此邊このへん)” の例文
新字:此辺
ところで——番町ばんちやう下六しもろく此邊このへんだからとつて、いし海月くらげをどしたやうな、石燈籠いしどうろうけたやうな小旦那こだんなたちが皆無かいむだとおもはれない。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
此邊このへんまではるのだ。迂路うろつきまわるのですでに三以上いじやうあるいたにかゝはらず、一かう疲勞ひらうせぬ。此時このときすで打石斧だせきふ十四五ほん二人ふたりひろつてた。
『いろ/\くわしいことうけたまはりたいが、最早もはやるゝにもちかく、此邊このへん猛獸まうじう巣窟さうくつともいふところですから、一先ひとま住家すみかへ。』とじうつゝもたげた。
然程さるほどに喜八は妻のお梅を奉公にいだ取替とりかへとして金二兩り内一兩二分は支度したくつかひ殘り二分をもちて同町の質屋源右衞門方しちやげんゑもんかたへ行き當夏たうなつ入置いれおきし夜具蒲團を請出うけいだしけるに此質屋此邊このへんにてのよき身代しんだいゆゑ多く下質したしち
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
勤勉なる此邊このへんの農家の朝飯は普通の家庭に比して餘程早い。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
此邊このへんにはどんな種類しゆるゐ人間にんげんんでるの?』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
さかうへ煙草屋たばこやにて北八きたはちたしところのパイレートをあがなふ。勿論もちろん身錢みぜになり。舶來はくらい煙草たばこ此邊このへんにはいまれあり。たゞしめつてあじはひならず。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
此邊このへん熱帶國ねつたいこくつねとて、年中ねんちうながいので、食後しよくご時間じかんばかりは大佐たいさをはじめ一同いちどう海邊かいへんでゝ戸外運動こぐわいうんどうふけるのである。
其以後そのいごたれけぬ。やうや此前このまへ素通すどほりするくらゐであつたが、四十ねんぐわつ十二にちに、は、織田おだ高木たかぎ松見まつみ表面採集へうめんさいしふ此邊このへんた。
つくしてしんぜんと申にぞ彦三郎は大によろこびしが江戸不案内の事故如何してよろしからんか何分にもたのむとあれば助十はかんがへ彦兵衞殿の居られた家主いへぬし八右衞門殿は此邊このへんにての口利くちきゝゆゑ是へ行て相談さうだんあるべしと云を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「ちつとも此邊このへんぢやあ見掛みかけないですからね、だつて、さう遠方ゑんぱうからるわけはなしさ、誰方どなた御存ごぞんじぢやありませんか。」
迷子 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
すこ無謀むぼうにはぎはせぬかと氣付きづいたので、むし此邊このへん一泊いつぱくせんと、此事このこと武村兵曹たけむらへいそうかたると、武村兵曹たけむらへいそう仲々なか/\かない
其後そのあと自轉車隊じてんしやたいて、居合ゐあはせた農夫のうふに、二人連ふたりづれの、人相にんさうわる男子をとこが、此邊このへんをうろ/\してなかつたかとうてると、農夫のうふすこぶふるつたこたへをした。
おろさせ暫時いこひながら藤八は茶屋の亭主に向ひ此度公方樣くばうさま御代替の御巡見樣ごじゆんけんさま御通りの由もう何處どこらまで御出成れたで有うと問に茶屋の亭主はハイ此間からのさわぎで御座りますが未だ此邊このへんへ御出は御座りませぬしかし昨日雲州うんしう御飛脚おひきやくはなしには箱根を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
公爵こうしやく博士はかせえぬが、それまでつてるべきでもいので、さあ、そろ/\蠻勇ばんいう開始かいししやうと、庭後ていご鐵道線路添てつだうせんろぞひの試掘しくつかゝつたが、此邊このへんはモールスいまより二十九ねんまへ
……たとへば、地震ぢしんから、水道すゐだう斷水だんすゐしたので、此邊このへんさいはひに四五箇所しごかしよのこつた、むかしの所謂いはゆる番町ばんちやう井戸ゐどへ、家毎いへごとからみづもらひにむれをなしてく。……たちまをんなにはませないとやしき出來できた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
如何どうだ、此邊このへんかくしてかうか』