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錨
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いかり
ふりがな文庫
“
錨
(
いかり
)” の例文
やっぱりみんな
錨
(
いかり
)
を下ろすが早いか女のところへ上陸したに相違ない。ガルシア・モレノ号は僕の前にたったこれだけの
人数
(
にんず
)
だった。
踊る地平線:08 しっぷ・あほうい!
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
それで、何隻もの捕鯨船が、港に
錨
(
いかり
)
を入れたまま、動けなくなってしまった。それから急に、アメリカの捕鯨船は、だめになった。
無人島に生きる十六人
(新字新仮名)
/
須川邦彦
(著)
沖合四
浬
(
かいり
)
のところに、博光丸が
錨
(
いかり
)
を下ろした。——三浬までロシアの領海なので、それ以内に入ることは出来ない「ことになっていた」。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
錨
(
いかり
)
には数種の型がある。四個の外曲した鉤を持つ鉄製のものは、
戎克
(
ジャンク
)
の写生図の一つに於てこれを示した。図578はまた別の型である。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
この孤獨——人界からの放逐!
憇
(
いこひ
)
の
錨
(
いかり
)
が切れたばかりか、殘る勇氣の足場さへ——少くとも一時的には——消え去つて了つた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
▼ もっと見る
「
錨
(
いかり
)
を持って行かれたとあっては、船をとどめて置くことも出来ぬの。このような時には岸へなど寄せずに、沖の方へ止めて置くべきだが」
猫の蚤とり武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
錨
(
いかり
)
で釣り上げ投げつける起重機や、敵船体を焼きつける鏡の発明に夢中になったアルキメデスの姿を梶はその青年
栖方
(
せいほう
)
の姿に似せて空想した。
微笑
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
江の島の
聖天島
(
しょうてんじま
)
と
稲村
(
いなむら
)
ヶ崎を底辺にする、正三角形の頂点で
錨
(
いかり
)
をおろし、二時間ほどそこに停っていて、それからまたどこかへ行ってしまう。
キャラコさん:07 海の刷画
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
兵曹長は、その綱の一番端に鋼鉄でつくってある
錨
(
いかり
)
をむすびつけました。その錨は、
西瓜
(
すいか
)
ぐらいの小型のものでありました。
怪塔王
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それは、宵の口に帰港した千島帰りの一トロール船が、大きなうねりに揺られながら、
海霧
(
ガス
)
の深い沖合に
錨
(
いかり
)
をおろしている釧路丸を見たと云う。
動かぬ鯨群
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
渦流
(
うず
)
がよそほどはげしくないオッテルホルムやサンドフレーゼンの近くへ下って行って、
錨
(
いかり
)
を下ろすことにしていました。
メールストロムの旋渦
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
そして、それから何時間かを過した後に頭の上でガラガラ
錨
(
いかり
)
を巻き上げる音が聞えるまで、うとうと眠り通してしまった。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
途中は右の通り快晴(もっとも一回モンスーンの来襲ありたれども)一同万歳を唱えて昨早朝
錨
(
いかり
)
を当湾内に投じ申し候。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
船は、この町から一リーグばかり手前で、
錨
(
いかり
)
をおろし、水先案内に合図をしました。半時間もしないうちに、水先案内は二人連れでやって来ました。
ガリバー旅行記
(新字新仮名)
/
ジョナサン・スウィフト
(著)
真夜中の二時ごろ、艦は、
狼
(
おおかみ
)
がしゃがんでいるような変な形をした大きな岩のかげへ、
錨
(
いかり
)
を下してとまってしまった。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
汲み上げた水が恐ろしく泥臭いのも尤、
錨
(
いかり
)
を下ろして見たら、
渇水
(
かっすい
)
の折からでもあろうが、
水深
(
すいしん
)
が一尺とはなかった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
干潟
(
ひがた
)
の泥土の中に、まるで
錨
(
いかり
)
を組みあはせたやうな紅樹林の景観が、どつと思ひ出の中から色あざやかに浮んで来る。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
今
(
いま
)
や
其
(
その
)
二本
(
にほん
)
の
烟筒
(
えんとう
)
から
盛
(
さか
)
んに
黒煙
(
こくえん
)
を
吐
(
は
)
いて
居
(
を
)
るのは
既
(
すで
)
に
出港
(
しゆつかう
)
の
時刻
(
じこく
)
に
達
(
たつ
)
したのであらう、
見
(
み
)
る/\
船首
(
せんしゆ
)
の
錨
(
いかり
)
は
卷揚
(
まきあ
)
げられて、
徐々
(
じよ/\
)
として
進航
(
しんかう
)
を
始
(
はじ
)
めた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
竹籠、スコップ、
雁爪
(
がんづめ
)
などが積みあげられ、赤錆になった
錨
(
いかり
)
が一本、足を切られた
蛸
(
たこ
)
のように、投げだされてある。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
急ぎ蛍雪館はじめ三四の有力な家にも小使い取りの職仕を紹介してこの方面でも鼈四郎を引留める
錨
(
いかり
)
を結びつけた。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
且
(
か
)
つその罪人を英国人の見て居る所で死刑に処せよと
云
(
い
)
う掛合の
為
(
た
)
めに、六艘の軍艦は鹿児島湾に
廻
(
まわっ
)
て
錨
(
いかり
)
を
卸
(
おろ
)
した。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
まず、いきなり
錨
(
いかり
)
をザンブと投げこんで、
横
(
おう
)
が
薄刃
(
うすば
)
のだんびらを持ち出す。——
凄文句
(
すごもんく
)
よろしくならべて、約束の
駄賃
(
だちん
)
以上な客の懐中物をせびるのだ。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
航海の八日目かに、ある老年の水夫がフォクスルで仕事をしていた時、
錨
(
いかり
)
の鎖に足先をはさまれて骨をくじいた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
したいと思ってるんだが、それさえなけりゃ、十日や二十日
錨
(
いかり
)
を入れたってかまやしないんだけどなあ、じゃあ、応急手当として、ストキだけ下船さすか
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
久佐賀は、金力を持って、さも同情あるように
附込
(
つけこ
)
んでゆこうとした。そうした男ゆえ、俺ならば大丈夫良かろうと
錨
(
いかり
)
をおろしてかかったのかも知れない。
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
実際その花はちょうど
錨
(
いかり
)
を
下
(
さ
)
げたようなおもしろい姿を
呈
(
てい
)
しているので、この草を庭に
栽
(
う
)
えるか、あるいは
盆栽
(
ぼんさい
)
にしておき、花を咲かすと、すこぶる
趣
(
おもむき
)
がある。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
ト
錨
(
いかり
)
が
一具
(
いちぐ
)
据
(
すわ
)
つたやうに、
間
(
あひ
)
十
間
(
けん
)
ばかり
隔
(
へだ
)
てて、
薄黒
(
うすぐろ
)
い
影
(
かげ
)
を
落
(
おと
)
して、
草
(
くさ
)
の
中
(
なか
)
でくる/\と
𢌞
(
まは
)
る
車
(
くるま
)
がある。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
妖しい
蠱惑
(
こわく
)
のなかに、僕は色欲の
錨
(
いかり
)
を沈めてから、粟鼠の毛皮の外套についた無数の獣の顔を愛撫した。
東京ロマンティック恋愛記
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
目あてのはとばに船を停めてしまい、あるいは、もやっている船々の間に挾まれて
錨
(
いかり
)
を投げる。すると、帆柱は立てたままでも船の姿は見えなくなるのであった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
場所柄だけに竿と
錨
(
いかり
)
を用意して、石垣
沿
(
ぞ
)
いにかなり
漁
(
あさ
)
っておりましたが、暫らくすると、水だらけになった手拭らしい物を一枚ぶら提げて部屋の中へ戻って来ました。
銭形平次捕物控:376 橋の上の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
下
(
さげ
)
よ
錨
(
いかり
)
をといふ間も
有
(
あら
)
ばこそ一
陣
(
ぢん
)
の
颺風
(
はやて
)
飄
(
さつ
)
と
落
(
おと
)
し來るに常の
風
(
かぜ
)
とは
事
(
こと
)
變
(
かは
)
り
潮
(
うしほ
)
波を吹出て
空
(
そら
)
は
忽
(
たちま
)
ち墨を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
そうして白帝城下の名も彩雲閣の河原に
錨
(
いかり
)
を下ろし
纜
(
ともづな
)
をもやったのであった。と、名古屋から電話がかかっていて隆太郎の母は
直
(
すぐ
)
にも見えるはずだということであった。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
おのれのスパルタを汚すよりは、
錨
(
いかり
)
をからだに巻きつけて
入水
(
じゅすい
)
したいものだとさえ思っている。
もの思う葦:――当りまえのことを当りまえに語る。
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
眼の前といっても、それは海上かなりの遠くではあるが、ここからは眼と鼻の先、浦賀海峡の真中に、三本マストの堂々たる黒船が、黒煙を吐いたままで
錨
(
いかり
)
を卸している。
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
舟
(
ふね
)
より
船
(
ふね
)
と
飛
(
と
)
び
渡
(
わた
)
りて、
其祝意
(
そのしゆくい
)
をうけらるゝは、
当時
(
そのかみ
)
の
源廷尉
(
げんていゐ
)
宛然
(
えんぜん
)
なり、
予
(
よ
)
も
肉
(
にく
)
動
(
うご
)
きて
横川氏
(
よこかわし
)
と
共
(
とも
)
に
千島
(
ちしま
)
に
行
(
ゆ
)
かばやとまで
狂
(
くるひ
)
たり、
舟
(
ふね
)
は
大尉
(
たいゐ
)
萬歳
(
ばんざい
)
の
歓呼
(
くわんこ
)
のうちに
錨
(
いかり
)
を
上
(
あ
)
げて
隅田の春
(新字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
そして箒星のをちたと思ふあたりに
錨
(
いかり
)
ををろして、すつ裸になつて、海の中にもぐりました。
小熊秀雄全集-14:童話集
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
錨
(
いかり
)
と
怒
(
いか
)
り、いずれも「イカリ」である。ところが英語の anchor と anger が、日本人から見ればやはり互いに似ている。「アンカー」と「アンガー」である。
言葉の不思議
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
その翌日の夕ぐれ、汽船は東京湾にはいって、Tという埋立地の海岸近くに
錨
(
いかり
)
をおろした。
黒蜥蜴
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
戦闘艦が並んで撃沈されたという前を横に曲ってまた元の石垣の
下
(
もと
)
へ着いた。向う岸には戦利品のブイや
錨
(
いかり
)
がたくさん並んでいる。あれで約三十万円の価格ですと河野さんが云った。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
松五郎ばかりは五十貫もある異国の大
錨
(
いかり
)
を身に巻附けて、海へ飛込んで死んで了いましたので、未だその他に
同累
(
どうるい
)
も御座いましたのですが、それはお調べにならないで了ったそうで……
悪因縁の怨
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
そこではあざやかな緑の草が真冬でも
錨
(
いかり
)
にくっついて引き上げられることがある。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
その万斤の重さの
錨
(
いかり
)
も
鮫
(
さめ
)
の顎中の漁夫の釣り針のごとくに怒濤の口のうちにねじ曲げられ、その巨大な大砲の発する
咆哮
(
ほうこう
)
も颶風のため哀れにいたずらに空虚と暗夜とのうちに運び去られ
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
かるが
故
(
ゆえ
)
にわれは今なお牧場、森林、山岳を愛す、緑地の上、窮天の間、
耳目
(
じもく
)
の触るる所の者を愛す、これらはみなわが最純なる思想の
錨
(
いかり
)
、わが心わが霊及びわが徳性の
乳母
(
うば
)
、導者、
衛士
(
えいし
)
たり。
小春
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
船は、
流人
(
るにん
)
たちの姿を見ると、舳を岸の方へ向けて、帆をひたひたと下ろしはじめた。やがて、船は岸から三反とない沖へ
錨
(
いかり
)
を投げる。三人は岸辺に立ちながら、声を合せて
欣
(
よろこ
)
びの声をあげた。
俊寛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
六メートルばかり前の岩穴の前に、
雨傘
(
あまがさ
)
ほども頭があるすばらしい大きな蛸が、
錨
(
いかり
)
の鎖にも似た、
疣
(
いぼ
)
だらけの手を四本岩にかけて、残りの四本で何やら妙な大きな魚のやうなものを押へてゐます。
動く海底
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
安全に
錨
(
いかり
)
をおろした静かな生活から解きはなされ、不安な世界にただよい出たのだとわれわれはしみじみ感ずる。想像のなかだけでなく、現実に、われわれ自身と故郷とのあいだには
深淵
(
しんえん
)
がひろがる。
船旅
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
その上、船の中には、
虱
(
しらみ
)
が沢山ゐた。それも、着物の縫目にかくれてゐるなどと云ふ、生やさしい虱ではない。帆にもたかつてゐる。幟にもたかつてゐる。
檣
(
ほばしら
)
にもたかつてゐる。
錨
(
いかり
)
にもたかつてゐる。
虱
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「なにしろ昼間から
錨
(
いかり
)
を卸しちゃあいられねえ。早く出かけよう」
半七捕物帳:67 薄雲の碁盤
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
今は
屋島
(
やしま
)
の浦に
錨
(
いかり
)
を留めて、
只
(
ひた
)
すら最後の日を待てるぞ哀れなる。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
錨
(
いかり
)
だ、静かな避難所だ、地球のへそだ、三匹のくじらにささえられているこの世の基礎だ、
薄餅
(
プリン
)
のエッセンスだ、脂っこい
魚製菓子パン
(
クレビヤーカ
)
だ、晩のサモワールや静かなため息や、暖かい女物の
不断着
(
ふだんぎ
)
や
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
“錨”の解説
錨(碇、いかり、アンカー、anchor)とは船舶を水上の一定範囲に止めておくために、鎖やロープを付けて海底や湖底、川底へ沈めて使う器具。定置網や建網などの漁具の固定にも用いる。
船や航海を連想させるものとして、シンボル的に用いられることも多い。
(出典:Wikipedia)
錨
漢検準1級
部首:⾦
16画
“錨”を含む語句
錨鎖
錨索
投錨
錨綱
揚錨機
揚錨絞盤
抜錨
錨床
投錨地
鉄錨
青錨汽船会社
青錨会社
錨繩
錨索大
錨知盛
錨屋万兵衛
錨屋
錨地
古錨
転錨
...