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土藏
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どざう
父さんの
祖母さんの
隱居所になつて
居た二
階と
土藏の
間を
通りぬけて、
裏の
木小屋の
方へ
降て
行く
石段の
横に、その
井戸がありました。
立てゝ
糶呉服の
見るかげもなかりしが
六間間口に
黒ぬり
土藏時のまに
身代たち
上りて
男の
子二人の
内兄は
無論家の
相續弟には
母方の
絶たる
姓を
彼は
冷たい
風の
吹き
通す
土藏の
戸前の
濕つぽい
石の
上に
腰を
掛けて、
古くから
家にあつた
江戸名所圖會と
江戸砂子といふ
本を
物珍しさうに
眺めた。
見るに
折節土藏の
普請にて
足代の掛り居たれば
是僥倖と其足代より
登りしが
流石我ながらに
怖ろしく
戰々慄々を
たゝつたな——
裏川岸の
土藏の
腰にくつ
付いて、しよんぼりと
立つたつけ。
晩方ぢやああつたが、あたりがもう/\として、
向う
岸も、ぼつと
暗い。
折から
一杯の
上汐さ。
彼は
未明に
復土藏へ
隱れた。
内儀さんは
傭人の
口を
堅く
警めて
外へ
洩れないやうと
苦心をした。
そのお
雛は
井戸から
石段を
上り、
土藏の
横を
通り、
桑畠の
間を
通つて、お
家の
臺所までづゝ
水を
運びました。
見るに
間口は六七間
奧行も十間餘
土藏は二戸前あり聞しに
増て
大層なる
暮し成りければ獨心中に歡び是程の暮しならば我等一人
位何やうにも世話して
呉れるならんと
小腰を
何の
事ぢや、おほゝ、
成程、
燒けとる。
𤏋と
火の
上つた
處ぢやが、
燒原に
立つとる
土藏ぢやて。あのまゝ
駈𢌞つても
近まはりに
最う
燒けるものは
何にもないての。おほゝ。
安心々々。
それでも
自分の
家には
居られないので、どうか
隱してくれと
彼は
土藏へ
入れて
貰つた。
勘次は
其處でも
不安に
堪へないので
其處に
暫く
使はずに
藏つてある四
尺桶へこつそりと
潜つて
居た。
お
峯が
主は
白金の
臺町に
貸長屋の百
軒も
持ちて、あがり
物ばかりに
常綺羅美々しく、
我れ一
度お
峯への
用事ありて
門まで
行きしが、千
兩にては
出來まじき
土藏の
普請、
羨やましき
富貴と
見たりし
お
家の
土藏には
年をとつた
白い
蛇も
住んで
居りました。その
蛇は
土藏の『
主』だから、かまはずに
置けと
言つて、
石一つ
投げつけるものもありませんでした。
此路を
眞直に
參りますと、
左樣三河島と、
路を
行く
人に
教へられて、おや/\と、
引返し、
白壁の
見ゆる
土藏をあてに
他の
畦を
突切るに、ちよろ/\
水のある
中に
紫の
花の
咲いたる
草あり。
其の
夜おつぎは
内儀さんに
喚ばれて
隣へ
泊つた。
内儀さんはおつぎと
與吉を
只二人其の
家に
置くには
忍びなかつたのである。
夜になつてから
勘次は
土藏から
出されて
傭人の
側に一
夜を
明した。
貯へしが後には
江戸へも
見世を出さんと
通り
油町へ
間口十間
奧行は
新道迄二十間餘の地を
買土藏もあり
立派なる
大身代となり
番頭若い者
都合廿餘人に及びける
事偏に井筒屋茂兵衞が多分の
善得意を