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免
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まぬが
ふりがな文庫
“
免
(
まぬが
)” の例文
「何故、正成は、死んだか? 討死をしたか? 死なずにすむ戦であったか、
免
(
まぬが
)
れぬ戦であったか、は、別の論議としておいて——」
三人の相馬大作
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
公儀の御封を受けた品や、東照公御墨附が紛失すれば、明年の御品調べを待たず、小堀家は重くて改易、輕くて減地轉封は
免
(
まぬが
)
れません。
銭形平次捕物控:045 御落胤殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
今までの所では
幸
(
さいわい
)
に、法律上の罪人となることだけは
免
(
まぬが
)
れて来た。だが、この先どんなことで、もっとひどい罪を犯すまいものでもない。
夢遊病者の死
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
この反感の反感から、私は、まだ未成品であったためにいろいろの批議を
免
(
まぬが
)
れなかった口語詩に対して、人以上に同情をもつようになった。
弓町より
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
汝の知らんと欲するは、
果
(
はた
)
されざりし誓ひをば人他の
務
(
つとめ
)
によりて
償
(
つぐの
)
ひ、魂をして
論爭
(
あらそひ
)
を
免
(
まぬが
)
れしむるをうるや
否
(
いな
)
やといふ事是なり。 一三—一五
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
▼ もっと見る
それから
私
(
わたくし
)
は
未熟
(
みじゅく
)
な
自分
(
じぶん
)
にできる
限
(
かぎ
)
りの
熱誠
(
ねっせい
)
をこめて、
三浦
(
みうら
)
の
土地
(
とち
)
が
災厄
(
さいやく
)
から
免
(
まぬが
)
れるようにと、
竜神界
(
りゅうじんかい
)
に
祈願
(
きがん
)
を
籠
(
こ
)
めますと
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
脆いのではない、この手でやられては、誰でも
免
(
まぬが
)
れる由はあるまい。この運命を免れんとするには、最初、招きに応じて出なければよかったのだ。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
新しい時代は、多くは抽象たるを
免
(
まぬが
)
れない。又多くは思想たるを免れない。しかしこれは止むを得ないことだ。
墓の上に墓
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
是故に美術的の文学は是非とも脩辞の発達を待ちて発達するなり。而して明治の文学も亦此通則を
免
(
まぬが
)
る能はずして脩辞の時代と共に美術的の文学は来れり。
明治文学史
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
しかし、これとても浮世の無情、
有為天変
(
ういてんぺん
)
は
免
(
まぬが
)
れません。
何
(
いず
)
れはうたかたのはかないものと思って居ります。
ある日の蓮月尼
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
如何
(
いか
)
に為べきかと
或
(
あるひ
)
は
懼
(
おそ
)
れ、或は惑ひたりしが、
終
(
つひ
)
にその
免
(
まぬが
)
るまじきを知りて、彼はやうやう胸を定めつ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
体得するところに
深浅
(
しんせん
)
高低の差があるのは、おそらく
免
(
まぬが
)
れがたいところであり、また時としては、自ら知らずして誤まった方向に進んでいる者もないとは限りません。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
だがそれを内密にすましてその男は処罰されることからは
免
(
まぬが
)
れた。しかし、その代りとして、四年兵になるまで残しておかれるだろうとは、自他ともに覚悟をしていた。
雪のシベリア
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
いまの境遇は、この
蘭谷
(
あららぎだに
)
の豪族、雨龍太郎の妾として、贅沢三昧、姐御姐御と多くの配下に立てられているのだけれど、何と云っても
斑鳩嶽
(
いかるがだけ
)
の山奥の単調さは
免
(
まぬが
)
れない。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
〔譯〕人一生
遭
(
あ
)
ふ所、
險阻
(
けんそ
)
有り、
坦夷
(
たんい
)
有り、
安流
(
あんりう
)
有り、
驚瀾
(
きやうらん
)
有り。是れ
氣數
(
きすう
)
の自然にして、
竟
(
つひ
)
に
免
(
まぬが
)
るゝ能はず、即ち
易理
(
えきり
)
なり。人宜しく居つて安んじ、
玩
(
もてあそ
)
んで
樂
(
たの
)
しむべし。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
そこへ行くと召波の句は、里坊が非常に働いている代りに、多少
斧鑿
(
ふさく
)
の
痕
(
あと
)
の存するを
免
(
まぬが
)
れぬ。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
此
(
この
)
種
(
しゆ
)
の
海鳥
(
かいてう
)
は、
元來
(
ぐわんらい
)
左迄
(
さまで
)
に
性質
(
せいしつ
)
の
猛惡
(
まうあく
)
なもので
無
(
な
)
いから、
此方
(
こなた
)
さへ
落付
(
おちつ
)
いて
居
(
を
)
れば、
或
(
あるひ
)
は
無難
(
ぶなん
)
に
免
(
まぬが
)
れる
事
(
こと
)
が
出來
(
でき
)
たかも
知
(
し
)
れぬが、
不意
(
ふい
)
の
事
(
こと
)
とて、
心
(
しん
)
から
顛倒
(
てんだう
)
して
居
(
を
)
つたので
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
いわゆるセヂの均分などは賢い人々の多い時代にも、なお公平を期し難いものであった。ましてその総体の分量のすでに乏しい社会では、争奪と
怨恨
(
えんこん
)
とは何としても
免
(
まぬが
)
れない。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
その間壮士らの宿料をば、無理算段して
埋
(
う
)
め合せ、
辛
(
かろ
)
うじて無銭宿泊の難を
免
(
まぬが
)
れたれども、さて今後幾日を
経
(
へ
)
ば調金の見込み立つべきや否や、
将
(
は
)
た
如何
(
いか
)
にしてその間を切り抜くべきや。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
女性
(
をんな
)
の誰も
免
(
まぬが
)
れない愛情の潜んで居るのぢや無からうかと思ふんですよ——私などは
斯様
(
こんな
)
軽卒
(
がさつ
)
なもんですから、直ぐ挙動に
顕
(
あら
)
はして
仕舞
(
しまひ
)
ますがネ、貴嬢の様に
強意
(
しつかり
)
した方は、自ら抑へるだけ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
これらの論点を部分的にみれば、なるほどそういうこともいえないこともないが、しかし多くは特殊の例外的な場合を取り上げて、それをことさらに一般化したという
牽強附会
(
けんきょうふかい
)
の感を
免
(
まぬが
)
れない。
政治学入門
(新字新仮名)
/
矢部貞治
(著)
さればと謂ツて、ナンセンスといふ方では無い。相
鷹
(
おう
)
に苦勞もあれば、また女性の
免
(
まぬが
)
れぬ苦勞性の
點
(
とこ
)
もある。
無垢
(
むく
)
か何うか、其れは假りに
疑
(
ぎ
)
問として置くとして、
左程
(
さほど
)
濁つた女で無いのは確だ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
武士らこれをとりもたせて、怪しかりつる事どもを
詳
(
つばら
)
に訴ふ。助も大宮司も
妖怪
(
もののけ
)
のなせる事をさとりて、豊雄を
責
(
さいな
)
む事をゆるくす。されど
二〇九
当罪
(
おもてつみ
)
免
(
まぬが
)
れず、
守
(
かみ
)
の
舘
(
みたち
)
にわたされて
牢裏
(
らうり
)
に
繋
(
つな
)
がる。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
真二つに喰切られたりすることを
免
(
まぬが
)
れることが出来ました。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
殺戮無慙のヘクト,ルの手を
免
(
まぬが
)
れて水陣に
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
元の夫一刀齋勘兵衞を殺し、續いて、主人の雲龍齋又六を殺したとすれば、
磔刑
(
はりつけ
)
か
火焙
(
ひあぶ
)
りは
免
(
まぬが
)
れぬところでせう。
銭形平次捕物控:028 歎きの菩薩
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
兄弟よ、人難を
免
(
まぬが
)
れんため、わが意に
背
(
そむ
)
き、その爲すべきにあらざることをなしゝ
例
(
ためし
)
は世に多し 一〇〇—一〇二
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
「うまいッ、益々うまいですよ。被害者の死骸を写生して嫌疑を
免
(
まぬが
)
れ様というのは、実にズバ抜けた新考案です」
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
陰陽
(
いんよう
)
の
結
(
むす
)
びは
宇宙
(
うちゅう
)
万有
(
ばんゆう
)
の
切
(
き
)
っても
切
(
き
)
れぬ
貴
(
とうと
)
い
御法則
(
みのり
)
、いかに
高
(
たか
)
い
神々
(
かみがみ
)
とてもこの
約束
(
やくそく
)
からは
免
(
まぬが
)
れない。ただその
愛情
(
あいじょう
)
はどこまでも
浄
(
きよ
)
められて
行
(
ゆ
)
かねばならぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
この目準があるものだから、いくら老僧たちが嘲笑的な態度を執ろうとも最後には彼等の
胡散
(
うさん
)
の誘惑から
免
(
まぬが
)
れて初一念が求むる方向へと一人とぼとぼ思念を探り入れて行った。
宝永噴火
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
喧嘩ならぬところに喧嘩以上の動揺の起ることは
免
(
まぬが
)
れないのであります。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
之
(
これ
)
が
普通
(
ふつう
)
の
塲所
(
ばしよ
)
なら、かゝる
死地
(
しち
)
に
落
(
お
)
ちても、
鐵車
(
てつしや
)
をば
此處
(
こゝ
)
に
打棄
(
うちす
)
てゝ、
其
(
その
)
身
(
み
)
だけ
免
(
まぬが
)
れ
出
(
で
)
る
工夫
(
くふう
)
の
無
(
な
)
いでもないが、
千山
(
せんざん
)
萬峰
(
ばんぽう
)
の
奧深
(
おくふか
)
く、
數十里
(
すうじふり
)
四方
(
しほう
)
は
全
(
まつた
)
く
猛獸
(
まうじう
)
毒蛇
(
どくじや
)
の
巣窟
(
さうくつ
)
で、
既
(
すで
)
に
此時
(
このとき
)
數十
(
すうじふ
)
の
獅子
(
しゝ
)
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
又悲慘なる戰に
免
(
まぬが
)
れ生を保つもの、 230
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
豈
(
あに
)
、
閻羅
(
えんら
)
獄卒の責めを
免
(
まぬが
)
れんや
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
たとえ一時発覚を
免
(
まぬが
)
れたとはいえ、私はどうにも覗き眼鏡のことが気になって仕様がないものですから、夜の内にその装置を取り
毀
(
こわ
)
してしまうつもりで
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
娘盛りの頃、強盜に
手籠
(
てごめ
)
にされさうになつて、
銀簪
(
ぎんかんざし
)
で眼を突いて危ふいところを
免
(
まぬが
)
れたことがありました。
銭形平次捕物控:004 呪ひの銀簪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
乗
(
の
)
りかけた
船
(
ふね
)
とやら、これも
現世
(
げんせ
)
と
通信
(
つうしん
)
を
試
(
こころ
)
みる
者
(
もの
)
の
免
(
まぬが
)
れ
難
(
がた
)
き
運命
(
うんめい
)
——
業
(
ごう
)
かも
知
(
し
)
れませぬ……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
雌は避けられるだけは避けて、
免
(
まぬが
)
れようとする。なぜであろうか。処女の恥辱のためであろうか。生物は本来、性の独立をいとおしむためか。それともかえって雄を誘うコケットリーか。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
その上あの晩、三村屋の裏で仲吉を見掛けた者もあるし、翌る日仲吉は、燒け跡から放火道具を拾つて、人目に隱れて燒き捨てゝゐるが——これぢや
免
(
まぬが
)
れやうはない
銭形平次捕物控:059 酒屋火事
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
優れた探偵家の
免
(
まぬが
)
れ難い
衒気
(
げんき
)
であったのか、彼も亦、一度首を突込んだ事件は、それが全く解決してしまうまで、気まぐれな思わせぶりの外には、彼の推理の
片影
(
へんえい
)
さえも
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そしてそれを
免
(
まぬが
)
れる
遣
(
や
)
り方も彼には判っていた。それは簡単だった。時代並みの商人になればそれでよかったのだ。貸越しをもう少し催促して取立て、前借りをもう少し引緊めて拒絶する。
とと屋禅譚
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
それから、雨に當らない筈の千兩箱が、ひどく濡れて居たのも平次の眼を
免
(
まぬが
)
れやうはなかつたのです。
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
夫人の一挙一動、どんな
些細
(
ささい
)
な事柄も彼の監視を
免
(
まぬが
)
れることは出来なかった。彼は小間使のお雪と同様に
今宵
(
こよい
)
の密会を悟った。そして、お雪には真似の出来ない芸当をやった。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「岩松、氣の毒だが、新吉は
免
(
まぬが
)
れやうはねえ。自分でお駒を殺しましたと、白状して居るんだ」
銭形平次捕物控:037 人形の誘惑
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
賣り、夫は女房に別れて、泣かない日とてはない何千人の怨み、公儀の御とがめは
免
(
まぬが
)
れても、御墨附が紛失した上は、輕くて
改易
(
かいえき
)
、重ければ腹でも切らなければなりますまい、おゝいゝ氣味
銭形平次捕物控:022 名馬罪あり
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
手拭を忘れて行つたばかりに小三郎は、この恐ろしい疑ひから
免
(
まぬが
)
れて、恐ろしく智慧の廻る下手人が、小三郎と同じ柄の手拭を買つて來て、お菊を絞め殺したといふ結論に
導
(
みちび
)
かれるのです。
銭形平次捕物控:236 夕立の女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
この事、公儀の御耳に入つては、家事不取締の御とがめは
免
(
まぬが
)
れない。
銭形平次捕物控:289 美しき人質
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
これは煙草入の證據があつたに
拘
(
かゝは
)
らず、
辛
(
から
)
くも繩目を
免
(
まぬが
)
れました。
銭形平次捕物控:149 遺言状
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「氣の毒だが下手人の疑ひは
免
(
まぬが
)
れつこはねえ」
銭形平次捕物控:024 平次女難
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“免”の解説
免(めん)とは免合/免相(めんあい)とも呼ばれ、江戸時代における石高に対する貢租の割合を指す。
(出典:Wikipedia)
免
常用漢字
中学
部首:⼉
8画
“免”を含む語句
御免
赦免
放免
御免蒙
真平御免
御赦免
御宥免
高免
免許
罷免
免状
免職
赦免状
新免武蔵
眞平御免
免倒
免除
解免
差免
御免成
...