“あおぐろ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
蒼黒47.3%
青黒23.7%
9.7%
蒼黝4.3%
青黝4.3%
碧黒3.2%
蒼玄2.2%
蒼黯2.2%
黝黒2.2%
黝黯1.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
蒼黒あおぐろくむくんだ、溺死者できししゃのような相貌になり、手足は極端にまで痩せ、まぶた指趾ししは絶えず顫戦せんせんし、唇からはよだれが垂れた。
山彦乙女 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
清造はしばらく目をつぶってから、青黒あおぐろくよどんだ水の上に、大きなあわがふたつぽかりとかんだところをかきました。
清造と沼 (新字新仮名) / 宮島資夫(著)
庭石の根締めになっていたやしおの躑躅つつじが石を運び去られたあとの穴の側に半面、あおぐろく枯れて火のあおりのあとを残しながら、半面に白い花をつけている。
(新字新仮名) / 岡本かの子(著)
下の方はまっ白な雲になっていることもあれば海か陸かただ蒼黝あおぐろく見えることもある、昼はお日さまの下を夜はお星さまたちの下をどんどんどんどんかけて行くんだ。
風野又三郎 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
青黝あおぐろい背を光らせながらサラサラと草を押しわけてそばに積んである油壺の中へニョロリと入ってしまった。
顎十郎捕物帳:24 蠑螈 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
倉庫で働いている男や、黙って荷積みをしている人夫の姿が、時々お庄の目にわびしく映った。碧黒あおぐろくおどんだ水には白い建物の影が浸って、荷船が幾個いくつ桟橋際さんばしぎわつながれてあった。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
岩のあるところを目懸けて、すがりつく、倉橋君も、それから少し後れて、高頭君と中村君とが、みんなこの蒼玄あおぐろい波に、沈没したり、浮き上ったりして、つづいて泳いで来た、敢えて泳ぐという
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
蒼黯あおぐろい葉で丸く塊まった森は、稀に入って来る人間を呑み込んで、その蒼い扉をぴったりと閉じ、シンと沈黙してしまう、唐松の梢が、風にさやさやとゆらめくと、今まで黙っていた焼岳の灰が
谷より峰へ峰より谷へ (新字新仮名) / 小島烏水(著)
洋々と流れる千曲川も、冬は氷にとざされて、その水色さえ黝黒あおぐろく、岸の枯蘆かれあしもおおかたは折れて、風の強さが思われる。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
不吉の前兆のような、無気味なしずかさが、原っぱの上全体に押しかぶさって、夕靄が、威圧するように、あたりをめていた。そして颯々さつさつと雑草をなぎ黝黯あおぐろい風……。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)