見分みわ)” の例文
それで、ひすいを見分みわけるために、御殿ごてんされた老人ろうじんは、きさきくなられると、もはや、仕事しごとがなくなったのでひまされました。
ひすいを愛された妃 (新字新仮名) / 小川未明(著)
最もほそく作られたるものは其原料げんれう甚だ見分みわけ難けれどややふときもの及び未成みせいのものをつらね考ふれば、あかがひのへり部分ぶぶんなる事を知るを得。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
かのゲロン・リンボチェというお方は神通力じんつうりきを得て居って、人の心に思うて居る事またこれはどういう人であるということを見分みわけもし
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
御兩親ごりやうしん御利益ごりやくで、まだ、まあうやつておほまかなところは、くもかすみと、見分みわけのきまするのが、つけものでござります。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ところが彼は海のものとも山のものとも見分みわけの付かないような返事ばかりするのです。しかもその返事は要領を得ないくせに、極めて簡単でした。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ところがよほど見分みわけにくいうまえて、名高なだかいばくろうの名人めいじんでも、やはりくびをかしげてかんがむばかりでした。
姨捨山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
このあかりじゃはっきり見分みわけがつくめえが、よくねえ。お大名だいみょうのお姫様ひめさまつめだって、これほどつやはあるめえからの
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
問『浄化じょうかしたのと、浄化じょうかしないのとの区別くべつは、うして見分みわけられますか? 矢張やはいろでございますか?』
「あぶないぞ、あぶないぞ! あの鷲はてき味方みかたをちゃんと見分みわけている。だから、八十松の首をくわえていたんだ。そして、竹童をすくいにりてきたんだ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
このように、花弁とがくとの外観が見分みわがたいものを、植物学では便利のため花蓋かがいと呼んでいる。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
ながれてごみなか西瓜すゐくわかは古下駄ふるげたいてゐるのまでがよく見分みわけられる。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
まあこのおおきいこと! そしてほかのとちっともてないじゃないか! こりゃあ、ひょっとすると七面鳥しちめんちょうかもれないよ。でも、みずれるだんになりゃ、すぐ見分みわけがつくからかまやしない。
とすぐに見分みわけがつきます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
そのなか一人ひとりが、ほんとうの人間にんげんで、一人ひとりが、魔物まものけたのだ。それはいくらおや兄弟きょうだいでも、見分みわけがつかないというはなしだ……。
草原の夢 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「いったいうまなんぞをれててどうするつもりだろう。」とびくびくしながら、殿様とのさま手紙てがみをあけてごらんになりますと、二ひきうま親子おやこ見分みわけてもらいたい。
姨捨山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
今度こんどへびのかはりにかにあるきさうで草鞋わらぢえた。しばらくするとくらくなつた、すぎまつえのき処々ところ/″\見分みわけが出来できるばかりにとほところからかすかひかりすあたりでは、つちいろみなくろい。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おんながほんとうにさとりがついて、永久えいきゅうわらない自分じぶんおっと見分みわけがつくまで、ここにっているがいい。」といわれました。
ちょうと三つの石 (新字新仮名) / 小川未明(著)
するうちだんだん紫宸殿ししいでんのお屋根やねの上がくらくなって、大きなくろくもがのしかかってたことが闇夜やみよにも見分みわけがつくようになりましたから、ここぞとねらいをさだめて
(新字新仮名) / 楠山正雄(著)
みんなは、陶器とうきについて、見分みわけるだけの鑑識かんしきはなかったけれど、そういわれてのぞきますと、さすがに名人めいじんさくだというこりました。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「だれかうま親子おやこ見分みわけることをっているか。うまく見分みわけたものにはのぞみの褒美ほうびをやる。」
姨捨山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
この若者わかものは、なかなかの智慧者ちえしゃでありましたから、このかぎが、どんなかねつくられていたかということを、すぐに見分みわけることができたのです。
三つのかぎ (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ほんとうにこまっているのか、どうか、お見分みわけがつきませんでしたか……。」と、べつひとが、くちをいれました。
船でついた町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いったい、宝石ほうせきばかりは、のあかるいひとでなければ、真物ほんものか、偽物にせものか、容易ようい見分みわけのつくものでありません。また、しょうのいいわるいについてもおなじことです。
トム吉と宝石 (新字新仮名) / 小川未明(著)
宝石ほうせき見分みわける名人めいじんが、募集ぼしゅうされることになりました。そして、いろいろのひとたちがあつまってきましたけれど、結局けっきょく名人めいじんというのは、最後さいごのこされた一人ひとりぎません。
ひすいを愛された妃 (新字新仮名) / 小川未明(著)
その精神病院せいしんびょういんには、おんなや、おとこ白痴はくちがうようよしていました。ひるよる見分みわけがつかずに、かれらはいたり、わめいたり、かなしんだり、またこえをたててわらったりしていました。
消えた美しい不思議なにじ (新字新仮名) / 小川未明(著)
さっそくたま真贋しんがん見分みわけることのできる人物じんぶつかかえることにいたそう。
ひすいを愛された妃 (新字新仮名) / 小川未明(著)
このおとこは、きたくにへいって、宝石ほうせきあつめてそれをみなみくにってゆけば、たくさんのかねのもうかることだけは、よくっていました。そのうえ、おとこは、よく宝石ほうせき見分みわけるだけのっていました。
宝石商 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いつでも、ばかとりこうとは、ちょっと見分みわけのつかぬものです。
からすとかがし (新字新仮名) / 小川未明(著)
だれにも、その見分みわけがつかないから、どうすることもできない。
草原の夢 (新字新仮名) / 小川未明(著)
くろいねこは、よく人間にんげん見分みわけたのでした。
おばあさんと黒ねこ (新字新仮名) / 小川未明(著)