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辛抱
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しんぼう
ふりがな文庫
“
辛抱
(
しんぼう
)” の例文
よし自分だけは食わんで済むとしても、妻は食わずに
辛抱
(
しんぼう
)
する
気遣
(
きづかい
)
はない。豊かに妻を養わぬ夫は、妻の眼から見れば大罪人である。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お
風呂
(
ふろ
)
はうちにあるし、買物などは、別の女中がいるから、それに頼めばよろしい。どうじゃな、あんたはそういう
辛抱
(
しんぼう
)
ができるかな
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
雇
(
やと
)
う者の側から申すと、来て働いてくれるならば、電気の技手でも煙突掃除でも、安くて
辛抱
(
しんぼう
)
する女の方を頼もうとするかも知れぬ。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
しばらくここに
辛抱
(
しんぼう
)
して居るのでほとんど
玉石混淆
(
ぎょくせきこんこう
)
の観があるけれども、リンシーに至ってはほとんど学力のない事にきまって居る。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
「やはり吉を大阪へやる方が好い。十五年も
辛抱
(
しんぼう
)
したなら、
暖簾
(
のれん
)
が分けてもらえるし、そうすりゃあそこだから直ぐに金も
儲
(
もう
)
かるし。」
笑われた子
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
▼ もっと見る
自分も結婚した初めからそう馴らされて来たのであったなら、穏健なあきらめができていて、こんな時の
辛抱
(
しんぼう
)
もしよいに違いない
源氏物語:40 夕霧二
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
だが、人間の生命にかかわることだから
疎漏
(
そろう
)
のないようにやりたまえよ。何事も
辛抱
(
しんぼう
)
が
肝腎
(
かんじん
)
だ。根気よく目的にむかって進みたまえ
ジェンナー伝
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
もっとも、ののしられても仕方がありません。あわれな男です! 才能のない者は芸術の世界では
辛抱
(
しんぼう
)
されるわけにはいかないのです。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
お昼には、
辛抱
(
しんぼう
)
して、とうとうなんにもお飲みにならなかった。あたしゃ、お前さんと、旦那さんと、二人分、辛い思いをしたよ。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
「ばかなことを言うな、いま連れ出せば
罠
(
わな
)
の中へ首を突っ込むようなものだ、七日
辛抱
(
しんぼう
)
しろ、そうすれば、やすやすと抜けられる」
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「とにかくもう一年
辛抱
(
しんぼう
)
しなさい。今の学校さえ卒業しちまえば……
母親
(
おふくろ
)
だって段々取る年だ、そう頑固ばかりもいやアしまいから。」
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
私は最初、白旗氏に向って、どんな苦労でもする、どんな
辛抱
(
しんぼう
)
でもすると言った。今もやはり、それは決して
厭
(
いと
)
わないつもりではある。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
「しかし前もってことわっておくが、さびしくなったり、
辛抱
(
しんぼう
)
が出来なくなって、地球へぼくを返して下さい、なんていってもだめだよ」
三十年後の世界
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
その上、
辛抱
(
しんぼう
)
がならないのは、天下の公道で、二言めには、河原者の、身分違いのと、喚き立て、言い
罵
(
ののし
)
るのを聞くことだった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「
何有
(
なあに
)
、これで
可
(
い
)
いさ、
澤山
(
たくさん
)
だ。何うにか
辛抱
(
しんぼう
)
の出来んこともあるまい。人間は、肉は喰はなくつても活きてゐられる動物よ。」
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
「三
年
(
ねん
)
の
間
(
あいだ
)
、わたしは
下界
(
げかい
)
にいって、
辛抱
(
しんぼう
)
をいたします。そして、いろいろのものを
見
(
み
)
たり、また、
聞
(
き
)
いたりしてきます。」と
答
(
こた
)
えました。
海からきた使い
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
貧しき人々と富める人々の中間に在る人々の料理は、まず貧しき人々の手になるであろうが
辛抱
(
しんぼう
)
の出来るところ、出来なくてもしようはない。
味覚馬鹿
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
野田
(
のだ
)
で
卯平
(
うへい
)
の
役目
(
やくめ
)
といへば
夜
(
よる
)
になつて
大
(
おほ
)
きな
藏々
(
くら/″\
)
の
間
(
あひだ
)
を
拍子木
(
ひやうしぎ
)
叩
(
たゝ
)
いて
歩
(
ある
)
く
丈
(
だけ
)
で
老人
(
としより
)
の
體
(
からだ
)
にもそれは
格別
(
かくべつ
)
の
辛抱
(
しんぼう
)
ではなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
最初医学校に入れられたベルリオーズは、解剖室の空気に
辛抱
(
しんぼう
)
が出来なくなって、ついに学校を飛び出し、音楽の修業に専念することになった。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
三日禁酒で明日は飲むに違いないなんて
冷
(
ひや
)
かす者ばかりであるが、私も中々剛情に
辛抱
(
しんぼう
)
して十日も十五日も飲まずに居ると、親友の高橋
順益
(
じゅんえき
)
が
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
そんな
鬱陶
(
うっとう
)
しいような日々も、相変らず私の小説の主題は私からともすると逃げて行きそうになるが、私はそれをば
辛抱
(
しんぼう
)
づよく追いまわしている。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
他
(
ほか
)
の
者
(
もの
)
が
望
(
のぞ
)
んだら、百
両
(
りょう
)
でも
譲
(
ゆず
)
れる
品
(
しな
)
じゃねえんだが、
相手
(
あいて
)
がおせんに
首
(
くび
)
ッたけの
若旦那
(
わかだんな
)
だから、まず一
両
(
りょう
)
がとこで
辛抱
(
しんぼう
)
してやろうと
思
(
おも
)
ってるんだ
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
「こう薄暗くなっちゃあ、お前も歩きにくかろうし、寒くもあろうが、まあ
辛抱
(
しんぼう
)
しなよ。そのかわり、家へ戻ったらうんとごちそうしてやるからな」
天下一の馬
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
羨
(
うらや
)
ましい死に様である。ある婆さんは、八十余で、もとは大分難義もしたものだが
辛抱
(
しんぼう
)
しぬいて本家分家それ/″\
繁昌
(
はんじょう
)
し、
孫
(
まご
)
曾孫
(
ひこ
)
大勢持って居た。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
而
(
しか
)
も、青年がいら/\していることが、自分がいるためであると思うと、美奈子は何うにも、
辛抱
(
しんぼう
)
が出来なかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
なんのために雪の下で永い間、
辛抱
(
しんぼう
)
していたのだろう。雪が消えたところで、この枯葉たちは、どうにもなりやしないんだ。ナンセンス、というものだ。
春の枯葉
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
しかし
水責
(
みずぜめ
)
や
火責
(
ひぜめ
)
に遇っても、彼等の決心は動かなかった。たとい皮肉は
爛
(
ただ
)
れるにしても、はらいそ(
天国
(
てんごく
)
)の門へはいるのは、もう一息の
辛抱
(
しんぼう
)
である。
おぎん
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と
云
(
い
)
って、
出
(
で
)
て
行
(
い
)
ってくれ、
黙
(
だま
)
っていてくれとは
彼
(
かれ
)
には
言
(
い
)
われぬので、じっと
辛抱
(
しんぼう
)
している
辛
(
つら
)
さは一
倍
(
ばい
)
である。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
お、船といえば、乗ってからも、決して言葉をかけてはならぬぞ。ではお米、くれぐれもそのつもりで、さびしかろうが徳島まで一日ひと晩の
辛抱
(
しんぼう
)
じゃ……
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
或る点に達するまでは唯事実を
羅列
(
られつ
)
した平浅な客観写生句であることもやむをえません。私は
辛抱
(
しんぼう
)
してそういう句をも選んでやがてその
上堂
(
じょうどう
)
を待っています。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
もしあなたに少しでも人間らしさ、夫婦らしい愛情や
劬
(
いたわ
)
りがあったら、そのくらいのことは
辛抱
(
しんぼう
)
しましたよ
醜聞
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ここで
辛抱
(
しんぼう
)
してみろなどと云われると、順吉の身としてはお世辞でも嬉しい。平素どちらかと云えば沈んで見える顔つきに、わだかまりのない明るい表情が浮かぶ。
夕張の宿
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
しかし、もう一度この屋根の下に
辛抱
(
しんぼう
)
してみようと思う心はすでにその時に私のうちにきざして来た。
嵐
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
すこしも
力
(
りき
)
んだところのない、おだやかな、そして
辛抱
(
しんぼう
)
づよい努力、——心の底に深い愛情をたたえた人だけに期待しうるような努力を、私はあの音から感じとり
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
「ある文士たちの研究会だが、ね、聞いていてためにならないことでもない。これから行けば、もう、たッた二時間の
辛抱
(
しんぼう
)
だ。そのあとはお前の世界にしてやるから」
猫八
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
いったい「
見
(
み
)
るな。」といった
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
には
何
(
なに
)
があるのか
知
(
し
)
らん。こう
思
(
おも
)
うと、こわさはこわいし、
気
(
き
)
にはなるし、だんだんじっとして
辛抱
(
しんぼう
)
していられなくなりました。
安達が原
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
それでも、あなたがそれを御承知で、なにごとにつけても貧しさを
辛抱
(
しんぼう
)
して下さるお気持がおありならば、どんなにしてでもあなたを妻として、お力になりましょう。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
それでもマア
辛抱
(
しんぼう
)
して一年足らずの内に漸くその借金を返してしまうとそれから
三月
(
みつき
)
ほど過ぎてその本人のお友達が突然台湾から帰って来て、実に君の恩は忘れない
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
安斉先生は昼ごろまで
辛抱
(
しんぼう
)
していたが、とうとう小用がしたいといいだした。富田さんが『かまいません。舟の中は
無礼講
(
ぶれいこう
)
ですから、船頭のようにこの
舷
(
ふなべり
)
からなさい』
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「滝に打たれる者は涼しいばかりやおまへん。当人にしてみましたらなかなか
辛抱
(
しんぼう
)
がいります。」
聴雨
(新字旧仮名)
/
織田作之助
(著)
「驚いたろう? 気分でも悪いか。さ、雨になったからこれをきて、もうしばらくの
辛抱
(
しんぼう
)
だ……」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
とても
辛抱
(
しんぼう
)
が出来ませんので、クシベシは又一本柱を切って、それを薪にして体を温めました。言う迄もなく、それも直になくなってしまいますと、又一本柱を切りました。
蕗の下の神様
(新字新仮名)
/
宇野浩二
(著)
受けよう
怒罵
(
どば
)
も
打擲
(
ちょうちゃく
)
も辞する所にあらずという
覚悟
(
かくご
)
の上で来たのであったがそれでも長く
堪
(
た
)
え
忍
(
しの
)
んだ者は少く大抵は
辛抱
(
しんぼう
)
出来ずにしまった
素人
(
しろうと
)
などはひと月と続かなかった。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
しばらくその儘
辛抱
(
しんぼう
)
するが宜い。その苦しみを奥歯でじっと噛み絞めるが宜い。そして、今お前が
虐
(
さいな
)
まれて居るその恥辱に、まともに向い合って呉れ。眼を外らすでは無いぞ。
阿難と呪術師の娘
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
桂
(
かつら
)
公爵の人格もしくは政見等については人々の考えは種々に分かれているようであるが、公のただ
人
(
びと
)
ならざりしことは、
何人
(
なんぴと
)
も同意であろう。して
辛抱
(
しんぼう
)
づよい点は公の長所であった。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
もう
去
(
さ
)
つてくれ、
無邪氣
(
むぢやき
)
ないたづらをして、その
邊
(
へん
)
をかき
亂
(
みだ
)
すのは
辛抱
(
しんぼう
)
するが、
不潔
(
ふけつ
)
なことをする
虞
(
おそれ
)
がある、
追
(
お
)
つても
去
(
さ
)
らない、そのまゝ
默認
(
もくにん
)
してゐるうちに、
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
に、またたれた。
ねこ
(旧字旧仮名)
/
北村兼子
(著)
豆腐屋にしたくないんだ、なあ千三、そのうちになんとかするから
辛抱
(
しんぼう
)
してくれ、そのかわりに夜学へいったらどうか、昼のつかれで眠たかろうが、一心にやればやれないこともなかろう
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
私
(
わたし
)
は
何
(
ど
)
んな
愁
(
つ
)
らき
事
(
こと
)
ありとも
必
(
かな
)
らず
辛抱
(
しんぼう
)
しとげて一
人前
(
にんまへ
)
の
男
(
をとこ
)
になり、
父
(
とゝ
)
さんをもお
前
(
まへ
)
をも
今
(
いま
)
に
樂
(
らく
)
をばお
爲
(
さ
)
せ
申
(
まをし
)
ます、
何
(
ど
)
うぞ
夫
(
そ
)
れまで
何
(
なん
)
なりと
堅氣
(
かたぎ
)
の
事
(
こと
)
をして
一人
(
ひとり
)
で
世渡
(
よわた
)
りをして
居
(
ゐ
)
て
下
(
くだ
)
され
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
『わしの
年齢
(
とし
)
に成つたら。其れ迄は
辛抱
(
しんぼう
)
して吉田の学校を卒業するんだよ。』
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
「いま、うちで、はいりますにな、
辛抱
(
しんぼう
)
して、縄へさばっといて下さいや」
風琴と魚の町
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
辛
常用漢字
中学
部首:⾟
7画
抱
常用漢字
中学
部首:⼿
8画
“辛抱”で始まる語句
辛抱人
辛抱強
辛抱比
辛抱競争