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此度
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こんど
ふりがな文庫
“
此度
(
こんど
)” の例文
まさかとは思うものの、何だか奥歯に物の
挾
(
はさ
)
まっているような心持がして、
此度
(
こんど
)
はわたくしの方が空の方へでも顔を
外向
(
そむ
)
けたくなった。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ロミオ なう、
叱
(
しか
)
って
下
(
くだ
)
さるな。
此度
(
こんど
)
の
女
(
をんな
)
は、
此方
(
こち
)
で
思
(
おも
)
へば、
彼方
(
あち
)
でも
思
(
おも
)
ひ、
此方
(
こち
)
で
慕
(
した
)
へば、
彼方
(
あち
)
でも
慕
(
した
)
ふ。
以前
(
さき
)
のはさうで
無
(
な
)
かった。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
此度
(
こんど
)
は妻と瀬川とがそれを信じない方の側になって、彼一人がその説を支持してる形になった。彼の頭にはまた惨めな駄馬の姿が映じた。
愚かな一日
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
これがこの女の本心かな? それとも誇張しているのかな、
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
俺の思った通り
此度
(
こんど
)
の芝居ではこの女が
屹度
(
きっと
)
立
女形
(
おやま
)
に相違ない
喇嘛の行衛
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
此度
(
こんど
)
こそ此度こそと思ひながら、彼の呑気さには負けて、何時でも、母親と逸子として、何とか彼とか無理を続けるのだつた。
惑ひ
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
▼ もっと見る
ダガ
福禄寿
(
ふくろくじゆ
)
には
白鹿
(
はくろく
)
が
側
(
そば
)
に
居
(
ゐ
)
なければなるまい。甲「
折々
(
をり/\
)
話
(
はな
)
しかを呼びます。乙「
成程
(
なるほど
)
、ダガ
此度
(
こんど
)
はむづかしいぜ、
毘沙門
(
びしやもん
)
は。 ...
七福神詣
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それに聞けば課長さんの
所
(
とこ
)
へも
常不断
(
じょうふだん
)
御機嫌伺いにお出でなさるという
事
(
こっ
)
たから、
必
(
きっ
)
とそれで
此度
(
こんど
)
も善かッたのに違いないヨ。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
然
(
しか
)
るに
言
(
い
)
はうと
云
(
い
)
ふ
望
(
のぞみ
)
は、
終
(
つひ
)
に
消
(
き
)
えず
忽
(
たちまち
)
にして
總
(
すべて
)
の
考
(
かんがへ
)
を
壓去
(
あつしさ
)
つて、
此度
(
こんど
)
は
思
(
おも
)
ふ
存分
(
ぞんぶん
)
、
熱切
(
ねつせつ
)
に、
夢中
(
むちゆう
)
の
有樣
(
ありさま
)
で、
言
(
ことば
)
が
迸
(
ほとばし
)
り
出
(
で
)
る。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
そうして
此度
(
こんど
)
の歌舞伎座の興行は昨年の春お亡くなりになった貴方様のお父様、中村珊玉様のお
追善
(
ついぜん
)
のためであったこと……なぞでございました。
押絵の奇蹟
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
すなわちアレキシス・ドーブレクと、ビクトリアン・メルジイと、ルイ・プラスビイユと申上げれば
此度
(
こんど
)
事件の
裏面
(
りめん
)
はほぼ御解りでしょうと存じます。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
此度
(
こんど
)
は題も二つにしてよほど材料を少くする御覚悟と見つれども、それならば祝詞の代りになるべき文章か俳句かをしっかり集める用意なかるべからず。
子規居士と余
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
「何にも取られるものの無い多々良さんのようなのが一番賢こいんでしょう」と細君が
此度
(
こんど
)
は
良人
(
おっと
)
の肩を持つ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いやそれだから、
此度
(
こんど
)
なんかもまったくひどく困ったよ。殊に君注文が割合に柔らかな
蛋白石
(
たんぱくせき
)
だらう。
楢ノ木大学士の野宿
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
不幸にも娘は旅の途中、
病
(
やまい
)
を得て家に帰って来たが、間もなく、とうとう
此度
(
こんど
)
は、あの世の旅の人となってしまった、父や兄の悲歎は申すまでもなかったが、やがて
千ヶ寺詣
(新字新仮名)
/
北村四海
(著)
去年使ふてやつた恩も忘れ上人様に胡麻摺り込んで、
強
(
たつ
)
て
此度
(
こんど
)
の仕事を
為
(
せ
)
うと身の分も知らずに願ひを上げたとやら、清吉の話しでは上人様に
依怙贔屓
(
えこひいき
)
の
御情
(
おこゝろ
)
はあつても
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
そこへ持つて参つて、
此度
(
こんど
)
の不都合で御座います、それさへ大目に見てくれやうと云ふので御座いますから、
全
(
まる
)
で
仇
(
かたき
)
をば恩で返してくれますやうな、
申分
(
まをしぶん
)
の無い主人の
所計
(
はからひ
)
。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
そこで
其
(
そ
)
の
人
(
ひと
)
が
非
(
ひ
)
を
悟
(
さと
)
つて
改革
(
かいかく
)
を
圖
(
はか
)
れば
此度
(
こんど
)
は
暮
(
くら
)
しを
立
(
た
)
て
直
(
なほ
)
して
自分
(
じぶん
)
の
支出
(
ししゆつ
)
を
何割
(
なんわり
)
か
減
(
げん
)
じて、さうして
其剩餘
(
そのじようよ
)
を
以
(
もつ
)
て
從來
(
じうらい
)
の
借金
(
しやくきん
)
の
整理
(
せいり
)
をして
行
(
い
)
くより
外
(
ほか
)
には
途
(
みち
)
はないのである。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
此度
(
こんど
)
は
丁度
(
ちょうど
)
私の家と隣屋敷との境の生垣のあたりなので、少し横に廻って、こっそりと様子を
窺
(
うかが
)
うと、
如何
(
どう
)
も人間らしい姿が見えるのだ、こいつは、てっきり
盗賊
(
どろぼう
)
と思ったので
怪物屋敷
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
元からよくない所なので、あの
柏
(
かしわ
)
の木も、
此度
(
こんど
)
で
丁度
(
ちょうど
)
三人目の
首縊
(
くびくく
)
りだ、初め
下
(
さが
)
った時、一の枝を切ると、また二の枝に下ったので、それも切ると、
此度
(
こんど
)
は実に三の枝でやったのだ
死神
(新字新仮名)
/
岡崎雪声
(著)
これは
益々
(
ますます
)
不思議だと考えて、私は
此度
(
こんど
)
は自由勝手に四辺を歩いて見た。けれど一人の人影すら見えなかった。しかもその辺には、油の詰った石油鑵が幾万となく積み重ねてあるのだ。
暗い空
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
自分にても
此度
(
こんど
)
は
迚
(
とて
)
も全治すべからざるを悟りて、予に懇切に乞うて曰く、
此度
(
このたび
)
は决する事あり、依て又一に面会して能く我等夫婦が牧塲に関する
素願
(
そがん
)
たるの詳細を告げ示し置きたし
関牧塲創業記事
(新字新仮名)
/
関寛
(著)
その時ばかりは、そんな気が少しも出ない、何というてよいか、
益々
(
ますます
)
薄気味が
悪
(
わ
)
るいので、
此度
(
こんど
)
は手で強く払って歩き出してみた、が
矢張
(
やっぱり
)
蝶は前になり後になりして始終私の身辺に附いて来る
白い蝶
(新字新仮名)
/
岡田三郎助
(著)
吾等二人は
蘇生
(
いきかえ
)
ったようになって、
此度
(
こんど
)
は道を失わぬように注意して降ったが、休むと蝋燭を消し歩き出すと又点ける、消えたり、点いたりする山腹の火光を見て、山麓の村人は不思議がった
武甲山に登る
(新字新仮名)
/
河井酔茗
(著)
此度
(
こんど
)
は最後だと思った。
自殺を買う話
(新字新仮名)
/
橋本五郎
(著)
乗客が構わずそれをば踏み付けて行こうとするので、
此度
(
こんど
)
は女房が
死物狂
(
しにものぐる
)
いに叫び出した。口癖になった車掌は
黄
(
きいろ
)
い声で
深川の唄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
實
(
じつ
)
は
私
(
わたくし
)
は
貴方
(
あなた
)
との
談話
(
だんわ
)
に
於
(
おい
)
て、
此上
(
このうへ
)
も
無
(
な
)
い
滿足
(
まんぞく
)
を
得
(
え
)
ましたのです。で、
私
(
わたくし
)
は
貴方
(
あなた
)
のお
話
(
はなし
)
を
不殘
(
のこらず
)
伺
(
うかゞ
)
ひましたから、
此度
(
こんど
)
は
何卒
(
どうぞ
)
私
(
わたくし
)
の
話
(
はなし
)
をもお
聞
(
き
)
き
下
(
くだ
)
さい。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
喜「文治殿、藤原でござります、先程から亥太郎殿がおいでの様子ゆえ少々控えて居りました、数年御苦労の甲斐あって
此度
(
こんど
)
の悦び、お察し申上げます」
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「どうも驚ろいたね。君にしてこの
伎倆
(
ぎりょう
)
あらんとは、全く
此度
(
こんど
)
という
今度
(
こんど
)
は
担
(
かつ
)
がれたよ、降参降参」と一人で承知して一人で
喋舌
(
しゃべ
)
る。主人には
一向
(
いっこう
)
通じない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いやそれだから、
此度
(
こんど
)
なんかもまったくひどく困ったよ。
殊
(
こと
)
に君注文が割合に
柔
(
やわ
)
らかな
蛋白石
(
たんぱくせき
)
だろう。
楢ノ木大学士の野宿
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
一方
(
ひとかた
)
ではない、
如何
(
どう
)
いうわけか
跳起
(
はねおき
)
る気力も出ないで、違う違うと、ただ手を振りながら寝ていたが、やがてまた廊下に
草履
(
ぞうり
)
の音が聞えてガラリと障子が
開
(
あ
)
くと、
此度
(
こんど
)
は自分の
敵娼
(
あいかた
)
の顔が出た
一つ枕
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
所
(
ところ
)
が
仕合
(
しあはせ
)
にもミハイル、アウエリヤヌヰチの
方
(
はう
)
が、
此度
(
こんど
)
は
宿
(
やど
)
に
引込
(
ひつこ
)
んでゐるのが、とうとう
退屈
(
たいくつ
)
になつて
來
(
き
)
て、
中食後
(
ちゆうじきご
)
には
散歩
(
さんぽ
)
にと
出掛
(
でか
)
けて
行
(
い
)
つた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
只今申上げました紀伊國屋友之助は図らずも御当家へお出入になりましたことは
此度
(
こんど
)
始めて承わりましたが
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
二人が
此度
(
こんど
)
のようにここの家へ来合せて、自分と一所に茶ぶ台を取囲んで食事をするような折は、何か特別の事でも起らないかぎり、まず無いと思わなくてはなるまい。
老人
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
痛む事おびただしい。
此度
(
こんど
)
は仕方がないからにゃーにゃーと二返ばかり鳴いて起こそうとしたが、どう云うものかこの時ばかりは
咽喉
(
のど
)
に物が
痞
(
つか
)
えて思うような声が出ない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
此度
(
こんど
)
ばかりはもう年が年だから、大した事はない様だが、長屋の者も相談してね、だけども養子では有るし、お呼び申して出て来て、
何
(
なん
)
だ是っぱかりの病気に
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
物干竿を
掛直
(
かけなお
)
したかみさんは
有合
(
ありあ
)
う
雑布
(
ぞうきん
)
で赤ぎれのした足の裏を
拭
(
ふ
)
き拭き
此度
(
こんど
)
は遠慮なくがらりと襖を明けて顔を出した。
眉毛
(
まゆげ
)
の薄い目尻の下った
平顔
(
ひらがお
)
の年は三十二、三。
雪解
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
と云われるから胸に込上げて、又市
逆
(
のぼ
)
せ
上
(
あが
)
って、
此度
(
こんど
)
は
猶
(
なお
)
強く藤助の胸ぐらを取ってうーんと締上げる。
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
角右衞門殿が
臨終
(
いまわ
)
の
際
(
きわ
)
に何にもいう事はねえが、
己
(
おら
)
ア
家
(
うち
)
の相続人は多助と
定
(
さだま
)
っている、
此度
(
こんど
)
は
己
(
おら
)
ア死病と定って居るから、
一言
(
いちごん
)
云わねえければならねえと云うものは
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
富「イヤ
此度
(
こんど
)
は実に弱りまして、只もうどうも富五郎は
両親
(
ふたおや
)
に別れたような心持が致しますなア」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と云われてお國は、
此度
(
こんど
)
こそ孝助がお手打になる事と思い、心の
中
(
うち
)
で仕済ましたりと思っている
処
(
ところ
)
へ、金子が出て、孝助に謝まれと云うから残念で
堪
(
たま
)
らないけれども、仕方がないから
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
私は物心が付きましてお母様はお達者か、御無事でおいでかと案じてばかりおりました所、
此度
(
こんど
)
図
(
はか
)
らずお目にかゝりましたのは日頃
神信心
(
かみしんじん
)
をしたお蔭だ、
殊
(
こと
)
にあなたがお手引をなすって
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
駕「何処だか少しも
見当
(
みあて
)
が付きませんが、おい/\、
先刻
(
さっき
)
左に見えた土手の
燈火
(
あかり
)
が、
此度
(
こんど
)
ア
右手
(
こっち
)
に見える様になった、おや/\右の方の森が左になったが、そうすると突当りが山谷の燈火か」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
忠「いえ何うも
此度
(
こんど
)
はむずかしゅうございます」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
阿「
此度
(
こんど
)
は倍賭けで二両で」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
此
漢検準1級
部首:⽌
6画
度
常用漢字
小3
部首:⼴
9画
“此”で始まる語句
此方
此
此処
此家
此奴
此處
此所
此間
此頃
此様