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憩
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やす
ふりがな文庫
“
憩
(
やす
)” の例文
腕組みして仔細らしく考へ込んでゐる
凋
(
しぼ
)
んだ
青瓢箪
(
あをべうたん
)
のやうな小僧や、さうした人達の中に加つて彼は控所のベンチに身を
憩
(
やす
)
ませた。
崖の下
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
人待石に
憩
(
やす
)
んだ時、道中の慰みに、おのおの一芸を
仕
(
つかまつ
)
ろうと申合す。と、鮹が
真前
(
まっさき
)
にちょろちょろと松の木の
天辺
(
てっぺん
)
へ
這
(
は
)
って、脚をぶらりと
瓜の涙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「よくよく武芸事には
性
(
しょう
)
があわぬと見えまする——それはそうと、まだ早うござるゆえ、どこかその辺で少し
憩
(
やす
)
みましょうか」
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
二人はそれには頓着なしでずん/\あらぬ方向へ行つた。そこらには倉庫が新らしく建たうとして、
杭打
(
くひう
)
ちの綱引女がだらしなく
憩
(
やす
)
んでゐた。
煤煙の匂ひ
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
暫く遊んだ牧人が小
憩
(
やす
)
みをしに傍の叢に横わったとき、その全身に
鏤
(
ちり
)
ばめられたように輝く露の珠は、何と奇麗でしょう。
獄中への手紙:11 一九四四年(昭和十九年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
▼ もっと見る
まさか宿屋を聞いて廻るわけもならず、エミ子はすっかり気抜けがしてしまいました。——ひょっとして、岩本樓あたりに
憩
(
やす
)
んでいるのかも知れない。
四月馬鹿
(新字新仮名)
/
渡辺温
(著)
十二階から吉原への、ちょうど活動館のうしろの通りの、共同便所にならんで、いつも一台の自動車が
憩
(
やす
)
んでいた。
幻影の都市
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
なんてヒステリーなら好加減よすとして、今晩はこれで眠るとして、精神を
憩
(
やす
)
めておいて、また明日の散歩だ……
散歩生活
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
有名な
髑髏洞
(
カタコンブ
)
の前まで来て
其
(
その
)
筋
向
(
むか
)
ひの
珈琲店
(
キヤツフエ
)
で
一寸
(
ちよつと
)
憩
(
やす
)
まうと滋野君が云つた。同じく飛行場を観たいと云ふ
或
(
ある
)
お嬢さんを
其処
(
そこ
)
で待合す約束に成つて居た。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
わたくしは散策の方面を隅田河の東に替え、
溝際
(
どぶぎわ
)
の家に住んでいるお雪という女をたずねて
憩
(
やす
)
むことにした。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
またすこし
憩
(
やす
)
もうということになって見廻すと、ちょうどそこに
空
(
あ
)
いた椅子がふたつ私たちを招いていた。
踊る地平線:03 黄と白の群像
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
藤戸大尉は、帯剣を釣る手を
憩
(
やす
)
めて何か重大命令を受けて来たらしい僚友に、哲学じみたことを言った。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
寺の在る処は
旧
(
もと
)
は淋しい
町端
(
まちはず
)
れで、門前の芋畠を吹く風も悲しい程だったが、今は可なりの町並になって居て、昔
能
(
よ
)
く
憩
(
やす
)
んだ事のある
門脇
(
もんわき
)
の掛茶屋は影も形も無くなり
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
奥へ蚊帳吊って
憩
(
やす
)
ませる、これがずるずるその晩泊り込んでしまう手だてとはなるのである。
我が円朝研究:「怪談牡丹灯籠」「江島屋騒動」「怪談乳房榎」「文七元結」「真景累ヶ淵」について
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
粂吉も連れず一人でそんなところを歩いているとき、
不図
(
ふと
)
綺麗な松落葉の積った箇所を見つけ出して
緩々
(
ゆるゆる
)
と腰かけて
憩
(
やす
)
んで居るときなどその騒々しい気分がよく了解されてくる。
茸をたずねる
(新字新仮名)
/
飯田蛇笏
(著)
菊人形では植木屋半兵衛の小屋がいちばん古く、人形のほかに蕎麦を喰わせる、藪下の蕎麦といって菊人形の見物につきもののようになり、菊を見たかえりには、たいていここで
憩
(
やす
)
む。
顎十郎捕物帳:22 小鰭の鮨
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
その
日
(
ひ
)
も、
海蔵
(
かいぞう
)
さんよりさきに三
人
(
にん
)
の
人力曳
(
じんりきひ
)
きが、
茶店
(
ちゃみせ
)
の
中
(
なか
)
に
憩
(
やす
)
んでいました。
牛をつないだ椿の木
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
また畑の中に立つた夏蜜柑や
朱欒
(
ざぼん
)
のその青い実のたわわに枝に
憩
(
やす
)
んでゐる、この遠い街道に沿つた、村の郵便局の、壁にあるポストの金具を、ちよいと指さきに冷めたく思つたそのあとで
測量船
(新字旧仮名)
/
三好達治
(著)
そこで源三は川から二三
間
(
けん
)
離
(
はな
)
れた大きな岩のわずかに
裂
(
さ
)
け
開
(
ひら
)
けているその間に身を
隠
(
かく
)
して、
見咎
(
みとが
)
められまいと
潜
(
ひそ
)
んでいると、ちょうど前に我が休んだあたりのところへ腰を下して
憩
(
やす
)
んだらしくて
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
わたしは歩み入る、街路樹の
鈴懸
(
プラタナス
)
を涵してゐる闇へ。それはSといふ外国商館のまへで、
注文帳
(
オオダアブック
)
の黒の背革よりもくろい。闇に紛れてわたしはみる、二輪車のいくつかが、闇なかに
憩
(
やす
)
んでゐるのを。
雪
(新字旧仮名)
/
高祖保
(著)
草のあひだに
憩
(
やす
)
んでゐた
優しき歌 Ⅰ・Ⅱ
(新字旧仮名)
/
立原道造
(著)
もう
憩
(
やす
)
んでいる寺僧の世話までかけて、広い境内を歩かずに、この御堂の縁へ、いきなり建物伝いに来て立ったのでも分る。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ゆるい、はけ水の
小流
(
こながれ
)
の、一段ちょろちょろと落口を差覗いて、その翁の、また一息
憩
(
やす
)
ろうた杖に寄って、私は言った。
小春の狐
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ベンチも一つ置いて腰かけて
憩
(
やす
)
むようにするといいね、そこで旅行者は何でも好きなように連れと話をしてもいいんだから、来年の夏にはそうしなさい
我が愛する詩人の伝記
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
ドユマアゼル君は断念して帰つて行つた。僕達は場外へ出て
少時
(
しばらく
)
珈琲店
(
キヤツフエ
)
で
憩
(
やす
)
んだ。和田垣博士の駄洒落が
沢山
(
たくさん
)
に出た。「
巴里
(
パリイ
)
に多い物は
尽
(
づく
)
し」を並べて
種種
(
いろいろ
)
の頭韻を
冠
(
かぶ
)
つた句などが出来る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
次
(
つぎ
)
の
日
(
ひ
)
、
大野
(
おおの
)
の
町
(
まち
)
へ
客
(
きゃく
)
を
送
(
おく
)
ってきた
海蔵
(
かいぞう
)
さんが、
村
(
むら
)
の
茶店
(
ちゃみせ
)
にはいっていきました。そこは、
村
(
むら
)
の
人力曳
(
じんりきひ
)
きたちが
一仕事
(
ひとしごと
)
して
来
(
く
)
ると、
次
(
つぎ
)
のお
客
(
きゃく
)
を
待
(
ま
)
ちながら、
憩
(
やす
)
んでいる
場所
(
ばしょ
)
になっていたのでした。
牛をつないだ椿の木
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
大きな金属製の
桶
(
おけ
)
に、その白い液体が入っていた。桶の下は電熱で温められている。ちょっとでも、手を
憩
(
やす
)
める
遑
(
いとま
)
はない。白い液体は絶えずグルグルと渦を巻いて掻き廻わされていなければならない。
殺人の涯
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
どつかにはひつて
憩
(
やす
)
みませうよと。
山羊の歌
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
Ⅰ
憩
(
やす
)
らひ
優しき歌 Ⅰ・Ⅱ
(新字旧仮名)
/
立原道造
(著)
津の川波は
鱗
(
うろこ
)
がたの細かい
皺
(
しわ
)
を見せ、男の古い
狩衣
(
かりぎぬ
)
には少し寒いくらいだった。青い下帯をしめた彼は渡舟を待つあいだ、筒井と土手に腰をおろして
憩
(
やす
)
んだ。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
名物
(
めいぶつ
)
と
豫
(
かね
)
て
聞
(
き
)
く、——
前
(
まへ
)
にも
一度
(
いちど
)
、
神田
(
かんだ
)
の
叔父
(
をぢ
)
と、
天王寺
(
てんわうじ
)
を、
其
(
そ
)
の
時
(
とき
)
は
相坂
(
あひざか
)
の
方
(
はう
)
から
來
(
き
)
て、
今戸
(
いまど
)
邊
(
あたり
)
へ
𢌞
(
まは
)
る
途中
(
とちう
)
を、こゝで
憩
(
やす
)
んだ
事
(
こと
)
がある。が、
最
(
も
)
う七八
年
(
ねん
)
にもなつた。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「千浪どの、どうやら
午
(
ひる
)
近い陽あし、あれに見える
葭簀
(
よしず
)
茶屋で
憩
(
やす
)
んで参ると致しましょう」
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこで良寛さんは、
辻堂
(
つじだう
)
の
傍
(
かたはら
)
に腰をおろして
憩
(
やす
)
んだ。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
「どうしたい。ちと
憩
(
やす
)
んではどうか」
獏鸚
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
女中部屋で
一
(
ひ
)
ト
憩
(
やす
)
みさせてから、灯の
点
(
つ
)
いた下で、また赤児に乳房をくわえさせたが、二度ばかりで泣き出してしまった。しらべると一滴ずつしか出なかった。
童子
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
突立
(
つツた
)
つて
居
(
ゐ
)
ては
出入
(
ではひ
)
りの
邪魔
(
じやま
)
にもなりさうだし、とば
口
(
くち
)
は
吹降
(
ふきぶ
)
りの
雨
(
あめ
)
が
吹込
(
ふきこ
)
むから、
奧
(
おく
)
へ
入
(
はひ
)
つて、
一度
(
いちど
)
覗
(
のぞ
)
いた
待合
(
まちあひ
)
へ
憩
(
やす
)
んだが、
人
(
ひと
)
を
待
(
ま
)
つのに、
停車場
(
ステエシヨン
)
で
時
(
とき
)
の
針
(
はり
)
の
進
(
すゝ
)
むほど
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
音無瀬
(
おとなせ
)
の水が
憩
(
やす
)
らかによる鷺ヶ淵は、まだ
峯間
(
みねあい
)
から朝の陽も覗かないので、ほのかな暁闇の漂う中に、水藻の花の息づかいが、白い水蒸気となってすべてを夢の世界にしていた。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「おじさま、何処かでお
憩
(
やす
)
みにならない、銀座に来たわよ、あたい、塩からい物がたべたいわ。」
蜜のあわれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
處
(
ところ
)
で、一
錢
(
せん
)
たりとも
茶代
(
ちやだい
)
を
置
(
お
)
いてなんぞ、
憩
(
やす
)
む
餘裕
(
よゆう
)
の
無
(
な
)
かつた
私
(
わたし
)
ですが、……
然
(
さ
)
うやつて
賣藥
(
ばいやく
)
の
行商
(
ぎやうしやう
)
に
歩行
(
ある
)
きます
時分
(
じぶん
)
は、
世
(
よ
)
に
無
(
な
)
い
兩親
(
りやうしん
)
へせめてもの
供養
(
くやう
)
のため、と
思
(
おも
)
つて
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「あとで
憩
(
やす
)
ませていただきます。ただ今は筒井怠けていては皆さまの教えにはなりませぬ。」
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
年紀
(
とし
)
は
少
(
わか
)
いのに、よっぽど好きだと見えて、さもおいしそうに
煙草
(
たばこ
)
を
喫
(
の
)
みつつ、……しかし
烈
(
はげ
)
しい暑さに弱って、身も疲れた様子で、炎天の並木の下に
憩
(
やす
)
んでいる学生がある。
瓜の涙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
彼処
(
あすこ
)
さ、それ、
傘
(
かさ
)
の陰に
憩
(
やす
)
んでござる。はははは、礼を聞かっせえ、待ってるだに。」
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
舟のへさきに白い小鳥が一羽、静かに翼を
憩
(
やす
)
めて止っている。——その影は冴えた百合花のように水の上にあるが、小波もない湖の底まで明るい透きとおった影の尾を曳いている。
みずうみ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「お呼吸の苦しい間、お背中が
強張
(
こわば
)
っていましたけれど、あ、そう、わたくしもお水いただいて置きましょう。お廊下に出てお
憩
(
やす
)
みになったら? 上山さんの講演も終りましたし。」
蜜のあわれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
おきれいなのが
三人
(
さんにん
)
ばかりと、
私
(
わたし
)
たち、
揃
(
そろ
)
つて、
前津
(
まへつ
)
の
田畝
(
たんぼ
)
あたりを、
冬霧
(
ふゆぎり
)
の
薄紫
(
うすむらさき
)
にそゞろ
歩
(
ある
)
きして、
一寸
(
ちよつと
)
した
茶屋
(
ちやや
)
へ
憩
(
やす
)
んだ
時
(
とき
)
だ。「ちらしを。」と、
夫人
(
ふじん
)
が
五
(
ご
)
もくずしをあつらへた。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
かよわいその人の、一人、毛氈に端坐して、城の見ゆる町を
遥
(
はるか
)
に、開いた丘に、少しのぼせて、羽織を脱いで、
蒔絵
(
まきえ
)
の重に片袖を掛けて、ほっと
憩
(
やす
)
らったのを見て、少年は谷に下りた。
小春の狐
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
憩
(
やす
)
ませておあげしたの、もう、おじさまのお話が済んだ後だったから、クッションの上で永い間お話したわ、水のようにお廊下に人気がなくて、その方の顔の色があたいの五体にしみ亘るほど
蜜のあわれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
控所の茶屋で
憩
(
やす
)
むように、と皆さんが、そう言って下さいましたから、
好
(
い
)
い都合に、
点燈頃
(
あかりのつきごろ
)
の混雑紛れに出ましたけれど、宅の車では悪うございますから、途中で辻待のを雇いますと
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
十段くらいずつ登っては
憩
(
やす
)
み、さらにまた十段ずつ登りはじめた。
われはうたえども やぶれかぶれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
白糸は欄干に腰を
憩
(
やす
)
めて、しばらくなすこともあらざりしが、突然声を揚げて
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
憩
常用漢字
中学
部首:⼼
16画
“憩”を含む語句
休憩
一憩
小憩
休憩時間
休憩所
一休憩
休憩中
休憩場
午憩
御休憩所
御少憩
御憩
憩所
打憩
昼休憩
過憩驛亭相見
高等官休憩所