青黝あおぐろ)” の例文
丁余ちょうよの上流では白波しらなみの瀬をなして騒いだ石狩川も、こゝでは深い青黝あおぐろい色をなして、其処そこ此処に小さなうずを巻き/\彼吊橋の下を音もなく流れて来て
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
青黝あおぐろい背を光らせながらサラサラと草を押しわけてそばに積んである油壺の中へニョロリと入ってしまった。
顎十郎捕物帳:24 蠑螈 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
そしてガドルフは自分のほてっていたむ頭のおくの、青黝あおぐろ斜面しゃめんの上に、すこしもうごかずかがやいて立つ、もう一むれの貝細工かいざいくの百合を、もっとはっきり見ておりました。
ガドルフの百合 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
白い下からあかみがさしている木村さんの皮膚にはつやつやとしたうるおいと膩味じみがあるのに、青黝あおぐろい夫の皮膚は金属性にかわき切っている。アルミニュームのようにツルツルなのが今もって気味が悪い。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)