時期じき)” の例文
かれらが失望しつぼう落胆らくたんすべき必然ひつぜん時期じきはもはや目のまえにせまっていると思うと、はらわたがえかえってちぎれる心持ちがする。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
人生の、ひとつの、より輝かしい時期じきが、私にはじまつたと思つた——花やよろこびと共に、荊棘いばらや辛勞をも受けるであらう時期。
ふるとしといふのは、新年しんねんたいする舊年きゆうねんであつて、むかしこよみではとしけないうちに、立春りつしゆんせつといふこよみうへ時期じきがやつてることもあつたのです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
したがつこの獲得くわくとくしたかね本年ほんねん輸入時期ゆにふじきいたつて拂出はらひだして減少げんせうしても、下半期しもはんき輸出超過ゆしゆつてうくわ時期じきまたふたゝこれ取返とりかへすことが出來できれば、非常ひじやう仕合しあはせである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
さら彼女かのじょはその生涯しょうがいもっと重要じゅうようなる時期じき、十七さいから三十三さいまでを三浦半島みうらはんとうらし、四百ねんぜん彼女かのじょ守護霊しゅごれいしたしめる山河さんが自分じぶんしたしんだのでありました。
……雨風あめかぜ猶豫ためらつて、いざと間際まぎはにも、卑怯ひけふに、さて發程たたうか、めようかで、七時しちじ急行きふかう時期じきごし、九時くじにもふか、ふまいか。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
耕耘かううん時期じきいつしてるのと、肥料ひれう缺乏けつばふとでいく焦慮あせつても到底たうてい滿足まんぞく結果けつくわられないのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
しかし、それは、うつ時期じきでなかったので、もしなびてしまえば、れてしまいました。
ある男と無花果 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「浪人大澤傳右衞門父娘おやこも、唐辛子屋たうがらしやのケチ兵衞夫婦も、大工の半次母子も、宇佐美左内の一族だつた。その三軒が、仲が惡さうに見せて、實はかたき時期じきを待つた」
いし器物きぶつばかりを使つかつてゐた石器時代せつきじだいから、ぎにはすこしづゝ金屬きんぞく器物きぶつもちひた時期じきぎて、日本につぽんつひ金屬きんぞく利器りきおも使用しようするいはゆる金屬時代きんぞくじだいにはひりました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
碁の方が急なので、ただ不可思議なることとしていたが、朝になってひそかに聞くと、時期じきせまれるもののようである。そこで、かねて約束してあった順天堂病院へ同行どうこうする。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
この四五ぐわつふものは、わたしつてはたゞゆめのやうで、たのしいとへばたのしいが、さりとて、わたし想像さうざうしてゐたほどまたひとふほど、これわたしの一しやうもつと幸福かうふく時期じきだともおもはぬ。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
このつの毎年まいねんほゞきまつた時期じき一囘いつかいち、翌年よくねんまたえます。としるにしたがつて叉状またじようにわかれますが三本角さんぼんづの以上いじようにはなりません。また鹿しかはるあきとの二囘にかいをかへます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
「もうクルミがうれる時期じきになったよ。どうだい、いっしょに山へいって、思いきり食べてこようじゃないか。まごまごしていると、リスのやつにみんなもっていかれちまうからね。」
教会けうくわい草木さうもくまた動物どうぶつの如き自然物しぜんぶつにあらず、草木は時期じきさだめてはなむすび、小児せうに時期じき経過けいくわすれば成人せいじんして智力ちりよく啓発けいはつに至るべし、しかれども教会けうくわい人為的じんゐてきなり、復興ふくこうせんとほつせば明日めうにち
問答二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
叫哭きょうこくしたくてたまらなかったときに叫哭きょうこくしえないで、叫哭すべき時期じき経過けいかしたいまは、かなしい思いよりは、なさけなく腹立はらだたしさにのぼせてしまった。
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
それだからすでたきぎるべき時期じきすごして、大木たいぼくさうそなへて團栗どんぐりあささらせられるやうにれば、枯葉かれはいさぎよいてからりとさわやかに樹相じゆさうせるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
不可能ふかのうであるならば、あのとき爲替相場かはせさうば四十三ドルぶんの三は到底たうてい維持ゐぢ出來できないのであつて、段々だんだんさがつてることはあきらかなことで、あの時期じき爲替相場かはせさうば極端きよくたんさがつたならば
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)