた
)
めたる電信三通、
婢
(
おんな
)
を呼び立ててすぐにと
鞭打
(
むちう
)
たぬばかりに追いやり、
煙管
(
きせる
)
も取らず茶も飲まず
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
叔母の
肩
(
かた
)
をば
揉
(
も
)
んでいる
中
(
うち
)
、夜も
大分
(
だいぶ
)
に
更
(
ふ
)
けて来たので、源三がつい
浮
(
うか
)
りとして
居睡
(
いねむ
)
ると、さあ恐ろしい
煙管
(
きせる
)
の
打擲
(
ちょうちゃく
)
を受けさせられた。
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
芋蟲
(
いもむし
)
と
愛
(
あい
)
ちやんとは
互
(
たがひ
)
に
暫
(
しばら
)
く
默
(
だま
)
つて
睨
(
にらめ
)
ツ
競
(
こ
)
をして
居
(
ゐ
)
ましたが、
終
(
つひ
)
に
芋蟲
(
いもむし
)
が
其口
(
そのくち
)
から
煙管
(
きせる
)
を
離
(
はな
)
して、
舌
(
した
)
ッたるいやうな
眠
(
ねむ
)
さうな
聲
(
こゑ
)
で
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
卯平
(
うへい
)
は
其
(
そ
)
の
薄暗
(
うすぐら
)
い
家
(
うち
)
の
中
(
なか
)
に
只
(
たゞ
)
煙草
(
たばこ
)
を
吹
(
ふ
)
かしては
大
(
おほ
)
きな
眞鍮
(
しんちう
)
の
煙管
(
きせる
)
で
火鉢
(
ひばち
)
を
叩
(
たゝ
)
いて
居
(
ゐ
)
た。
卯平
(
うへい
)
と
勘次
(
かんじ
)
とは
其
(
そ
)
の
間
(
あひだ
)
碌
(
ろく
)
に
口
(
くち
)
も
利
(
きか
)
なかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
かます入の
煙管
(
きせる
)
を取出して火の中へつっ込み、しゃがみ腰になって、一ぷくつけてすまし込んでいると、そこへ人気が立ち上りました。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
謎の女は
和尚
(
おしょう
)
をじっと見た。和尚は大きな腹を出したまま考えている。灰吹がぽんと鳴る。
紫檀
(
したん
)
の
蓋
(
ふた
)
を丁寧に
被
(
かぶ
)
せる。
煙管
(
きせる
)
は転がった。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今日も
煙管
(
きせる
)
をしまっては出し、しまっては出し、到頭二時間と云うものぶっ通しに話された。与右衛門さんは中々の精力家である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
眞面目にとりあつてゐるのか、ゐないのか、腰の煙草入から
煙管
(
きせる
)
をぬいて、悠々と烟を吹きながら、お義理らしい小首を傾けた。
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
それを女に言うと、もうすっかり本性を出した女は、立膝かなんかで、源右衛門の
煙管
(
きせる
)
を取り上げてすぱりすぱりとやりながら
早耳三次捕物聞書:03 浮世芝居女看板
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そうには違いねえ、と
相槌
(
あいづち
)
に応じながら、話の先を惜しむかのように、しばらく
煙管
(
きせる
)
を吸い続けた。紫の煙が香ばしく夜気に溶け込んだ。
蕎麦の花の頃
(新字新仮名)
/
李孝石
(著)
絣
(
かすり
)
の
筒袖
(
つつそで
)
を着、汚れてはゐるが白の前掛をかけ、茶つぽい首巻をした主人は、煤の垂れさがつてゐる、釜の側で、
煙管
(
きせる
)
をくはへてゐたが
釜ヶ崎
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
奥から、あのひとのお父さんなのか、六十近い老人が
煙管
(
きせる
)
を吹き吹き出て来る。結局は、アメリカから帰った姉さん夫婦が反対の由なり。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
持ち重りするような太い長い、銀の
煙管
(
きせる
)
を厚い大きい、唇へくわえてパクリと
喫
(
す
)
い、厚い大きい唇の間から、モクリモクリと煙を吐いた。
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
だが、まだまったく心が
鎮
(
しず
)
みきっていないとみえて、火縄を借りる気力もなく、筒を抜いて
煙管
(
きせる
)
を指に持っているだけであった。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、ぼやきながら、
煙管
(
きせる
)
で煙草盆をひきよせ、五匁玉の粉ばかりになったのを雁首ですくいあげて、悠長に煙をふきはじめる。
顎十郎捕物帳:03 都鳥
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
何か悪いこと、余計なこと、いたずらに類することをすると、たいへんな勢いで怒り、火箸や長
煙管
(
きせる
)
で彼を
打擲
(
ちょうちゃく
)
し、
折檻
(
せっかん
)
した。
記憶
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
煙草を吸うのである。
煙管
(
きせる
)
が二三服吸っている
中
(
うち
)
につまってしまうことなどがある。彼は腰を伸ばして傍らに生い立った萓の茎を抜き取る。
茸をたずねる
(新字新仮名)
/
飯田蛇笏
(著)
玉木さんは煙草を
服
(
の
)
むことさえ不本意だが、退屈
凌
(
しの
)
ぎに少しはやるという顔付で、短い
雁首
(
がんくび
)
の
煙管
(
きせる
)
で一服吸付けながら答えた。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
日本人が煙草を
咬
(
か
)
み、巻煙草を吹かして、西洋人が
煙管
(
きせる
)
を用うることあらば、「日本人は器械の術に乏しくしていまだ煙管の発明もあらず」
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
もとより銅器も鉄器も、色々に出来ます。竜文堂の如き鉄瓶や釜で名を得た
老舗
(
しにせ
)
もあります。
煙管
(
きせる
)
の如きも京出来を誇ります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
私は松浦竹四郎が私にくれた、蝦夷と樺太の
煙管
(
きせる
)
の写生図を、ここに出す。彼がつくったそれ等の略図を、私は正確に写した。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
俺
(
おれ
)
が一つこの喧嘩の仲裁をしてやらなくちゃならんと言うて、自分の腰の
煙管
(
きせる
)
を抜いて坊さんの所へずっと持って行きました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
待合
(
まちあい
)
にしてある次の間には幾ら病人が
溜
(
た
)
まっていても、翁は小さい
煙管
(
きせる
)
で雲井を吹かしながら、ゆっくり盆栽を
眺
(
なが
)
めていた。
カズイスチカ
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「それで」客は
煙管
(
きせる
)
をはたいた、「その石ころをどうしようというんです、なにか手品でもして見せようというわけですか」
雪の上の霜
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
爺さんは怒鳴りながら
煙管
(
きせる
)
で
炉端
(
ろばた
)
を叩いた。父親の春吉は、もう何も言わなかった。深く考え込むようにして煙草を吸った。
駈落
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
助役らしい
鬚
(
ひげ
)
の
生
(
は
)
えた中年者と土地の勢力家らしい肥った百姓とがしきりに何か笑いながら話していたが、おりおり
煙管
(
きせる
)
をトントンとたたく。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
火鉢の縁に
臂
(
ひじ
)
をもたせて、両手で頭を押えてうつむいている吉里の前に、
新造
(
しんぞ
)
のお熊が
煙管
(
きせる
)
を
杖
(
つえ
)
にしてじろじろと見ている。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
この
上
(
うえ
)
躊躇
(
ちょうちょ
)
していたら、
持
(
も
)
った
煙管
(
きせる
)
で、
頭
(
あたま
)
のひとつも
張
(
は
)
られまじき
気配
(
けはい
)
となっては、
藤吉
(
とうきち
)
も、
立
(
た
)
たない
訳
(
わけ
)
には
行
(
い
)
かなかった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
煙管
(
きせる
)
を口元へ持って行くのにも、腕をうしろから大廻しに廻して持っていって、やがてすぱりと一服すうのである。度胸のすわった男に見えた。
ロマネスク
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
それを耳にもかけぬ風で、お梶は弟の前の
煙管
(
きせる
)
を取り上げて、一服すはうとしたが、煙管の詰まつてゐるのに顔を
顰
(
しか
)
めて
鱧の皮
(新字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
と
真鍮
(
しんちゅう
)
の潰れた
煙管
(
きせる
)
を出して行燈の戸を上げて火をつけようと思うが、酔って居て手が
慄
(
ふる
)
えておりますから
灯
(
ひ
)
が消えそう
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「もうかるですとも、はははは——いやもうかるといえば」と山木は灰だらけにせし
煙管
(
きせる
)
をようやく吸いつけ、一服吸いて
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
「何といふ美しい奥様だらうな。奥様申し兼ねますが、お前さまの眼でわつしの
煙管
(
きせる
)
に火をつけて貰へますまいかな。」
茶話:07 大正十四(一九二五)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「ああ、まだ大分樂が出來る、ね。」勇は斯う輕い調子で答へて、がん首の根がつぶれた
煙管
(
きせる
)
に刻み煙草をつめ初める。
泡鳴五部作:03 放浪
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
やがて長い長い
煙管
(
きせる
)
を出して煙草を吸おうとしましたが、
燐寸
(
マッチ
)
がないのに気が付いて、鍵で扉を開けて廊下へ出て、梯子段を駆け降りて行きました。
クチマネ
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
海若藍平
(著)
爺さんは短かい
煙管
(
きせる
)
を指の先でグル/\まはしながら親方の方に首をつき出してさも覚りすましたやうな事を云つた。
監獄挿話 面会人控所
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
真顔作れる母は
火鉢
(
ひばち
)
の
縁
(
ふち
)
に
丁
(
とん
)
と
煙管
(
きせる
)
を
撃
(
はた
)
けば、
他行持
(
よそゆきもち
)
の
暫
(
しばら
)
く
乾
(
から
)
されて
弛
(
ゆる
)
みし
雁首
(
がんくび
)
はほつくり脱けて灰の中に舞込みぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
爺さんは
煙管
(
きせる
)
を
啣
(
くわ
)
えて
路傍
(
みちばた
)
に
蹲踞
(
しゃが
)
んでいた腰を起し、カンテラに火をつけ、集る人々の顔をずいと見廻しながら、
扇子
(
せんす
)
をパチリパチリと音させて、二
伝通院
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
しかし爺やは何を言われても、苦笑いにまぎらせながら、
鉈豆
(
なたまめ
)
の
煙管
(
きせる
)
をくわえたまま、ぼんやりと休んでいました。
朴の咲く頃
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
お幸は細口の金の
煙管
(
きせる
)
にゆっくり煙草を填めて、ゆっくり鼻から、格好のよい円味を帯びたすぐれた鼻から、紫の閃きのある煙をすうっと吐き出した。
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
左仲が
煙管
(
きせる
)
の
元
(
もと
)
へ
差出
(
さしいだ
)
すにぞ左仲は
愕然
(
ぎよつ
)
となし思はず
震
(
ふる
)
へ出せし體を見るより彼の者は
莞爾
(
につこ
)
と笑ひ左仲が側へ同じく
腰
(
こし
)
打掛
(
うちかけ
)
旅人
(
りよじん
)
は何等の
用
(
よう
)
にて
斯
(
かく
)
夜道を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
“煙管”の意味
《名詞》
キセル。
ボイラーの火を通過させるための管。
(出典:Wiktionary)
“煙管”の解説
煙管(きせる)とは、日本の刻みたばこ用の喫煙具の一種で、パイプに類似する。
(出典:Wikipedia)
煙
常用漢字
中学
部首:⽕
13画
管
常用漢字
小4
部首:⽵
14画
“煙管”で始まる語句
煙管筒
煙管入
煙管屋
煙管貝
煙管気狂