トップ
>
慍
>
いかり
ふりがな文庫
“
慍
(
いかり
)” の例文
今は
可懐
(
なつかし
)
き顔を見る能はざる失望に加ふるに、この不平に
遭
(
あ
)
ひて、しかも言解く者のあらざれば、彼の
慍
(
いかり
)
は野火の飽くこと知らで
燎
(
や
)
くやうなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
君子の音は
温柔
(
おんじゅう
)
にして
中
(
ちゅう
)
におり、生育の気を養うものでなければならぬ。昔
舜
(
しゅん
)
は
五絃琴
(
ごげんきん
)
を
弾
(
だん
)
じて南風の詩を作った。南風の
薫
(
くん
)
ずるやもって我が民の
慍
(
いかり
)
を解くべし。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
此品
(
これ
)
をば汝は要らぬと云ふのか、と
慍
(
いかり
)
を底に匿して問ふに、のつそり左様とは気もつかねば、別段拝借いたしても、と一句
迂濶
(
うつか
)
り答ふる途端、鋭き気性の源太は堪らず
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
國會の政府より頒布する法令は、其冷なること水の如く、其情の薄きこと紙の如くなりと雖ども、帝室の恩徳は其甘きこと飴の如くして、人民これを仰げば以て其
慍
(
いかり
)
を解く可し。
帝室論
(旧字旧仮名)
/
福沢諭吉
(著)
頼まるるも宮が心
也
(
なり
)
と、彼は
可憐
(
いとし
)
き宮を思ひて、その父に対する
慍
(
いかり
)
を
和
(
やはら
)
げんと
勉
(
つと
)
めたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
かかる浅ましき
慍
(
いかり
)
を人に移さんは、
甚
(
はなは
)
だ
謂無
(
いはれな
)
き事なり、と自ら制して、書斎に帰りて
憖
(
なまじ
)
ひ心を傷めんより、人に対して
姑
(
しばら
)
く
憂
(
うさ
)
を忘るるに
如
(
し
)
かじと思ひければ、彼は努めて
寛
(
くつろ
)
がんとしたれども
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
慍
漢検1級
部首:⼼
13画