打棄うつちや)” の例文
「さうなんでさ、わたしや蜀黍もろこし打棄うつちやときまでつとおもつてたらえねえんでさ、私等家わたしらぢのおとつつあは道具だうぐつちとひどおこんですから」
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
忙しい台所の手伝ひ人たちも、仕事を打棄うつちやらかして庭に走つて来た。誰も彼も、一目見ただけであつと感嘆の声をあげたまゝ、唾をのみこんだ。
菜の花月夜 (新字旧仮名) / 片岡鉄兵(著)
ここには古くから別莊が何軒もあつて、(しかし今ではもうすつかり壞れたまま打棄うつちやらかされてあるのもありますが)
匈奴の森など (旧字旧仮名) / 堀辰雄(著)
何しろ学問は打棄うつちやつて西鶴が么麼どうしたの其碩きせきが么麼したの紅葉はえらいのさゞなみは感心だのと頻りに肩を入れられるさうナ。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
其處そこで。其處そこまゐりますわ、さかしたです。……いましがた貴方あなたにおかゝります、一寸ちよつとさきなんですか、フツと打棄うつちやつてけないがしましたから。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
知つてゐても何うにもならないやうになる。唯現実だけが問題になつて、内部のことは、全く触れずに打棄うつちやり放しにされてゐる。これでは、本当の人間といふことはわかる筈はない。
心の絵 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
三藏は「どうかしましたか」と優しく尋ねたが尼は其言葉を有難く思ふやうな風も見えず「リョウマチどつしやらう」と餘所々々しくいつて「しやうが無い」と打棄うつちやつたやうな獨り言をいふ。
俳諧師 (旧字旧仮名) / 高浜虚子(著)
ヹニュスよ、偶には打棄うつちやるがいい
れた鳳仙花ほうせんくわえだたけつゑしばりつけようとしてれたらぽろりとくきからはなれてしまつた。卯平うへい忌々敷相いまいましさう打棄うつちやつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
三日目みつかめ午過ひるすぎ、やれかゆろの、おかう/\をこまかくはやせの、と病人びやうにんが、何故なぜ一倍いちばい氣分きぶんわるいと、午飯おひるべないから、打棄うつちやつてはかれない。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「へえ、なに、わしが一攫ひとつかいてたの打棄うつちやつたんでがした」勘次かんじういつてあをつた。巡査じゆんささら被害者ひがいしや勘次かんじはたけ案内あんないさせた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
それからもしのお雑巾ざうきん次手ついでにづツぷりおしぼんなすつてくださるとたすかります、途中とちう大変たいへんひましたのでからだ打棄うつちやりたいほど気味きみわるうございますので
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それ、徒労力むだぼねことよ! えうもない仕事三昧しごとざんまい打棄うつちやつて、わかひとつま思切おもひきつて立帰たちかへれえ。老爺おやぢらぬ尻押しりおしせず、柔順すなほつまさゝげるやうに、わかいものを説得せつとくせい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たゞ挨拶あいさつをしたばかりのをとこなら、わしじつところ打棄うつちやつていたにちがひはないが、こゝろよからぬひとおもつたから、そのまゝに見棄みすてるのが、わざとするやうで、めてならなんだから
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なか/\、まだこれでもぼつちやんさへ御承知下ごしようちくだされば、くるま此處こゝ打棄うつちやつて、猿抱負さるおんぶおぶまをして、友造ともざうふんどしひもとほした天保錢てんぱうせんで、風車かざぐるまつておたせまをしたうござります。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ふたはらへば、昏惘こんまうとして令史れいしあり。つま微醉ほろゑひおもて妖艷無比えうえんむひ令史れいしさらおどろかず、そんなものはお打棄うつちやりよと。令史れいし突出つきだし、大勢おほぜい一所いつしよに、あはゝ、おほゝ、とさら空中くうちう昇去のぼりさりぬ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なにりませんが、たまらないほど可厭いやなお心持こゝろもちらしくうかゞはれますね……では、大抵たいていわかりました……手前てまへにおたのみとふのは、あの……ちん、ちんのきこえないやうに、むしつかまへて打棄うつちやるか
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それでも親の慈悲や兄のなさけうかして学校へもく様に真人間にしてりたいと思へばこそ性懲しやうこりけよう為に、昨夜ゆうべだつて左様さうだ、一晩裸にして夜着よぎせずに打棄うつちやつて置いたのだ。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
旦那だんな役所やくしよかよくつさきかゞやいてるけれども、細君さいくん他所行よそいき穿物はきものは、むさくるしいほど泥塗どろまみれであるが、おもふに玄關番げんくわんばん學僕がくぼくが、悲憤ひふん慷慨かうがいで、をんなあしにつけるものを打棄うつちやつてくのであらう。
山の手小景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
なに打棄うつちやつたんだ。」と青年わかもの口惜くやしさうにつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……がたのいた、そんなものは、掃溜はきだめ打棄うつちやつた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
打棄うつちやらしつたえ、持重もちおもりがたゞかね。」
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)