いかり)” の例文
男性のカツサンドラ(希臘の昔物語に見えたる巫女みこ)となり、法皇王侯のいかりおそれずして預言したるは、希臘悲壯劇の中なる「ホロス」の群の如くなりき。
崑はいたずらに小さな蛇を函の中へ入れて、十娘をだましてその函をけさした。十娘は顔色を変えて怒って、崑を罵った。崑もまた笑っていたのがかわっていかりとなった。
青蛙神 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「しばしがほどなり。余りにれて客人まろうども風や引き玉はむ。またふるびたれどもこの車、いたく濡らさば、主人あるじいかりはむ。」といひて、手早く母衣打掩うちおおひ、また一鞭ひとむちあてて急ぎぬ。
うたかたの記 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
声はいぶかりに少しのいかりを帯びていた。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)