“いかり”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:イカリ
語句割合
31.8%
30.6%
17.6%
憤怒5.3%
忿2.4%
忿怒2.4%
1.6%
1.2%
五十里0.8%
0.8%
(他:13)5.5%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
これも兎角セルギウスにいかりを起させるかたむきがあるので、セルギウスは不断恐しい誘惑の一つとして感じてゐたのである。
伊吹虎尾いぶきとらのを、振りかざす手のいかりからになつた心臟にしがみつくまむし自害じがいした人。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
雁木がんぎといって、いかり形にった木片に刃物をとりつけ、これをむこうの糸にからませ、引っきって凧をぶんどる。
顎十郎捕物帳:07 紙凧 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「君も案外、頭脳あたまがわるいネ。あの隕石はウラゴーゴル星から故意に地球へ向って撃ちだしたいかりのようなものだ」
地球盗難 (新字新仮名) / 海野十三(著)
奈良朝の歌人は海に寄せる恋を「大船おおふね香取かとりの海にいかりおろしいかなる人かもの思わざらん」と歌った。
少年 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「曹丞相の命令である。来るところの諸船は、のこらず水寨の外にいかりをおろし、かじを止め、帆綱をゆるめられい!」
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
信吾は、わがかたきの吉野のへやに妹が行つてゐたと思ふと、抑へきれぬ不快な憤怒いかりが洪水の様に脳に溢れた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
云ふが儘に、酒が運んで来られたので、今ぐられた憤怒いかりは殆ど全く忘れたやうに、余念なく酒を湯呑茶椀であふり始めた。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
事の意外に出でたる驚、ことばに現すべからざる痛、負心ふしんの人に對する忿いかり、皆明かに觀る人の心に印せられき。
周は忿いかりがむらむらとこみあげて来て、どうしても押えることができないので、黄吏部の家へいこうとした。成はこれをおしとめていった。
成仙 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
姉と一緒に居た間、私は殆んど忿怒いかりといふものも知らなかつたほど自分の少年らしい性質が延びて行つたことを感じます。
斯の亂暴な行ひは直に小さな姪のいたづらと知れましたが、そのために自分の忿怒いかり奈何どうすることも出來ませんでした。
崑もまた笑っていたのがかわっていかりとなった。
青蛙神 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
声はいぶかりに少しのいかりを帯びていた。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
頼まるるも宮が心なりと、彼は可憐いとしき宮を思ひて、その父に対するいかりやはらげんとつとめたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
今は可懐なつかしき顔を見る能はざる失望に加ふるに、この不平にひて、しかも言解く者のあらざれば、彼のいかりは野火の飽くこと知らでくやうなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
五十里いかりのダム工事も、この山中を、たちまち町と化した原動力であろう。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
茱萸の木から暫くで道は五十里いかり川の岸へ出る。
痍のあと (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
劉万戸は自分の頭へ糞汁をかけられたようないかりをもって、その死屍を睨みつけていたが、ふと二人の関係が知りたくなった。
断橋奇聞 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
その筆の跡を見れば、たちまち浮ぶその人の面影おもかげは、唯継と並び立てる梅園の密会にあらざる無きに、彼はほとんど当時におなじいかりを発して
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
兄弟の不和——それから出発して来た兄の憤恚いかりであるらしいことを、古入道の信西は早くもて取った。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
忠通はわざと落ち着いた声で言った。しかもその語尾は抑え切れない憤恚いかりにふるえているのが、玉藻にはよく判っているらしかった。二人の話はしばらく途切れた。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
すると、そこへいかりまなじりげた、一人ひとりわかおんなあらわれて、口惜くやしい口惜くやしいとわめきつづけながら
ありとあらゆる有情含識うじやうがんしき皆朕が魔界に引き入れて朕が眷属となし果つべし、汝が述べたるところの如きは円顱の愚物が常套の談、醜し、醜し、もち帰り去れ、※※こそんいかりかす胡餅こべいの一片、朕を欺かんとや
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
彼等は神の愛を説く、其怒を言わない、「それ神の震怒いかりは不義をもて真理を抑うる人々に向って天より顕わる」とのパウロの言の如きは彼等の受納うけざる所である(羅馬書一章十八節)
ねがわくは汝我を陰府よみかくし、汝の震怒いかりむまで我をおおい、わがためにときを定めしかして我をおもい給え」(十三)とは再生の欲求の発表である。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
奥の方では、怒気いかりを含んだ細君の声と一緒に、叱られて泣く子供の声も起る。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
怒気いかり畏怖おそれとはかはる/″\丑松の口唇くちびるに浮んだ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
笠支配人は度を失った。憤激いかりの余り肩で呼吸をしている呉羽の見幕に辛うじて対抗しながら、真似をするように息を切らした。
二重心臓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それが、激怒いかりにふるえる手で、袴の膝をつかんで、ぐっと斜めに上半身を突き出した。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
毒竜は発憤いかりまなこ
鬼桃太郎 (新字新仮名) / 尾崎紅葉(著)
毒龍どくりよう發憤いかり
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
彼は裂けるばかりに瞋恚いかりのまなじりをあげて、霹靂はたたがみの落ちかかるように叫んだ。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
玉藻はしずかに見返った。その美しいまなじりには少しく瞋恚いかりを含んでいるらしかった。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
大君おほきみは天の譴怒いかりみづから照らす御光みかげしみたまへり
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
世を挙げて心傲ると歳久し天地の譴怒いかりいただきにけり
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)