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打眺
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うちなが
ふりがな文庫
“
打眺
(
うちなが
)” の例文
からは
灰
(
はひ
)
にあとも
止
(
とゞ
)
めず
煙
(
けぶ
)
りは
空
(
そら
)
に
棚引
(
たなび
)
き
消
(
き
)
ゆるを、うれしや
我
(
わが
)
執着
(
しふちやく
)
も
遺
(
のこ
)
らざりけるよと
打眺
(
うちなが
)
むれば、
月
(
つき
)
やもりくる
軒
(
のき
)
ばに
風
(
かぜ
)
のおと
清
(
きよ
)
し。
軒もる月
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
濱島
(
はまじま
)
は
船
(
ふね
)
の
舷梯
(
げんてい
)
まで
到
(
いた
)
つた
時
(
とき
)
、
今
(
いま
)
一
度
(
ど
)
此方
(
こなた
)
を
振返
(
ふりかへ
)
つて、
夫人
(
ふじん
)
とその
愛兒
(
あいじ
)
との
顏
(
かほ
)
を
打眺
(
うちなが
)
めたが、
何
(
なに
)
か
心
(
こゝろ
)
にかゝる
事
(
こと
)
のあるが
如
(
ごと
)
く
私
(
わたくし
)
に
瞳
(
ひとみ
)
を
轉
(
てん
)
じて
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
其儘
(
そのまゝ
)
持行きて目科に示すに彼れ
右見左見
(
とみこうみ
)
打眺
(
うちなが
)
めたるすえ「コレハ大変な手掛だ」と云い嚊煙草の空箱を取出す間も無く喜びの色を浮べたれば
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
すてはその
瞼
(
まぶた
)
を優しく閉じてやってやはり
其処
(
そこ
)
から動かずに、芝のうえに坐ってまた冷たい汗を
拭
(
ふ
)
いて、貝ノ馬介の死体を茫然と
打眺
(
うちなが
)
めていた。
舌を噛み切った女:またはすて姫
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
老人連の中には若紳士の説を喜ぶものもあり。中川が
如何
(
いか
)
に答うるやと窃にその様子を
伺
(
うかが
)
っている。子爵家の姫君玉江嬢も心配顔に中川の顔を
打眺
(
うちなが
)
めぬ。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
▼ もっと見る
奇遇に驚かされたる彼の
酔
(
ゑひ
)
は
頓
(
とみ
)
に
半
(
なかば
)
は消えて、せめて昔の
俤
(
おもかげ
)
を認むるや、とその人を
打眺
(
うちなが
)
むるより外はあらず。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
予はこの景色を
打眺
(
うちなが
)
めて何となく心
躍
(
をど
)
りけるが、この
刹那
(
せつな
)
忽然
(
こつぜん
)
として、吾れは天地の神と
偕
(
とも
)
に、同時に、この森然たる眼前の景を観たりてふ一種の意識に打たれたり。
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
身体
(
からだ
)
黒く足赤きが眼前をよぎり候あと、またひらひらと群集左右より寄せ合うて、両側に別れたる路を
塞
(
ふさ
)
ぎ候時、その
過行
(
すぎゆ
)
きし
方
(
かた
)
を
打眺
(
うちなが
)
め候へば、
彼
(
か
)
の怪物の全体は
凱旋祭
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
行列
(
ぎやうれつ
)
が
愛
(
あい
)
ちやんと
相對峙
(
あひたいぢ
)
する
迄
(
まで
)
進
(
すゝ
)
んで
來
(
き
)
た
時
(
とき
)
に、
彼等
(
かれら
)
は一
齊
(
せい
)
に
止
(
とゞ
)
まつて
愛
(
あい
)
ちやんを
打眺
(
うちなが
)
めました、
女王樣
(
ぢよわうさま
)
は
嚴肅
(
げんしゆく
)
に、『こは
何者
(
なにもの
)
ぞ?』と
心臟
(
ハート
)
の
軍人
(
ネーブ
)
にまで
申
(
まを
)
されました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
去年
(
こぞ
)
は
九重
(
こゝのへ
)
の雲に見し秋の月を、
八重
(
やへ
)
の
汐路
(
しほぢ
)
に
打眺
(
うちなが
)
めつ、覺束なくも明かし暮らせし壽永二年。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
脚袢
(
きゃはん
)
に
手甲
(
てっこう
)
がけ、
編笠
(
あみがさ
)
かぶった女の、四人五人、
高箒
(
たかほうき
)
と熊手を動し、落葉枯枝をかきよせているのをば、時々は不思議そうに
打眺
(
うちなが
)
めながら、
摺鉢山
(
すりばちやま
)
の
麓
(
ふもと
)
を鳥居の方へと急いだ。
曇天
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
姉は物も言わんで、
微笑
(
ほほえ
)
んで、
彼
(
あ
)
のうるんだ
愛
(
なさけ
)
の籠る
眸
(
ひとみ
)
で、二郎を
打眺
(
うちなが
)
めている。二郎は姉の
袂
(
たもと
)
にしかと
縋
(
すが
)
り付いたまま、もうもう決して決して、放さないと決心したのである。
稚子ヶ淵
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
貰
(
もら
)
ったばかりの昇給の辞令を、
折鞄
(
おりかばん
)
から出したり、しまったり、幾度も幾度も、飽かず
打眺
(
うちなが
)
めて喜んでいる光景、ゾロリとしたお
召
(
めし
)
の着物を
不断着
(
ふだんぎ
)
にして、
果敢
(
はか
)
ない
豪奢振
(
ごうしゃぶ
)
りを示している
屋根裏の散歩者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「狐を釣るに
鼠
(
ねずみ
)
の
天麩羅
(
てんぷら
)
を用ふる由は、われ
猟師
(
かりうど
)
に
事
(
つか
)
へし故、
疾
(
とく
)
よりその法は知りて、
罠
(
わな
)
の掛け方も心得つれど、さてその
餌
(
えば
)
に供すべき、鼠のあらぬに
逡巡
(
ためら
)
ひぬ」ト、いひつつ天井を
打眺
(
うちなが
)
め
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
と云われて孝助は
唯
(
たゞ
)
へい/\とばかりに呆れ果て、張詰めた気もひょろぬけて腰が抜け、ペタ/\と尻もちを突き、呆気に取られて、飯島の顔を
打眺
(
うちなが
)
め、茫然として居りましたが、
暫
(
しばら
)
くして
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
洗ひ
嗽
(
うがひ
)
などして
暑
(
あつさ
)
を
凌
(
しの
)
ぎ
休
(
やす
)
らひ居たり此處は景色もよく後ろは
須走
(
すはし
)
り前は
山中
(
やまなか
)
の湖水と
打眺
(
うちなが
)
め居る彼方の
坂
(
さか
)
より
行衣
(
ぎやうい
)
に
襷
(
たすき
)
を
懸
(
かけ
)
て
金剛杖
(
こんがうづゑ
)
を突ながら
鈴
(
すゞ
)
の
音
(
ね
)
と
倶
(
とも
)
に來る富士同者あり
渠
(
かれ
)
も此處に休み水を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
『
實
(
じつ
)
に
不思議
(
ふしぎ
)
だ——あの
船脚
(
ふなあし
)
の
速
(
はや
)
い
事
(
こと
)
は——』と
右手
(
ゆんで
)
の
時辰器
(
じしんき
)
を
船燈
(
せんとう
)
の
光
(
ひかり
)
に
照
(
てら
)
して
打眺
(
うちなが
)
めつゝ、
眤
(
じつ
)
と
考
(
かんが
)
へて
居
(
を
)
るのは
本船
(
ほんせん
)
の
一等運轉手
(
チーフメート
)
である。つゞいて
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
いと淡き今宵の月の色こそ、その哀にも似たるやうに
打眺
(
うちなが
)
めて、
他
(
ひと
)
の憎しとよりは
転
(
うた
)
た
自
(
みづから
)
を悲しと思続けぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
残りなく寸断に
為
(
な
)
し終りて、
熾
(
さか
)
んにもえ立つ炭火の
中
(
うち
)
へ
打込
(
うちこ
)
みつ打込みつ、からは灰にあとも
止
(
とゞ
)
めず、煙りは空に
棚引
(
たなび
)
き消ゆるを、「うれしや、
我
(
わが
)
執着も残らざりけるよ」と
打眺
(
うちなが
)
むれば
軒もる月
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
床几
(
しやうぎ
)
に
休
(
いこ
)
ひ
打眺
(
うちなが
)
むれば、
客
(
きやく
)
幾組
(
いくくみ
)
、
高帽
(
たかばう
)
の
天窓
(
あたま
)
、
羽織
(
はおり
)
の
肩
(
かた
)
、
紫
(
むらさき
)
の
袖
(
そで
)
、
紅
(
くれなゐ
)
の
裙
(
すそ
)
、
薄
(
すゝき
)
に
見
(
み
)
え、
萩
(
はぎ
)
に
隱
(
かく
)
れ、
刈萱
(
かるかや
)
に
搦
(
から
)
み、
葛
(
くず
)
に
絡
(
まと
)
ひ、
芙蓉
(
ふよう
)
にそよぎ、
靡
(
なび
)
き
亂
(
みだ
)
れ、
花
(
はな
)
を
出
(
い
)
づる
人
(
ひと
)
、
花
(
はな
)
に
入
(
い
)
る
人
(
ひと
)
、
花
(
はな
)
をめぐる
人
(
ひと
)
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
松茸売の去りし跡にて小山の妻君今
買
(
かい
)
し松茸を
打眺
(
うちなが
)
め
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
その
古
(
いにしへ
)
蒲生飛騨守氏郷
(
がもうひだのかみうじさと
)
この処に
野立
(
のだち
)
せし事有るに
因
(
よ
)
りて、
野立石
(
のだちいし
)
とは申す、と例のが
説出
(
ときいだ
)
すを、貫一は
頷
(
うなづ
)
きつつ、目を放たず
打眺
(
うちなが
)
めて、独り
窃
(
ひそか
)
に舌を巻くのみ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
伯爵は三人の娘の顔を
打眺
(
うちなが
)
め、
黄金
(
おうごん
)
の
腕環
(
うでわ
)
を再び自分の手に取って
黄金の腕環:流星奇談
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
打
常用漢字
小3
部首:⼿
5画
眺
常用漢字
中学
部首:⽬
11画
“打”で始まる語句
打
打擲
打棄
打捨
打殺
打倒
打明
打付
打笑
打毀