青黒あおぐろ)” の例文
よるになると、はたして、父親ちちおやはいいました。つきもないくらばんでありました。ほしひかりるように、青黒あおぐろそらかがやいていました。
幸福のはさみ (新字新仮名) / 小川未明(著)
清造はしばらく目をつぶってから、青黒あおぐろくよどんだ水の上に、大きなあわがふたつぽかりとかんだところをかきました。
清造と沼 (新字新仮名) / 宮島資夫(著)
あれ叡山えいざんです。彼が比良です。彼処あすこう少し湖水に出っぱった所に青黒あおぐろいものが見えましょう——彼が唐崎からさきの松です」
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
と小法師のもたげた顔の、鼻は鉤形かぎなりとがつて、色はとびひとしい。青黒あおぐろく、滑々ぬらぬらとした背膚せはだ濡色ぬれいろに、星の影のチラ/\とさまは、大鯰おおなまずの花を刺青ほりものしたやうである。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
おだやかな夕暮ゆうぐれでした。おつは、じっとふね見送みおくっていますと、いつしか、青黒あおぐろおきあいだかくれてえなくなってしまいました。
幽霊船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
少年しょうねんは、うみをながめていました。青黒あおぐろ水平線すいへいせんは、うねりうねっていました。それはちょうど、一れんとお山脈さんみゃくるようにおもわれたのです。
北の少女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
よるそらふかぬまなかをのぞくように青黒あおぐろえました。そのうちに、だんだんほしひかりがたくさんになってえてきました。
不死の薬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
このとき、かしのが、さらさらといって、青黒あおぐろいガラスのようなそらりました。三にんはしばらくだまっていましたが、おつへいかって
不死の薬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
公園こうえん木立こだちは、青黒あおぐろい、そらっていました。こまかなが、かわいらしい、きよらかなせてわらっているように、微風びふうらいでいました。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
たまはつやつやしていて、ふかうみいろのように青黒あおぐろく、どこまでふかいのか、そこれぬように、じっとつめていると、れられるようながしました。
青い玉と銀色のふえ (新字新仮名) / 小川未明(著)
いまだに、このはなしは、きたみなとのこっています。無人むじん小島こじまは、いまも、青黒あおぐろなみあいだあたまをあらわしています。
幽霊船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
青黒あおぐろそらは、だんだんがるにつれてあかるくなりました。そして、には、うつくしいほしひかっていました。
飴チョコの天使 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おきほうに、ひかったものがえます。うみみずは、青黒あおぐろいように、ものすごくありました。そして、このあたりは、北極ほっきょくちかいので、いつもさむかったのであります。
幽霊船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
たいは、いま、ふたたび故郷こきょうかえろうとします。おんなが、あかいたいを、なみあいだとしますと、たいは、おどって、はや、その姿すがた青黒あおぐろうみそこかくしたのです。
女の魚売り (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、おばあさんはいいました。辰吉たつきちは、それをほんとうだとしんじました。それからは、毎晩まいばんのように、戸外おもてて、青黒あおぐろい、よるそらかがやほしひかり見上みあげました。
木に上った子供 (新字新仮名) / 小川未明(著)
また一ぽうは、はるかに、青黒あおぐろ山脈さんみゃくが、よくれたつきあかるいそらしたに、えんえんとつらなっていました。
生きた人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
まち郊外こうがいには、おかうえに、はたけなかに、オレンジが、うつくしく、西日にしびかがやいていました。青黒あおぐろい、あつみのあるあいだから、黄色きいろ宝石ほうせきつくられたたまのようにられました。
気まぐれの人形師 (新字新仮名) / 小川未明(著)
うみは、永久えいきゅうにたえず美妙びみょううたをうたっています。そのうたこえにじっとみみをすましていると、いつしか、青黒あおぐろそこほうめられるような、なつかしさをかんじました。
明るき世界へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
くまざさをわけて、したをのぞくと、みずのおもてが、青黒あおぐろひかって、それへ、まわりのえだから、たれさがる、むらさきいろのふじのはなが、うつくしいかげをうつしていました。
水七景 (新字新仮名) / 小川未明(著)
青黒あおぐろいろをしたちいさないしでありました。このいしは、子供こどもがじっとそのいしつめたときに
はてしなき世界 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おんなは、途方とほうれて、波打なみうちぎわにったままいていました。そのとき、そらいろは、しだいにうすれて、やがて、そらも、うみも、まったく、青黒あおぐろくなってしまったのであります。
女の魚売り (新字新仮名) / 小川未明(著)
西にししず時分じぶんは、あかそらえるようにみえましたが、がまったくれてしまうと、そらいろは、青黒あおぐろくさえて、さむさでおとをたててれるかとおもわれるほどでありました。
春になる前夜 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのうちに、れかかった。木々きぎのこずえが、さやさやとりはじめて、そらいろは、青黒あおぐろえ、燈火ともしびひかりがきらめき、くさや、のこずえに反射はんしゃしているのがられたのです。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しもるかとえて、そらひかっています。そして星明ほしあかりに青黒あおぐろいガラスのようにさえたそらは、すみからすみまでふききよめられたごとく、下界げかいくろ木立こだちかげうつるばかりでありました。
酔っぱらい星 (新字新仮名) / 小川未明(著)
佐吉さきちや、おさけいにいってこい。」と、おとうさんはいいました。佐吉さきちは、びんをにぎってかけました。ゆきが、こおっていました。そら青黒あおぐろくさえて、ほしひかりぶようにかがやいていました。
酔っぱらい星 (新字新仮名) / 小川未明(著)
むすめは、がよくえませんけれど、このふかそうに青黒あおぐろえる、いけおもてうつったほしひかりだけはわかりました。彼女かのじょは、ずっとそのいけおもてつめて、んでしまおうかと思案しあんしていました。
めくら星 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのひろいすそのふちを、青黒あおぐろいろうみが、うねりをあげ、そして、もやのかかる松林まつばやしや、しろすな浜辺はまべは、りの模様もようのようにえるので、さすがに天女てんにょも、しばらくはわれをわすれて
羽衣物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
やがてまちへはいろうとすると、建物たてものあいだから、青黒あおぐろうみえました。
びんの中の世界 (新字新仮名) / 小川未明(著)